著者
前中 一介 高山 洋一郎 藤田 孝之
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、本質的に高精度・高安定度を持つリングレーザジャイロ(RLG)をMEMS技術によって実現するための要素技術とそれらの融合技術を確立し、MEMS RLGの技術的基盤を構築した。まず、RLGで重要な光周回路についてはシリコン(110)面の異方性ウエットエッチングによって発現する垂直(111)壁面をミラーとして周回光路が実現できることを見いだし、この壁面の光学的特性をエッチング条件、アライメント条件等をパラメータとして調査し、これらに最適値が存在しかつ最適条件下ではRLGとして十分な質を持つミラー面となることを確認した。また、レンズ、プリズムなどのRLGで必要とされる透過光学素子を感光性樹脂を用いて実現し、集光特性、可干渉性など光学素子としての特性を明らかにした。また、この樹脂で可動構造体を形成し、レーザ媒体(レーザダイオード)のアライメント機構として用いることも示した。さらに、ミラー及び樹脂形成をバッチプロセスで一括構成するプロセスを確立し、MEMS RLGが大量生産・低価格化可能であることを明らかにしている。シリコンミラー面の反射率向上のための薄膜形成については、新たにシリコン上への金の直接めっき法を提案、その条件を確立し、従来必要であったそれぞれのミラー面に対する複数回の薄膜蒸着または特殊プラネタリの使用、および不要部分のエッチング工程を完全に排除することができた。これら、本MEMS RLGに関する研究で確立した数多くの基本技術は、ジャイロのみならず光関連MEMS一般に広く応用できる。今後、上記の成果に基づいて、複数の企業との協同で研究会を発足し、市場に投入しうるデバイス・システムの開発を行うことが予定されている。
著者
前田 雅司
出版者
日本マンガ学会
雑誌
マンガ研究
巻号頁・発行日
vol.7, pp.22-39, 2005-04
著者
宇野毅明 中原孝信 前川浩基 羽室行信
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL)
巻号頁・発行日
vol.2014-AL-146, no.2, pp.1-8, 2014-01-23

近年の IT 技術の発達により,ビッグデータを用いたデータ解析はますますその重要性を増している.しかし,ビッグデータ解析には,データの大きさ以外にも多様性という大きな困難がある.多様なデータは,それぞれ異なる特徴を持つグループから構成されているため,全体的に解析することが困難であり,まずグループ構造の解明が重要である.既存のクラスタリング手法やパターンマイニングによってグループ構造の解明にアプローチすると,解が大量,少数のグループしか見つけられない,類似する大量の解を生成,見つかるグループの大きさに大きなばらつきがある,計算コストが大きすぎる,といった難点にぶつかることになる.本稿では,グラフクラスタリング問題に対して,そもそもデータがどのようになっていればグループ構造が抽出しやすいかを考え,ノイズの少ない明確なデータを定義し,ノイズ混じりの生データを,そのグループ構造を壊さないように明確なデータへと変換する,データ研磨という手法を紹介する.また,データ研磨アルゴリズムとデータ研磨を行ったグラフが持つ数理的な構造を紹介し,将来的に 「明確なデータ」 を研究するための礎とする.
著者
若菜 博 田中 邦明 前田 賢次 境 智洋
出版者
室蘭工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本の岩手・宮城・佐賀・長崎・鹿児島県などの海岸保護林、韓国の全羅南道・慶尚南道を対象に現地調査を行った。韓国では、魚つき林と防潮林が一つのものとして表記され、その一部は400年から300年の歴史を持っていることを確認した。岩手・宮城・長崎県では各地の防災関係副読本を収集できた。それらを踏まえ、津波防災に関わる実験の開発および授業プランを実施した。平成27年12月には、本研究課題をテーマとしたシンポジウムを開催した。韓国の木浦国立大学の洪善基教授を招き、地域社会の防災文化の継承のために、海岸林の特性を取り入れた防災教育の進展を図ることを提起した。
著者
安本 亮二 小早川 等 柿木 宏介 井関 達雄 梅田 優 川嶋 秀紀 守屋 賢治 前川 正信
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.841-845, 1986-06

前立腺炎症例における,尿中NAG,又は前立腺マッサージ後の尿におけるNAGを測定した.その結果,尿中NAG値は,健常人に比べ明らかに高い値を示しただけでなく,病態の推移に非常によく一致していた.尿中NAGの臨床的評価の際,前立腺の病変も考慮にいれることが大切である.尿中NAGの経時的測定は,前立腺炎の病変の(その中でも急性前立腺炎の)一指標になる

1 0 0 0 OA 21世紀の科学

著者
神前 熈
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.566-572, 1995-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
13

20世紀の初頭における物理学の革命的な発展を教訓として, 科学の今世紀における進歩のあとを反省し, 21世紀における自然科学の未来像を予測する。科学の発展は, 異なる学問分野間の「結合と統一」を指向していることが結論される。
著者
藤田 陽子 我部 政明 前門 晃 桜井 国俊 Fujita Yoko Gabe Masaaki Maekado Akira Sakurai Kunitoshi
出版者
藤田陽子
巻号頁・発行日
2015-03

2012(平成24)年度~2014(平成26)年度(*2015(平成27)年度期間延長)科学研究費助成事業基盤研究(B)成果報告書 / 研究概要:本報告書は,3年間にわたる事業の成果としてまとめたものである。できる限り多角的に基地環境問題を捉えるため,研究チームのメンバーに加え,本研究課題の研究協力者にも論文執筆を依頼した。以下,掲載論文を簡単に紹介する。我部論文「化学兵器の沖縄からの撤去をめぐる日米琉関係」は,1971年の米軍の沖縄からの化学兵器撤去に関する米国政府等の意思決定過程を中心に,日米両政府聞における政治的思惑や,沖縄側の葛藤などについて分析している。前門論文「沖縄県における米軍基地と赤土流出」は,自然地理学の立場から,沖縄における米軍基地からの赤土流出の現状についてキャンプ・ハンセン周辺を中心に分析し,基地内裸地からの流出量が桁違いであることを指摘し,問題解決の必要性を訴えている。桜井論文「返還米軍基地跡地の浄化に関する日韓比較」は,本研究課題期間における複数回にわたる韓国調査に基づいている。同じように在外米軍基地の返還跡地の汚染や浄化の問題を抱えながら,土地所有形態の違いや地位協定の内容により大きく異なる状況にある沖縄と韓国を比較し,問題の根底を明らかにしている。川瀬論文「米軍基地を維持するためにどれだけ財政負担しているか」では,思いやり予算や特定防衛施設周辺整備交付金等,米軍基地を巡る様々な予算について客観的な財政分析を行い,それらの目的や根拠の不明瞭性を明らかにするとともに,米軍基地を沖縄に置き続ける理由となっていることを指摘している。林論文「米軍基地返還の意義」は,横田基地の軍用機騒音による社会的費用を推計するとともに,跡地利用推進特措法の役割の検証,そして軍事基地環境問題を考える上で,従来の経済計算の不備を指摘,「生の破壊を考慮に入れた経済学」の必要性を論じている。 Smith論文"Trouble in Paradise?US Military Forces Abroad,American Environmental Law,and the Law of Jurisdiction"は,在外米軍基地所在地での米国環境法の適用について論じている。たとえば普天間飛行場の辺野古移転に関しては,仮に米国連邦絶滅危慎種法等がされるとするならば,移転計画自体が中止されなければならないとしている。Davis論文"When the Bombs Stop: Environmental Issues after Military Base Closures"では,グアム,ハワイ,ヴィエケス島(プエルト・リコ)の各地における米軍基地による環境問題が地域の自然や社会に深刻な影響を与え,また基地使用終了後も同エリアが自然保護区に指定されるなどしてその歴史が隠されてしまう事実を示し,こうした現状は一種のコロニアリズムであるとも指摘している。これらの研究論文を通して,沖縄を中心に,韓国,ハワイ,グアム,ヴィエケス島といった同様の問題を抱えつつもその背景や現状を異にする複数の事例を比較することが可能となった。今後は,植民地支配や地域併合などの歴史的背景,地位協定に規定されている費用負担責任やホスト国の権限の差異,あるいは現在直面している安全保障上の問題との関連などに関するさらなる検証と,問題解決に向けたより具体的な提言が求められる。本報告書はその作業に向けたスタートに立つものであり,また本課題による研究活動が軍事基地環境問題を科学的・客観的に考察するための学術連携の基盤をなすものと考える。
著者
大前 隆
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.411-417, 1992-12-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

鼻副鼻腔気胞化現象に関しては従来より前頭洞, 上顎洞, 蝶形骨洞等を中心に炎症病態との関与について論議されてきたが, しかし節骨甲介の気胞化現象である中鼻甲介蜂巣についてはその成因を始めまだ臨床的にも不明な点が少なくない。一方内視鏡下保存的鼻内手術の発展に伴い, 鼻内手術法の手術ルートとなる中鼻道は副鼻腔への主要経路となる所からそれに大きく関与する中鼻甲介蜂巣については今後充分な臨床的認識を持つ事が重要となると考えられる。今回の調査では無作意の500例で93例の中鼻甲介蜂巣が認められ, 鼻腔側壁形態異常に影響を及ぼすと考えられる大きな峰巣は33例27.2%, またその12.3%に蜂巣内陰影があり, 鼻副鼻腔形態異常だけではなく感染病態を示唆した。従ってこの気胞化現象による鼻腔側壁異常が認められる場合には鼻腔整復術として鼻中隔整復と共に中鼻甲介蜂巣の整復は極めて重要になると考える。今回は, 舗骨甲介形態異常である中鼻甲介蜂巣について, その出現率, 形態分類, 蜂巣陰影について調査し臨床的意義, 手術法について論述した。
著者
前村 公彦 鈴木 康弘 高松 薫
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.415-424, 2005-07-10

The purpose of this study was to investigate the effects of sprint training (30-s maximal cycle ergometer sprinting) on bicarbonate buffering capacity and anaerobic capacity. Fourteen healthy males were assigned to either a training group (TG; n=7) or a control group (CG; n=7). The TG performed sprint training 2 days per week for 8 weeks. Before and after training, exercise performance (mean power) and excess CO_2 output (ExcessCO_2) were measured by 30-s maximal cycle ergometer sprinting, and maximal accumulated oxygen deficit (MAOD) was measured by 2-3 min exhaustive cycling test. Mean power (pre: 8.5±0.9W/kg, post: 9.3±0.8W/kg, p<0.01), ExcessCO_2 (pre: 93.4±12.8ml/kg, post: 102.3±12.2ml/kg, p<0.05), and MAOD (pre: 59.6±14.4ml/kg, post: 68.2±11.0ml/kg, p<0.01) were significantly increased after training in the TG. A significant correlation was demonstrated between percentage change in ExcessCO_2 and that in MAOD (r=0.755, p<0.05). Before and after training, mean power was significantly correlated with ExcessCO_2 and MAOD, respectively. These results suggest that the increase in ExcessCO_2 caused by sprint training may enhance the energy supplied from anaerobic metabolism, and improve short-duration intensive exercise performance.
著者
大前 暁政
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 : 日本教師学学会誌 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-11, 2015-03-31

教員養成課程の学生に教育方法と授業技術を習得させるには,大学教師が模範となる模擬授業を行い,学生に生徒役として授業を体験させることが有効である。模範授業体験後には,学生が気付いた授業の工夫を発表させる。学生の発表や質問に対して,大学教師が授業行為の意味を解説する。これにより,授業方法と授業技術の二つを意識化させることができる。その上で,模範授業で学んだ教育方法や授業技術を参考に,学生に模擬授業づくりに挑戦させ,学んだ方法や技術を活用させることで,習得を促すようにした。
著者
前川健一著
出版者
旅行人
巻号頁・発行日
1999
著者
所 輝久 前原 誠也 斎藤 陽彦 山本 雅昭
出版者
Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
雑誌
比較眼科研究 (ISSN:02867486)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.5-8, 2014

眼組織の計測は眼科領域において重要な検査の一つであり、その中には眼軸長値の測定も含まれる。犬の眼軸長値の正常値は約20~22mmと報告されているがそのほとんどは中型犬以上のデータであり、小型犬種単独における報告はみあたらない。そこで小型犬種における眼軸長の基準値を確立する目的でチワワを対象にBモードにて計測を行ったところ、一定の個体差が有り最大で3.3mmの違いが認められたものの、平均的な眼軸長値は18.1mm前後を示し過去に犬種別に報告された中では最も短い値だった。また体重と眼軸長値との関連について統計学的検討を行ったところ両者には弱い正の相関がみられたが、統計学的に高い相関性は認められなかった。今回の調査はBモードによる正常なチワワの眼軸長および眼組織の計測値に関する初めての報告である。