著者
竹田 雅彦 中田 孝明 織田 成人
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.5-11, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)
参考文献数
49

サイトメガロウイルス(cytomegalovirus, CMV)感染は,免疫不全患者だけではなく正常免疫能を持つ重症患者にも発生し,人工呼吸管理期間,ICU滞在期間,入院期間の長期化や不良な生命転帰と関連する。近年,正常免疫能の重症患者に対するCMV感染予防の有効性を問うRCTが行われるなど,活発な研究が行われている注目の研究領域である。現時点では,正常免疫能の重症患者に対する抗ウイルス薬の予防投与は,CMV再活性化が抑制されるが死亡率などの転帰の改善を認めず,抗ウイルス薬は副作用も多いことから,推奨されるに至っていない。また近年,造血機能障害や腎毒性などの副作用が少ない新規抗ウイルス薬の研究報告がなされている。今後,集中治療領域におけるCMV感染に関する多くの知見の発表が予測されるため,集中治療領域におけるCMV感染に関し注目していく必要がある。
著者
横張 賢司 平澤 博之 織田 成人 志賀 英敏 中西 加寿也 貞広 智仁 仲村 将高
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, pp.456-462, 2003
被引用文献数
1

目的:重症急性膵炎(severe acute pancreatitis: SAP)症例における重症度判定に際し腹部CT検査は必須であり,われわれは厚生省研究班によるCT grade分類を用いてICU入室時および経過中に撮影した腹部CTのgradingを行っている。また現在当施設ではIL-6 (interleukin-6)血中濃度迅速測定が可能であり,その結果はSAPの重症度の指標として有用であると考えている。そこで今回SAP症例の腹部CT所見とIL-6血中濃度との相関を明らかにする目的で以下の検討を行った。対象:自験SAP症例のうちIL-6血中濃度を測定し得た31例を対象とし,入室時のCT grade, IL-6血中濃度およびAPACHE II scoreを検討した。結果:対象31例の入室時CT gradeの内訳はIII度6例,IV度22例,V度3例であった。grade別の入室時平均IL-6血中濃度は,III度269pg/ml, IV度1,214pg/ml, V度1,578pg/mlであり,同様にgrade別の入室時平均APACHE II scoreは,III度11.67, IV度18.33, V度16.30であった。入室時CT gradeとIL-6血中濃度の相関については,gradeが上がるほど血中濃度も高値になる傾向がみられたが,有意な相関は認めなかった。またCT gradeとAPACHE II scoreについても同様に有意な相関は認めなかった。一方,CT gradeを含む各種予後因子の合計スコアを算出したstage分類によると,入室時stage 2に分類されたのは12症例であり,入室時IL-6血中濃度は平均で393pg/mlであった。同様にstage 3は18例で平均1,539pg/ml, stage 4に分類された症例は1例のみであった。stage 2とstage 3の間ではIL-6血中濃度平均値の有意な差を認めた(p<0.05)。考察及び結語:治療経過とともにIL-6血中濃度と病態が改善しているSAP症例においても短期間ではCT gradeは改善せず,腹部CT検査は入室時の重症度判定としては有用だが,リアルタイムの病勢の推移を判断する指標としては適切でないと思われた。以上よりSAP症例におけるIL-6血中濃度と腹部CT所見とは明らかな相関を示さず,その臨床上の意義は各々異なっていると考えられた。
著者
小林 進 落合 武徳 堀 誠司 宮内 英聡 清水 孝徳 千葉 聡 鈴木 孝雄 軍司 祥雄 島田 英昭 岡住 慎一 趙 明浩 大塚 恭寛 吉田 英生 大沼 直躬 金澤 正樹 山本 重則 小川 真司 河野 陽一 織田 成人 平澤 博之 一瀬 正治 江原 正明 横須賀 收 松谷 正一 丸山 紀史 税所 宏光 篠塚 典弘 西野 卓 野村 文夫 石倉 浩 宮崎 勝 田中 紘一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.265-276, 2004-12-01

千葉大学医学部附属病院において2000年3月から,2003年8月まで8例の生体部分肝移植手術を施行した。5例が18歳未満(7ヶ月,4歳,12歳,13歳,17歳)の小児例,3側が18歳以上(22歳,55歳,59歳)の成人例であった。2例(7ヶ月,4歳)の小児例は左外側区域グラフトであるが,他の6例はすべて右葉グラフトであった。2側が肝不全,肺炎のため移植後3ヶ月,2ヶ月で死亡となったが他の6例は健存中であり,元気に社会生活を送っている。第1例目は2000年3月6日に実施した13歳男児のウイルソン病性肝不全症例に対する(ドナー;姉22歳,右葉グラフト)生体部分肝移植である。現在,肝移植後4年3ヶ月が経過したが,肝機能,銅代謝は正常化し,神経症状も全く見られていない。第2例目は2000年11月23日に実施した12歳男児の亜急性型劇症肝炎症例である(ドナー;母親42歳,右葉グラフト)。術前,肝性昏睡度Vとなり,痛覚反応も消失するほどの昏睡状態であったが,術後3日でほぼ完全に意識は回復し,神経学的後遺症をまったく残さず退院となった。現在,術後3年7ヶ月年が経過したがプログラフ(タクロリムス)のみで拒絶反応は全く見られず,元気に高校生生活を送っている。第3側目は2001年7月2日に実施した生後7ヶ月男児の先天性胆道閉鎖症術後症例である。母親(30歳)からの左外側区域グラフトを用いた生体部分肝移植であったが,術後,出血,腹膜炎により,2回の開腹術,B3胆管閉塞のためPTCD,さらに急性拒絶反応も併発し,肝機能の改善が見られず,術後管理に難渋したが,術後1ヶ月ごろより,徐々にビリルビンも下降し始め,病態も落ち着いた。術後6ヵ月目に人工肛門閉鎖,腸管空腸吻合を行い,現在,2年11ケ月が経過し,免疫抑制剤なしで拒絶反応は見られず,すっかり元気になり,精神的身体的成長障害も見られていない。第4例目は2001年11月5日に行った22歳男性の先天性胆道閉鎖症術後症例である(ドナー:母親62歳,右葉グラフト)。術後10日目ごろから,38.5度前後の熱発が続き,白血球数は22.700/mm^3と上昇し,さらに腹腔内出血が見られ,開腹手術を行った。しかし,その後敗血症症状が出現し,さらに移植肝の梗塞巣が現れ,徐々に肝不全へと進行し,第85病日死亡となった。第5例目は2002年1月28日に行った4歳女児のオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症症例である(ドナー;父親35歳,左外側区域グラフト)。肝移植前は高アンモニア血症のため32回の入院を要したが,肝移植後,血中アンモニア値は正常化し,卵,プリンなどの経口摂取が可能となり,QOLの劇的な改善が見られた。現在2年5ヶ月が経過したが,今年(2004年)小学校に入学し元気に通学している。第6例目は2002年7月30日に行った17歳女性の亜急性型劇症肝炎(自己免疫性肝炎)症例である(ドナー:母親44歳,右葉グラフト)。意識は第2病日までにほぼ回復し,第4病日まで順調な経過をたどっていた。しかし,第6病日突然,超音波ドップラー検査で門脈血流の消失が見られた。同日のCTAPにて,グラフトは前区域を中心とした広範囲の門派血流不全域が示された。その後,肝の梗塞巣は前区域の肝表面領域に限局し,肝機能の回復が見られたが,多剤耐性菌による重症肺炎を併発し,第49病日死亡となった。第7例目は2003年3月17日に行った59歳男性の肝癌合併肝硬変症例(HCV陽性)症例である(ドナー:三男26歳,右葉グラフト)。Child-Pugh Cであり,S8に4個,S5に1個,計5個の小肝細胞癌を認めた。ドナー肝右葉は中肝静脈による広い環流域をもっていたため,中肝静脈付きの右葉グラフトとなった。術後は非常に順調な経過をたどり,インターフェロン投与によりC型肝炎ウイルスのコントロールを行い,移植後1年3ヶ月を経過したが,肝癌の再発も見られず順調な経過をとっている。第8例目は2003年8月11日に行った55歳男性の肝癌合併肝硬変症例(HBV陽性)症例である(ドナー;妻50歳,右葉グラフト)。Child-Pugh Cであり,S2に1個,S3に1個,計2個の小肝細胞癌を認めた。グラフト肝は470gであり過小グラフト状態となることが懸念されたため,門脈一下大静脈シヤントを作成した。術後はHBV Immunoglobulin,ラミブジン投与により,B型肝炎ウイルスは陰性化し,順調に肝機能は改善し合併症もなく退院となった。現在移植後10ヶ月が経過したが,肝癌の再発も見られず順調な経過をとっている。ドナー8例全員において,血液及び血液製剤は一切使用せず,術後トラブルもなく,20日以内に退院となっている。また肝切除後の後遺症も見られていない。
著者
織田 成人
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本人独自の遺伝子多型からみた重症救急患者に対する個別化治療を確立することを目的としている.多施設共同研究(計5施設)で遺伝子情報と臨床情報を収集した.IL1RA 2nd intronVNTRの臨床経過や転帰への影響について検討した.その結果,導出コホート(自施設症例;n=261)および検証コホート(多施設症例;n=793)両方において,IL1RA RN^*2 alleleの保有数が多くなるにつれてICU死亡率,重症敗血症罹患率ともに有意に上昇していた.
著者
小林 進 落合 武徳 堀 誠司 鈴木 孝雄 清水 孝徳 軍司 祥雄 剣持 敬 島田 英昭 岡住 慎一 林 秀樹 西郷 健一 高山 亘 岩崎 好太郎 牧野 治文 松井 芳文 宮内 英聡 夏目 俊彦 伊藤 泰平 近藤 悟 平山 信夫 星野 敏彦 井上 雅仁 山本 重則 小川 真司 河野 陽一 一瀬 正治 吉田 英生 大沼 直躬 横須賀 収 今関 文夫 丸山 紀史 須永 雅彦 税所 宏光 篠塚 典弘 佐藤 二郎 西野 卓 中西 加寿也 志賀 英敏 織田 成人 平澤 博之 守田 文範 梁川 範幸 北原 宏 中村 裕義 北田 光一 古山 信明 菅野 治重 野村 文夫 内貴 恵子 斎藤 洋子 久保 悦子 倉山 富久子 田村 道子 酒巻 建夫 柏原 英彦 島津 元秀 田中 紘一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.231-237, 2000-10-01
被引用文献数
1

今回,千葉大学医学部附属病院において,本県第1例目となるウイルソン病肝不全症例に対する生体部分肝移植の1例を実施したので報告する。症例(レシピエント)は13歳,男児であり,術前,凝固異常(HPT<35%)とともに,傾眠傾向を示していた。血液型はAB型,入院時の身長は176.0cm,体重は67.0kgであり,標準肝容積(SLV)=1273.6cm^3であった。ドナーは姉(異父)であり,血液型はA型(適合),身長は148.0cm,体重は50.0kgと比較的小柄であり,肝右葉の移植となった。術後は極めて良好な経過をたどり,肝機能は正常化(HPT>100%)し,術後72病日で退院となった。