著者
島田 薫 柄澤 智史 田中 久美子 松村 洋輔 大島 拓 織田 成人
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】集中治療室(ICU)における特発性腸腰筋血腫は抗凝固薬や抗血小板薬の投与、腎代替療法、高齢がリスク因子と考えられており、発生頻度は0.3%と稀ながら、致死率は30%との報告もある。当科でも診療機会が増えているが、典型的な臨床所見が明確でないことから、診断に苦慮することも多い。【目的】当院ICUで経験した症例から特発性腸腰筋血腫の臨床的特徴を明らかにする。【対象と方法】2016年4月1日から2018年9月15日の期間に当院ICUに入室した患者のうち、特発性腸腰筋血腫と診断された患者を診療録から後方視的に抽出した。【結果】対象期間中のICUの延べ入室患者数は4529例で、うち6例(男性4例)で特発性腸腰筋血腫を認めた。発症頻度は0.1%だった。平均年齢は66歳、いずれも片側発症で、右側5例、左側1例だった。発症前から全例でヘパリン、4例でステロイドが投与されており、4例で腎代替療法が施行されていた。自覚症状から診断に至った症例は4例で、呼吸困難、腰痛と腹部膨満、右側腹部痛、腹部緊満を認めた。他の2例は意識障害を伴う出血性ショック、原因不明の貧血進行から判明した。いずれの症例でも同時に貧血が進行していた。5例に出血性ショックを呈し、4例に血管内治療を施行し止血が得られた。1例は輸血で止血は得られたが腸管虚血を含めた臓器不全が進行し死亡した。血管内治療を施行した例では出血による死亡例はなかった。【結論】特発性腸腰筋血腫は稀な病態で、診断が遅れれば致死的になりうる。ICU患者は自覚症状に乏しい上に、確定診断に有用なCT検査の実施が容易でない場合が多い。一方で、早期に診断できれば止血術により救命できる可能性が高い。自験例では高率にリスク因子を認めた一方で貧血の進行以外に共通する臨床所見はなかったが、ショックを呈した症例は適切な止血術により救命し得た。リスク因子のある症例で貧血が進行した際には、腸腰筋血腫も念頭に置いた原因検索をすすめることが重要である。
著者
織田 成人 平澤 博之 北村 伸哉 上野 幸廣 島崎 淳也 中西 加寿也 福家 伸夫 伊藤 史生
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.219-228, 2007-06-15 (Released:2009-02-27)
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

目的 : 千葉県の救急・集中治療施設における急性肺傷害 (acute lung injury; ALI) /急性呼吸急迫症候群 (acute respiratory distress syndrome; ARDS) の発症率, 治療, 転帰等について調査し, population-basedのALI/ARDS発症率を推計する。研究デザイン : 多施設共同前向きコホート研究。セッティング : 千葉県内の3次救急医療施設および大学附属病院を中心とする12施設のICU。方法 : 2004年10月1日~12月31日までの3ヵ月間の全ICU入室患者を対象に, SIRS (systemic inflammatory response syndrome), ALI/ARDSをスクリーニングした。ALI/ARDSの診断基準は, 1994年のAmerican-European Consensus Conferenceの定義を用いた。調査票を用いてALI/ARDS患者の背景病態, 原因, 重症度, 合併臓器障害, P/F比, 人工呼吸器装着の有無, 各種治療, ICU在室期間, ICU退室時および28日後の転帰等を調査し検討した。結果 : 調査期間内に1,632例が登録され, このうちSIRS症例は770例 (47.2%), ALI/ARDS症例は79例, 発症率は全症例の4.8%, SIRS患者の10.3%であった。ALI/ARDS症例の平均年齢は64.0±17.1歳, P/F比は平均150.7±70.6で, P/F比300-201の症例が19例 (24.1%), 200以下のARDS症例は60例 (75.9%) であった。入室時APACHE IIスコアは24.7±8.9, SOFAスコアは8.8±4.3, 肺以外の臓器障害数は2.2±1.4臓器であった。ALI/ARDS79例中71例が人工呼吸管理を要し, これら症例のventilator free days (VFD) は平均12.1±10.6日であった。ALI/ARDS症例の平均ICU滞在日数は18.8±9.6日, 28日生存率は68.4%であった。結論 : これらのデータから推計すると, 千葉県におけるALI/ARDSの発症率は人口10万人当たり年間6.1人であった。
著者
松田 兼一 平澤 博之 織田 成人 仲村 将高
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

液体換気(liquid ventilation,LV)とは特殊な液体であるフルオロカーボンを酸素ガスの代わりに人工呼吸に用いる全く新しい人工呼吸法である.液体を用いて人工呼吸することによって肺洗浄効果及び虚脱肺拡張効果が期待され,重症呼吸不全の肺酸素化能を改善することができる.一方,液体を用いることから,施行中の人工呼吸器の操作条件が呼吸生理に与える影響はガス呼吸とは異なる可能性がある.そこで今回LVを有効かつ安全に施行するための基礎的検討を行った.まず.成熟ラットを用い,従来の酸素ガスを用いた従量式人工呼吸管理を小動物用人工呼吸器を用いて行った.これをコントロール(GasV群)とした.GasV施行中,操作条件を種々変更し,各操作条件に対する血行動態,血液ガス分析値の変化を検討した.次に,フルオロカーボンをラットの肺内にあらかじめ注入した後,従来の酸素ガスを用いた従量式人工呼吸管理(LV)を行った.これをLV群とした.GasV及びLV施行中,操作条件を種々変更し,各操作条件に対する血行動態,血液ガス分析値の変化を検討した.次に,先のデータを用いて,分時換気量(MV)と呼吸回数(RR)および吸気呼気時間比(I:E)を種々変化させたときのGasVとLVにおけるPaCO2,PaO2の変化の違いを検討した.操作条件の影響はGasV群に比しLV群では大きく,その影響はMVが低い場合により顕著となった.このことよりLVにおける人工呼吸器の操作条件に対するPaO2,PaCO2の変化はGasVとは全く異なるため,LVを安全かつ有効に施行するためにはPaO2,PaCO2をモニタリングしながら操作条件を決定する必要があると結論された.今後はFIO2などの操作条件を変更させ,さらに検討する予定である.
著者
織田 成人 平澤 博之 北村 伸哉 上野 幸廣 島崎 淳也 中西 加寿也 福家 伸夫 伊藤 史生
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 = Journal of Japanese Association for Acute Medicine (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.219-228, 2007-06-15
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

<b>目的</b> : 千葉県の救急・集中治療施設における急性肺傷害 (acute lung injury; ALI) /急性呼吸急迫症候群 (acute respiratory distress syndrome; ARDS) の発症率, 治療, 転帰等について調査し, population-basedのALI/ARDS発症率を推計する。<b>研究デザイン</b> : 多施設共同前向きコホート研究。<b>セッティング</b> : 千葉県内の3次救急医療施設および大学附属病院を中心とする12施設のICU。<b>方法</b> : 2004年10月1日~12月31日までの3ヵ月間の全ICU入室患者を対象に, SIRS (systemic inflammatory response syndrome), ALI/ARDSをスクリーニングした。ALI/ARDSの診断基準は, 1994年のAmerican-European Consensus Conferenceの定義を用いた。調査票を用いてALI/ARDS患者の背景病態, 原因, 重症度, 合併臓器障害, P/F比, 人工呼吸器装着の有無, 各種治療, ICU在室期間, ICU退室時および28日後の転帰等を調査し検討した。<b>結果</b> : 調査期間内に1,632例が登録され, このうちSIRS症例は770例 (47.2%), ALI/ARDS症例は79例, 発症率は全症例の4.8%, SIRS患者の10.3%であった。ALI/ARDS症例の平均年齢は64.0&plusmn;17.1歳, P/F比は平均150.7&plusmn;70.6で, P/F比300-201の症例が19例 (24.1%), 200以下のARDS症例は60例 (75.9%) であった。入室時APACHE IIスコアは24.7&plusmn;8.9, SOFAスコアは8.8&plusmn;4.3, 肺以外の臓器障害数は2.2&plusmn;1.4臓器であった。ALI/ARDS79例中71例が人工呼吸管理を要し, これら症例のventilator free days (VFD) は平均12.1&plusmn;10.6日であった。ALI/ARDS症例の平均ICU滞在日数は18.8&plusmn;9.6日, 28日生存率は68.4%であった。<b>結論</b> : これらのデータから推計すると, 千葉県におけるALI/ARDSの発症率は人口10万人当たり年間6.1人であった。
著者
竹田 雅彦 中田 孝明 織田 成人
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.5-11, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)
参考文献数
49

サイトメガロウイルス(cytomegalovirus, CMV)感染は,免疫不全患者だけではなく正常免疫能を持つ重症患者にも発生し,人工呼吸管理期間,ICU滞在期間,入院期間の長期化や不良な生命転帰と関連する。近年,正常免疫能の重症患者に対するCMV感染予防の有効性を問うRCTが行われるなど,活発な研究が行われている注目の研究領域である。現時点では,正常免疫能の重症患者に対する抗ウイルス薬の予防投与は,CMV再活性化が抑制されるが死亡率などの転帰の改善を認めず,抗ウイルス薬は副作用も多いことから,推奨されるに至っていない。また近年,造血機能障害や腎毒性などの副作用が少ない新規抗ウイルス薬の研究報告がなされている。今後,集中治療領域におけるCMV感染に関する多くの知見の発表が予測されるため,集中治療領域におけるCMV感染に関し注目していく必要がある。
著者
横張 賢司 平澤 博之 織田 成人 志賀 英敏 中西 加寿也 貞広 智仁 仲村 将高
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, pp.456-462, 2003
被引用文献数
1

目的:重症急性膵炎(severe acute pancreatitis: SAP)症例における重症度判定に際し腹部CT検査は必須であり,われわれは厚生省研究班によるCT grade分類を用いてICU入室時および経過中に撮影した腹部CTのgradingを行っている。また現在当施設ではIL-6 (interleukin-6)血中濃度迅速測定が可能であり,その結果はSAPの重症度の指標として有用であると考えている。そこで今回SAP症例の腹部CT所見とIL-6血中濃度との相関を明らかにする目的で以下の検討を行った。対象:自験SAP症例のうちIL-6血中濃度を測定し得た31例を対象とし,入室時のCT grade, IL-6血中濃度およびAPACHE II scoreを検討した。結果:対象31例の入室時CT gradeの内訳はIII度6例,IV度22例,V度3例であった。grade別の入室時平均IL-6血中濃度は,III度269pg/ml, IV度1,214pg/ml, V度1,578pg/mlであり,同様にgrade別の入室時平均APACHE II scoreは,III度11.67, IV度18.33, V度16.30であった。入室時CT gradeとIL-6血中濃度の相関については,gradeが上がるほど血中濃度も高値になる傾向がみられたが,有意な相関は認めなかった。またCT gradeとAPACHE II scoreについても同様に有意な相関は認めなかった。一方,CT gradeを含む各種予後因子の合計スコアを算出したstage分類によると,入室時stage 2に分類されたのは12症例であり,入室時IL-6血中濃度は平均で393pg/mlであった。同様にstage 3は18例で平均1,539pg/ml, stage 4に分類された症例は1例のみであった。stage 2とstage 3の間ではIL-6血中濃度平均値の有意な差を認めた(p<0.05)。考察及び結語:治療経過とともにIL-6血中濃度と病態が改善しているSAP症例においても短期間ではCT gradeは改善せず,腹部CT検査は入室時の重症度判定としては有用だが,リアルタイムの病勢の推移を判断する指標としては適切でないと思われた。以上よりSAP症例におけるIL-6血中濃度と腹部CT所見とは明らかな相関を示さず,その臨床上の意義は各々異なっていると考えられた。
著者
小林 進 落合 武徳 堀 誠司 宮内 英聡 清水 孝徳 千葉 聡 鈴木 孝雄 軍司 祥雄 島田 英昭 岡住 慎一 趙 明浩 大塚 恭寛 吉田 英生 大沼 直躬 金澤 正樹 山本 重則 小川 真司 河野 陽一 織田 成人 平澤 博之 一瀬 正治 江原 正明 横須賀 收 松谷 正一 丸山 紀史 税所 宏光 篠塚 典弘 西野 卓 野村 文夫 石倉 浩 宮崎 勝 田中 紘一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.265-276, 2004-12-01

千葉大学医学部附属病院において2000年3月から,2003年8月まで8例の生体部分肝移植手術を施行した。5例が18歳未満(7ヶ月,4歳,12歳,13歳,17歳)の小児例,3側が18歳以上(22歳,55歳,59歳)の成人例であった。2例(7ヶ月,4歳)の小児例は左外側区域グラフトであるが,他の6例はすべて右葉グラフトであった。2側が肝不全,肺炎のため移植後3ヶ月,2ヶ月で死亡となったが他の6例は健存中であり,元気に社会生活を送っている。第1例目は2000年3月6日に実施した13歳男児のウイルソン病性肝不全症例に対する(ドナー;姉22歳,右葉グラフト)生体部分肝移植である。現在,肝移植後4年3ヶ月が経過したが,肝機能,銅代謝は正常化し,神経症状も全く見られていない。第2例目は2000年11月23日に実施した12歳男児の亜急性型劇症肝炎症例である(ドナー;母親42歳,右葉グラフト)。術前,肝性昏睡度Vとなり,痛覚反応も消失するほどの昏睡状態であったが,術後3日でほぼ完全に意識は回復し,神経学的後遺症をまったく残さず退院となった。現在,術後3年7ヶ月年が経過したがプログラフ(タクロリムス)のみで拒絶反応は全く見られず,元気に高校生生活を送っている。第3側目は2001年7月2日に実施した生後7ヶ月男児の先天性胆道閉鎖症術後症例である。母親(30歳)からの左外側区域グラフトを用いた生体部分肝移植であったが,術後,出血,腹膜炎により,2回の開腹術,B3胆管閉塞のためPTCD,さらに急性拒絶反応も併発し,肝機能の改善が見られず,術後管理に難渋したが,術後1ヶ月ごろより,徐々にビリルビンも下降し始め,病態も落ち着いた。術後6ヵ月目に人工肛門閉鎖,腸管空腸吻合を行い,現在,2年11ケ月が経過し,免疫抑制剤なしで拒絶反応は見られず,すっかり元気になり,精神的身体的成長障害も見られていない。第4例目は2001年11月5日に行った22歳男性の先天性胆道閉鎖症術後症例である(ドナー:母親62歳,右葉グラフト)。術後10日目ごろから,38.5度前後の熱発が続き,白血球数は22.700/mm^3と上昇し,さらに腹腔内出血が見られ,開腹手術を行った。しかし,その後敗血症症状が出現し,さらに移植肝の梗塞巣が現れ,徐々に肝不全へと進行し,第85病日死亡となった。第5例目は2002年1月28日に行った4歳女児のオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症症例である(ドナー;父親35歳,左外側区域グラフト)。肝移植前は高アンモニア血症のため32回の入院を要したが,肝移植後,血中アンモニア値は正常化し,卵,プリンなどの経口摂取が可能となり,QOLの劇的な改善が見られた。現在2年5ヶ月が経過したが,今年(2004年)小学校に入学し元気に通学している。第6例目は2002年7月30日に行った17歳女性の亜急性型劇症肝炎(自己免疫性肝炎)症例である(ドナー:母親44歳,右葉グラフト)。意識は第2病日までにほぼ回復し,第4病日まで順調な経過をたどっていた。しかし,第6病日突然,超音波ドップラー検査で門脈血流の消失が見られた。同日のCTAPにて,グラフトは前区域を中心とした広範囲の門派血流不全域が示された。その後,肝の梗塞巣は前区域の肝表面領域に限局し,肝機能の回復が見られたが,多剤耐性菌による重症肺炎を併発し,第49病日死亡となった。第7例目は2003年3月17日に行った59歳男性の肝癌合併肝硬変症例(HCV陽性)症例である(ドナー:三男26歳,右葉グラフト)。Child-Pugh Cであり,S8に4個,S5に1個,計5個の小肝細胞癌を認めた。ドナー肝右葉は中肝静脈による広い環流域をもっていたため,中肝静脈付きの右葉グラフトとなった。術後は非常に順調な経過をたどり,インターフェロン投与によりC型肝炎ウイルスのコントロールを行い,移植後1年3ヶ月を経過したが,肝癌の再発も見られず順調な経過をとっている。第8例目は2003年8月11日に行った55歳男性の肝癌合併肝硬変症例(HBV陽性)症例である(ドナー;妻50歳,右葉グラフト)。Child-Pugh Cであり,S2に1個,S3に1個,計2個の小肝細胞癌を認めた。グラフト肝は470gであり過小グラフト状態となることが懸念されたため,門脈一下大静脈シヤントを作成した。術後はHBV Immunoglobulin,ラミブジン投与により,B型肝炎ウイルスは陰性化し,順調に肝機能は改善し合併症もなく退院となった。現在移植後10ヶ月が経過したが,肝癌の再発も見られず順調な経過をとっている。ドナー8例全員において,血液及び血液製剤は一切使用せず,術後トラブルもなく,20日以内に退院となっている。また肝切除後の後遺症も見られていない。
著者
織田 成人
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本人独自の遺伝子多型からみた重症救急患者に対する個別化治療を確立することを目的としている.多施設共同研究(計5施設)で遺伝子情報と臨床情報を収集した.IL1RA 2nd intronVNTRの臨床経過や転帰への影響について検討した.その結果,導出コホート(自施設症例;n=261)および検証コホート(多施設症例;n=793)両方において,IL1RA RN^*2 alleleの保有数が多くなるにつれてICU死亡率,重症敗血症罹患率ともに有意に上昇していた.
著者
小林 進 落合 武徳 堀 誠司 鈴木 孝雄 清水 孝徳 軍司 祥雄 剣持 敬 島田 英昭 岡住 慎一 林 秀樹 西郷 健一 高山 亘 岩崎 好太郎 牧野 治文 松井 芳文 宮内 英聡 夏目 俊彦 伊藤 泰平 近藤 悟 平山 信夫 星野 敏彦 井上 雅仁 山本 重則 小川 真司 河野 陽一 一瀬 正治 吉田 英生 大沼 直躬 横須賀 収 今関 文夫 丸山 紀史 須永 雅彦 税所 宏光 篠塚 典弘 佐藤 二郎 西野 卓 中西 加寿也 志賀 英敏 織田 成人 平澤 博之 守田 文範 梁川 範幸 北原 宏 中村 裕義 北田 光一 古山 信明 菅野 治重 野村 文夫 内貴 恵子 斎藤 洋子 久保 悦子 倉山 富久子 田村 道子 酒巻 建夫 柏原 英彦 島津 元秀 田中 紘一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.231-237, 2000-10-01
被引用文献数
1

今回,千葉大学医学部附属病院において,本県第1例目となるウイルソン病肝不全症例に対する生体部分肝移植の1例を実施したので報告する。症例(レシピエント)は13歳,男児であり,術前,凝固異常(HPT<35%)とともに,傾眠傾向を示していた。血液型はAB型,入院時の身長は176.0cm,体重は67.0kgであり,標準肝容積(SLV)=1273.6cm^3であった。ドナーは姉(異父)であり,血液型はA型(適合),身長は148.0cm,体重は50.0kgと比較的小柄であり,肝右葉の移植となった。術後は極めて良好な経過をたどり,肝機能は正常化(HPT>100%)し,術後72病日で退院となった。