著者
古田 吉史 丸岡 生行 中村 彰宏 大森 俊郎 園元 謙二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会・日本醸造学会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.8, pp.579-586, 2009 (Released:2016-02-09)
参考文献数
27

焼酎製造の副産物である蒸留粕の有効活用は,依然として焼酎業界が抱える重要な課題の一つである。本稿では,焼酎蒸留粕の新規用途開発を目指して大麦焼酎粕から得られる上清液:醗酵大麦エキスFBEを乳酸菌の増殖培地素材として乳酸菌バクテリオシンの一種である抗菌物質ナイシンAを生産し,FBEの有効物質生産への応用及び大麦焼酎粕の高付加価値化の取組みについて概説していただいた。
著者
岩見 明彦 大森 俊郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.784-793, 2004-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1

麦焼酎の原料である大麦は, 国内産では到底まかなえないため, その大部分を豪州産大麦に頼っている。そこで, 豪州産大麦の研究の重要性に鑑み, 筆者等は平成9年より研究を重ねてきた。今回は, 研究成果を基に豪州産大麦の生産状況, 流通の仕組み, 品質・安全性についての報告と, 焼酎用原料としての精麦特性と醸造特性について, SKCSを用いた測定結果が紹介されている。麦焼酎の生産者にとっては, たいへん参考になると思われる。
著者
大森 俊宏
出版者
東北大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

2020年度では,精子と精子の間に働く流体力学的相互作用に着目し,流体干渉による精子遊泳の変化を議論した.この解析を行うため,精子鞭毛の弾性変形と鞭毛周りの流れ場を連立する計算手法を開発し,2体精子の遊泳シミュレーションを行った.その結果,精子と精子が,体長程度の近距離にいる場合,鞭毛運動によって作られる流れ場の変動の効果が大きくなり,単体で遊泳する時よりも1割ほど早く遊泳できることを明らかにした.これは,精子が集まることで素早く遊泳できることを意味し,この協調遊泳の効果は受精競争に有利に働くものと推察できる.これらの結果をPhysics of Fluid誌(Taketoshi et al., Phys Fluids, 2020)に発表,また大学広報を通じてプレスリリースを行った.協調遊泳の効果は,多体になるほど大きくなるものと予想されるため,多体干渉時にどの程度の効果が出るのかを解析していく予定である.本手法を,繊毛・鞭毛を用いて遊泳する生物運動(繊毛虫の遊泳など)へと一般化し,繊毛運動によって生じる流体粘性散逸,遊泳効率の解析を行った.特に,繊毛の本数と細胞体の大きさとの関係に着目して解析を行ったところ,遊泳効率が最大となる繊毛密度が存在することを発見.得られた最適な繊毛数密度は自然界に存在する微生物との一致しており,この結果は現存する微生物は運動エネルギーを最小化していることを意味する.本研究結果はPNAS誌に掲載された(Omori et al., PNAS, 2020).
著者
吉岡 みどり 原田 亜紀子 芦澤 英一 木下 寿美 相田 康一 大森 俊 木下 裕貴 大橋 靖雄 佐藤 眞一 水嶋 春朔
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.728-742, 2021-11-15 (Released:2021-12-04)
参考文献数
41

目的 人生の最終段階を可能な限り長く自立して過ごしていくためには,Activities of Daily Living(ADL)のような身体的な自立に加え,高次生活機能(「手段的自立」,「活動」,「参加」)があわせて必要となってくる。そこで,地域住民を対象とした長期追跡研究において,手段的自立,知的能動性,社会的役割と健康状態(総死亡,要介護発生)の関連性を検討した。方法 鴨川コホート研究の参加者データを用いて,2003年から2013年までに千葉県鴨川市民を対象に,医療サービス利用状況,健康状態,疾病有病率,介護保険サービスの利用状況を調査した。鴨川市民の生活習慣と高次生活機能の違いを死亡状況別,要介護発生状況別に比較した。高次生活機能は,老研式活動能力指標を用いて評価し,各質問への回答,各領域の得点,合計得点を調べた。結果 40-69歳の成人6,503人がコホート研究に参加し,2013年末までに810人の死亡を把握した。総死亡と高次生活機能との関連をみると,手段的自立得点4または5に対する3点未満のハザード比2.03(95%CI: 1.59-2.60),知的能動性得点4に対する3点未満のハザード比1.39(95%CI: 1.09-1.77),社会的役割得点4に対する3点未満のハザード比1.28(95%CI: 1.03-1.59))であった。性別の層別解析では,手段的自立得点の低さは,男女ともに総死亡発生に対して関連がみられたが,知的能動性,社会的役割については,女性においてのみ総死亡発生との関連がみられた。同じ期間に917人の要介護発生を把握した。同様に高次生活機能との関連をみると,手段的自立,社会的役割についてはハザード比が有意であった(手段的自立1.93(95%CI: 1.55-2.40),社会的役割1.30(95%CI: 1.07-1.58))。男女別では,手段的自立得点の低さは,男女ともに要介護発生に対して関連がみられたが,社会的役割については,女性でのみ関連がみられた。結論 総死亡,要介護発生に対して,高次生活機能の手段的自立,知的能動性,社会的役割のいずれのドメインにおいても,得点が最も低いカテゴリーは,総死亡,要介護発生に対して有意に関連していた。
著者
大森 俊 中村 元信
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.161-165, 2016-04-01 (Released:2016-07-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

クライミングとは,もともと自然の岩を登る行為を指すが,近年では人口壁を用いてスポーツとしての競技性を高めた「スポーツクライミング」が広く普及してきている。クライミングに伴うスポーツ障害として,筋・骨格系の異常については多くの報告があるが,皮膚障害の実態はよく分かっていない。そこで,60 名のクライマー(男性 51 名,女性 9 名)を対象に問診ならびに手足の診察を行った。対象となったクライマーの平均年齢は 33.9 歳,クライミング歴の平均は 40.8 カ月,1 週間あたりの活動時間の平均は 9.1 時間であった。問診の結果,多くのクライマーが手指の表皮剝離を経験していた(93.3%)。皮膚および爪について意識して行っている自己処置については,「こまめな爪切り」が最も多かった(76.7%)。診察の結果,手指の胼胝形成は 90.0%のクライマーにみられ,特に右第 5指 DIP 関節/PIP 関節間が最多であった(68.3%)。足については 83.3%のクライマーで両側第1 趾にアスリート結節がみられ,その長径は 1 週間あたりの活動時間と強い相関があった(r=0.653)。指への負担が大きく,きついシューズを履くという競技特性が皮膚にもたらす影響を明らかにすることができた。本調査結果を皮膚障害の予防,スキンケアの指導に繋げていきたい。
著者
田家 哲彦 前山 巌 山崎 堯二 大森 俊一
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.43-46, 1976-06-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9

Three femoral heads with non-traumatic aseptic necrosis were excised surgically, and then investigated histologically.Case 1: 57 year-old female with aseptic necrosis of femoral head associated with osteoarthritic features.Case 2: 47 year-old female, after steroid therapy for sarcoidosisCase 3: 34 year-old male, following steroid therapy for systemic lupus erythematosus.There were no specific histological findings in three cases, which are related to the original disease.
著者
齊藤 奈津子 土山 寿志 大森 俊明 山田 真也 島崎 英樹
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.268-273, 2004-05-25
被引用文献数
5 7

従来本邦では, E型肝炎の発生は稀であると考えられてきたが, 近年海外渡航歴のない国内発症例が報告されている. 今回, 北陸では初の報告となるE型急性肝炎の国内感染, 発症例を経験した. 症例は50歳男性. 海外渡航歴, 輸血歴, 動物の飼育歴, 薬剤服用歴及び, 不特定な人との性的接触はなかった. 2002年3月下旬より全身倦怠感, 褐色尿が出現し4月4日当科受診. 血液検査, 画像所見より急性肝炎と診断され入院となった. 対症療法にてトランスアミナーゼは速やかに改善したが, 黄疸は遷延化した. ビリルビン吸着療法計7回の後, 黄疸も改善傾向を示し, 第56病日目に退院となった. 入院時血清よりIgM型抗HEV抗体, HEV-RNA陽性が判明し, 本症例はE型急性肝炎と診断された. HEVは genotype IIIで, その塩基配列は既報のJRA 1株と最も高い一致率 (94.9%) を示した. HEVは日本国内に広く定着していると考えられた.
著者
石川 一憲 石川 明男 加藤 弘昭 大森 俊一
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.17-21, 1993-03-01

ブドウ欧州種の数品種を用い, 果粒の肥大, 発育及び品質に及ぼすフルメット液剤処理の効果を検討した.果粒肥大及び果実重に及ぼすフルメット処理濃度の影響は, 品種で異なっていた.果粒肥大と品質の関係から, 果粒の肥大は良いが, 甘味比の低下がみられた品種は'モヌッカ'及び'リザマット'であった.果粒肥大が良く, 甘味比の低下のみられない品種は'ユニコン', 'マリオ', 'ネヘレスコール'並びに'バラデイ'であった.