著者
寺井 仁 三輪 和久 古賀 一男
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.74-88, 2005 (Released:2009-10-16)
参考文献数
23
被引用文献数
9

Research on insight problem solving has mainly been treated within the scope of Gestalt psychology in the past. And now, insight problems are being investigated in cognitive psychology. However, little is known about how the process develops. In this study, we investigated the process of insight problem solving using a discovery task. The purpose of this research is to answer the following two points: First, how do constraint relaxation and the swith of a problem space search progress in insight problem solving? Second, what differences lie between successful subjects who reached the solution and unsuccessful subjects who did not? In this research, we analyzed the process of subjects searching their hypothesis space based on hypotheses that the subjects verbally reported. Additionally, we also measured the subjects' eye movement when they solved the problem. The following results were obtained. First, insight was not suddenly obtained in an instant, but rather gained through a relatively gradual mental relaxation process. Second, we found that the subjects who found the correct target reacted more sensitively to the irregular experimental results, as negative feedback caused rejection of the subjects' hypotheses. Our study detected insight problem solving processes in more detail by using not only subjects' verbal reports, but also psychological data obtained through eye movement measurements.
著者
古賀 一男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.479, pp.47-50, 2005-12-15
参考文献数
15

歌舞伎は日本の伝統的な総合芸術である.古来より歌舞伎は, その様式化された「所作」, 「舞台装置」, 「筋書」等によって, 至って判りやすく共感を得やすい芸術としての地位を築きあげてきた.歌舞伎の所作の中には「睨み」と呼ばれる特別な眼球位置を舞台の上で見ることができるが, この非対称的な眼球運動が「美」の一般的基準とどのようなかかわりをもつのかという点について, 幾つかの異なった芸術, 工芸, 建築などのデザインと比較することで共通する「美」の基準を提唱する試みについて報告する.
著者
古賀 一男
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究課題では,1歳未満の乳幼児の眼球運動を正確かつ定量的に記録するための新しい方法を開発すると共に,その方法を用いて乳幼児の眼球運動から眼科的あるいは認知発達的な見地から発達の不具合を早期に検出するという極めて限定した目的で研究が進められている.本研究課題では,言語的コミュニケーションが不十分な場合でも被験者の眼球運動を定量的に計測する手法を確立することと,その応用例を示すことを採取的な目標としている.特に萌芽的研究の限られた期間内に上記の目標のみをアクション・アイテムとして設定し確実に方法を確立することを目指す.初年度では,赤外光による角膜反射光法をとるため薄暗い中で撮影が行えるよう、現有システムに、リモートコントロール可能な赤外線カメラと、複数カメラ間の同期をとるための装置を追加した.さらにXY-tracker(浜松ホトニクス:フレーム内の最明点を検出し、その座標値をXY軸同時にデジタル出力できる)を用い、XY-trackerで追った眼球運動と頭部運動の軌跡を解析することで眼球の移動量や方向などを定量的に測定するシステムを構築した。このシステムを用いて引き続きデータの取得を継続し,また取得されたデータの解析を行い.新規に考案されたアルゴリズムを用いて,すでに取得された乳幼児の眼球位置の較正を試みた.
著者
久野 悦章 八木 透 藤井 一幸 古賀 一男 内川 嘉樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1455-1462, 1998-05-15
参考文献数
23
被引用文献数
65

本論文では,重度肢体不自由者のコミュニケーション支援装置として,眼球運動を利用した視線入力インタフェースを提案する.本インタフェースは,ディスプレイ内のカーソルを視線で動かし,GUI上のメニューを選択するというものである.眼球運動測定法には臨床医学の場で広く用いられているEOG法(Electoro?Oculo?Graph)を用いた.キャリブレーションの工夫と,1次遅れ要素を持つ信号処理アルゴリズムの導入により,「ドリフト現象」と「瞬き」に対応している.This paper describes an eye-gaze input interface using eye movements.This interface enables a user to move a computer cursor with eye-gaze in order to select a GUI menu.It will be useful as a communication aid for severe mobility handicapped people.As an eye movement recording method,we introduce EOG (Electro-Oculo-Graph),which is widely used in clinical medicine.Drifting and blinking are handled with a unique calibration method and a signal processing with a positive feedback loop.
著者
久野 覚 高橋 晋也 古賀 一男 辻 敬一郎 原田 昌幸 齋藤 輝幸 岩田 利枝
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

快適性には、不快がないという消極的(negative)な快適性と、面白い・楽しい・気持ちいいという積極的(positive)な快適性の2種類がある。後者の快適性はプレザントネス(pleasantness)とも呼ばれている。現在の技術の下で、建築環境工学的諸問題の多くが解決され、ほぼ不快のない空間の達成がなされていると言っていい。しかし、このような状態では、暖かいとか涼しいといったプレザントネスはない。本研究の目的は、オフィス環境における温熱環境と照明視環境を中心にプレザントネス理論を応用した新たな環境調整法を検討し、その評価手法を確立することである。得られた成果は以下の通りである。1)温熱環境:被験者実験により、低湿度空調のプレザントネス効果および屋外から室内への移動(環境変化)に伴う生理心理反応とプレザントネス性の関係について明らかにした。さらに、パーソナルコントロールが可能な天井吹き出しユニットを用いた空調方式のプレザントネス効果について研究を行った。他の研究者によって行われている研究との違いは、アンビエントつまり周囲気温を中立温度ではなく不快側に設定する点である。2)視環境:・高輝度窓面をシミュレートする調光可能な光源装置を作成し、オフィス環境実験室でアクセプタブル・グレアの実験を行った。高輝度面に対する被験者の向き、机上面照度、高輝度面の立体角のの影響などについて明らかにした。また、視覚刺激生成器(VSG)を用いた色知覚の研究、光とヒトの生体リズムの研究を行った。3)以上の結果をもとに、オフィス環境におけるプレザントネスについて総括した。
著者
中川 敦子 鋤柄 増根 水野 里恵 古賀 一男
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

自分の順番が来るまで待つというような自己を制御する力は、3歳以降おもに認められるが、本研究では、それ以前の子どもの注意力や、内気・臆病・引っ込み思案といった傾向、環境(育児文化)などが影響を及ぼすと考え、月齢12ヶ月から36ヶ月にかけて縦断研究を行った。その結果、月齢36ヶ月時の自己制御行動には月齢18ヶ月時の内気・臆病といった傾向が関連すること、発達初期の注意機能は負の情動と関わることが示唆された。