著者
吉野 正敏
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.630-631, 2009-11-01 (Released:2011-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1
著者
吉野 正敏
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.70-88, 1993-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
35
被引用文献数
1 3

まず最近100年間の日本における米の収量と気温・降水量・日照時間の変遷を記述した。米の収量変化には一般的に3期間が認められる。すなわち,第1の期間は19世紀末からほぼ1920年まで,第2期間はその後から1945~47年ころまで,第3の期間はその後のいわゆる第2次大戦後の時代である。 次に,気候条件の変動とそれが水稲生産に及ぼす影響について104年間の資料から上述の3期間別に統計的分析を行った。すなわち,主成分分析によって,分布や周期性,月平均気温・月降水量・月日照時間との関係を調べた。第1主成分は7月の上記の3要素全部と有意な関係を示し,8月にっいては気温と日照時間,9月にっいては降水量と日照時間と有意な関係を示すことが認められた。 この論文の第2部では上述の3期間の米の収量の年々変動にっいて調べた。一般的な変化傾間は,第1の期間はゆるやかな上昇傾向,第2の期間はほぼ横ばい状況,第3の期間は急激な上昇を示めす。しかし,いずれの期間でも,その前半は年々変動は小さく,後半になると大きい。これは気候変動の周期性が原因でなく,農業・生産機構の各期間の変化に起因すると考えられる。
著者
吉野 正敏
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.149-160, 1989-12-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
28

この論文は先ず気温・霜・降雨・霧・日照などの気候条件について論じ,次にそれらがゴム,茶,米,サトウキビなどの栽培に与えるインパクトについて論じた。寒波はまれではなく,上記の熱帯作物にひどい被害をもたらす。斜面では冬もなく夏もないよい気候は1,300mから1,650の高度に認められる。谷間や盆地底では周辺の斜面とは異なる条件をもっており,違った作物栽培や異った収穫季のために利用される。春の干ぽつは年によりひどい。灌潮iがその対策のために必要である。また,気候変動,寒波,局地循環などの気候条件が西双版納の山地農業の発展を考える上で重要であることを論じた。
著者
スパイヤー R. 吉野 正敏
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.137-153, 1986-12-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
43
被引用文献数
3 9

スリランカにおける気候要素と米作との関係を分析し,次のことを論じた.第1に最近の110年間について米の収量の長期傾向をみると1950年までは年々の変動は小さく,その後は大きい。第2に水稲栽培に関係する気温・降水量・放射・蒸発散などの気候要素との関係を論じ,最も強い制約を与えるのは降水量であることを示した.第3に米のは種および収穫面積,収量と降水量との関係を相関係数と傾向線の分析によって示した.その結果,これらの米作の諸量:は降水量偏差との2次式で表現される。第4には特にドライゾーンにおける潅漑の重要性について議論した.最後に,最近の米作における諸問題を展望した.種々の農業気候の問題のうち,米作を進展させ,干ばつ常習地域における減収を軽減するために2~3の提案を行なった.
著者
吉野 正敏
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.166-182, 1984-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

海南島における気候と農業について,最近の中国における文献と1984年1~2月の筆者の予察研究旅行の結果とによって記述した。まず,総観気候学的背景を前線帯・雲量分布・850 mb面における流線・霧分布などによって示した。 850 mb面における南西の風と,北東の風,台風が重要な役割を果たすこと,また気温・降水量・雨季と乾季の長さなどを気候記録によって示した。何大章による気候区分を紹介し,その8気候地域を示した。次に,海南島の農業について,その気候条件を考慮しつつ,特にゴム・米・茶について,詳しく述べた。ゴムについては5地域に区分し,各々について寒害と風害に注目した。ゴム栽培の高距限界は島の北部では300~350m,南部では500mである。米作のうち特に興味あるのは,最近の雑種交配種子の栽培である。それらは中国各地から農民や試験者が島の南部にやってきて栽培される。冬に成長し,3月中・下旬に出穂・開花し, 4月中・下旬に成熟する。そして,とれた種子を中国の各地に持って帰り,そこで通常の栽培期間に栽培するものである。 最後に,台風による被害と,寒害について記述し,特に,その分類基準を紹介した。また,近年の早稲と晩稲の栽培の問題,ゴムの栽培における寒害の問題は,海南島の熱帯作物栽培の今後の発展に特に重要な課題なので詳しく述べ,気候条件の研究が急務であることを指摘した。
著者
吉野 正敏
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.42-44, 2008-01-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
4
著者
吉野 正敏
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.194-195, 2007-04-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1
著者
星田 義彦 原留 成和 山下 展弘 村上 一郎 宮宅 健司 宮谷 克也 吉野 正
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.692-697, 1995
被引用文献数
4

われわれは, 甲状舌骨嚢胞からの穿刺吸引細胞診によって術前に癌化を診断しえた甲状舌管癌の1例を経験したので報告する. 症例は67歳の女性. 2年前より, のどぼとけのような前頸部の小腫瘤に気付いていたが放置していた. 数ヵ月前より, 急に腫瘤が増大したため, 当院外科を受診し入院となる. 甲状舌骨嚢胞と考えられたが, 嚢胞内の穿刺吸引細胞診を施行したところ一部で核内細胞質封入体を認める乳頭状癌の像を呈した. 甲状舌管癌の診断のもと腫瘍摘出, 所属リンパ節廓清を行った. 摘出腫瘤は直径6cm大で弾性硬, 表面平滑. 割面では嚢胞状部と嚢胞内腔に乳頭状に突出する充実性の腫瘤形成がみられ, 組織学的にも乳頭癌であった. 甲状舌骨嚢胞の癌化の頻度は長嶺らによると1.61%であり, 本邦での報告例は自験例を含めて26例と比較的まれである. 甲状舌骨嚢胞の癌化を腫瘍摘出前に知ることは重要なことであるが, 画像診断のみから良悪性を判定することは難しい. したがって, 甲状舌骨嚢胞の摘出の術前に侵襲の少ない嚢胞穿刺細胞診を行うことは有用であると考える.
著者
吉野 正敏
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.141-154, 2004 (Released:2005-04-22)
参考文献数
31

紀元前21世紀ころから中国では季節観測,特に季節現象の継続的な観測と記述,その体系化や,農事季節を取り込んだ季節暦が作成された.このことは世界の生気候学史ではもちろん,自然科学史のなかでも注目すべき事柄である.紀元前11世紀には天気現象だけでも約200種に分類して記述していた.古代ギリシャのParapegmata(紀元前5世紀,大理石に書いた天気暦)に比較すると数百年早かった.時間スケールの細かさも中国が進んでいた.中国の季節学(中国語では物候学)は農民の農作業・農業生産に貢献するのが主目的であったから,農耕生活に関係する現象ばかりでなく,動植物季節や人間の疾病現象の季節変化についても把握し記述していた.紀元前11世紀には15日を単位とする二十四節気ができ,紀元前1世紀には5日を単位とする七十二候が完成していた.また,気候把握に重要な正常年と異常年の差に着目して占いの形式ではあるが,役所の専門の部署が季節予報を行った.俚諺の形式で農民の間に季節変化,年によるその異常発生の知識が浸透し,今日でもこれらは役立っている.
著者
吉野 正敏
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.891-909, 1991-12-05 (Released:2010-02-25)
参考文献数
87
被引用文献数
3 3
著者
吉野 正敏
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, 1957-01
著者
杉山 敦史 吉野 正洋
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.245-248, 2017-05-01 (Released:2018-05-01)
参考文献数
20
著者
綿引 政俊 赤井 昌紀 中井 宏二 家村 圭輔 吉野 正則 平野 宏志 北村 哲浩 鈴木 一敬
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
pp.1111290028, (Released:2011-11-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Gloveboxes used for plutonium fuel development and fabrication are eventually dismantled for replacement. Since equipment interior and the inner surface of gloveboxes are contaminated with radioactive materials, glovebox dismantling is performed by workers wearing an air fed suit with mechanical tools in a plastic enclosure system to control the spread of contamination. Various improvements of the enclosure system are implemented including the modification of the rooms to decontaminate and undress the air fed suit and the introduction of an inflammable filter and a safety film near the size reduction workspace against fire. We describe the countermeasures deployed in the enclosure system against potential hazards and how these devices work in the real dismantling activities.
著者
河原 玲子 雨宮 禎子 古守 知典 吉野 正代 平田 幸正
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.585-590, 1984
被引用文献数
1

糖尿病におけるglycosylated hcinoglobin (HbAI) の増加がヘモグロビン酸素解離能 (P<SUB>50</SUB>) に障害をおよぼし酸素親和性低酸素症 (hypoxia) をひきおこすか否かを検討した.対象はHbA<SUB>I</SUB>の増加している未治療糖尿病37名でアシドーシスや腎不全は含まなかった.37名中14名に非増殖性網膜症を有したがその他は網膜症を有しなかった.正當対照には糖尿病のない健常ボランチア31名を用いた.ヘパリン加静脈血を採取後直ちに酸素解離能とpHを測定した.また同時血液で赤血球2, 3-Diphosphoglyccrate (2, 3-DPG), HbA<SUB>I</SUB>, 血漿無機リン (Pi) を測定した.糖尿病群のP<SUB>50</SUB> <I>in vivo</I> pHは25.1±1.4mmHgで対照群の23.9±1.9mmHgに比し有意に増加した (p<0.01).P<SUB>50</SUB> pH7.4, Vcnous pH, 2, 3-DPGもそれぞれ糖尿病で有意に増加したがヘモグロビン濃度とPiは両群間で差がなかった.糖尿病群における2, 3-DPGはP<SUB>50</SUB> <I>in vivo</I> pHとr=0.42, P<0.01, P<SUB>50</SUB> pH7.4とr=0.46, p<0.001で各々有意な相関がみられた.また2, 3-DPGは両群でそれぞれヘモグロビン濃度と有意な負の相関があった.一方全例でみた場合にはHbA<SUB>I</SUB>はpH, 2, 3-DPG, P<SUB>50</SUB> <I>in vivo</I> pHとそれぞれ軽度ではあるが有意の相関関係があった.以上より細小血管症をもたないかまたは非増殖性網膜症を有する糖尿病でHbAIの高い未治療の時には, 2, 3-DPGの増加に伴うP<SUB>50</SUB>値の高値がみられ酸素放出能の低下はないと考えられた.