著者
吉野 正敏
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.27-46, 1960-12-26 (Released:2007-10-19)
参考文献数
31
被引用文献数
4 3

According to official observation, the maximum rainfall recorded in Japan is 55.9mm in 10 minutes, 87.9mm in 30 minutes, 157.0mm in 1 hour, 415.3mm in 6 hours, 844.5mm in 10 hours, 1, 109mm in 24 hours, 3, 462mm in 1 month and 10, 21.6mm in 1 year, Comparing these amounts with the world records reported by Jennings (1950), it is noticed that maximum rainfall in Japan is comparable only to world figures in the 1∼0 to 24 hour duration. This is thought to be because polar fronts or tropical cyclones in Japan and adjacent areas are stronger in that time period, while convectional rain, such as thunderstorms of short duration, or continuous rain, such as orographic rainfall under monsoonal conditions, are weaker than in another parts of the world. In addition, distribution maps of observed maximum rainfall within 10 minutes, 1 hour, 6 hours and 24 hours were drawn, and the distribution patterns were considered in connection with their causes.The constants, k and n, for an experimental equation of the depth-duration curve, R=ktn, where t is time (in minutes) and R, rainfall amount (in mm), were then calculated. As for the rainfall amount, R, the mean values obtained from the 1 st to the 5 th ranking in the official records of the Japan Meteorological Agency from 1941 to 1950, as observed every 10, 20 and 30 minutes and every 1, 3, 6, 18, 24, and 36 hours for each of the 109 stations in Japan, were used. Separating the time periods into those between 10 minutes and 1 hour and those between 6 and 36 hours, it was shown that the k and n values exhibited a wide range according to geographical regions and the above-mentioned time periods. These facts are shown in the accompanying figures and tables.Finally, the constants, b, k, and n, for an experimental equation for the intensityduration curve, i=k/(t+b)n, where t is time (in minutes) and i, the rainfall intensity (in mm per minute) were obtained by calculating the intensity values by the same method as is described above for the mean rainfall values. The distribution of b, k, and n values revealed marked localization as is shown in the figures attached. The values decrease with distance from the sea coast in central Japan, and are generally smaller on mountain tops than at the bottoms.
著者
澤田 純平 吉野 正人 鈴木 康祐
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.861, pp.18-00023-18-00023, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
22

Dynamic behavior of binary water droplets approaching each other in cloud is simulated by the improved two-phase lattice Boltzmann method with the Continuum Surface Force (CSF) model. This method does not need to solve the pressure Poisson equation and enables us to calculate two-phase flows with high density ratio accurately and efficiently. In this study, we investigate the effects of the Reynolds number Re, the Weber number We, the impact parameter B (the relative distance between the centers of two droplets), and the droplet size ratio on the behavior of the binary droplets for liquid-gas density ratio of 800. We first simulate a stationary liquid droplet in a gas to confirm the validity of the present method. We next simulate off-center approach of two equal-size droplets and investigate the effects of the Reynolds number and the Weber number. It is seen that at low Weber numbers of We ~ O(10-2), there are two types of behavior during approach of two equal-size droplets, namely coalescence and deviation. In this Weber number region, it is found that they can deviate from each other at low Reynolds numbers of Re ≲ O(1) in spite of B ≤ 1.0, whereas collision and subsequent coalescence occur at higher Reynolds numbers of Re ≳ O(10). We finally simulate approach of two unequalsize droplets with various size ratios. It is found that the behavior of the droplets is different from that in the case of the equal-size droplets owing to asymmetric velocity field and droplet deformation. In addition, the smaller droplet tends to deviate from its original path more significantly than the larger droplet.
著者
森永 正彦 湯川 宏 吉野 正人 小笠原 一禎
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

光通信に用いられている石英系光ファイバーは、1.5μmの波長においてその損失が最も少ない。このため、波長が1.5μm近傍の発光材料の開発が急務である。本研究の目的は、エルビウム(Er)とアルミニウム(Al)を共添加したルチル(TiO_2)からの異常発光のメカニズムを解明し、ルチル系の新しい発光材料の量子材料設計を行うことにある。平成19年度の研究成果は、以下の通りである。1.2B属元素(Zn)添加による1.5μm帯の発光強度の増大昨年度の研究では、フォトルミネッセンス(PL)強度は、3mol%Er-TiO_2に比べて8mo1%A1-3mol%Er-TiO_2では約18倍、14mo1%Ga-3mol%Er-TiO_2では約23倍に増大した。このような異常発光現象は、8mo1%Zn-3mol%Er-TiO_2でも見られ、Ga添加材に匹敵するPL強度が観測された。一方、8mol%Cu-3mol%Er-TiO_2では、そのような現象は見られず、発光スペクトルは3mol%Er-TiO_2とほほ同じでPL強度も弱かったこのような添加元素による違いは、Al、Ga、Znはルチル(TiO_2)相中のTiと置換するのに対して、Cuは置換しないことが考えられる。共添加材の発光は、Erを固溶したルチル(TiO_2)相からのものであることが分かった。2.Erを固溶したルチル(TiO_2)相の中の発光の局所構造モデルの作成電荷補償の観点から、Erイオン周りの局所構造モデルを作成した。すなわち、+3価のErはTiO_2中の侵入型位置に入り、6個の酸化物イオンで囲まれている。添加元素(+3価のGa、A1や+2価のZn)は、Er近傍にある+4価のTiと置換して、電荷のバランスをとっている。例えば、Ga、Alの場合、Er近傍に3個が配置している。3.蛍光EXAFSによるエルビウム近傍の局所構造の決定8mol%Ga-0.5mol%Er-TiO_2を用いて、蛍光EXAFS測定を行った結果、上記のErの侵入型モデルを支持する結果が得られた。4.エルビウム(Er)の4f電子の多重項エネルギーの計算侵入型モデルを用いて、相対論DV-ME法によって、多重項エネルギーの計算を行った。
著者
小元 敬男 文字 信貴 平田 尚美 梶川 正弘 竹内 利雄 吉野 正敏
出版者
大阪府立大学
雑誌
自然災害特別研究
巻号頁・発行日
1985

本年度は、降ひょうと突風の実態の把握及び基礎研究に必要なデータを得る目的で、分担者のほゞ全員が群馬県で観測を行った。6月前半には、レーダー観測、突風観測、ひょう粒の分析の実験を実施、7月15日〜8月15日の期間には上記の他に高層気象観測、気圧分布観測、短期間ではあるがドプラーソーダによる観測を行った。更ル、5月15日〜8月15日の期間、記録計による100地点での降ひょう観測を行うなど、北関東夏季の積乱雲対象としてかつてない充実した研究観測を実施したのであるが、昨夏は群馬県における雷雨は異常に少なく予期したほどのデータは得られなかった。しかし、この観測期間中に観測本部のある群馬県農業総合試験場にひょうが降り、また地元の協力者から分析用の大きなひょう粒が提供されるなど、ひょうの基礎研究に役立つ資料が得られた。更に同地域における下層大気の昇温が積乱雲発達に及ぼす影響の研究に必要なデータも得られた。例年より少なかったが、上記期間中に発生したひょう害及び突風(災)害の現地調査も行った。その他の分担研究課題の成果として、ひょう害の変遷に関する研究では、関東甲信地域のひょう害は1950年頃までは5月下旬を中心とするピークが一つあっただけであるが、その後7月下旬を中心とするピークが現れ顕著になりつつあることなど幾つかの新らたな気候学的事実が明らかにされた。また、防ひょうネットの研究では、千葉県の実験地に激しい降ひょうがあり、実際の場合について、種々の網目のネットの被害防止効果を測定できた。無被害地の実験データと併せて、防ひょうネットの最適網目は10mmであることが確められた。激しい雷雨の常習地域で長期にわたって連続観測を行ったにも拘ず、異常年に当ってしまい、充分データを得ることができなかった。この種の研究は根気よく続ける必要がある。
著者
吉野 正純 佐藤 哲生 北田 徳蔵 古川 左近 染谷 幸雄 橋詰 和宗 森地 敏樹
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1048-1053, 1987-12-25 (Released:2010-11-26)
参考文献数
15

生乳中の細菌数の測定で, Breed法の適用性の限界, 並びにBreed法による直接鏡検個体数 (全菌数) と標準平板培養法による生菌数との関係を, 別報のBactoscan 17600 (A/S N. Foss Electric, Denmark) の性能試験で得た成績を用いて検討した.生乳305点で, Breed法で求めた全菌数の対数値とBactoscanのインパルスのそれとの相関係数は, 0.936であったが, これをBactoscanのインパルス1000 (約50万/mlの細菌数に相当) 以下の場合, 1000~10000の場合, 10000以上の場合に分けると, それぞれ, 0.491 (n=70), 0.809 (n=144), 0.824 (n=91) となり, 最初のものは, 著しく低い値を示し, Breed法の適用性の限界が示唆された. また, Bactoscanのインパルスで1000以上を与える試料について, 全菌数の対数値と生菌数のそれとの相関係数は0.819であった. 生菌数を何倍すれば, 全菌数に見合う数値になるか調べるため, 生菌数に種々のファクターを乗じた値を求め, 対応する全菌数の, この積に対する比率の度数分布を比較した. この結果, ファクターが3.5の場合, 全菌数/(生菌数×ファクター) で計算される比が0.33~3.0の範囲に入る試料の (点数の) 割合が84.7%と最大となり, かつヒストグラムの形も左右対称に最も近かった. 即ち, 生菌数に, 3.5を乗じた値で, 直接鏡検個体数のオーダーを把握できることが明らかとなった. そして, この値は生乳中に分布する細菌の菌塊 (コロニーの形成単位) の平均個体数に相当すると考えられる.
著者
逢坂 哲彌 門間 聰之 庄子 習一 杉山 敦史 中西 卓也 本間 敬之 松方 正彦 水野 潤 関口 哲志 吉野 正洋 冨中 悟史
出版者
早稲田大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

電気化学ナノテクノロジーに基づく「固液界面制御による新機能発現のための材料開発研究」と「界面構造や界面現象の実践的な活用によるデバイス開発研究」に総合的に取り組むことで、電気化学に立脚した材料およびデバイスの実用化研究の根源にあるものを事象ごとの経験論から抽出し、アウトプットとしてのデバイス(具体的にはエネルギーデバイス、センサデバイス、電子デバイス・磁気記録デバイス)を縦糸に、機能発現および界面設計の次元(3次元、2次元、0次元)を横糸に、「電気化学デバイス工学」という学理の構築を図った。
著者
岡 剛史 吉野 正 大内田 守 佐藤 妃映
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の発症機構をDNAメチル化状態、ヒストン修飾状態、miRNA発現、ポリコーム遺伝子群、クロマチン構造変換等エピジェネテイック異常の観点から患者検体・培養細胞等を用いて解析した。ポリコーム遺伝子群の発現の異常偏り、ヒストン修飾状態の大幅な変化、miRNAの異常発現, 様々な遺伝子の異常発現およびDNAメチル化異常が発症に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
著者
大島 康行 角皆 静男 小川 利紘 内嶋 善兵衛 樋口 敬二 吉野 正敏
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1990

国際学術連合は地球圏ー生物圏国際協同研究計画(IGBP)ー地球変化の研究ーを1990年から10年計画で実施することを決め,1990年9月パリで開かれた第二回IGBP科学諮問委員会で(1)The international Global Atomospheric Chemistry Project(IGAC),(2)Joint Global Ocean Flux Study(JGOFS),(3)Biospheric Aspects of the Hydrogical Cycle(BAHC),(4)Global Change and Terestsial Ecosystern(GCTE),(5)Past Global Change(PAGES)の5つの課題を実施することを決めた。わが国でもこれらの課題を考慮しつつ日本の研究課題を検討し,最終的に(1)大気微量成分の変動および生物圏との交換(2)海岸における物質循環と生物生産(3)陸上生物群集への気候変化の影響(4)大気圏・水圏・陸圏と生物圏の相互作用を考慮した気候解析とモデリング(5)環境変化のモニタリング(6)古環境の変遷,(7)地球環境と人間活動の相互作用の7研究領域で研究を進めることとし,研究内容とその組織について検討し,最終案を作成後,具体的に研究を進めることとなった。また,IGBPから送付された資料を印刷し,関係各方面に配布し,国際的な計画を衆知することに務めた。とくに本年度はReport9〜15までと資料が多く,そのため印刷費の支出が増大した。班員は国際的な課題ごとに積極的に交流をはかり,国際対応を今後積極的に行うための基礎づくりに努力した。また国際課題ごとに国内の対応小委員会を設ける努力も行なった。
著者
大島 康行 内嶋 善兵衛 吉野 正敏 浦部 達夫 小野 勇一
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1994

今年度の研究成果は以下の通りである。1.SCOPE第8期は(1)持続可能な開発(2)生物地球化学的サイクル(3)地球規模の変化と生態系(4)健康と生物毒物学の4つのクラスターの下に19プロジェクトを進めている。これにどのようにアジアおよび日本が寄与していくかを検討するため現状を精査し、協力の在り方を検討した。2.これらの現状調査と協力体制の検討結果をふまえ、アジア地域で重要と思われるプロジェクトを想定し、SCOPE本部と連絡をとりつつ協力体制を確立した。3.日本とアジア地域で特有の研究課題候補を策定した。さらにアジア諸国と密接な連絡を取りつつ、検討を重ね1995年5月末、日本で開催される第9回総会に初日はアジアSCOPE分科会を開き、第9期にアジア地域から提案する新しいプロジェクトを検討し決定することが決まった。4.1995年5月29日〜6月3日に日本で開かれる第9回総会はアジア地域では初めてである。第9期以降アジア地域が組織的にSCOPEの活動に積極的に活動し、協力していくためには環境問題への日本の取り組みの現状を加盟各国と国際学術団体に衆知して貰うことが必要と考え、SCOPE理事会との合意を得て日本の環境科学研究の現状というテーマで半日のシンポジウムを決め、具体的な内容と演者を決定した。さらにアジア地域の組織的な今後の活動を進めるため、第9期のメインシンポジウムのテーマに「アジアにおける稲作」を取りあげ、アジア各国と協議しつつ、4つのサブテーマと演者を決定した。5.以上の作業を通じ、日本のSCOPEへの国際対応とその組織化を具体的に検討した。以上の成果を得るための全体会議4回、プログラム委員会3回、事務局会議を11回開催し、合わせてSCOPE本部と月2回連絡し、研究を遂行した。
著者
大島 康行 広瀬 忠樹 内嶋 善兵衛 小川 利紘 角皆 静男 吉野 正敏
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1991

国際学術連合(ICSU)で計画された地球圏ー生物圏国際協同研究(IGBP)は検討を重ね1990年秋5つの課題について研究がまず始められた。日本も積極的にこの研究計画に参加協力するため,昨年学術会議,改租されたIGBP国内委員会と密接に連絡をとりつつ、本研究課題の研究を進めた。1.関連国内外の関係諸機関と連繋し,関係資料の収集整理を行なった。資料は大島,吉野で保管している。2.すでに実施している5つの課題については,各課題ごとに小委員会をつくり,日本の実施計画の検討と各国際SSCの連絡にあたっており,一部は研究が開始された。(旅費は主として各小委員会の開催に使用)3.日本の実施計画案の英文レポ-ト(JAPANーIGBP REPORT No1)をつくり,国際機関,国内機関,各国関係者に配布した。4.国内に広く情報を衆知させるため,IGBPニュ-スNo1,No2を作成し,関係各所に配布した。5.日本学術会議主催のIGBPシンポジウムの報告を英文で作成,近く出版の予定である。6.本研究班が中心になり,アジアーモンス-ン地域を中心としたIGBP国際シンボジウムを早稲田大学国際会議場で1992年3月27日〜29日開催する。全体会議は組織委員会を兼ねて行はれた。プロン-デングは本年秋出版の予定である。
著者
盛田 健彦 杉田 洋 磯崎 泰樹 吉野 正史 松本 眞 岩田 耕一郎 川下 美潮 滝本 和広 須川 敏幸 仲田 均
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

初年度は、繰り込まれたRVZ誘導変換に対して、代表者の先行研究で既に得られていた局所型中心極限定理を、応用上重要な関数を含むクラスに拡張した。2008年度以降に予定していたタイヒミュラー計量に付随した自然な拡散過程の構成については、当初予測していなかった難点にぶつかったが、幸いにしてディリクレ空間の方法によりタイヒミュラー空間のブラウン運動と思しき拡散過程の候補に至ることができた。
著者
吉野 正史 滝本 和広 滝本 和広
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ベクトル場の標準形理論にあらわれる形式変換の発散現象をDiophantine条件を用いることなく,解析的に扱う方法をしめした.方法は,漸近解析の考え方に沿い,ボレル総和法を拡張して発散級数を適当な部分領域で意味づけて行った.さらに.解析的非可積分性と滑らかな可積分性が同時におこるようなハミルトン系で,発散する第一積分をボレル総和法の観点から意味づけた