著者
高田 瑠美子 坂田 勝亮 前田 基成
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-19-00074, (Released:2020-08-07)
参考文献数
31
被引用文献数
1

In this study, we investigated the relation between autism spectrum tendencies of normal observers and evaluation of facial emotional expressions, used for “Ban Dainagon Emaki”. Recognition of facial expressions was verified by Scheffé’s (Nakaya) paired comparison method using the evaluation attributes of the four emotions (fear, anger, sadness, and happiness) in conjunction with investigation of the Autism-Spectrum Quotient (AQ). Different cognitive patterns especially extracted from communication ability, were confirmed, comparing facial expression recognition tendencies for the two groups, higher levels of autistic - like traits and lower levels of autistic - like traits. Between the two groups, the high levels on the AQ were difficult to recognize the fear of negative emotions, but regarding the happiness of positive emotion, similar tendency was demonstrated. These results are consistent with the findings obtained from previous studies on the tendency of facial expression recognition between healthy individuals and those with traits of ASD.
著者
坂田 勝彦
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.21, pp.49-59, 2008

Beginning in the modern era as part of the process of national state formation, the Japanese government adopted an isolation policy for people with Hansen's disease in which sufferers were segregated from the general public and confined to sanatoria. This isolation policy was in effect for a century, ending only recently in 1996.<br>Meanwhile, in post-war Japan, there were some who left the sanatorium. This article examines the experience of Hansen's disease sufferers who left the sanatorium, in order to explore how they constructed plural life-worlds through resisting 'isolation'. 'Return to society' for the sufferers meant that they tried to build several relationships and selves outside the sanatorium.
著者
高田 瑠美子 坂田 勝亮 前田 基成
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌
巻号頁・発行日
2020
被引用文献数
1

<p>In this study, we investigated the relation between autism spectrum tendencies of normal observers and evaluation of facial emotional expressions, used for "Ban Dainagon Emaki". Recognition of facial expressions was verified by Scheffé's (Nakaya) paired comparison method using the evaluation attributes of the four emotions (fear, anger, sadness, and happiness) in conjunction with investigation of the Autism-Spectrum Quotient (AQ). Different cognitive patterns especially extracted from communication ability, were confirmed, comparing facial expression recognition tendencies for the two groups, higher levels of autistic - like traits and lower levels of autistic - like traits. Between the two groups, the high levels on the AQ were difficult to recognize the fear of negative emotions, but regarding the happiness of positive emotion, similar tendency was demonstrated. These results are consistent with the findings obtained from previous studies on the tendency of facial expression recognition between healthy individuals and those with traits of ASD.</p>
著者
坂田 勝彦
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.21-38, 2019-10-01 (Released:2022-04-07)
参考文献数
23

本稿は、ある詩人の半生と作品をもとに、炭鉱労働者にとって﹁文学﹂とはいかなる営みであったか検討することを目的としている。 一九五〇年代から六〇年代にかけて、日本各地では、労働運動と連動した多様なサークルや個人によって、詩や小説、うたごえなど、様々な表現が模索された。とりわけ詩は、労働者にとって当時、もっとも身近な﹁文学﹂であった。そして、炭鉱においては、その過酷な労働環境やエネルギー革命に対する怒りを表現し、社会的な差別や排除の中でなお連帯を模索した実践として、無数の詩が労働者の手で綴られた。 しかし、当時の文化運動の多くと同様に、炭鉱の文化運動もまた、高度経済成長と大衆消費社会の到来とともに衰退していく。そうした中で、石炭産業が崩壊し、炭鉱という場がなくなった後も、元炭鉱労働者の中には様々な形で表現を模索した人々がいた。例えば、かつて炭鉱で働き、そこを追われたある人物は、一度は詩を綴ることを﹁断念﹂しながらも、その後、再び詩を綴るようになる。そのとき、彼にとって詩を綴ることは、日常生活で出会う様々な出来事や感情を対象化し、第二の人生における新たな生き方を模索する実践として、炭鉱で働いていた時代とは別様の意味を持つようになった。 そこで本稿は、﹁社会現象としての文学﹂という視点から、炭鉱労働者にとって詩を綴ることがいかなる意味をもっていたかを検討する。そこからは、それまでとは大きく異なる世界を生きる中で、詩という表現行為が彼らの悩みや苦しみを癒し、第二の人生を歩んでいく上で大きな支えとなってきたことが明らかになる。
著者
島倉 瞳 坂田 勝亮
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.3, 2020-01-01 (Released:2020-03-24)
参考文献数
31
被引用文献数
2

顔における肌色は健康や魅力のシグナルになるなど,社会的なコミュニケーションを取るうえで重要な意味をもつことが知られている.東アジア諸国で理想とされる美白感の高い肌は明るさと白さにより表現されることが多いが,両者は異なる概念であるため美白の心理物理的要因が十分に解明されているとはいえない. そこで実験1では日本人女性の平均顔画像を用い,明るさに起因するメトリック明度と白さに影響を及ぼす白色点からの距離を独立に操作することにより,美白感の知覚が顔の明るさと白さのどちらの知覚に規定されるのかを検討した.その結果,美白感は明るさとは異なり,白さに起因する感覚であることが示唆された.実験2では美白感の予測性を明らかにするため,白色点からの距離とこれまで検討されてきた種々の要因を,恒常法による主観的等価点の測定により比較した.回帰分析の結果,美白感の知覚に影響を及ぼす要因は肌のメトリック明度や色相,彩度ではなく,白さを規定する白色点からの距離であることが明らかになった.

1 0 0 0 OA 光から色彩へ

著者
坂田 勝亮
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.395-400, 2015-11-20 (Released:2016-02-20)
参考文献数
12

色は物質の性質でも電磁波の光学現象でもなく,人間の感覚という心理現象である。このため光と色は異なることがあるが,これは決して視覚が曖昧なのではなく,むしろ的確な光学情報の処理により最適な情報として利用できるよう知的ともいえる働きをしている。ここでは色覚処理の初期段階である網膜上に起因する現象であると考えられる順応から,記憶や言語認識などの高次過程と考えられるレベルにまで色知覚のメカニズムが機能していることを例示しながら,色にまつわる人間の情報処理の心理メカニズムが複雑で多様性に富む働きをしていることを紹介する。そして色彩という不思議で素晴らしい現象が,われわれの高度に発達した中枢神経系によってもたらされていることをご理解いただくとともに,色彩という領域が心を扱う心理学と脳の働きを扱う脳科学との境界領域として,目覚ましい発展を遂げてきたことをご理解いただければ幸いである。
著者
高田 瑠美子 坂田 勝亮 前田 基成
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.309-316, 2020 (Released:2020-08-31)
参考文献数
31
被引用文献数
1

In this study, we investigated the relation between autism spectrum tendencies of normal observers and evaluation of facial emotional expressions, used for “Ban Dainagon Emaki”. Recognition of facial expressions was verified by Scheffé’s (Nakaya) paired comparison method using the evaluation attributes of the four emotions (fear, anger, sadness, and happiness) in conjunction with investigation of the Autism-Spectrum Quotient (AQ). Different cognitive patterns especially extracted from communication ability, were confirmed, comparing facial expression recognition tendencies for the two groups, higher levels of autistic - like traits and lower levels of autistic - like traits. Between the two groups, the high levels on the AQ were difficult to recognize the fear of negative emotions, but regarding the happiness of positive emotion, similar tendency was demonstrated. These results are consistent with the findings obtained from previous studies on the tendency of facial expression recognition between healthy individuals and those with traits of ASD.
著者
副田 義也 樽川 典子 加藤 朋江 遠藤 惠子 阿部 智恵子 株本 千鶴 嶋根 克己 牧園 清子 鍾 家新 藤村 正之 樫田 美雄 阿部 俊彦 時岡 新 村上 貴美子 藤崎 宏子 小高 良友 野上 元 玉川 貴子 坂田 勝彦 柏谷 至
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

戦後内政の主要分野を、戦前期に内務省が専管した行政の諸分野に注目して、ひとつの統一的性格をもつものとして研究した。旧来、1947年の内務省解体は、連合国総司令部が強行した、否定的に評価されるべき事態として語られがちであった。しかし、その分割があったからこそ、その後の半世紀以上にわたる日本の福祉国家としての歩みが可能になったのである。すなわち、厚生行政、警察行政、建設行政、自治行政を担当する省庁の分立と発展、政策の複合による内政構造の拡大、深化である。
著者
坂田 勝 阿部 博之 大塚 昭夫 北川 浩 宮本 博 青木 繁
出版者
東京工業大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

各研究分担者は当初の計画に従って研究を行い、開口および混合モード負荷を受けるき裂先端の弾塑性変形について解析および実験を行った。宮本・菊池・町田は、先端に巨視的ボイドを有するき裂について微視的ボイドの存在をモデル化したガーソンの構成式を用いて有限要素解析し、き裂とボイドの相互作用および合体について研究した。大塚・東郷は、混合モード負荷を受ける切欠きおよびき裂の挙動について有限要素法解析および実験をおこなった。切欠きについては、モードI負荷成分が大きいときの開口型き裂の発生は限界ボイド率によって予測できるが、モードII成分が大きいときのせん断型き裂の発生の予測は困難であった。き裂についても開口およびせん断型き裂が進展し、J積分による予測が可能なことを示した。坂田・青木・岸本は、混合モード負荷を受けるき裂について有限変形理論に基づく有限要素法によって、き裂先端に一個の巨視的ボイドが存在するモデルについて解析した。ボイドがき裂の鈍化側に存在するときには、き裂先端の塑性ひずみおよびボイド率の増加に寄与し破壊を促進するが、き裂の鋭化側に存在するときは相互作用しないことを示した。北川は、現象論的な構成式を用いないで、微視的なすべり機構を考慮した有限要素法シミュレーションを行って、き裂の開口形状を解析した。共役2すべり系による解析が実験結果とよく一致することを示した。阿部・坂は、有限要素解析およびすべり線場解析を行うとともに実験を行って、モードI負荷をうけるき裂の進展を規制する量として強変形域塑性仕事の概念を、混合モード負荷については一般化き裂開口変位の概念を導入し、これらがき裂の発生および進展を規制するパラメータであることを示した。