著者
菅原 和孝 木村 大治 舟橋 美保 細馬 宏通 大村 敬一 岩谷 洋史 亀井 伸孝 岩谷 彩子 坊農 真弓 古山 宣洋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、身ぶりと手話を微視的に分析し、対面相互行為の構造を身体性の基盤から照射した。また、通文化的な視野から、映像人類学、コミュニケーション科学、生態心理学の思考を交叉させ、マルティ-モーダルな民族誌記述の土台を作った。とくに、アフリカ狩猟採集民サン、カナダ・イヌイト、インドの憑依儀礼と舞踊、日本の伝統的な祭礼、日本酒の醸造、ろう者コミュニティ、数学者の討議といった多様な文脈における発話と動作の連関を解明し、記憶の身体化を明らかにした。さらに、過去の出来事が語られるプロセスを、表情をおびた身ぶりとして了解することにより、表象と知覚の二項対立を乗り超える理論枠を提示した。
著者
坊農 真弓 吉川 雄一郎 石黒 浩 平田 オリザ
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.326-335, 2014

人間の「社会性」とは何か.この問いに対し,ロボット・アンドロイド演劇プロジェクトは一つの答えを示してくれる可能性がある.本解説記事では,まず本プロジェクトの経緯と背景を説明する(2.).次に,ロボット・アンドロイド演劇をエスノグラフィ及び会話分析することの意味を,演出場面に実際の起こったやりとりの事例分析に基づいて明らかにする(3.).続いて,ロボット・アンドロイド演劇のロボット工学・認知科学における意味を,制作の実態と世界公演に対する評価などから議論する(4.).最後に,ロボット・アンドロイド演劇の演劇としての意味を,社会におけるこの試みの位置付けを明らかにすることから考察する(5.).
著者
細馬 宏通 坊農 真弓 石黒 浩 平田 オリザ
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.60-68, 2014
被引用文献数
2

When the presence and the action of an android reach to those of human, andoroid can derive multi-modal action from human. How can human parties act with the android to organize the interaction and find the android as the social actor? We observed the development process of the play ``Three Sisters, Android Version'', and analyzed the multi-modal interaction between the android and human players in the process. As the result, the actors express the assessment of human likeness of the android with their utterances and body movements, and the border between human and machine was expressed with each modality in different way. Moreover, these expressions are not one-way product by the writer and director, but the product of repeated interactions between the actors and the android through the practice and rehearsals. Finally we discuss the possibility of ``media equation'' study using the direct observations of man-machine interaction.
著者
坊農 真弓
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.72-74, 2018-12-15

本記事では,『Language』という言語研究の雑誌に掲載された会話分析の有名論文のうち,SJS1977と呼ばれる修復の連鎖に関する論文を紹介する.SJS1977は,工学者からの注目をそれほど浴びてこなかった.しかしながら近年,心理言語学をベースとするマックスプランク心理言語学研究所のチームなどはこのSJS1977の論文で扱われる問題をさまざまな側面から解釈し,心理実験や大規模調査に利用している.SJS1977は端的に言うと,対話・会話における自分の理解と相手の理解の問題を扱った論文で,会話のエンジンとなる自分と相手の心内に描かれる情報の一致度を探り合う行動について詳細に議論したものである.本記事内では,一般的な事例を通し,SJS1977が提案した概念とその面白さについて解説する.
著者
坊農 真弓 片桐 恭弘
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.3-13, 2005-03-30 (Released:2017-04-30)
被引用文献数
2

本稿では,自然な会話データにおけるジェスチャーと視線配布の分析に基づいて,対面コミュニケーションにおいて表現主体が所持する視点(viewpoint)について検討を行う.対面コミュニケーションにおいては,表現主体が対象に志向する叙述的視点(descriptive viewpoint)に加えて,表現主体が聞き手に志向する相互行為的視点(interactive viewpoint)が存在することを主張する.対面会話のビデオ収録データに基づいてジェスチャーと視線配布との関係の定性的分析(分析1)および定量的分析(分析2)を行った.その結果,(1)表現主体はジェスチャー開始前にジェスチャー空間に向けて視線配布を開始すること,(2)発話終了直前に聞き手に向けた視線配布を開始すること,(3)聞き手は表現主体による視線配布に対応してうなずき等の応答を行うことが確認された.この結果は,自然な対面コミュニケーションにおいては,叙述的視点と相互行為的視点との交替が起っていることを示している.
著者
山内 賢幸 坊農 真弓 相原 健郎 西本 一志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2010-HCI-137, no.10, pp.1-8, 2010-03-12

学会の懇親会や結婚式の披露宴などの立食形式パーティーで会話の輪から孤立している人がいる. この会話の輪に入ることが出来ていない状態の人を「孤立者」と呼ぶ.本研究では立食形式パーティーの映像を使いハンドアノテーションを行う.そしてそこから得られたアノテーションデータを用いて孤立者の検出を行う.今回提案する検出手法は会話集団を見つけ,それ以外の人を孤立者とする方法である.人が映像を見て直感的に孤立者と判断したデータと提案手法で得られた結果との比較を行い,どれだけ孤立者が検出できたのかを明らかにする.またその結果から今後の課題についても検討を行う.
著者
坊農 真弓
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.884-884, 2014-07-15
著者
高梨 克也 坊農 真弓 原田 なをみ 高梨 克也 堀内 靖雄 片桐 恭弘 神田 和幸 細馬 宏通 原田 なをみ 堀内 靖雄 神田 和幸 細馬 宏通 坊農 真弓 城 綾実
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

対面コミュニケーションの基本的単位である「発話」の構造について, 実際に収録されたデータを用いて分析した. 「発話」は言語だけでなく, ジェスチャーや視線などの非言語表現も含んだマルチモーダルな複合体である. そのため, 本研究では, 聴覚モダリティを用いる音声言語と視覚モダリティによる手話を比較し, 各モダリティの特徴を解明した. また, 言語の文法構造がコミュニケーションのやり取りを形成する際にどのように利用されるかを解明した.
著者
坊農 真弓 片桐 恭弘
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.3-13, 2005-03-30
被引用文献数
2

本稿では,自然な会話データにおけるジェスチャーと視線配布の分析に基づいて,対面コミュニケーションにおいて表現主体が所持する視点(viewpoint)について検討を行う.対面コミュニケーションにおいては,表現主体が対象に志向する叙述的視点(descriptive viewpoint)に加えて,表現主体が聞き手に志向する相互行為的視点(interactive viewpoint)が存在することを主張する.対面会話のビデオ収録データに基づいてジェスチャーと視線配布との関係の定性的分析(分析1)および定量的分析(分析2)を行った.その結果,(1)表現主体はジェスチャー開始前にジェスチャー空間に向けて視線配布を開始すること,(2)発話終了直前に聞き手に向けた視線配布を開始すること,(3)聞き手は表現主体による視線配布に対応してうなずき等の応答を行うことが確認された.この結果は,自然な対面コミュニケーションにおいては,叙述的視点と相互行為的視点との交替が起っていることを示している.