著者
兵藤 健志 工藤 絵理子 越戸 陽子 牧瀬 ゆかり 井川 友利子 大村 武史 片岡 真 星子 奈美 寺田 良司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.311-326, 2010 (Released:2010-09-01)
参考文献数
41
被引用文献数
1

次世代OPACは,表紙画像やフォーマット等のビジュアル化,内容・目次など豊富な情報の提供,適合度によるソート,絞り込み検索,スペルチェック/サジェスト機能,ユーザー参加型機能など,ユーザー目線のインターフェースにより注目を集めてきた。また最近では,従来からの冊子資料に加え電子ジャーナルや電子ブックなどeリソースへのアクセス,機関リポジトリやデジタル化したコンテンツ等,図書館が提供する多様なコンテンツを集約し,それらの検索機能を提供することから,海外を中心にディスカバリ・インターフェースと呼ばれ始めている。九州大学附属図書館では,海外のオープンソース・ソフトウェアであるeXtensible Catalog(XC)によってディスカバリ・インターフェースCute.Catalogの導入を実現し,2010年4月に試験公開した。本稿では,XC選定までの過程とXCソフトウェアの概要について説明するとともに,本学での導入プロセスや課題の解決,そして今後の展望について紹介する。
著者
永松 土巳 大村 武 立野 喜代太
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.16, pp.6-8, 1961

1945年,長崎における原爆被爆直後,永松は該地において多数の被爆水稲種子を採取した。これら「原爆稲」は,九州大学農学部付属農場において,年々栽培され,研究が続けられたが,その後代には,種々の遺伝子突然変異のほかに,質的または,量的な染色体変異が見出された(永松1951,1956)。筆者らは,おもに相互転座などの構造雑種系統から出たトリゾーミック稲,合計38系統について,現在種々の調査研究を行なっているが,本報において,粒形質がそれぞれのトリゾーミック型によって異なっていることに着目し,分類をこころみたのでその概要を報告する。
著者
中川原 捷洋 大村 武 岩田 伸夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.305-312, 1972-12-31
被引用文献数
5

日本型の連鎖分析用標識系統と外国イネとの交雑によって認められる形質分離のゆがみ現象のうち、第11連鎖群の遺伝子に関与する形質分離のゆがみは、花粉の競争力を支配する遺伝子(配偶体遺伝子)と標識遺伝子とが連鎖するために生じる。ここでは、標識遺伝子、bc(鎌不要)、dl(たれば)およびch(黄緑葉)と配偶体遺伝子(ga_2、ga_3)との連鎖関係を明らかにした。組換価はF_2の形質分離からは推定できないので、F_3の調査から各F_2個体の遺伝子型を推定することによって算出した。種々の交雑組合せを通じて、ga_2はdlの近傍に座位し、ga_3はdlよりもむしろbcにかなり近い距離に座位している。しかし、片親に用いた外国品種の違いによってその位置はかなり変異しており、しかも上記4遺伝子相互の組換価は日本イネ標識系統間交雑によって求められる通常の組換価よりもいくらか小さく見積られた。つぎに、算出した組換価を用いて、ga花粉のga^+花粉に対する授精率を算出したところ、正常花粉(ga^+)に対してga花粉は1/10以下しか授精に関与していない場合が多く、したがってgaはかなり強力な選択授精の要因であることが明らかとなった。このことは、栽培イネが分化した結果、ga遺伝子が生殖的隔離現象の重要な因子となっていることを示している。以上の結果は、雑種不稔性に加えて、配偶体遺伝子の存在によっても交雑によって形質の自由な組換が阻害されているために、外国イネがもっている望ましい形質を日本イネに導入する際に大きな障害となっていることを示すものである。
著者
中嶋 匡 西村 裕之 西原 賢太郎 浮田 透 辻 雅夫 三宅 裕治 大村 武久 立花 久大
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.577-582, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
13

症例は68歳女性.2006年11月21日右手の動かしにくさを自覚し,以後徐々に症状増悪した.11月23日には構音障害と運動性失語が出現した.11月24日右上肢のけいれん後右片麻痺が出現し当院へ入院した.入院時,意識障害,全失語,軽度右片麻痺を認めた.入院当日の頭部MRIは,拡散強調画像およびFLAIR画像で左前頭葉皮質にリボン状に高信号を認めた.緩徐進行性の経過から,seizureを伴った血栓性脳梗塞と診断し,抗てんかん薬投与と抗血小板療法を行った.入院後物品呼称や名前を言うことが可能となり,右下肢麻痺は消失した.右上肢麻痺も徐々に改善し,失語症と共に26日には消失した.以上より本例をfocal inhibitory seizureと診断した.本症は従来考えられていたよりも稀な病態でなく,抗てんかん薬で治療可能であることから,脳梗塞との鑑別上留意すべき病態であると考えられた.
著者
林 豊 大村 武史 堀 優子
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
no.2018, pp.14-20, 2019-07

九州大学附属図書館では,図書館業務の改善を目的として,2019年3月よりヌーラボ社の販売するプロジェクト管理ツール「Backlog」(バックログ)の有料プランを導入し,正式運用を開始した.本稿では,導入の背景,試行運用の様子,運用方針の概要,今後の課題等についてまとめる.
著者
村山 盛一 大村 武 ・宮里 清松
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.287-290, 1974-12-31
被引用文献数
4

栽培条件によってヘテロシスの発現がどのように変化するかを検討するために,筆者らが従来調査した交配組合せの中から組合せ能力の高いものと低いもの11組合せを選び,実用品種の経済的栽培条件の範囲に含まれる標肥普通植区・標肥密植区・多肥普通植区および多肥密植区の4条件で試験し,つぎのような結果をえた。 1)一般に組合せ能力の高い組合せはどの栽培条件でも高いヘテロシスを示し,組合せ能力の低い組合せはどの栽培条件でも低かった(表1)。 2)各形質のヘテロシスについて栽培条件間の相関係数を求めたところ,千粒重以外の形質については相関は極めて高く,ほとんどが1%水準で有意であった(表2)。 3)平均収量について有意性の検定を行たうと,鈴成×Zenith CI 7787は現品種および対照品種を通じて最高収量を示したベニセンゴクよりも3579/m^2(42%)の増収を示し,統計的に有意であった。愛国×Zenith CI 7787および農林22号×荒木も有意ではないがベニセンゴクよりもかなりの増収を示した(表3)。 以上の結果から,もしF_1種子を容易に大量に採種できる方法が開発されれば,イネの実際栽培におけるF_1雑種利用の可能性が考えられる。
著者
新城 長有 大村 武
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.226-230, 1962-12-25

10品種の交配不和合性分析品種と,不和合群未知の106品種の間に正逆交配を行たい,柱頭上における花粉の発芽によって,供試品種の所属不和合群を明らかにした。1)106品種のうちA,B,C群にはそれぞれ39,44,18品種が属したが,D群に所属する品種はみられなかった。残余の5品種,すなわち導入5号,護国X七福,スブラン,台農27号および山城は10分析品種とはいずれも交配和合性を示し,上記4不和合群とは別辞であることが判明した。2)供試品種のうち7品種を除いては自家不和合性であった。3)藤瀬ら(1950)のr甘藷品種の不稔群目録」に未記載の品種66・町名で不和合群または形態的特性の異なるもの13品種を確認した。したがって,品種の特性を再調査し,整理したければ育種操作に支障をきだすことを指摘した。
著者
副島 雄児 田尾 周一郎 平井 康丸 金山 素平 木村 俊道 堀 優子 井川 友利子 大村 武史 宮嶋 舞美 工藤 絵理子
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.34-43, 2013-09

九州大学の全学教育科目「コアセミナー」は,各学部が必要とする初年次教育の実施を目的として設定され,学部ごとに特徴的な内容と方法を取り入れたセミナーが実施されている.今回,特色ある試験的な取り組みとして,九州大学附属図書館との連携によって,コアセミナーへのビブリオバトルの導入を行った.受講学生へのアンケート調査の結果から,「読む」,「伝える」,「聴く」などのスキルアップについての成果,「関心の広がり」,「コミュニケーション力の増加」,「人に対する興味・関心の深まり」などの内面的な側面に対する成果などを見てとることができるなど,初年次教育の教材としての有効性を確認することができた.今回の取り組みは,学部担当教員と附属図書館職員との教職連携による教育現場での実践例として,今後の教育改善や教育開発研究に参考となることが期待される.