著者
伊藤 俊彦 小松 幸恵 高堂 斐 高橋 仁 田母神 繁 小泉 武夫 中沢 伸重 岩野 君夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.562-569, 2008-07-15
参考文献数
10
被引用文献数
5 4

鑑評会の審査成績と相関の高い未知成分を単離・精製し, これらの未知成分がチロソール, β-フェニルエタノール, トリプトフォールで有ることを明らかにした。更に, 吟醸酒中に存在する濃度での呈味性を合成清酒を用いて三点識別嗜好試験を行い調べた結果, チロソールは苦味, 渋味, 雑味を, β-フェニルエタノールは渋味, 雑味を, トリプトフォールは酸味, 苦味, 渋味を呈する事を知った。
著者
小泉 武夫 角田 潔和 原 高教 鈴木 明治
出版者
日本生物工学会
雑誌
醗酵工学会誌 (ISSN:03856151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.p745-751, 1978-11
被引用文献数
1

In the previous paper (Hakkokogaku 55 : 167-174,1977), we trapped koji-aroma components on coconut-shell sctivated carbon attached to the air exhaust of an automatic koji-making machine. By this method, chemically neutral components, 9 alcohols, 23 esters and 9 carbonyl compounds, were detected. This paper deals with the volatile organic acids and amines in koji-aroma adsorbed on activated carbon. These components were extracted with a mixture of ether and n-pentane from the carbon and esparated with ion exchange resins.The fraction of volatile organic acids was analyzed by gas chromatography and carboxylic acid analyzer and five volatile organic acids, acetic, propionic, butyric, caleric and caproic acids were found, of which acetic acid was predominant. The volatile amine fraction was analyzed by thin layer chromatography and gas chromatography. Three volatile amines, ethlamine, i-butylamine and i-amylamine were identified in koji-aroma absorbed on carbon.In addition, tetramethylenediamine, ethanolamine, pentamethylenediamine and β-phenyl-ethylamine were detected in rice koji by extraction with ethanol.
著者
竹村 朋実 渡辺 清香 田中 万祐子 進藤 斉 小泉 武夫 高橋 康次郎
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.8, pp.547-555, 2011-08-15
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

本研究は,長期貯蔵した本みりんの抗酸化性にアミノ・カルボニル反応の後期段階で生成する褐色色素メラノイジンが寄与していることを明らかにしたものである。市販本みりんの着色度と抗酸化性との間にはr=885**(n=19,p<0.01)と高い相関関係が認められた。貯蔵期間の短い一般的な本みりんの着色度(OD430nm)は0.028~0.122と低く,DPPH-ラジカル消去活性から求めた抗酸化性は257~431 Trolox equivalent(μmol/100ml)であった。一方,貯蔵した本みりんの着色度及び抗酸化性は,3年貯蔵本みりんOD430nm:0.676, 抗酸化性:1,064 Trolox eq.(μmol/100ml),10年貯蔵本みりんOD430nm:10.641, 抗酸化性:2,978 Trolox eq.(μmol/100ml)と,貯蔵期間とともに着色度・抗酸化性ともに増加した。精製した着色物質は抗酸化性のピークと重なることから,貯蔵本みりんの抗酸化性は主としてメラノイジンそのものに起因すると考えられた。着色度当りの抗酸化性(Trolox eq./OD430nm/100)は,貯蔵期間の短い本みりんでは35.3~113.4の値を示したが,貯蔵により小さな値となり熟成本みりんでは2.8~15.7の値に,また,精製した着色物質では1.92~5.72 (平均 3.55)に収束した。精製着色物質の分子量は3年貯蔵本みりん26~43KDa,10年貯蔵本みりん34~57KDaと推定され,貯蔵とともに本みりんの着色物質が高分子化し,それに伴い抗酸化性も増加することが認められた。さらに,温度履歴の明確な試験醸造本みりんの貯蔵試験により,着色度の増加とともに抗酸化性が増加することを確認した。
著者
小泉 武夫
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会雑誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.p807-811, 1985-11
被引用文献数
2
著者
鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
日本香料協会
雑誌
香料 (ISSN:03686558)
巻号頁・発行日
no.171, pp.p65-81, 1991-09
著者
谷口(山田) 亜樹子 鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.127-134, 2002-05-31
参考文献数
21

稲麹粒から分離した<I>A. oryzae</I> groupの多酸性麹菌N-1株と清酒用麹菌<I>A. oryzae</I> RIB-176株からNTG処理により変異株を取得し, プロトプラスト融合によりアミラーゼ生産性が強く, クエン酸生産能の高い有用な融合株Fを造成することができた。F株と<I>A. oryzae</I> RIB-176株を用いて製麹した麹を用いて小仕込試験を行った結果, <I>A. oryzae</I> RIB-176株に比べF株で製造したもろみの方がクエン酸量は約2倍高く, 製品の清酒の酸度も2倍高い値を示した。
著者
森 哲也 金内 誠 進藤 斉 角田 潔和 吉澤 淑 小泉 武夫
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.9-15, 2004-01-31
参考文献数
26
被引用文献数
1

金華火腿から分離された微生物309株より, 火腿脂質の不飽和化に関与する菌株のスクリーニングを行い, 糸状菌6株を選抜した。この中でA-59は脂質中の不飽和脂肪酸の割合が82.0%と選抜菌株の中で最も高く, 特にオレ・イン酸, リノレン酸含有率が高かった。A-59は各種形態試験の結果, <I>Aspergillas oryzae</I>と同定された。本菌株は, 培養温度25℃, 初発pH6.0, 0.5%コール酸ナトリウム, パルミチン酸とステアリン酸を炭素源として, その比率が60 : 40で最も高い不飽和脂肪酸量を示した。また, 本株はパルミチン酸, ステアリン酸を菌体内に取り込み, オレイン酸やリノール酸, リノレン酸を生産していると推察した。以上より, 火腿脂質の不飽和化は<I>A. oryzae</I> A-59を中心とする6株が作用していることが明らかとなった。
著者
矢部 修平 吉田 直人 進藤 斉 角田 潔和 葉坂 勝 小泉 武夫
出版者
土壌微生物研究会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.109-115, 2006
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究では,衛生的なコンポストを生産するには発酵初期の急激な品温上昇が重要であると考え,良好に発酵が立ち上がる高温コンポスターのミクロフローラを把握することを目的とした。発酵初期の温度上昇に伴うミクロフローラの変化を経時的に解析した結果,深層から品温上昇が始まり,生菌数がほぼ一定であったにも関らず,44〜52℃(0〜4時間後)および72〜80℃(6〜20時間後)にかけてフローラが大きく変動した。この期間に原料由来の腸内細菌や大腸菌群は淘汰された。72℃から80℃(6〜20時間後)にかけての優占菌の変動を16S rDNAライブラリー法を用いて解析した結果,Bacillus属からGeobacillus属へ遷移することが明らかとなった。さらに発酵2日後には,表層から深層まで80℃以上に達し,表層と深層ではGeobacillus属,中層ではThermus属が優占した。このように,深度別に特徴的なフローラが形成された。このことから,200cmと深く堆積することにより好熱菌の多様性を高めていると推察した。
著者
鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.272-277, 1982
被引用文献数
2

酒造りは, 昔から「一麹二翫三造り」といわれ, 麹は重要な地位を占める。しかしながら, 麹の香りとその意義については不明な点が多い。そこで, 麹の香気成分を検索し同定するとともに, 清酒の香りにおける麹の役割について解説していただいた。