著者
小澤 俊介 内元 清貴 伝 康晴
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.379-401, 2014-04-18 (Released:2014-07-17)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

言語研究において,新しい品詞体系を用いる場合には,既存の辞書やコーパス,解析器では対応できないことが多いため,これらを再構築する必要がある.これらのうち,辞書とコーパスは再利用できることが少なく,新たに構築する場合が多い.一方,解析器は既存のものを改良することで対応できることが多いものの,どのような改良が必要かは明らかになっていない.本論文では,品詞体系の異なるコーパスの解析に必要となる解析器の改良点を明らかにするためのケーススタディとして,品詞体系の異なる日本語話し言葉コーパス(以下,CSJ)と現代日本語書き言葉均衡コーパス(以下,BCCWJ)を利用して,長単位情報を自動付与した場合に生じる誤りを軽減する方策について述べる.具体的には,CSJ を基に構築した長単位解析器をBCCWJへ適用するため,CSJ と BCCWJ の形態論情報における相違点に応じて,長単位解析器の学習に用いる素性やラベルを改善した.評価実験により提案手法の有効性を示す.
著者
小澤 俊介 藤本 光司
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.30, pp.206-207, 2014

学校の教科指導や特別活動において班編成を軸とした学習をすすめることが多い。ただ,無作為抽出型(出席順の輪切りなど)の班編制では,学習者の情意的特性が偏り,班の活気や学習到達度に影響する場合もある。前報では. FFS理論を活用して中高生のリーダー特性を分析し,リーダータイプの出現率や因子特性を一般社会人と比較した。本稿では,筆者が5年間コーチを務めたS高校ラグビー部の生徒(以下,本チーム)に対し,FFS理論の調査を実施し生徒個人の特性やそのポテンシャルを考察した。その結果,4つのタイプの出現率や因子平均値を一般の中高生と比較すると大きな差が現れた。さらに,日本人とアメリカ人の因子特性を比較すると,アメリカ人の因子特性に近いことが判明した。これらの結果を参考にして練習や試合に取り組んだが,安易にポジションの変更をするより,生徒が自己の特性をメタ認知し,チームプレーを通して個人スキル向上を目指す指導にシフトしたほうがチームを形成する上で効果があった。
著者
笠原 克昌 鳥居 祥二 小澤 俊介 清水 雄輝 増田 公明 さこ 隆志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

LHCf実験はCERN LHC加速器を用いて,超高エネルギー宇宙線(UHECR)に匹敵するエネルギー領域で超前方に発生する粒子(ガンマ線=光子,中性子)のスペクトルを観測する.これにより宇宙線実験で使われているモンテカルロ(MC)シミュレーションで用いられる核相互作用モデルの検証を行い,UHECR の謎の解明に役立てるのが目的である.LHCfは2009年末に450GeV+450GeV衝突,2010年に3.5TeV+3.5TeV衝突の観測に成功した.これらは実験室系換算で4.3・10^<14>eVと2.6・10^<16>eVにそれぞれ相当する.MCのモデルとしてDPMJET(v3.04),PYTHIA(v8.145),QGSJET II(v03),SIBYLL(v2.1)およびEPOS(v1.99)を検証した.この全く未知の領域でのスペクトルは予想から全く外れている訳ではなかったものの,これらのどのモデルも実験結果を満足に再現するレベルには遠いことが判明した.光子のスペクトルは多くのMC モデルよりソフトな様相を呈し,ハドロンはハードな様相を呈している.また,LHCの他の実験(ATLAS,CMSなど)の中心領域での擬ラピディティ(η)分布の結果と合わせると,全てのモデルはLHC 領域で破綻すると言ってよい.DPMJETは低エネルギー領域では非常によいモデルであるが,LHCf での光子スペクトルはデータよりかなりハードである.η分布はLHC領域で突然データからずれる.PYTHIAはLHCのη分布を再現するように調整されたものを用いたが,光子についてはDPMJET と同じ様相を呈する.これらのことは,数年後に期待されるLHCの最高エネルギーでの実験を行い,破綻の傾向を調べ,モデルの検証行うことが重要なこと,新たなモデルの構築が必要なことを示している.
著者
鳥居 祥二 田村 忠久 吉田 健二 笠原 克昌 小澤 俊介 片寄 祐作 森 正樹 福家 英之 西村 純
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

高エネルギー電子・陽電子の直接観測による宇宙線近傍加速源と暗黒物質の探索を目的として、国際宇宙ステーション日本実験棟に搭載するCALorimetric Electron Telescope (CALET)の開発を実施した。CALETは当初予定の気球搭載型プロトタイプ(bCALET)による観測に対して、30倍以上の統計量が得られるだけなく、宇宙空間での高精度観測が可能である。bCALETによるCALETの観測性能実証と,熱構造モデルによるCERN-SPSでのビーム実験等により、搭載装置性能を確認した。その結果、世界に先駆けたTeV領域における電子観測を実現することが確証できている。
著者
小澤 俊介 内元 清貴 松原 茂樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.3, pp.506-517, 2012-03-01

Web上には,病気への対処法や料理のレシピなど,様々なノウハウが蓄積されている.そのため,ノウハウを知るためにWebを参照することが多い.しかし,既存のWeb検索でノウハウのみを検索することは容易ではない.この問題に対し,ノウハウをあらかじめ整理し,専用のWebサイトなどで提供することができれば,災害に対する予防策など,様々な事象への対処・対策の発見を容易にすることができる.本論文では,モノとその使われ方に着目することにより,ノウハウを獲得する手法を提案する.本手法では,まず,対象のモノを含むパッセージを獲得し,ノウハウの候補を抽出する.次に,パッセージに含まれる手掛り表現,及び,モノとその使われ方として用途表現を利用することにより,ノウハウ候補がノウハウであるか否かを判定する.実験により,ノウハウ獲得においてモノとその使われ方が重要な役割を果たすことを示す.