著者
島薗 進 加藤 尚武
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター
雑誌
死生学・応用倫理研究 = Journal of Death and Life Studies and Practical Ethics (ISSN:18826024)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.155-158, 2015-03-15

第二五回日本生命倫理学会年次大会 「死生学と生命倫理」 特別対論企画 「低線量被爆と生命倫理」
著者
林 衛 難波 美帆 上田 昌文 島薗 進 鬼頭 秀一
巻号頁・発行日
pp.1-59, 2012-11-17

2011年3月に原発震災が始まってから1年半がすぎ,子ども・被災者支援法が成立したものの,被曝を避ける権利は十分に確立せず,低線量被曝問題では,がれき処理,食品「風評被害」問題など,混乱は収まる気配をみせていない。それどころか,「対立」や「分断」が深刻化している場面もみられる。また,エネルギー政策,脱原発をめぐる政策立案に向けたパブリック・コメントや意見聴取会が参加型民主主義の新しい試みとしてとりいれられたものの,その実施方法や広報に大きな課題を残している。そこで,研究者や政府,市民,メディアによる原発に関するリスクコミュニケーション,意思決定のための情報共有の分析事例を話題提供者が紹介し,対論者のコメントと会場とのやりとりによって,問題点の共有,掘り下げを実現する。情報共有のためには,どの事実に着目するかとともに,科学者といえども逃れられない(専門家ゆえに偏りがちな)バイアスの存在に気づく重要性が科学技術社会論の問題として浮かびあがる。そこで,オーガナイザ自身による問題提起・報告に続き,以下の報告,発言をお願いした。[報告]:難波美帆 参加型民主主義のための情報導線̶道はついたのか上田昌文 食品放射能汚染への対策はいかにあるべきか̶市民科学の実践から[コメント]:島薗 進 なぜ専門家は放射能健康影響を過小評価するのか?/佐倉 統 なぜ人は放射能を怖がるのか?/鬼頭秀一 中立的な立場を取ろうとする専門家がリスクコミュニケーションに失敗するのはどうしてか̶政策論的立場からの脱却の必要性と地を這う視点の獲得の必要性
著者
島薗 進
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.19-27, 2005-09-19
被引用文献数
2

医学が治療という任務を超えて、心身の能力を増進させたり、性格を変化させたりすることは許されるのか。許されるとしても限度があるとすれば、どのような限度だろうか。増進的介入をめぐるこうした論議の中で重要な意義をもつものに、軽度のうつ気分の改善に効果があるプロザックなどのSSRI(選択的セロトニン取り込み阻害薬)をめぐるものがある。気分操作という面でSSRIが切り開いた新たな医薬の機能を解説し、心理療法と対比しつつその使用を巧みに弁護した書物にピーター・クレイマーの『プロザックに耳を傾ける』がある。その弁論とレオン・カスが座長を務めるアメリカの大統領諮問生命倫理委員会の批判論を対比し、増進的介入の限度を論じる際の根拠となる生命の価値の概念について考察する。自律ではなく、痛みを免れられず、また与えられたものによってこそ生きる人間の条件を知り、受け入れることの価値について論じる。
著者
島薗 進
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.431-448, 2004-03-31

バウマンやベックのように, 「ポストモダン」や「第2の近代」の特徴を「個人化」という概念を手がかりとして捉えようとする戦略は有効であるが, その場合, 新たな宗教性が活性化したり, 宗教が新たに公共領域への関与を強めるといった現象をどのように理解するかという課題が生じる.先進国におけるスピリチュアリティの興隆の現象を, (1) 死生のケアに関わるスピリチュアリティの興隆と, (2) セルフヘルプ的なネットワークの拡充から考察する.1980年代以降の日本では, 死生の危機に直面する人々の精神的支え合いのネットワークや, 嗜癖者や障害者同士が相互扶助的なネットワークを通してスピリチュアルな体験を得て元気づけられていくセルフヘルプ運動が目立った.これらは個人化した社会に住む「個人の宗教化」の傾向を示すものだが, 他方, 視野を世界に広げると, 普遍的な連帯の構築をよびかける救済宗教も「原理主義」や「カルト」などの形をとって発展してきている.社会の個人化に対して, 宗教的共同性を正面から掲げて, 公共空間に声をあげていこうとするものである.だが, これほど鮮明ではないとしても, 個人的なスピリチュアリティを掲げる勢力も, 環境問題, 生命倫理問題など公共的な論題に声をあげようとしている.社会の個人化は個人の宗教化を生み, 公共空間への新たな宗教性の参与をも招いている.
著者
島薗 進
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.331-358, 2010-09-30

現代世界では世俗主義に抗して宗教的な世界観の回復を望む潮流がある。(1)伝統宗教の復興、(2)スピリチュアリティの興隆、(3)制度領域での宗教性の台頭、という三つの側面から考えることができるが、この論文では主として(2)の現象に注目し、歴史的な展望の下に見直し、興隆の要因について問う。「宗教からスピリチュアリティへ」と捉えられることが多い現象だが、「救済宗教からスピリチュアリティへ」と理解するのが適当ではないかと論じる。伝統宗教の外で展開する「新しいスピリチュアリティ」と伝統宗教の中のスピリチュアリティの強調との間に連続性があるとも論じる。また、宗教と新しいスピリチュアリティの関係を的確に捉えるために、両者の仮説的定義を試みる。そして、宗教とスピリチュアリティが緊張関係にある側面を含むのは確かであるとしても、両者が相補的と見なした方がよい面もあると示唆している。このような視点は救済宗教が他のタイプの宗教と共存してきた東アジア宗教史に親しんできた者にふさわしいものであるとも論じる。
著者
島薗進 [ほか] 編
出版者
春秋社
巻号頁・発行日
2014
著者
島薗 進
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.541-555, 2000
被引用文献数
1

近代化とともに宗教の影響力が衰えていくという世俗化論は, 1960 年代を中心に力をもっていた.確かに地域共同体に根を張って影響力を及ぼしてきた伝統宗教や新宗教のような組織的宗教は力を弱めている.かわって先進国では, 個人主義的に自己変容を追求するニューエイジや精神世界などとよばれるものが台頭してきている.この新たなグローバルな広がりをもつ宗教性を新霊性運動-文化とよぶことにする.情報と関わりが深く, メディアを介して個々人がそれぞれに学び取り, 習得するという性格が濃いこの新霊性運動-文化は, 現代社会で宗教の私事化が進む趨勢の現れであるように見える. ところが, 医療, 介護, 福祉, セラピー, 教育などの社会領域や, 国家儀礼, 生命倫理, 環境倫理などの問題領域に焦点を合わせると, 公共空間で広い意味での宗教がある役割を果たそうとする動向もある.これらの領域では, 近代の科学的合理主義ではカヴァーしきれない側面が露わになり, 宗教性, 霊性といったものを取り入れたり, 広い意味での宗教的な立場からの発言が強まったりする傾向が見られる.公共空間のある種の側面が再聖化する兆候といえる.この動向と世俗化や宗教の私事化と見えたものとは, 必ずしも矛盾しない.世俗化や私事化と見えたものには再聖化に通ずる側面が含まれていたし, 70 年代以降, 世俗化や私事化から再聖化の方向へ, ベクトルが転換する領域があったと考えられるからである.
著者
田坂 さつき 島薗 進 一ノ瀬 正樹 石井 哲也 香川 知晶 土井 健司 安藤 泰至 松原 洋子 柳原 良江 鈴木 晶子 横山 広美
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、日本学術会議第24期連携会員哲学委員会「いのちと心を考える」分科会委員のうち9名が参画し、同分科会委員長田坂さつきを研究代表者とする。本研究には、政府が主催する会議などの委員を歴任した宗教学者島薗進、倫理学者香川知晶に加えて、医学・医療領域の提言のまとめ役でもあり、ゲノム編集による生物医学研究の黎明期から先導的に発言してきた石井哲也も参画している。医学・医療領域におけるゲノム編集に関する提言に対して、哲学・倫理の観点からゲノム編集の倫理規範の構築を目指す提言を作成し、ゲノム編集の法規制の根拠となる倫理的論拠を構築することを目指す。
著者
島薗 進
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.484-485, 2020-07-01

■日本の脳死をめぐる議論—二元論批判広く東アジアにおける脳死臓器移植が進まない理由を考える前に,日本における1980〜2000年代にかけての脳死をめぐる議論について述べる。 日本では1980年代以降,脳死認定に基づく臓器移植について活発な論議が行われ,90年にいわゆる「脳死臨調」(臨時脳死及び臓器移植調査会)が設置され,国民的議論といってよいほどに関心を集めた。審議の結果は92年に「脳死及び臓器移植に関する重要事項について(答申)」にまとめられ,その答申に沿って97年に「臓器の移植に関する法律」が成立した。