著者
宮地 尚子 後藤 弘子 青山 薫
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

トラウマとジェンダーの相互作用を、(1)精神病理や臨床的側面から、(2)犯罪行為や逸脱現象の側面から、(3)当事者の自助グループやメディア発信・アート表象など文化創造的な側面から探り、明らかにすることを目的に、年間テーマを「グローバル社会のトラウマとジェンダー: 精神病理・逸脱・創造性」として以下の研究活動を行った。フィールド調査の他、国内外の学会における研究者らとの意見交換、事例検討や共同研究を進めた。また、論文執筆、会議・ワークショップの企画開催、国内外における講演、英語圏でのラジオ出演などにより研究成果の国際的な発信を行った。特に、 (1)では、平成28年度共同研究会議を開催し、トラウマの最新の臨床実践について議論した。オートノミートレーニングを用いた慢性疾患へのアプローチや、ブレインジムなどの身体技法による解離症状へのアプローチについて、事例を交えて検討した。(2)では後藤は、女子刑務所のあり方研究会への参加や、刑務所や少年院の参観、ダルク女性ハウスにおける女性薬物依存症者とのミーティングを通じて、女性犯罪者が刑事司法の中で自分の声を取り戻し、社会復帰を目指すための法的支援のあり方について検討し、論文にまとめた。NPO法人子ども権利センター帆希を運営すると共に、関連機関との連携等について検討を行った。(3)では宮地は、性暴力被害をうけたサバイバー男性の当事者によるNPO、Male Survivors of Sexual Abuse Trust でのフィールドワークを行い、語りやアート制作といったトラウマの多様な表象などをテーマに、ピア・カウンセリングへの参与観察、当事者および支援者へのインタビューなどを実施した。青山は同性婚制度やセックス・ワーカーの権利等について論文執筆・研究発表を行った。
著者
岩井 宜子 内山 絢子 後藤 弘子 長谷川 眞理子 松本 良枝 宮園 久枝 安部 哲夫
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

本研究においては、平成になってからの日本における殺人・傷害致死の第1審の判決例を収集し、その加害者・被害者関係をジェンダーの視点で分析し、おもに、家庭内暴力(DV)が原因として働くものがどの程度存在し、どのような形で殺害というような結果をもたらしたかを詳察することにより、今後の対策を考察することを意図した。昭和年間の殺人の発生状況との比較において、まず、注目されるのは、えい児殺の減少であるが、昭和年間にかなりの数のえい児殺が存在したのは、女性の意思によらない妊娠が非常に多かったことに基づくと考えられ、平成になり、少子化の背景事情とともに、女性の意思によらない妊娠も減少したことが推察される。しかし、年長の実子を殺害するケースは、増加しており、その背景には、被害者の精神障害、家庭内暴力、非行などが、多く存在している。夫・愛人殺の増加の背景にも、長期間にわたる家庭内暴力の存在が観察される。「保護命令」制度などが、うまく機能し、家庭内暴力から脱出し、平穏に暮らせる社会への早期の移行が待たれる。女性が殺人の被害者となり、また加害者となるケースは、多くは家庭内で発生しており、その背景には、種々の形の暴力が存在している。児童虐待の事案も顕在化が進んでいるものと考えられるが、徴表に対し、より迅速に対応し、救済するシステムがいまだ確立していないことが伺える。家庭内の悲劇を社会に救済を求めうる実効的なシステムの構築が必要である。
著者
指宿 信 安田 裕子 青木 孝之 廣井 亮一 丸山 泰弘 後藤 弘子 石塚 伸一 佐藤 達哉 中村 正
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

【全体】研究チームは4つのグループで構成され、進捗状況については多少の差は見られるものの、順調に研究は遂行されている。チーム全体としては、(1)年3回の治療的司法研究会の開催により、治療的司法の理論面、実践面の調査研究の成果を共有し(2)不定期に実施される治療プロバイダーの訪問参観・意見交換等を通じて治療的司法理念の普遍性の確認と意義や効用を調査し(3)海外学会において日本の研究・実践状況を報告して海外の治療的司法研究者や治療的司法理念に基づいて実践する司法関係者との意見交換を行い(4)日弁連法務研究財団の研修プログラムに協力して弁護士層に治療的司法理念を啓蒙すると共に具体的な治療プロバイダーを活用した情状弁護の実践例を紹介するなど社会還元にも努めた。【審判・手続班】臨床実務家および弁護士の講演・報告を主たるリソースとし、刑事手続の対象者を中心に、「治療」の範疇に入る類型の見極め、「治療」の実践に関する知見の集積に努め、法的機能と臨床的機能の交差領域に生成する「司法臨床」の観点から、治療的司法において司法の枠組みに臨床的知見を導入することの可能性を研究した。【理論・応用班】社会的に不利(困難)な立場にある人たちを教育や就職で支援するための受け皿について研究した。【加害・被害班】加害行為、ないしは加害者の背景には被害性が存在しうるという観点により、時間経過で捉えるという見方と手法を取り入れつつ、被害とその防止を切り口に支援者の活動とエンパワーを含めた研究を進めている。【治療と福祉班】2015年度は定例の研究会を4回開催し、3つの国際学会で成果を報告した。2回の国際集会を開催した。親密な関係性における暴力は「非対称な関係性(親子、夫婦、男女等)における相互作用と関係性に根ざして生成することを把握、加害者研究をとおして治療的司法の必要性に関する基礎的データを得た。