著者
園田 智也 後藤 真孝 村岡 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.560, pp.25-32, 1998-02-19
被引用文献数
3 7

本稿では、WWW上で動作する、歌声の旋律からその曲のタイトルを検索するシステムについて述べる。歌声による検索では、入力の旋律情報(音高・音長)が正確とは限らないため、閾値によってそれらを粗い旋律情報に変換したものを検索キーとし、データベースの曲とのマッチングを行なう。しかし、このための適切な閾値の設定は難しく、特に音長情報においては、有効な検索キーを得ることが困難であった。また、粗い旋律情報では正答の絞り込みも難しい。そこで、本研究では(1)有効な検索キーを得るための最適な閾値を設定する手法、(2)データベースの曲から正答の曲の候補を精度良く絞り込むためのマッチング手法の2つを提案することで、従来手法よりも正答率の高い検索を実現し、WWW上で複数の利用者が活用できるシステムを構築できた。
著者
皮籠石 紀雄 西谷 弘信 後藤 真宏 豊廣 利信 北山 智
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.59, no.557, pp.57-61, 1993-01-25
被引用文献数
2 2

Statistical analysis is necessary in evaluating the fatigue life of structures. In the present study, rotating bending fatigue tests were carried out on specimens with two small blind holes of a 5052 A1 alloy in order to investigate the distribution characteristics of the fatigue crack growth life based on the small-crack growth law dl/dN= C_1σ^n_al. The crack growth rate in each specimen was determined uniquely by σ^n_al, therefore the crack growth life can be predicted by the small-crack growth law. On the assumption that the value of n is a fixed one and the value of C_1 is a random variable, the distribution of the crack growth rate can be evaluated through the value of C_3 in the relationship dl/dN=C_3l. C_3 follows a Weibull distribution approximately. The calculated distribution of the ocracy growth life based on the small-crack growth law and the distribution of C_3 was in good agreement with the experimental results.
著者
後藤 真孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.12-22, 2001-01-01
被引用文献数
40

本論文では, 複数の楽器音が混在したモノラルの音楽音響信号に対して, メロディーとベースの音高(基本周波数)を推定する手法を提案する.従来の音高推定手法や音源分離手法は, たかだか三つの音の混合音しか扱うことができず, 市販のCDによるジャズやポピュラー音楽の音響信号には有効に機能しなかった.本手法は, 混合音下で安定に抽出できない基本周波数成分には依存せず, 意図的に制限した周波数帯域(メロディーは中高域, ベースは低域)にある高調波成分が支持する最も優勢な音高を求める.その際, 音源数を仮定せずにあらゆる音高の高調波構造が混在しているとみなして混合音をモデル化し, EM(Expectation-Maximization)アルゴリズムにより各高調波構造が相対的にどれくらい優勢かを推定する.更に, マルチエージェントモデルを導入し, 各エージェントが音高の時間的な軌跡を追跡することで, 最も優勢で安定な音高の軌跡を得ることができる.本手法に基づくシステムを実装して実験した結果, 市販のCDからサンプリングした実世界の音響信号に対し, メロディーとベースの音高をリアルタイムに推定できることを確認した.
著者
山田 純也 岡 光昭 平尾 茂一 後藤 真佳
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.10-13, 2008-03

NRE VIIIは2007年10月7〜12日の6日間,ブラジルの,リオ・デ・ジャネイロ近郊のブジオスという海岸の美しい町で開催された。ブジオスは,リオ・デ・ジャネイロの中心地から180kmほど離れた,大西洋に突き出た半島に位置する。NREの歴史を振り返ると1963年にアメリカ,ヒューストンで第1回大会が開催され,続けてアメリカで2回,ポルトガル,オーストリア,カナダ,ギリシャでそれぞれ1回ずつ,不定期的に開催されてきた。今大会は,欧米以外での初の開催となった。日本およびアジア地域での開催が望まれる。日本からは,京都大学,日本原子力研究開発機構,首都大学東京,中央医療技術専門学校,名古屋大学,藤田保健衛生大学,放射線医学総合研究所,琉球大学からの参加があった。今大会の発表は,基調講演が13講演,Oral発表,ポスター発表がそれぞれ51,127件行われた。NRE VIIIの話題を以下に示す。
著者
藤原弘将 後藤 真孝 緒方 淳 駒谷 和範 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.90, pp.37-44, 2006-08-07

本稿では,伴奏音を含む音楽音響信号と対応する歌詞の時間的な対応付け手法について述べる.クリーンな音声信号とその発話内容の時間的対応付けを推定をするViterbi アラインメント手法はこれまでも存在したが,歌声と同時に演奏される伴奏音の悪影響で市販 CD 中の歌声には適用できなかった.本稿では,この問題を解決するため,歌声の調波構造を抽出・再合成することで混合音中の歌声を分離する手法,歌声・非歌声状態を行き来する隠れマルコフモデル (HMM)を用いた歌声区間検出手法,音響モデルを分離歌声に適応させることで Viterbi アラインメントを適用する手法を提案する.日本語のポピュラー音楽を用いた評価実験を行い,本手法により10曲中8曲について十分な精度で音楽と歌詞の対応付けが出来ることを確かめた.This paper describes a method that can automatically synchronize between polyphonic musical audio signals and corresponding lyrics. Although there were methods that can synchronize between monophonic speech signals and corresponding text transcriptions by using Viterbi alignment techniques, they cannot be applied to vocals in CD recordings because accompaniment sounds often overlap with vocals. To align lyrics with such vocals, we therefore developed three methods: a method for segregating vocals from polyphonic sound mixtures by extracting and resynthesizing the vocal melody, a method for detecting vocal sections using a Hidden Markov Model (HMM) that transitions back and forth between vocal and non-vocal state, and a method for adapting a speech-recognizer phone model to segregated vocal signals. Experimental results for 10 Japanese popular-music songs showed that our system can synchronize between music and lyrics with satisfactory accuracy for 8 songs.
著者
小林 裕子 俣野 修身 後藤 真康
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.81-84, 1986-02-20
被引用文献数
4

Ethylenebisdithiocarbamates (EBDCs)を施用後の農作物中に残留するethylenethiourea (ETU)の分析法を確立する目的で, たまねぎ, トマト, すいかおよびレタス中のETUの残留分析法について検討した.たまねぎ, トマト, すいかおよびレタス中のETUを含水メタノールで抽出し, 溶媒を留去する.濃縮液を水酸化アンモニウム溶液あるいは水酸化ナトリウム溶液でpH8に調整し, Extrelut^[○!R]カラムで精製したのち, 紫外部吸収検出器付高速液体クロマトグラフィーで定量した.検出限界は, 0.01ppmであり, 回収率は, 76∿90%であった.この方法はExtrelut^[○!R]カラムに供する試料をフッ化カリウム等で前処理するNitzの方法より簡潔性, 迅速性等の点で優れている.
著者
菊地 淑晃 後藤 真孝 村岡 洋一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.459-460, 1996-03-06

本稿では、エレクトリックベースによって単独演奏された音楽を対象にした自動採譜システムについて述べる。従来の自動採譜システムや音源分離システムでは、主にピアノなどの鍵盤楽器や吹奏楽器を扱っており、ベースやギター等の弦楽器はほとんど扱われていなかった。これらの研究では、音高および音色(楽器種)を同定していたが、楽器をどのように弾いたかという奏法の種類は判別していなかった。また、楽譜だけでなく弦楽器に固有のタブ譜を出力するトータルな自動採譜システムは報告されていなかった。本研究では、ベースのみによって演奏された音響信号を入力とし、5種類の代表的な奏法の判別できる自動採譜システムを実現した。本システムは楽譜・タブ譜・標準MIDIファイルの3種類の形式で出力できる。これにより、楽譜の読めないベーシストや奏法を自分で判断しながら演奏するのが困難な初心者にとっても、奏法付きのタブ譜があることで自動採譜結果を有効に活用できる。
著者
西村 拓一 橋口 博樹 関本 信博 張建新 後藤 真孝 岡 隆一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.103, pp.7-14, 2001-10-26
被引用文献数
1

我々は,音楽音響信号のデータベースから,鼻歌のメロディーに類似した区間を見つけ出す音楽検索システムを提案している.本システムでは,個人的に収集したビデオデータからの検索も可能である.しかし,このシステムで用いていた「Model driven path 連続DP」呼ぶマッチング手法は,クエリーの時間軸,データベースの時間軸,音高の軸からなる3次元空間中において,局所類似度を連続DPに基づいて累積し,極大となる累積類似度を計算するもので,その計算量が大きい.そこで,クエリーの始端周辺の音高が正しく推定できたと仮定することで,音高軸を削減した2次元空間における局所類似度の累積に基づく「始端特徴依存連続DP」を提案する.本稿では,ポピュラー音楽20曲について鼻歌検索実験を行い,約7割の検索率を維持しつつ,計算量を従来法の約1/40に低減できることを示す.We have developed a music retrieval method that takes a humming query and finds similar audio intervals (segments) in a music audio database. This method can also address a personally recorded video database containing melodies in its audio track. Our previous retrieving method took too much time to retrieve a segment: for example, a 60-minute database required about 10-minute computation on a personal computer. In this paper, we propose a new high-speed retrieving method, called start frame feature dependent continuous Dynamic Programming, which assumes that the pitch of the interval start point is accurate. Test results show that the proposed method reduces retrieval time to about 1/40 of present methods.
著者
糸山克寿 後藤 真孝 駒谷 和範 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.81-88, 2007-05-11

CDなどの複雑な多重奏音楽音響信号中の調波構造を持つ楽器音と持たない楽器音を同時に分離するためのモデルの作成と,楽譜情報を事前情報として与えた場合の制約付きモデルパラメータ推定手法について述べる.調波構造の有無によって楽器音の性質は大きく異なるため,従来の手法ではこれらの音を排他的に扱うことしかできなかった.本稿では,調波構造と非調波のそれぞれを表現する2つのモデルを統合した新たな重み付き混合モデルにより,両者の統合的手法を開発した.モデルのパラメータは最大事後確率推定に基づくEMアルゴリズムを用いて推定する.さらに,モデルの過学習を防ぎ同一楽器内のパラメータ一貫性を維持するための制約条件も同時に用いる.ポピュラー音楽のSMFを用いた評価実験で,本手法によりSNRが1.5 dB向上することを確認した.This paper describes a sound source separation method for polyphonic sound mixtures of music including both harmonic and inharmonic sounds, and constrained parameter estimation using standard MIDI files as prior information. The difficulties in dealing with both types of sound together have not been addressed in most previous methods that have focused on either of the two types separately, because the properties of these sounds are quite different. We therefore developed an integrated weighted-mixture model consisting of both harmonic-structure and inharmonic tone models. On the basis of the MAP estimation using the EM algorithm, we estimated all model parameters of this integrated model under several original constraints for preventing over-training and maintaining intra-instrument consistency. We confirmed that the integrated model increased the SNR by 1.5 dB.
著者
大石康智 後藤 真孝 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.113, pp.3-8, 2006-10-27
被引用文献数
5

メロディを歌っても,曲名を読み上げても検索可能な楽曲検索システムを提案する.このシステムは,歌声と曲名の読み上げ音声(朗読音声)を自動識別するため,ユーザはシステムの入力モードを切り替えるのではなく,入力音声の発話様式を切り替えるだけで,シームレスに楽曲を検索することができる.これまでに我々が提案した音声識別器を実装し,歌声と識別されれば,ハミング検索手法によってメロディから曲を検索する.一方,朗読音声と識別されれば,音声認識によって書き起こされた曲名から曲を検索する.大規模な歌声データベースを利用して提案システムの評価実験を行った結果,歌声と朗読音声の自動識別性能は96.1%であった.さらに,検索キーのハミング検索,音声認識によって100曲中10位以内に正解の曲が含まれる平均検索率は,それぞれ50.5%と96.7%であった.We propose a music retrieval system that enables a user to retrieve a song by two different methods: by singing its melody or by saying its title. To allow the user to use those methods seamlessly without changing a voice input mode, a method of automatically discriminating between singing and speaking voices is indispensable. We therefore designed an automatic vocal style discriminator and built a music retrieval system that retrieves a song by query-by-humming for singing voice or by dictating the song title by automatic speech recognition (ASR) for speaking voice. Experimental results with a large music database built for singing research show that our system is able to discriminate between singing and speaking voices with 96.1%. The average retrieval rates of correct songs in the top 10 of 100 songs by query-by-humming and ASR for song titles are 50.5% and 96.7% respectively.