著者
落合 芳博 渡部 終五 橋本 周久 成田 弘子 浮島 美之 奈良 正人
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.721-725, 1984
被引用文献数
6

Attempts were made to identify biochemically two gampylid fishes, escolar ("aburasokomutsu") <i>Lepidocybuum Flavobrunneum</i> and castor oil fish ("baramutsu") Ruvettus pretiosus, whose muscles contain a large amount of wax esters and hence may casuse a food poisoning when ingested. Myogen fractions were prepared from the ordinary muscles of both fishes as well as various fishes, and subjected to polyacrylamide gel electrophoresis, followed by staining with Coomassie brilliant bule for protein and with reagents for lactate and malate dehydrogenase activities. Results showed that the protein pattern is species-specific enougy to distinguish the two gempylid fishes from any of the other fishes tested. The pattern of either dehydrogenase was found to be less species-specific. However, simultaneous analyses of MDH and protein patterns faciliated the identification of buth gempylid fishes. Cellulose acetate membrane electrophophoresis was also found to be applicable for this purpose, though less satisfactorily.
著者
北山 理恵子 林 敏雄 南新 三郎 渡辺 泰雄 成田 弘和
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.643-648, 1995-05-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
16

T-3761の血清蛋白結合に関する検討を行い, 以下の結果を得た。1. 各種動物およびヒト血清に対する結合率は16.9~27.7%であり, CiprofloxacinやOfloxacin よりもわずかに高値を示した。2. 薬剤濃度0.25~20μg/mlにおける, ヒト血清蛋白結合率は19.1~23.8%であった。3. ヒト血清蛋白結合率は, 血清蛋白濃度の減少に伴って低下した。4. T-3761 (2μg/ml) のヒト血清との結合率はpHの影響を受け, pH7.0, 7.4および8.0において, 各々12.4, 21.3および32.1%であった。5. ヒト血清蛋白との結合は可逆的であった。6. ウサギにT-3761 20mg/kgを経口投与した時のin vivo結合率は26.1~33.2%であり, in vitro結合率と類似していた。T-3761は富山化学工業 (株) 綜合研究所において開発されたニューキノロン系合成抗菌薬である。本剤はグラム陽性菌ならびにグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトルを有し1), 経口吸収性が優れ, 血中濃度のピーク値が高く, 尿中に速やかに排泄されることを特徴としている2)。今回, T-3761の各種動物およびヒト血清に対する結合率, 血清蛋白結合に及ぼす薬剤濃度, 蛋白濃度ならびにpHの影響, 血清蛋白結合の可逆性を検討した。またウサギにおけるin vivo結合率についても検討したので, その成績を報告する。
著者
成田 弘子 奈良 正人 馬場 啓輔 大上 皓久 阿井 敬雄 野口 玉雄 橋本 周久
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.251-255_1, 1984
被引用文献数
10

巻貝ボウシュウボラ <i>Charonia sauliae</i> のテトロドトキシン (TTX) 毒化機構を解明する目的で同じくTTXをもつトゲモミジガイ <i>Astropecten polyacanthus</i> によるその飼育試験を行った. 1~4週間後には, 供試した全ボウシュウボラ個体の中腸腺に毒性が認められ, TTXの蓄積率は平均33%であった. ボウシュウボラ中腸腺の総毒量は, ある水準までは投与したトゲモミジガイの毒量に応じて増加した. また, いったん毒化したボウシュウボラは, さらに40日間無毒の餌で飼育しても特に毒力は低下しなかった.
著者
永井 章夫 長沢 峰子 河村 泰仁 児玉 卓也 前花 淳子 南 新三郎 渡辺 泰雄 成田 弘和 清水 喜八郎
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.200-206, 1995-02-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
15

Vancomycin (VCM) とarbekacin (ABK) 誘発性の腎毒性に対するpiperacillin (PIPC) の軽減作用についてラットを用いて検討した。ラットにVCM 160mg/kg (iv), ABK 16mg/kg (im) をそれぞれ4日間連続投与して腎毒性を誘発させた。VCMの160mg/kg単独群では腎尿細管腔の拡張などの軽度腎障害がみられた。ABKの16mg/kg単独群でも尿細管上皮の硝子滴変性が軽度にみられた。これらの変化はPIPCの320mg/kg投与により軽減された。また, VCMにABKを併用するとBUN, 血中クレアチニンの上昇, 尿中NAG, 尿中蛋白量, 尿中β2-マイクログロブリンの増加, 腎重量の増加がみられ, 組織学的には尿細管上皮の壊死などの腎障害像が観察され, 各単独群に比べ腎毒性は著しく増強された。これらの変化に対してもPIPCは軽減作用を示した。
著者
山城 芳子 島倉 雅子 南 新三郎 福岡 義和 保田 隆 渡辺 泰雄 成田 弘和 赤間 美徳
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.245-254, 1994-03-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
19

1993年5月~6月に富山市民病院において分離された22菌種260株, ならびに1992年6月~ 7月に同施設で分離されたStaphylococcu aureusおよび, Pseudomonas aeruginosa計87株に対するTosufloxacin (TFLX) の抗菌活性を測定し, 他のニューキノロン系抗菌薬 (Ofloxacin, Cipro-floxacin, Sparfloxacin, Fleroxacin) と比較した。その結果, 1993年分離株に対してはTFLXは多くの菌種で優れた抗菌活性を示し, 特にMethicillin-susceptible S. aureus, Methicillin-susceptible Staphylococcus epidermidis, Methicillin-resistant S. epidermidis, Enterococcus faecalis, Escherichia coliではTFLXのMIC50は0.025~0.39μg/mlで最も低い値を示した。また, Klebsiella pneumoniaeやP. aeruginosaに対するMIC50も0.05および0.39μg/mlと低かった。しかし, 一方でTFLXに耐性 (TFLXのMIC≥6.25μg/ml) を示す株も認あられ, これらの耐性株は他のキノロン系抗菌薬と交叉耐性を示した。特にMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) では60%以上の株がキノロン系抗菌薬に耐性であつた。また, MRSAでは1992年分離株に比べ1993年分離株の耐性菌分離頻度が明らかに増加しており, 同様の傾向はP. aeruginosaにおいても認あられた。MRSAのコアグラーゼ型は, II型が大半を占め, キノロン耐性のMRSAはすべてII型であった。
著者
浮島 美之 成田 弘子 増井 俊夫 杉井 邦好 鈴木 由利子 奈良 正人
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.216-221, 1984-08-31

The sale of escolar (Lepidocybium flavobrunneum) and castor oil fish (Ruvettus pretiosus) is prohibited in Japan, because their muscles are rich in wax which may cause a food poisoning. The identification of these fishes was therefore investigated by wax analysis. The analytical procedure was as follows : lipids were extracted from fish meats, and the presence of wax in the lipids was examined by thin-layer chromatography (TLC). The compositions of these waxes were examined by gas chromatography with FID (FID-GC). In order to investigate the composition of higher alcohols included in the waxes, the lipids separated from fishes were saponified and the extracted unsaponifiable matters were subjected to FID-GC after acetylation. The results obtained from the analysis on 28 fish species showed that the lipids of john dory (Zeus faber) in addition to escolar and castor oil fish contained wax. The gas chromtogram of waxes showed that the molecular formular of waxes of escolar and castor oil fish were C_<34>H_<66>O_2,whereas that of john dory was C_<40>H_<76>O_2 as their main ingredient. Furthermore, it was shown that the alcohols of escolar and castor oil fish were of C 16 : 0,whereas that of john dory was of C 22 : 1 as their main ingredient. These results indicate that it is possible to distinguish sale-prohibited fishes from edible fishes by wax analysis, even if they are sliced.
著者
山路 勝彦 棚橋 訓 柄木田 康之 成田 弘成 伊藤 真
出版者
関西学院大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

本研究は、平成7年度に引き続き、野外調査の方法によって、オーストロネシア諸族の産育慣行と生命観、そし性差の比較を目的とした研究である。人が産まれ・育つ過程を研究するにあたっては、それぞれの社会が認知する社会的・文化的意味を理解しなければならない。そして、その過程に男女がともに深く関わる以上、性差の文化的意味付けを考える必要がある。平成7、8年度と、二回にわたる野外調査は、ポリネシア(タヒチ、トンガ、ラロトンガ、西サモア)、メラネシア(パプアニューギニアのナカナイ族、およびマヌス島民)、ミクロネシア(ヤップ島民、パラオ島民)、インドネシア(スラベシのブギス族)で実施された。このような広域にわたるオセアニア地域での比較研究は、広い知見を与えてくれた。例えば、インドネシアおよびポリネシアの双方にわたって類似した性差慣行、つまり「第三の性」、もしくは「トランス・ジェンダー」の存在が指摘される。身体的には男でありながら、家事仕事など女の役割を受け持ち、女としての自認を持つ、この「第三の性」の比較研究は、性差の多様な現象形態を浮き彫りにするのに、よく貢献する。男・女という分類は身体的形質だけに基づいているのではなく、社会的・文化的に規定された分類でもある。とすれば、性差の現れ方は多様である。社会構造、文化的背景を考慮しながらの、両地域での比較研究は有益である。他方、この「第三の性」は男らしさ、女らしさのイメージについて、ポリネシア的な特徴を教えてくれる。この「らしさ」は、幼少年期の育児方法と深く関係していて、子ども達のしつけ、遊びなどの参与観察を通してその調査は実施された。例えばトンガでは、男は農耕、女は家事というように、はっきりとした性差の役割分担が見られる一方で、この二極分化に反するように、異性の役割を受け持つ存在があり、これが「第三の性」を生み出していると結論できる。そして、その異性の仕事を受け持つ男の子は、幼少年期から母親との愛着関係が濃密であった。ミクロネシアでも、性と生殖、産育慣行の調査は続行されるとともに、これらの慣行を支える社会・文化的環境を視野にいれ、その変化を探求できた。例えば、結婚儀礼についての詳述な資料を得たほかに、第一子出産に伴う儀礼的交換の実態を把握でき、そして日本時代から現代に至る変化の様相も浮き彫りにされた。パラオ島では、大首長の即位式で、首長は男と女の双方の装束を身にまとい、両性具有の姿態で登場する場面がある。この儀礼的文脈での性差の研究も、大きな収穫であった。この両性具有の研究もまた、今後の性差研究に新しい展望を切り開くであろう。メラネシアでは、昨年度に引き続きマヌス島民の調査を行い、出産をめぐる諸儀礼、禁忌などの宗教的観念を広い観点から調査した。とりわけ神話・歌謡・詩の資料収集に努め、性と生殖に関する豊富な資料(イディオム)を採集したことは大きな収穫であった。本研究の意義は、オセアニア地域での性差観念の比較研究と並んで、出産をめぐる諸儀礼、禁忌などの宗教的観念を広い観点から調査したことにある。その一例として、月経や出産時の血の穢れなどの禁忌の事例を探求した。とりわけメラネシアで得られたこの種の知見は、今後の日本の事例をも含めて、比較研究の題材となりうる。オセアニア地域ではまた、植物の成長過程が様々な社会関係と比喩的に語られる場合が多い。例えば、人間の成長過程や親族(親子)関係などは、播種(挿し木)から成長し、やがて実を結ぶまでの植物の成長過程と対比して語られる場合が多い。本研究は、こうした象徴的分析法を通して本題に取り組んだことでも独創的であった。
著者
浮島 美之 秋元 宣子 成田 弘子 石川 雅章 藤井 貴野 木野 正彦 山脇 正樹 岡田 昌二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.339-346, 1989-10-31
被引用文献数
1

To identify the species of mushrooms mainly for the distinction of poisonous mushrooms from edible ones, thin layer isoelectric focusing analysis was applied on their water-soluble proteins. 1. The electrophoretic profiles were species-specific. The proteins extracted from the cap and stem in a species gave essentially identical profiles. 2. The profiles of cap proteins of 10 individuals of Akamomitake (Lactarius deliciosus) were indifferent, indicating that the intra-species variation of water-soluble proteins was little. 3. The heat treatment at higher than 60℃, for 10 min, of the water-soluble proteins of Dokutsurutake (Amanita virosa) caused temperature-dependent disappearance of protein bands, while not significant change up to 60℃. 4. The values of pI and relative peak height of isoelectro-focused water-soluble protein bands were numerically expressed. These numerical values were species-specific, indicating that mushroom species might be identified by analyzing the water-soluble proteins with a verification of the tables of these numerical values. 5. The present method was applied for the identification of poisonous Kusaurabenitake (Rhodophyllus rhodopolius) mixed in Urabenihoteishimeji (Rhodophyllus crassipes) which caused a food poisoning incident. The former mushroom was satisfactorily identified by this method.
著者
島田 昌彦 成田 弘成
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.A1-A17, 2002-03-31

サミュエル・P・ハンチントン著『文明の衝突』で予想するとおり、二一世紀は、世界の主要な八つの文明が抗争する時代になりつつある。世界が悲劇的な状況に陥ることを防ぐためにも、その中の一つとノミネートされている日本文明のこれからの義務責務とは何か明らかにしなくてはならない。「日本文明」の追究を最大の課題とする「日本学研究」はその組織的な研究体制を確立するため、国家の営為として「日本学研究大学院大学」を創設、併せて、「日本学研究国際学術シンポジウム」を開催、世界の英智を結集、地球の危機の克服に各国文明を超えて献身しなくてはならない。