著者
秋元 望 本多 健治 松本 恵理子 川田 哲史 右田 啓介 牛島 悠一 高野 行夫
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.478-484, 2010-09-25 (Released:2010-10-06)
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的:神経障害痛の発症機序にミクログリア細胞の関与が示唆されている.ミクログリア細胞の活性は抗生物質ミノサイクリンで抑制されることが報告されているので,神経障害痛発現に対するミノサイクリンの抑制効果を検討した.方法:神経障害痛モデルはマウスの坐骨神経を部分結紮し,作製した.痛みの強さはvon Frey フィラメント刺激に対する痛み様行動をスコア化し,評価した.脊髄グリア細胞の変化は,免疫組織染色法とウエスタンブロット法により検討した.結果:坐骨神経部分結紮後,結紮側で痛みスコアが上昇(アロディニア発現)し,脊髄ミクログリアの発現量が増加した.ミノサイクリンを結紮前(20 mg/kg)とその後7日間(20 mg/kg/日)の反復投与によりアロディニアの発症と脊髄ミクログリアの発現量が抑制された.ミノサイクリンを結紮3日後から7日間(20 mg/kg/日)の投与により,アロディニアの発現は一部抑制されたが,ミクログリアの発現量は抑制されなかった.結論:神経障害痛に対してミノサイクリンは有効であり,その作用機構に脊髄ミクログリア細胞の活性の抑制が一部関与することが示唆された.
著者
本多 健二 佐藤 誠
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.56, pp.5-8, 2013-12-02

画像処理における基本処理に,対象の境界検出がある.本稿では,境界検出手法の一つである零交差線による境界検出について検討する.画素(x,y)の濃度値f(x,y)に対して,勾配を∇f,ヘッセ行列をHとしたとき,幾何学的な対象の境界を表す零交差線としては,ラプラシアン法で用いられるtrH,また,Canny法で用いられる(∇f,H∇f)の零交差線の2つが考えられるが,本稿では特に(∇f,H∇f)について検討する.(∇f,H∇f)の零交差線は,幾何学的には,曲線f(x,y)の変曲点,すなわち,画像の極大点から湧き出し,極小点へと流れ込む流線の変曲点を求めることと等しい.通常,ディジタル画像処理において(∇f,H∇f)を処理する場合には,微分を差分に置き換えた局所オペレータを用いる方法が使われる.本稿では,(∇f,H∇f)の幾何学的意味に戻り,実際に極大点から極小点へと流れる流線を定義し,流線に沿って変曲点を解析することにより,濃淡画像の零交差線を検出する手法について検討する.そして,従来の差分による手法との間に結果の差異があるかを実験的に確認する.
著者
本多 健一郎
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.233-236, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

昆虫類は紫外線を見ることができる.夜行性の昆虫は紫外線を多く出す光源に良く誘引され,この性質を利用した害虫 の発生予察灯や電撃殺虫機などが開発されている.昼行性の昆虫は黄色の色彩板に誘引されることが多く,発生調査用の黄色水盤や防除用の黄色粘着板などが利用されている.黄色照明の点灯は夜行性蛾類の活動を抑制し,果樹や野菜花きの被害を減らす効果がある.近紫外線を透過させないフィルムを展張した栽培施設では,コナジラミやアザミウマなどの害虫が侵入しにくくなり,被害が減少する.光を反射する資材を圃場に設置すると,アブラムシなどの飛来を抑制できる.今後はLED など新しい光源の開発と利用が期待される.
著者
本多 健一郎
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.78-80, 1985-02-25
被引用文献数
3

Fifteen to thirty three percent of the adults of Dolycoris baccarum LINNAEUS were parasitized by Cylindromyia brassicaria (FABR.), which were collected at Morioka, Iwate Pref. from June to August, 1983. Only one parasitoid larva emerged from one host insect and the parasitism was found in both sexes of the host. Adults of C. brassicaria emerged from the end of July to August both in the laboratory and in the field. On the other hand, no parasitoid larvae emerged from D. baccarum adults collected in September before the winter.
著者
本多 健一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.93, 2009

京都上京の西陣は、旧平安京の北郊にあたり、中世以前のこれらの地域には、条坊制の道路区画に準じた格子状道路網があったと考えられている。一方、近世以降では、特に西陣の西部(大宮通以西)で南北の道路が条坊路(の延長)と大きく乖離し、現在の道路網は、一見、条坊制と無関係の様相を呈している。そこで本研究では、これまで明らかにされてこなかった、中近世移行期における道路網の変容過程を、古文書や古絵図などから解明する。<BR>文明9(1477)年の「主殿寮北畠図」(『壬生家文書』)などによれば、この地には櫛笥・壬生・坊城・朱雀といった条坊路と同じ名称を持つ南北路が、平安京大内裏域から延伸し、東西路と直交して格子状道路網が形成されていた。<BR>しかし、それらの名残と考えられる現在の智恵光院通・浄福寺通は、南にいくほど西に偏ってゆき、特に元誓願寺通以南では、対応するはずの櫛笥小路・壬生大路(の延長)と大きく乖離している。対してそれ以北では乖離が小さくなり、両者はほぼ重なり合う。それゆえ元誓願寺通以北の智恵光院通・浄福寺通は、櫛笥・壬生(の延長)と比定され、中世以前の旧状を保持していると考えられる。<BR>元誓願寺通の南側で智恵光院通・浄福寺通の偏りが著しくなる理由は、天正14(1586)年から文禄4(1595)年まで、その地以南に聚楽第が存在したからではないか。<BR>聚楽第の復原はきわめて難しいが、その外郭の北辺は、「北之御門町」の町名や等高線の乱れなどから、元誓願寺通付近と考えられている。それゆえ元誓願寺通以南の道路網、特に内郭と重なる道は、聚楽第の造営によって破壊されたと思われる。<BR>元和5年~寛永3年(1619~1626)頃の 『京都図屏風』には、聚楽第破却後、その跡地がどのように開発されていったのかが、次のように示されている。<BR>当時の大宮通以西、一条通以南、下長者町通以北には聚楽第跡が残存していたが、その周囲では市街地開発が進行していた。聚楽第跡の北側からは、従来の智恵光院通・浄福寺通が南伸する一方で、南側からも、既存道路とは関係なく南北路が造られ始めている。後になってこれら別々の道が延伸して結合したがゆえに、現在の智恵光院通・浄福寺通における偏りが生じたのであろう。
著者
太田 泉 本多 健一郎
出版者
The Kansai Plant Protection Society
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.107-109, 2011 (Released:2011-09-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Sitobion akebiae is a promising alternative host aphid using a banker-plant system of Aphidius gifuensis. This study was conducted to evaluate the effect of host plant species and varieties on population growth of S. akebiae. Barley, wheat, oats and rye were tested in this study. The population increase of S. akebiae were lower on seedlings of the barley variety ‘Shunrai’ than other plants. But S. akebiae successfully increased on the matured plants with ears of ‘Shunrai’. These results suggest that young seedlings of the barley ‘Shunrai’ should be useless for host plants of S. akebiae.
著者
本多 健治 高野 行夫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.1, pp.39-44, 2007 (Released:2007-07-13)
参考文献数
12
被引用文献数
2 6

近年,痛みに関する研究はめざましい進歩をとげているが,臨床では治療困難な痛みが数多く存在し,特に既存の非ステロイド性抗炎症薬が無効であるうえ麻薬性鎮痛薬に抵抗性を示す神経因性疼痛(Neuropathic pain)が問題になっている.そのような背景から,神経因性疼痛モデルの開発とその評価を行う疼痛試験法が研究されてきた.著者らは,ここ数年,神経因性疼痛モデル動物を用いて,その発症機構とそれに有効な鎮痛薬の検索について研究している.そこで本稿では,著者らの実験経験を基に神経因性疼痛と炎症性疼痛の疼痛評価法について解説する.
著者
藤嶋 昭 本多 健一 菊池 真一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.108-113, 1969-01-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
22
被引用文献数
123

n型半導体であるTiO2(ルチル)を電極に用いて分極挙動を測定した。光照射しない時にはカソード分極下で水素発生が起こるが,アノード分極下ではほとんど電解電流が流れず顕著な電解整流作用を示した。TiO2電極表面に光照射すると,カソード電流は変化しないがアノード電流は著しく増加する。この電流はTiO2のバンドギァプ3.0eVに相当する415mμ以下の波長の光によってのみ生じ,また電流の大きさは光強度に比例する。立ち上り電位はpH4.7では-0.5V(vs.SCE)である。この電解酸化反応は従来n型半導体で報告されている電極自身の溶解反応ではなくて,水の電解による酸素の発生であることを確かめた。このことはいわゆる平衡電位より約1V以上も卑な電位で酸素発生がおこる“光増感電解酸化”であり,光のエネルギーを半導体が吸収したためである。またI-のI2への酸化も平衡電位より卑で起こることを確かめた。機構については半導体のバンドモデルから考察した。