著者
牧 輝弥 小林 史尚 柿川 真紀子 鈴木 振二 當房 豊 山田 丸 松木 篤 洪 天祥 長谷川 浩 岩坂 泰信
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-42, 2010-03-20 (Released:2010-03-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2

The microbial communities transported by Asian desert dust (KOSA) events have attracted much attention as bioaerosols, because the transported microorganisms are thought to influence the downwind ecosystems in Japan. In particular, halotolerant bacteria which are known to be tolerant to atmospheric environmental stresses were investigated for clarifying the long-range transport of microorganisms by KOSA. Bioaerosol samples were collected at high altitudes within the KOSA source area (Dunhuang City, China) and the KOSA arrival area (Suzu City, Japan). The microorganisms in bioaerosol samples grew in media containing up to 15 % NaCl, suggesting that bacteria tolerant to high salinities would remain viable in the atmosphere. The PCR-DGGE (Denaturing gradient gel electrophoresis) analysis using 16S rRNA genes sequences revealed that the halobacterial communities in bioaerosol samples belonged to the members of the genera Bacillus and Staphylococcus and that some bacterial species belonging to Bacillus subtilis group were similar among the samples of both cities. Moreover, some sequences of B. subtilis group were found to be identical for the species collected at high altitudes and on the ground surfaces. This suggests that active mixing of the boundary layer transports viable halotolerant bacteria up to the free atmosphere at the KOSA source area, while down to the ground surface at the KOSA arrival areas.
著者
宮本 健弘 笠原 禎也 高田 良宏 松平 拓也 林 正治 松木 篤 上田 望
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.306-309, 2018-12-08 (Released:2018-12-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1

近年のオープンサイエンスの活発化に伴い, 人間と機械の双方に可読性を持つリポジトリシステムの需要が高まっている. このような背景から, 本研究では, 国立情報学研究所が開発したWEKO を用いて, 金沢大学環日本海域環境研究センター及び同国際文化資源学研究センターのデータリポジトリの構築を行っている.従来, WEKO へのコンテンツの一括登録には, Windows でのみ動作するソフトウェアが必要であった. 我々は, ICT に精通しているとは限らないデータ所有者が, リポジトリ上のデータ管理を行えるように, OS に非依存なブラウザからファイルをアップロードするだけでコンテンツの一括登録に加え, メタデータやコンテンツの追加登録・更新等が可能なデータ管理システムを構築した. 特に更新機能では, 「更新フラグ」属性を用いて, コンテンツの世代管理とその公開方法の制御を可能にした. 本稿では両センターのデータリポジトリと構築したデータ管理システムの概要を述べる.
著者
宮本 健弘 笠原 禎也 高田 良宏 松平 拓也 林 正治 松木 篤 上田 望
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.337-342, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年, 世界では「オープンサイエンス」の動きが盛んになっている. これに伴い, データ公開システムの重要性は年々増加しており, 機械可読性を持ち, 人間と機械双方にとって便利なリポジトリシステムの需要が高まっている. しかし, 研究機関独自に開発されたデータ公開システムの多くは, 汎用性や利便性, システム間連携の面で問題を抱えているのが現状である. これらの背景から本研究では, 「JAIRO Cloud」などで実績がある国立情報学研究所開発のWEKO を用いて, 金沢大学内の環日本海域環境研究センター及び国際文化資源学研究センターのデータリポジトリの構築を行っている. 構築に当たっては, 研究データを広く社会に公開する目的に加え, 研究データを保有する研究者らがリポジトリの管理に精通していなくとも, 自ら登録, 修正などを行える環境の整備を進めている.
著者
牧 輝弥 佐野 到 定金 香里 黒崎 泰典 石塚 正秀 大西 一成 能田 淳 松木 篤 市瀬 孝道
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

黄砂や煙霧とともに微生物群(バイオエアロゾル)が,アジア大陸から日本へ越境輸送され,日本での環境・健康影響が懸念される。これまで,東アジア(日中韓蒙)での黄砂を捕集する高高度調査(気球, ヘリコプター)によって,越境輸送される微生物種組成は,日本海と太平洋の沿岸で大別でき,その生体影響も異なる可能性を突き止めた。しかし,従来の観測地点は日本海沿岸に偏り,太平洋沿岸へと沈着する微生物の詳細を講じる観測データは不足している。本申請では,日本本土での観測地を拡充し,「越境微生物の国内での拡散・沈着過程」を理解すると伴に,生理学実験・疫学的調査によって,生態・健康影響を評価する。
著者
井関 将太 定永 靖宗 松木 篤 岩坂 泰信 佐藤 啓市 竹中 規訓 坂東 博
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.256-263, 2010-11-10 (Released:2011-06-05)
参考文献数
25
被引用文献数
2

石川県能登半島珠洲で2008年12月からオゾンと一酸化炭素の測定を行い、東アジアの汚染された地域からの長距離輸送の観点から、季節変動・日内変動について解析を行った。オゾンと一酸化炭素濃度は、季節変動として春に高濃度、夏に低濃度となった。珠洲に到達する気塊を、後方流跡線解析を用いて、ロシア・中国・日本由来に分類したところ、春にロシアや中国からの大陸由来の割合が高くなり、夏に日本由来の割合が高くなった。区分別に見ると、中国由来の気塊が一年を通して高濃度となり、同じ大陸由来でも、ロシア由来の気塊は日本由来よりも低濃度になる傾向が見られた。日内変動を見ると、各月においてO3は日中の午後に最高値を示すが、COは一貫した変動を示さなかった。O3の日内最小値の月変動は、気塊の由来と長距離輸送中の光化学O3生成によるものであり、日中のO3増加量の月変動は、観測値近傍での光化学O3生成であると考えられた。また、日中のO3増加量と積算日射量との間には高く正の相関があることが明らかになった。
著者
村上 正隆 折笠 成宏 斎藤 篤思 田尻 拓也 橋本 明弘 財前 裕二 牧 輝弥 荒木 健太郎 松木 篤 久芳 奈遠美
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

つくばサイトに於いて、各種エアロゾル測定・採取装置、雲核計、氷晶核計を用いて通年観測を継続実施した。エアロゾルの物理化学生物特性および雲核・氷晶核活性化スペクトルの季節変化について明らかにした。大気エアロゾルの主要構成要素である、黄砂粒子・バイオエアロゾル・種々の人為起源エアロゾル(標準粒子)を対象とした雲生成チェンバー実験や雲核計・氷晶核計を用いた測定結果と詳細雲微物理モデルの結果に基づき、その雲核能・氷晶核能を種々の気象条件下で調べ定式化した。その結果を用いて非静力学モデルなどに用いるエアロゾル(雲核・氷晶核)・雲・降水を統一的に取扱う新機軸のパラメタリゼーションを開発した。
著者
渡辺 幸一 朴木 英治 久米 篤 青木 一真 中野 孝教 石田 仁 松木 篤 岩坂 泰信 松木 篤 田中 泰宙
出版者
富山県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

高所に出現する弱い黄砂(バックグランド黄砂)の動態やその自然環境へ及ぼす影響を評価するため、立山において、エアロゾル粒子、微量気体成分、降水、霧水、積雪などの観測・分析を行うと共に、植生への影響について検討した。年度による程度の違いはあるものの、毎年秋期に「バックグラウンド黄砂」の影響がみられることがわかった。立山山の植生は、大気汚染物質だけでなく、黄砂粒子の影響も大きく受けている可能性が示唆された。また、立山での観測と並行して、回転翼航空機による富山県上空大気観測も行った。観測結果から、高所では高濃度の光化学オキシダント物質に植生が晒させやすいと考えられる。