著者
山元 直道 古賀 誠 村田 雄一 森田 三佳子 松本 俊彦
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.391-397, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
21

筆者らは地域生活を送る,薬物や処方・市販薬の物質使用障害者を対象とした作業療法プログラム「Real生活プログラム(以下,リア活)」を開始した.本研究の目的は,リア活に参加した対象者のケアニーズや生活上の目標をテキストマイニングの手法で分析し,本プログラムの今後の方向性を検討することである.リア活参加者30名の分析の結果,共起ネットワークでは8個のサブグラフが検出され,人とのつながりや社会復帰,薬物への欲求対処,生活の改善・安定,就労準備に分類できた.リア活は,複雑な背景や症状を抱える物質使用障害に対するテーラーメイドの治療の役割を果たし,参加者が新たに人-作業-場所とつながるきっかけとなる.
著者
松本 俊英 川島 祐介 紺野 亮 小寺 義男 三枝 信
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.23-26, 2022 (Released:2022-10-08)
参考文献数
7

Ovarian cancer is the leading cause of death in women with gynecologic malignancies, and especially, clear cell subtype (OCCCa) shows chemoresistance and clinical outcomes at advanced stages are generally unfavorable. To identify proteins for the novel biomarker in OCCCa, we performed shotgun proteomics analysis using formalin-fixed and paraffin-embedded clinical samples. Lefty may be an excellent OCCCa-specific molecular marker and the functional rule may be the establishment and maintenance of phenotypic characteristics of OCCCa. EBP50 may have great utility in OCCCa recurrence and prognosis through inhibits apoptosis and stabilization of PARP1 activity, a DNA repair enzyme. These results have high significance and could be expected to be developed for clinical application.
著者
飯尾 恒 吉田 繁樹 北村 立実 松本 俊一 黒田 久雄
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.171-176, 2019 (Released:2019-07-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

茨城県のレンコン出荷量は全国一位であり, 全国のレンコン収穫量, 出荷量の半分近くを占めている。茨城県土浦市手野地区はレンコン専作地帯で, 1995年から2015年にかけて日本で初めてハス田群で基盤整備を実施し, コンクリート畦畔整備や用排分離等を行った。本研究では基盤整備された手野地区において流出負荷量調査を行い, 基盤整備による流出負荷量の影響を調査した。ハス田群からの排出負荷量を検討した結果, SS, COD, TNは3月から4月にかけて最大の値を示し, その要因として石灰窒素施用, 基肥施肥の影響が考えられた。TPは土壌が嫌気状態になりやすい7月から8月にかけて最大の値を示した。一年間の差引負荷量は基盤整備前と比べ, SS, COD, TN, TP全てで増加し, その要因として用排分離を整備したことにより, 田越灌漑の沈殿効果が消失した影響が考えられた。
著者
松本 俊一 山田 正信
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.147-157, 2022-04-25 (Released:2022-06-02)
参考文献数
11

甲状腺は甲状腺ホルモン(TH)を分泌し,体内の蛋白,脂質,糖代謝それぞれの分解と合成といった,相反する代謝に作用し生体の恒常性を維持している重要な臓器である.甲状腺疾患には大きく「甲状腺機能異常」と「甲状腺腫瘍」がある.また高齢者ではポリファーマシーとなることも多いため「薬剤性甲状腺障害」も考慮する必要がある.近年,甲状腺疾患領域は新しい治療方針や取り扱い方法なども増え日々進歩している.
著者
松本 俊英 川島 祐介 小寺 義男 三枝 信
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.51-59, 2021 (Released:2022-01-08)
参考文献数
14

卵巣明細胞癌(OCCCa)は抗癌剤療法に低感受性であるため,進行癌における予後は極めて不良である.そこで,我々はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)病理検体を用いたショットガンプロテオミクス法により,OCCCaの診断や分子標的となるタンパク質を網羅的に解析し,その結果Lefty-right determinant factor(LEFTY)の同定に至った.臨床検体による検索より,LEFTY発現はタンパク質レベル・mRNAレベルともに他の組織型に比してOCCCaで有意に高発現であった.また,OCCCa培養細胞を用いた機能解析の結果,LEFTYはTGF-β/Akt/Snailシグナルを介して上皮間葉転換(EMT)や癌幹細胞(CSC)化を誘導することにより,OCCCaの化学療法抵抗性といった生物学的特性を有する役割を担っている可能性を見出だした.以上,我々はOCCCaにおいてLEFTYが新規バイオマーカーとして有用である可能性とその発現意義を初めて報告した.
著者
中嶋 良介 谷田 恭士 肥田 拓哉 松本 俊之
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.333-342, 2015-10-20 (Released:2016-09-28)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

本研究では,目視検査で活用できる視野範囲について検討するため,欠点の特徴である輝度コントラストと大きさ,および配置を変動要因とする実験を実施し,これらが周辺視野での欠点検出に及ぼす影響について評価した.その結果,欠点の輝度コントラストや大きさによって,欠点を検出できる視野範囲(検出視野)が異なるので,目視検査で活用できる視野範囲が異なることを示した.さらに,得られた実験結果をもとに欠点検出率に関する回帰式を求め,実際の目視検査工程において欠点の許容限度に合わせて検出視野を設定するための方法を考案した.
著者
中村 信元 尾崎 修治 安倍 正博 松本 俊夫 矢田 健一郎 神野 雅 原田 武志 藤井 志朗 三木 浩和 中野 綾子 賀川 久美子 竹内 恭子
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.690-695, 2010

67歳男性,背部痛を契機に2001年10月に多発性骨髄腫IgA-<i>&lambda;</i> stage IIIAと診断された。VAD療法5コース後の2003年3月に自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行うも再発した。以後,サリドマイド療法などを行うも再燃し,2007年6月入院した。入院後のボルテゾミブ(Bor)療法で,2度の腫瘍崩壊症候群をきたした。その後のCTで右肺上葉,膵尾部,脾臓の腫瘤が急速に出現し,ミカファンギンやボリコナゾールを投与するも,入院85日後に死亡した。剖検で,肺,脾臓に多発性の真菌塊と出血性梗塞が認められ,僧帽弁には真菌塊の疣贅を認め,組織学的に播種性接合菌症と診断した。Bor療法後の腫瘍崩壊によるアシドーシスや,コントロール不良の糖尿病,輸血による鉄過剰,抗真菌薬投与中のブレークスルー感染症などが発症の誘因と考えられた。