著者
木寺 元 稲垣 浩 小林 悠太 前田 貴洋 林 嶺那
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究の目的は、学歴やジェンダーが個人の職務経験(専門性)に及ぼす影響を解明することを通じて、ジェネラリスト型公務員像を再検討することにある。学術的独自性としては、30年間を超える長期間のデータセットを利用し、日本型雇用の転換期における公務員人事の変容を解明する点が挙げられる。長期間データによる人事分析は、民間部門にはトヨタを対象とする辻(2011)が存在するが、公共部門に関しては行われていない。画期的な大規模データセットを用いることで、大学進学率の向上や女性の社会進出などの日本社会の変動が、公共部門に与えたインパクトを分析可能となる。
著者
林 悠太 舟橋 弘晃 間野 義之
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_299-3_313, 2022-07-01 (Released:2022-07-23)
参考文献数
60

In recent years, social demands and academic interest in the environmental and social contribution activities of professional sports clubs have increased. This is due to the spread of the idea that building good relationships with various stakeholders is essential for clubs to enhance their corporate value. However, it is not easy for professional sports clubs to continuously implement sustainable environmental initiatives (ESI) due to the financial burden. It is unclear to what extent consumers are aware of the ESI implemented by professional sports clubs and how much they are willing to spend afterwards, and there are no studies on ESI by professional sports clubs in Japan. Furthermore, it is significant and extremely important to clarify the results of ESI conducted by professional sports clubs on their teams from a marketing perspective. Therefore, the purpose of this study is to clarify the relationship between consumer attitudes and behavioral intentions toward professional sports clubs that conduct ESI. To achieve the objective, stakeholder theory and social identity theory are applied as a theoretical background to examine the impact of perceived ESI on intention to support a club and intention to attend a game. Data were obtained from a sample that included potential as well as existing consumers, and it was found that the perception of ESI influenced the intention to support a club and the intention to attend a game. The results of the multiple-group structural equation modeling revealed that the perception of ESI influenced the intention to support a club and the intention to attend a game, even among consumers who had no experience of attending a game. In the future, it will be necessary to elucidate the mechanism and causal relationship by which the perception of ESI enhances intentional loyalty, through what kind of psychological process.
著者
山田 勝雄 川澄 佑太 杉山 燈人 安田 あゆ子 関 幸雄 足立 崇 垂水 修 林 悠太 中村 俊信 中川 拓 山田 憲隆 小川 賢二
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.407-413, 2015 (Released:2016-09-16)
参考文献数
19

〔目的〕今回6例の肺M.abscessus症に対する手術を経験した。肺M.abscessus症に対する外科治療の報告は多くない。同時期に手術を施行したMAC症例との比較検討も含めて報告する。〔対象と方法〕2012年7月から2014年6月までの2年間に6例の肺M.abscessus症に対する手術を経験した。6例全例を完全鏡視下手術で行った。手術を施行した6例の肺M.abscessus症例に対し,年齢,性別,発見動機,菌採取方法,病型,術前抗GPL-core IgA抗体価,術前化学療法,術前治療期間,手術適応,手術術式,手術時摘出組織の菌培養結果,術後入院期間,手術合併症,術後再燃再発の有無に関し検討した。これらの項目の一部に関しては,同時期に手術を施行した36例のMAC症例との比較検討を行った。〔結果〕手術に関連した大きな合併症は認めず,術死や在院死もなかった。6例のうち3例が術後1年以上を経過し化学療法を終了したが,現時点で6例とも再燃再発は認めていない。MAC症例との比較では,肺M.abscessus症例の術前治療期間の平均が5.5カ月とMAC症例より18.9カ月短く,統計学的にも有意差を認めた。〔結論と考察〕肺M.abscessus症に対する手術は安全で有効な治療手段と考える。また内科医が肺M.abscessus症に対してMAC症よりも早期に外科治療が必要と考えていることが示唆された。
著者
有竹 洋平 林 悠太 吉松 竜貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A4P2090, 2010

【目的】<BR> 意欲低下、自発性低下もリハビリテーションを行う上で、最大の阻害因子の一つであるという報告がある(大友.1986)。また、脳血管障害患者を対象とした在宅での日常生活動作(以下ADL)と生活意欲の関連報告や回復期病棟での1ヶ月間のADL変化と意欲の関連性を検討した先行研究もあり、リハビリテーションにおける意欲の重要性が伺える。そこで本研究では、東武練馬中央病院回復期病棟に入院する高齢患者を対象に、入院時の生活意欲と退院時までのADLの改善度の関連性について比較検討した。<BR>【方法】<BR> 対象はH20年11月からH21年10月までに当院回復期病棟に入院中であった65歳以上の高齢患者62名(男性19例、女性43例、年齢82.0±6.5歳、脳血管障害18例、整形外科疾患32例、脊椎脊髄疾患8例、廃用症候群4例)とした。入院中に急性増悪での転院や死亡退院した者は対象外とした。<BR>評価項目は、入院時と退院時の機能的自立度評価表(以下FIM)と入院時から退院時までのFIMの改善度であるFIM利得、入院時の生活意欲とした。生活意欲に関しては、認知症患者でも回答の有効性が高いとされているVitality Indexを用いた。Vitality Indexは鳥羽らによって開発された指標で、日常生活での行動を起床・意志疎通・食事・排泄・活動の5項目で評価し、高齢者のリハビリテーションや介護場面での意欲を客観的に測定するものである。各項目はそれぞれ0~2点まで配点された3つの選択肢からなり、満点は10点となる。カットオフ値とされる7点をもとに、8点以上を高得点群(以下High群)、7点以下を低得点群(以下Low群)の2群に分けた。<BR> 統計学的処理は、Stat view ver.5.0を使用し、入院時FIMと入院時Vitality Indexに対してはSpearmanの順位相関係数を求めた。また、FIM利得はMann-WhitneyのU検定、年齢・在院日数はt検定、性別はχ<SUP>2</SUP>検定を用いて群間の差を検討した。有意水準は5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR> 数値の公表に関して、統計量を用いるなど個人の特定がなされないよう配慮することで、対象より了承を得た。<BR>【結果】<BR> High群は39例(男11例、女28例、81.2±6.3歳)、Low群は23例(男8例、女15例、83.5±6.7歳)であり、全体のVitality Indexは8.0±2.5点、High群は9.6±0.7点、Low群は5.2±1.7点であった。入院時FIMと入院時Vitality Indexは0.759と高い相関を認めた。FIM利得、年齢、性別は群間で有意差を認めなかった。在院日数はHigh群ではLow群に比べ有意に高かった(p<0.05)。<BR>【考察】<BR> 本研究では回復期病棟に入院する高齢患者に対し入院時の生活意欲と退院時までのADLの改善度との関連性について検討した。その結果、入院時FIMと入院時Vitality Indexに関しては高い相関が認められた。入院時のVitality Indexが低下している者はADL能力も低下していることが考えられる。また、入院時Vitality IndexとFIM利得との間に関連性は認められなかった。入院時の生活意欲と退院時までのADL改善度に対して関連性が低いと考えられる。以上より、入院時Vitality Indexが低い患者であっても、退院時までにADLが改善する可能性が示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 今回の結果から、回復期病棟へ入院してきた高齢患者は一様に意欲的であるとは言えず、意欲低下が認められる患者もいることは明らかである。意欲低下、自発性低下もリハビリテーションを行う上で、最大の阻害因子の一つであるという報告があるため、入院時に意欲低下が認められている患者はその後のADL改善を阻害する可能性も考えられる。そこで、本研究で回復期病棟に入院する高齢患者の入院時の生活意欲が退院時までのADLの改善度に与える影響について関連性を検討したことは、理学療法研究として意義があると考える。<BR>本研究の結果から、入院時Vitality Indexの得点で退院時までのADL改善度を予測することは困難であり、入院時の生活意欲低下が一様にADL改善度に対して阻害因子とはならないことが示唆された。よって、ADLの改善度に対しては疾病の器質的問題や障害重症度、個人因子など多角的な検討が必要だと考える。
著者
秋野 徹 波戸 真之介 鈴川 芽久美 林 悠太 石本 麻友子 今田 樹志 小林 修 島田 裕之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101499, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】我が国では急速な高齢化が進んでおり、要支援や要介護状態となる高齢者は増加の一途を辿っている。その背景として、加齢や廃用による心身機能、認知機能の低下によって、日常生活活動(activities of daily living: ADL)が低下し、介護度が悪化する例は多く存在するものと考えられる。介護度の悪化がどのようにして起こったのか、介護度の悪化の傾向や要因を縦断的に大規模で調査した報告は、介護予防への取り組みにおいて重要性が高い。そこで本研究は、縦断的な調査により要介護度の悪化に影響を及ぼす要因を検討することを目的とした。【方法】対象は2005年10月から2012年10月の間で全国のデイサービスを利用し、2年間の追跡調査が可能であった要支援1から要介護4までの高齢者4212名(平均年齢82.2±6.6歳、男性1354名、女性2858名)とした。なお、追跡期間内に要介護度の改善が認められたものは対象から除外した。調査は、追跡調査開始時にベースラインとしてFunctional Independence Measure (FIM)、握力、歩行速度、Chair Stand Test- 5 times(CST)、開眼片脚立ち時間、Mental Status Questionnaire (MSQ)を測定した。その後2年間、1年ごとに要介護度の追跡調査を実施し、2年以内に要介護度の悪化した者を悪化群、悪化しなかった者を維持群とした。 統計学的解析は、ベースラインにおける各調査項目について、悪化群と維持群の間の差異を単変量解析(t検定、U検定、χ2検定)にて比較した。また、要介護度の悪化発生までの期間を考慮したうえで、要介護度の悪化に対する各調査項目の影響を検討するため、Cox比例ハザード回帰分析を実施した。独立変数は性別、ベースラインにおける年齢、介護度、FIM運動項目の合計点、FIM認知項目の合計点、握力、歩行速度、CST、開眼片脚立ち時間、MSQとし、ステップワイズの変数減少法による分析を用いた。また、要介護度の悪化と有意な関連を示した変数に関してはハザード比を算出した。なお、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者にはヘルシンキ宣言に沿って研究の主旨および目的の説明を行い、同意を得た。なお本研究は国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。【結果】2年間の追跡期間における悪化群は2693名(平均年齢82.4±6.4歳、男性879名、女性1814名)、維持群は1519名(平均年齢81.8±7.0歳、男性475名、女性1044名)であった。単変量解析により、悪化群と維持群間を比較したとき、年齢は維持群が有意に低く、ベースラインにおける介護度は維持群が有意に重度であった。加えて、FIM運動項目合計点、握力、歩行速度、CST、開眼片脚立ち時間、MSQは維持群が有意に高い値を示した。Cox比例ハザード回帰分析の結果、モデルχ2検定は有意となり、要介護度の悪化に有意な関連を認めた変数は、性別(ハザード比:0.749、95%信頼区間:0.724~0.776)、ベースラインにおける介護度(ハザード比:0.819、95%信頼区間:0.740~0.906)、FIM運動項目合計点(ハザード比:0.996、95%信頼区間:0.994~0.998)、MSQ(ハザード比:1.063、95%信頼区間:1.049~1.077)、歩行速度(ハザード比:0.759、95%信頼区間:0.655~0.880)握力(ハザード比:0.988、95%信頼区間:0.981~0.996)となった。【考察】2年間の追跡調査にて要介護度が悪化した群と維持していた群を比較した結果、ベースラインでのFIM運動項目や運動機能は維持群のほうが有意に高かった、また、縦断的な解析により、ベースラインにおけるFIM運動項目、MSQ、歩行速度、握力が高いほど、要介護度の悪化の発生が増加することが示され、これらの評価指標が介護度の悪化の予測に有用である可能性が示唆された。特に歩行速度に関しては、ADLの低下に関連することや、将来の要介護度発生に影響を与えることが報告されており、本研究も先行研究を支持する結果となった。しかし、要介護高齢者においては歩行困難な対象が多く存在することを考慮する必要があり、今後は対象を限定したうえで要介護度の悪化への影響を検討することも課題である。【理学療法学研究としての意義】介護予防は、現在要介護状態にあるものを要介護状態に陥らないようにすることに加え、現在要介護状態にあるものの要介護状態を悪化させないことも含む。理学療法士としての介護予防への取り組みとして、歩行を含む心身機能、生活機能の維持・向上を図ることの重要性が縦断的に確認されたことは、重要な知見と言える。
著者
林 悠太 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.143-146, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

〔目的〕本研究の目的は,高齢入院患者の生活意欲とADL,体格との関連を明らかにすることである。〔対象〕対象者は,Functional Independent Measure(以下FIM)の食事項目が5点以上であった高齢入院症例71例(回復期リハ病棟:男12例,女24例,79.6±11.1歳 慢性期病棟:男10例,女25例,83.2±7.6歳)である。〔方法〕生活意欲はVitality Index scoreより求め,8点以上を高得点群,7点以下を低得点群の2群に分類し,FIMとBody Mass Index(以下BMI)を求めて分析した。〔結果〕その結果,回復期ではFIMすべての項目で群間に有意差が認められ,慢性期では運動項目の整容・トイレ動作・排泄項目とすべての認知項目,BMIに有意差が認められた。〔結語〕回復期ではADL能力全般が,慢性期では身だしなみや排泄といった人間としてごく当たり前の動作能力が,生活意欲と関連してくると考えられる。