- 著者
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木林 悦子
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.79, no.2, pp.53-63, 2021-04-01 (Released:2021-05-15)
- 参考文献数
- 30
- 被引用文献数
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1
【目的】高校3年間の追跡調査により,食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの学年比較及び関連を明らかにする。【方法】兵庫県A高等学校の2012年度入学生320名のうち,家庭教科専門科目選択者を除き,2014年の3年まで継続して回答が得られた225名を対象とした。セルフエフィカシーは,食生活改善ができるか否かを5件法より得た。セルフエフィカシーと行動変容ステージの学年比較はFriedman 検定,3年におけるこれらの関連は共分散構造分析後,セルフエフィカシーの信頼性を検討するために開発した12項目のセルフエフィカシー尺度を従属変数,性別を調整因子とした二項ロジスティック回帰分析をした。【結果】高校3年間で男子はセルフエフィカシーの「やや改善できると思う」及び「改善できる」者が減少し,行動変容ステージの前熟考期が増加したが,女子ではいずれも学年別に有意差はなかった。共分散構造分析では,セルフエフィカシーから行動変容ステージへの有意な正のパスが示された。ロジスティック回帰分析の結果,準備・実行・維持期を基準として,前熟考期におけるセルフエフィカシー低得点群のオッズ比が有意に高かった。【結論】高校3年間で,食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの伴った,男子における低下と女子の変化なしの実態が明らかとなった。食生活を改善させるには,セルフエフィカシーを高める教育支援の充実が望まれる。