著者
小林 和夫
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

昨年度に引き続き、ロンドンで在外研究を行った。国立公文書館と大英図書館、LSE図書館を研究の中心拠点として、大西洋貿易に関する統計資料やマニュスクリプト、二次文献調査を行い、ロンドン大学キングズ・カレッジのリチャード・ドレイトン教授らとの意見交換を行った。研究の目的は、18世紀大西洋経済を大きく支えていた黒人奴隷貿易を成り立たせていた対価となった商品(具体的には、インド産綿織物)とその流通過程を、私商人の史料をもとにして明らかにすることであった。とくに、18世紀末から19世紀初頭にかけて、インド産綿織物の卸商人として活躍していたトマス・ラムリー商会の販売記録簿や往復書簡を分析した結果、インドから輸入された綿織物が、ラムリーを介して、リヴァプールの奴隷商人の手に渡り、西アフリカに再輸出されていたのか解明することができた。それによって、イギリスの大西洋奴隷貿易の終盤においても、アジアと大西洋を結ぶ商業ネットワークが重要な役割を果たしていたことを明らかにすることができた。大西洋経済における金融制度の研究課題が残っていたが、ロンドン大学政治経済学院(LSE)の博士課程に進学することになったため、2011年9月をもって、日本学術振興会特別研究員を途中辞退することになった。研究成果としては、4月末にカナダ・モントリオールのマギル大学インド洋世界研究所で開催された国際会議で口頭発表を行った(報告題目:Indian Cotton Textiles as a Global Commodity:The Case of the British Atlantic Slave Trade)。他方、研究ノート「イギリスの大西洋奴隷貿易とインド産綿織物-トマス・ラムリー商会の事例を中心に-」が、『社会経済史学』第77巻3号に掲載された。本稿では、イギリスの大西洋奴隷貿易が大きく成長した理由を、黒人奴隷の対価となった商品の供給の面から分析し、とりわけインド産綿織物の流通に関わった商業ネットワークを論じたものである。
著者
林 正博
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

一部の小さな故障が、通信ネットワーク全体に波及し、大きな被害をもたらすカスケード故障に対する対策を評価する方法を確立し、数値実験により、効果的な対策につながる評価結果を得た。具体的には、従来のような、カスケード故障発生後の分離されたネットワークのブロックの大きさを評価尺度とするのではなく、対地間の通信量の違いを考慮に入れた評価尺度提案し、評価する方法を確立した。さらに、カスケード故障の発生頻度に着目し、必ずしも大規模でなくても、頻度の大きいカスケード故障を想定した評価尺度などを考案し、対策の評価を行った。結果として、装置の導入のやり方によって、カスケード故障の規模や頻度が異なることが判明した。
著者
大西林五郎 編
出版者
松山堂書店[ほか]
巻号頁・発行日
vol.巻一, 1917
著者
中林竹洞 述
出版者
石川猪太郎
巻号頁・発行日
1890
著者
風戸 広史 林 晋平 岡田 敏 宮田 俊介 星野 隆 佐伯 元司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.165, pp.91-96, 2012-07-20

プログラムを変更する前に,開発者はまずFeature Locationにより機能に対応するソースコード上の実装箇所を特定し,続いてその箇所に関する静的構造や振る舞いを理解する.本稿では,実行トレースに系列マイニング,形式概念分析を組み合わせて適用することによって,機能の実装箇所を特定するだけではなく,その箇所の構造を半自動的に特定する手法を提案する.提案手法の支援ツールを試作し,Webアプリケーションの例題に適用した結果,提案手法が実現可能であり,また単に機能の実装箇所を特定するよりも理解に役立つことを確認した.
著者
稲葉 清右衛門 吉武 智士 橋本 至弘 小林 堅吾
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
自動制御 (ISSN:04477235)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.100-109, 1961-04-15 (Released:2010-10-29)

The Construction and the operation of a computing numerical control system including a special purpose computer are explained.The features and the merits of this system are as follows;1) No preliminary calculations concerning the cutter offset are necessary for the programming. The mumerical informations on the cutter radius are given by dial setting on the operation panel of the equipment.2) Electro-hydraulic pulse motors are employed as the servo-elements to drive the machine-tool.3) All transistorized and extremely miniaturized.
著者
阪本 一次 雪本 清隆 林部 章 田中 肇 鬼頭 秀樹 樽谷 英二 柳 善佑 十倉 寛治 浅田 健蔵 竹林 淳
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.746-750, 1996-03-01
参考文献数
14
被引用文献数
3

症例は74歳の女性.平成6年4月中旬より繰り返す心窩部不快感を主訴として来院.腹部エコー,腹部CTにて胆嚢結石および胆嚢壁肥厚とそれに接した肝内に腫瘤様病変を認め,腹部血管造影では胆嚢動脈に途絶,屈曲がみられ,右前区域枝を栄養血管とする腫瘤濃染を認めた.肝直接浸潤を伴った胆嚢癌と診断.平成6年6月7日拡大胆嚢摘出術を施行した.病理学的には悪性線維性組織球腫であった.術後照射40Gray施行し,平成7年12月現在再発の兆候なく外来にて経過観察中である.胆嚢原発の悪性線維性組織球腫は非常にまれで,本邦報告例は自験例を含めいまだ8例を数えるのみであった.