著者
小川 利彦 柴田 勝喜 矢留 智津子 高瀬 福巳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.720-724, 1971-04-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1

各種のアゾ染料を塩化第一スズ, 亜硫酸ナトリウムで還元し, その反応溶液の可視スペクトルを測定した。その結果, アゾ染料の還元性についてつぎの知見を得た。モノオキシアゾ染料, o,o'-ジオキシアゾ染料, およびそのコバルト錯塩染料を塩化第一スズで還元すると, i)その反応はアミン類生成にまで進み, ヒドラゾ化合物の生成が律速段階になる, ii)一連の供試アゾ型分散染料における還元速度と置換基との関係は, ハメット則に適合しρは正となる, iii)o,o'-ジオキシアゾ染料に比してそのコパルト錯塩染料は還元の活性化エネルギーが大である。また供試酸性アゾ染料を亜硫酸ナトリウムで還元すると, i)比較的低温度では反応の第一段階でヒドラゾ化合物を生成し, その後徐々にアミン類を生成する, ii)アミン類生成の活性化エネルギーはヒドラゾ化合物生成の活性化エネルギーに比して高い。
著者
森永 徹 松田 和久 柴田 勝 池田 英夫
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

〔目的〕今日,各種のチャンネルを有する内視鏡の洗浄に,酵素系の洗浄剤が多く用いられている.今回,高活性酵素配合,高濃縮タイプの浸漬用新型洗浄剤(バイオテクト55【○!R】)を使用する機会を得たため,その内視鏡チャンネル内の洗浄効果をチューブを代用して検討した.なお,本洗浄剤は界面活性剤(無リン)と蛋白分解酵素を主成分とし,使用濃度は0.25〜0.5%であり,濃度0.5%でpH9.5の弱アルカリ性である.また,室温で長期保存が可能という特徴も兼ね備えている.〔方法〕全長150cm,内径4mmのチューブ内をすりつぶしたレバーで汚染させた後に,注射器にて内部に温水希釈洗浄液注入→洗浄液浸漬(30分)→洗浄液注入→水道水によるすすぎを行い,先端から10,30,50,70,90,110,130cmの部位で切断し,チューブ内を綿棒で拭い取り,ATP(アデノシン三リン酸)を汚染の指標として,ルシフェラーゼによる生物学的発光量を測定した.対照として,温水で同様に実施した.ATP測定には,測定器は「ルミテスター【○!R】」,試薬は「ルシフェール【○!R】」(ともにキッコーマン(株)製)を使用した.〔結果〕それぞれ3回ずつ検討したが,その平均値は"方法"で示した部位の順に,温水のみが2,142, 2,552, 2,626, 2,911, 2,850, 4,015, 2,615であり,洗浄剤使用の場合が839, 502, 499, 474, 103, 182, 243であった(単位はRLU).〔考察〕内視鏡のチューブ内は,最も洗浄が困難なところであるが,本剤は良好な結果を示した.また,高濃縮、室温で長期保存が可能などの点と考え合わせると,有効な洗浄剤と考えられた.
著者
柴田 勝
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.178-185, 1970

マツ類における交雑育種の研究のため,クロマツ×アカマツと,クロマツ×天然アイグロマツの組合せ交配 (13×20) を行なった。その結果,交配稔性(種子生産力)に関して次のことが明らかになった。<br> (1) 母本,父本間に顕著な稔性の違いがあり,いわゆる,一般組合せ能力に差異のあることが認められた。<br> (2) 父本の稔性値と雑種性との間には高い相関が認められたので交配稔性の差異は遺伝子構成の異なる2つの組織,すなわち,胚組織と雌性配偶体組織との親和性,または交互作用によると,推定された。<br> (3) 雑種性の指数としては,解剖学上針葉における2層以上の下表皮厚膜細胞数のほうが,樹脂道指数 (R.D.I.) よりはるかに相関が高かった。<br> (4) 交雑親和性遺伝子を有すると推定された特殊個体DEN S<sub>1</sub>が, 20の父本の一つに認められた。これは解割学上アカマッと分類される個体であるが,その高い稔性から,交雑親和性遺伝子を有する"潜在的雑種アイグロマツ"と定義できると思われた。
著者
柴田 勝家
出版者
早川書房
雑誌
SFマガジン = SF magazine
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.230-249, 2020-10
著者
柴田 勝二
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.100-101, 2013-08-10 (Released:2018-08-06)
著者
木村 照夫 井野 晴洋 西田 優一 青山 尚樹 柴田 勝司
出版者
一般社団法人 プラスチック成形加工学会
雑誌
成形加工 (ISSN:09154027)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.153-159, 2010 (Released:2010-07-24)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

This study investigated a compression molding method of carbon fiber reinforced thermoplastics (CFRTP) made of carbon fiber extracted from CFRP waste. The short carbon fibers were mixed with polyester fibers using a papermaking method to make the preform sheet of compression molding. The waste obtained from a textile water jet loom was used as a matrix material. The setting speed of each fiber during the papermaking process was regulated by using a dispersing agent to obtain the good dispersion of each fiber. Laminated preform sheets combined with polyester fibers and carbon fibers were compressed with heating at 300 ℃ and then the polyester fiber was melted as a matrix material. It was cleared from the experimental results that the mechanical properties of molded CFRTP largely depends on both the fiber dispersion and the content of carbon fiber in the preform.
著者
武田 千香 柴田 勝二
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

マシャード・デ・アシス(1839-1908)は、夏目漱石(1867-1916)とほぽ同時代に地球の反対側に生きたブラジル文学を代表する写実主義作家である。当時、日本とブラジル両国の間にはまだ活発な文化交流がなく、両作家の間にも接触はなかったと思われるにも拘わらず、双方の文学の間には親和性がある。本研究は、間テキスト性にその原因を求めることのできない親和性がなぜ生じたのか、その要因を明らかにすべく行なわれた両作家の文学の比較研究である。研究の結果、まずは両者がアレゴリーという文学的手法を用い、主要な登場人物にそれぞれの国やその外交関係を仮託することによって、当時の近代日本や近代国家ブラジルに対する批判的精神を盛り込んだことが明らかになった。そして、その批判的精神自体にも明らかな共通性がみてとれる。これはおそらく当時のブラジルと日本が、似たような地政的な状況に置かれていたことに起因するものであろう。すなわちブラジルも日本も19世紀に西欧の外圧を受けることにより、200年〜300年の長きにわたって閉ざしていた門戸を開け、突如すでに構築されていた地球規模的国際関係や西欧的知的枠組みに組み込まれ、新生近代国家として急速な近代化を進めざるを得なかったのである。いずれの作家もそうした激動の時代を生き抜き、その経験を各自の作品の中に描きこんだ。すなわち両者の文学はともに西欧から働きかけられた近代化の波に襲われた非西欧的周辺国で生まれたものなのである。このように考えれば、両者の文学の親和性は必然的な結果だということができる。以上は、11にある成果を通して明らかになったことである。
著者
柴田 勝征
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.436, pp.55-59, 2008-01-17

1980年代頃から、日本の青少年たちの間に、さまざまな異常な現象が報告されるようになった。先行研究事例を振り返ってみると、「分数ができない大学生」という形で学力低下問題が問題とされ、次に「オレ様化する子供たち」と言われる、目の前の事実を認めない中・高生の大量出現、ニート・引きこもり・パラサイト・「自分探し」などの深刻化、そして最近では「希望格差社会」「下流志向」など、「格差社会」との関連が強く意識されるようになってきた。発表者(柴田)は、福岡大学理学部での10年間の数学教育体験から、これらの現象に通底している根本原因が、「因果律が認知機能から欠損している」ことだという結論を得た。先行研究で報告された事例の本当の原因を再解釈し、社会的な理解と解決策を提案する。
著者
柴田 勝征
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.434, pp.55-59, 2008-01-17

1980年代頃から、日本の青少年たちの間に、さまざまな異常な現象が報告されるようになった。先行研究事例を振り返ってみると、「分数ができない大学生」という形で学力低下問題が問題とされ、次に「オレ様化する子供たち」と言われる、目の前の事実を認めない中・高生の大量出現、ニート・引きこもり・パラサイト・「自分探し」などの深刻化、そして最近では「希望格差社会」「下流志向」など、「格差社会」との関連が強く意識されるようになってきた。発表者(柴田)は、福岡大学理学部での10年間の数学教育体験から、これらの現象に通底している根本原因が、「因果律が認知機能から欠損している」ことだという結論を得た。先行研究で報告された事例の本当の原因を再解釈し、社会的な理解と解決策を提案する。
著者
柴田 勝
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.77-90, 1976-06-01

アカマツ,クロマツおよびその種間交雑種であるアカクロマツの分類指標には針葉の解剖学的特性が有効とされているが,それらの遺伝様式は像どんど解明されぬまま使用されてきた。これは材料が天然生であったことに起因するが,これでは分類の正確性と客鰯性に欠ける感がある。そこで材料,分類指標に工夫をこらして新しい分類方法に主成分分析を応用した。ここではダイアレル交雑種を材料にその針葉における16の解剖学・物理学的特性値を変数として使用した。n=30,p=16の相関行列から固有値,固有ベクトル,寄与率および因子負荷最を求めた結果,第3主成分までで寄与率83%を示し情報の大半が説明された。すなわち,第1主成分(2ユ)はアカ河ツ・クロマソ判定因子,第2主成分(Z2)は雑種性判定因子および第3主成分は伸張性に関する因子と考えられた。特性値の分類は因子負荷量を使いZ1.Z2について行なったが,伸び率を除く15特性値の寄与率はきわめて高くZ1,Z2でかたりの情報を提供した。特性値は明らかに4つの因子に分類され特に樹脂道型について新知見を得た。すなわち従来アカマツ型とされていた"外位"をII型、III型およびVI型の3タイプに細分することにより,n型は中間・クロマツ寄り雑種因子を,III型ですらアカマツ寄り雑種因子を示し,VI型のみがアカマツ因子であることがわかった。主成分スコアによる原種および雑種の散布図は特異たブーメラン形分布を示し21軸上では対称的た両親のほぼ中問に位置するアカクロマツが,Z2軸上では最高の値を示してその雑種性の高いことを反映した。特に注目すべき知見は針葉のある特性に母本効果が認められた点であり,針葉の内分泌器管に細胞質遺伝のあることが示され分類学,遺伝学上興味深い問題を提供Lた。以上のことより主成分分析は林木の雑種集団および系統・品種の分類学・遺伝学的研究にきわめて有効であることが示唆された。