著者
田中 愛治 河野 勝 清水 和巳 山田 真裕 渡部 幹 西澤 由隆 栗山 浩一 久米 郁男 西澤 由隆 長谷川 真理子 船木 由喜彦 品田 裕 栗山 浩一 福元 健太郎 今井 亮佑 日野 愛郎 飯田 健
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、全国の有権者から無作為抽出した対象者(サンプル)に対し、ノート・パソコンを用いた世論調査(CASI方式)を日本で初めて実施した。さらに、ノート・パソコンによるCASI調査に、認知心理学的視点を加えた政治経済学実験の要素を組み込み、実験を導入した世界初のCASI方式全国世論調査に成功した。これにより、政治変動をもたらす日本人の意志決定のメカニズムの解明を可能にし得る新たな研究を踏み出した。
著者
京井 尋佑 藤野 正也 栗山 浩一
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.245-250, 2019-09-25 (Released:2019-12-25)
参考文献数
17

Eco-labeling schemes have been practiced in Japan to support eco-friendly farmers. Many previous studies have examined consumer preference on rice with eco-labeling which certifies its cultivation method. Most of those investigations, however, cannot sufficiently consider the variation of consumer preference. The objectives of this study are (1) analyzing the consumer preference about information on cultivation method and farmer, considering preference heterogeneity and (2) discussing the character of each consumer preference group. To achieve our purposes, we had an online questionnaire including a choice experiment and conducted latent class model estimation. The main outcomes are as follows. First, consumer preference on cultivation method, rice brand, and information on the farmer are heterogeneous. Second, consumers are likely to prefer the information on the cultivation method to information on the farmer. These results suggest to current eco-labeling schemes the importance of targeting a particular consumer group and providing proper information to each consumer group. Our results also suggest that consumers who prefer the information on the farmer are potentially becoming purchasers of conservation-agricultural products.
著者
栗山 浩一
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.28-39, 2016

森林など自然資源に対する市民の要求が利用価値から非利用価値まで拡大したことで,森林の環境サービスの受益者は地域住民だけではなく一般市民にまで広がっている。本研究は,林業経済学分野における市民参加研究を展望するとともに,市民参加や受益者負担の事例を見ることで,自然資源管理に一般市民の意見を反映するための課題を明らかにする。市民参加に関しては,世界遺産に指定されている知床と富士山における訪問者管理を検討し,一般市民の意見を適切に管理計画に反映することの重要性を示した。受益者負担については,滋賀県造林公社の下流費用負担と神奈川県の水源環境保全税を市民の観点から分析し,一般市民の森林に対する要求の変化に対応可能な柔軟な費用負担制度が必要であることを示した。これまでの森林政策では消費者や市民などの需要サイドよりも林業関係者などの供給サイドが優先されていたが,今後は市民の視点から森林政策を評価することが必要である。
著者
栗山 浩一 庄子 康 柘植 隆宏
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>近年,複数の地域で国立公園指定や世界遺産登録が続いている。国立公園指定については,2014年3月慶良間諸島,2016年9月やんばる,そして2017年3月奄美群島国立公園が新たに指定された。一方,世界遺産については2013年に富士山が世界文化遺産に登録され,現在は奄美・沖縄が世界自然遺産への登録を目指している。こうした国立公園指定や世界遺産登録により観光地としての魅力度が高まり,観光客数が増加することが期待されている。本研究では,国立公園指定の前後の観光客の変化を分析し,国立公園指定が観光価値にどのように影響するのかを分析する。全国の一般市民を対象に国立公園の利用についてアンケート調査を2013年から継続して実施し,国立公園指定の前後における公園利用の変化をトラベルコスト法により分析した。その結果,国立公園の指定直後には影響は少ないものの,翌年から観光価値が上昇することが示され,国立公園指定が観光価値に大きな影響をもたらすことが分かった。また国立公園指定は指定された地域だけではなく,周辺の国立公園にも影響することが示された。この分析結果をもとに国立公園の魅力度を改善するための今後の課題について議論する。</p>
著者
栗山 浩一 庄子 康 柘植 隆宏
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

2013年6月,富士山が世界文化遺産に登録されたが,富士山の世界遺産登録は富士山のある富士箱根伊豆国立公園の観光利用に影響を及ぼす可能性がある。そこで,富士山が世界遺産に登録される前後の2012年から2014年の全国の国立公園の訪問行動を分析し,世界遺産登録が各国立公園の訪問行動にもたらした影響を評価することで,世界遺産登録の経済価値を分析する。過去1年間の国立公園の利用回数をたずねるアンケート調査をWeb調査により3年間実施した。3年間累計で7373人から有効回答が得られた。この訪問データをもとにクーンタッカーモデルを用いて分析したところ,富士箱根伊豆国立公園の訪問価値は2012年では一人あたり平均3736円,2013年では7326円,2014年では8218円と上昇傾向にあった。この訪問価値のうち世界遺産登録による影響をDifference-in-Difference推定量を用いて計測したところ,世界遺産登録価値は2013年では2621円に対して2014年では4281円と上昇し,2014年の訪問価値のうち約半分が世界遺産登録の効果であることが示された。
著者
栗山 浩一
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-2, 2018-03-25 (Released:2018-03-30)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

Experimental studies have been attracting much attention among agricultural and resource economists. This paper provides a type of the variety of experimental approaches in the literature and explores the key issues in application to regional agricultural and forestry economic studies.
著者
栗山 浩一
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.5-12, 2019-03-25 (Released:2019-03-30)
参考文献数
15

This paper considers the experimental analysis of the policy evaluation analysis in agricultural and environmental studies. First, the role of experimental analysis in the policy analysis is discussed. Experimental analysis requires randomization. However, for the agricultural policy analysis, it might be difficult to achieve assignment to treatment group randomly due to unfairness. Alternatively, hypothetical policy analysis using the stated choice and laboratory experiments are proposed. Second, the choice experiment study is considered to analyze the avoidance behavior of food risk after the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station. Experimental result shows that the radiation exposure via food consumption does not have an effect on the consumers’ choice behavior. It suggests that an appealing to the food safety aspect has less of an effect on the consumers’ choice behavior. Third, the effect of environmental policy in agriculture on farmers’ conservation behavior is analyzed using a laboratory experiment. Experimental result shows that the non-monetary support system has significant effect on conservation behavior in the early periods of the experiment. However, without compensation, most farmers stop the conservation activities in later periods. Finally, future research topics of the experimental studies for the agricultural and environmental policy analysis are proposed.
著者
庄子 康 栗山 浩一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.51-56, 1999-02-16
参考文献数
8
被引用文献数
2

自然公園における過剰利用は, 利用者の快適な利用を妨げるだけでなく, 景観や生態系に対しても悪影響を及ぼしている。本研究では利用料金の導入を取り上げ, その中でも利用者を抑制する効果について議論する。任意の協力金200円を導入している雨竜沼湿原を対象地として, CVM(仮想的市場評価法)を用いて協力金に対する支払意志額を推定し, これをもとに利用料金について考察を行う。支払意志額の質問方法には支払カード方式, 二項選択方式の二つの方式を用い, 比較を行った。推定結果は支払カード方式では中央値500円, 平均値453円, 二項選択方式では中央値2,186円, 平均値3,322円となり, 質問方法によって推定結果が大きく異なった。この原因には, 手掛りバイアスをはじめとするバイアスの存在が考えられた。さらに結果として, 利用料金の額と抑制効果の関係, 道外の訪問者・花の知識が多い人・協力金の存在を知っていた人の支払意志額が高いことが示され, この点から利用料金には過剰利用を抑制する効果がある一方, 問題点も存在し, 導入においては双方の事実を踏まえる必要があると考えられた。
著者
栗山 浩一 竹内 憲司 庄子 康 柘植 隆宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,世界自然遺産知床を対象として,環境政策が自然環境の保全と観光利用とのバランスを取るために有効に機能しているのか,経済学的な視点から分析を行った。2011年から知床五湖で運用が開始された利用調整地区制度が利用動態に及ぼした影響を分析するため,導入前後の利用動向を比較した。これを実験経済学におけるフィールド実験(自然実験)と位置付けることで,利用動態の変化から本制度の経済学的な評価を行った。
著者
栗山 浩一 北畠 能房 大島 康行
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.45-50, 1999-03-20
参考文献数
8

屋久島は樹齢数千年に及ぶ「屋久スギ」と多様な動植物が生息することから,世界遺産として登録されている。だが,登録地域は屋久島の一部に過ぎず,屋久島が世界遺産に登録されたことから訪問者が急増し,観光利用による生態系への影響が懸念されている。そこで本研究では,屋久島の生物多様性を将来まで残すことで得られる価値を評価し,屋久島の保護と利用のあり方を検討する。評価手法は,生態系価値を評価できる手法として注目されているCVM(仮想評価法)を用いた。CVMはアンケート調査により回答者の支払意志額をたずねることで環境価値を評価するため,アンケートのときにバイアスが生じる危険性があることが知られている。そこで,本研究では,4回のパイロットサーベイを行なった上で,全国規模の訪問面接アンケートを実施し,パイロットとファイナルサーベイの評価結果の比較を行なった。その結果,支払意志額(中央値)についてはパイロットサーベイとファイナルサーベイの評価結果は比較的接近しており,評価額の安定性という観点からは環境政策に適用しうる信頼性を持っていることが確認された。