著者
衛藤 恵美 今岡 信介 森 淳一 若林 秀隆
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.10-16, 2022 (Released:2022-08-25)
参考文献数
43

要旨:【目的】回復期リハビリテーション(以下,リハと略)病棟に入院した80歳以上の脳卒中患者の転帰に口腔機能がどのように影響するか明らかにする.【対象と方法】80歳以上の脳卒中患者241例を退院先が在宅か施設かで群分けし,基本属性,医学的属性,入院時および退院時の機能的自立度,口腔機能を後ろ向きに検討した.また転帰先への影響因子とカットオフ値を検討した.【結果】在宅群は,入院時ROAG得点は,有意に低値であり,入院時FIM運動項目,認知項目,退院時FIM総得点,FIM運動項目,認知項目は,有意に高値であった.多重ロジスティック回帰分析の結果,入院時ROAG総得点(オッズ比1.19)とFIM運動項目(オッズ比0.96)が在宅退院に影響を及ぼす関連要因として抽出された.またカットオフ値は,入院時ROAG総得点(≦13点)とFIM運動項目(≧30.1点)であった.【結論】入院時の口腔機能から,在宅退院が困難と予測される高齢脳卒中患者の抽出と目標設定に寄与する可能性がある.
著者
大森 淳郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.58-89, 2021 (Released:2021-04-20)

サイパン島陥落、フィリピン戦、特攻作戦、硫黄島玉砕、沖縄地上戦……。国民の間に厭戦気分が増大しかねない事態の中で、ラジオは敵愾心の振起、戦意の維持という使命を担っていた。日本放送協会はその使命にどう対応したのだろうか。 本稿では、電気通信を学ぶ高等学校生だった高橋映一が手作りの装置で録音した音源を手がかりに、太平洋戦争後期から末期にかけてのラジオ放送に焦点を当てる。 そして、太平洋戦争の敗北が決したとき、ラジオはその原因と責任の所在をどう国民に伝えようとしたのか、新資料から考察する。
著者
柿本 正憲 土佐 尚子 森 淳一 真田 麻子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.383-384, 1992-02-24
被引用文献数
2

顔の実時間表情合成の研究が盛んだが、筆者らは人間の感情モデルを導入し、人間の音声に対して、CGで作った赤ちゃんの表情とCDからサンプリングした赤ちゃんの声によって応答するシステム「ニューロベビー」を試作した。ニューロベビーに対し人間がマイクを通して呼びかけると、その声の調子に応じてニューロベビーが反応する。例えば人間が楽して声を出すとニューロベビーは笑った顔と笑い声によって反応する。怒った声を出すとニューロベビーも怒った声で反応する。
著者
大森 淳郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.2-26, 2021 (Released:2021-11-20)

敗戦を境にラジオはどう変わったのだろうか。そして何が変わらなかったのだろうか。 この問いに対しては、これまでGHQの情報・教育政策や放送法成立過程など、主に法制度史の側面から研究が重ねられてきた。本稿では、それらの先行研究を踏まえつつ、放送現場に軸足を置いて、より内在的な答えを探してゆく。 前編では、敗戦直後の混乱、虚脱状態を脱したNHKが、いわば「アメリカのラジオ」として形づくられてゆく過程を見てゆく。
著者
大森 淳郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.72-95, 2019 (Released:2019-03-20)

前編では、多田不二と西本三十二の自己形成と日本放送協会入局までを見てきた。 欧米列強の後を追うように帝国主義の道をつき進む日本を批判する詩を書いていた多田は、入局後も講演放送の制作に奔走しながら活発に詩作を続けていた。詩人であることと、協会職員であることの間に矛盾はなかった。 アメリカで進歩主義教育を学んだ西本は学究の道を歩み、ラジオ講演で国際平和について語ることもあった。逓信局によってラジオ講演が放送中止に追い込まれるという体験もしたが、関西支部(BK)の真摯な対応もあり、放送局への信頼を失うことはなかった。そして新しい教育を放送によって広めてゆきたいと考えた西本は、日本放送協会に入局し学校放送を立ち上げる。 多田と西本は、講演放送の現場で、また学校放送の現場で自己実現を果たしてゆくはずだった。だが、時代は大きく転換する。満州事変、日中戦争、そして太平洋戦争と続く戦争の時代、協会は軍・政府の宣伝機関として国民を戦争に動員することがその使命となっていった。その中で、多田と西本は組織人としてどう生きたのか、後編では2人の苦悩や葛藤を見据えながら戦時教養放送の実相を描く。
著者
愛場 庸雅 森 淳子 小島 道子 梶本 康幸
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.125, no.1, pp.43-49, 2022-01-20 (Released:2022-02-01)
参考文献数
14

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) では, 嗅覚障害, 味覚障害がよく見られる. その現状と病態を探るために, 2020年3月~2021年2月末までに大阪市立十三市民病院に入院した COVID-19 の中等症・軽症患者を対象として, 嗅覚味覚障害の頻度と転帰, およびその性別, 年齢による差について診療録に基づいて調査した. 嗅覚味覚障害の有無の評価が可能であった患者750名のうち, 嗅覚障害は208名 (27.7%), 味覚障害は216名 (28.8%) に見られ, うち181名 (24.1%) は嗅覚味覚両方の障害が見られた. 有症率に男女差はなかったが, 若年者では高く, 加齢とともに低くなっていた. 嗅覚障害患者の83%, 味覚障害患者の86%は, 退院までに治癒または軽快していた. 治癒に至るまでの平均日数は嗅覚障害9.4日, 味覚障害9.2日であった. 女性の改善率は男性よりやや低かった. COVID-19 の嗅覚障害は, 感冒後嗅覚障害と比較して, 年齢性別の頻度や改善までの期間が明らかに異なっているので, 両者の病態には違いがあることが推測された.
著者
高森 淳一
出版者
天理大学学術研究委員会
雑誌
天理大学学報 (ISSN:03874311)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.21-57, 2002

物語というメタファーから心理療法の諸相を顧みることが本稿の課題である。自己は物語的に展開する時間性と等価なものであり,心理療法の場で扱われる心理的問題も物語として理解されうることを示した。そして臨床場面でクライエントが治療者を聴き手として,自分自身を語ることが,いかに自己の主体性・能動性を恢復するよう寄与するかを論じた。一方,語りが孕む自己隠蔽性や自我防衛的側面を指摘し,語りのメタファーでは取りこぼされる,語り以前の体験や自己傾聴について合わせて論考した。また治療理論や文化・社会的文脈といった治療に作用する「物語」に関しても考察を加えた。
著者
柿本 正憲 土佐 尚子 森 淳一 真田 麻子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第44回, no.データ処理, pp.383-384, 1992-02-24

顔の実時間表情合成の研究が盛んだが、筆者らは人間の感情モデルを導入し、人間の音声に対して、CGで作った赤ちゃんの表情とCDからサンプリングした赤ちゃんの声によって応答するシステム「ニューロベビー」を試作した。ニューロベビーに対し人間がマイクを通して呼びかけると、その声の調子に応じてニューロベビーが反応する。例えば人間が楽して声を出すとニューロベビーは笑った顔と笑い声によって反応する。怒った声を出すとニューロベビーも怒った声で反応する。
著者
森 淳
出版者
滋賀大学
雑誌
滋賀史学会誌
巻号頁・発行日
vol.15, pp.54-73, 2007-02
著者
大森 淳郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.2-17, 2020 (Released:2021-04-16)

本稿では、戦時ラジオ放送におけるアナウンス理論に焦点を当てる。先行研究に共通する大きな見取り図は、主観を排して淡々とニュースを読む、善きものとしての「淡々調」が、太平洋戦争勃発とともに生まれた、主観を前面に押し出して読む、悪しきものとしての「雄叫び調」に取って代わられたというものである。しかし今回、これまでの定説とは異なる次の知見を得た。 ➀「淡々調」も、日中戦争勃発後には国民を戦争に誘導するために最適なアナウンス理論として位置づけられていたのであり、その点においては「雄叫び調」と同じであること。 ②これまで「雄叫び調」は、太平洋戦争開戦を告げる臨時ニュースから自然発生的に始まったとされてきたが、それはつくられた伝説であり、開戦前から理論構築されていたこと。 本稿では、当時のアナウンサーたちの内面に分け入りながら上記知見を明らかにしてゆく。内容ではなく話し方によって国民を戦争に動員する。それはどんな挑戦だったのだろうか。
著者
藤森 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

銅酸化物高温超伝導体の発見から36年を経て膨大な研究成果が蓄積されてきたが、未だに高温超伝導機構の解明に至っていない。機構解明の鍵を握るのが、超伝導ギャップより遙かに高温から開く擬ギャップの形成機構の解明である。近年、電子の分数化よる擬ギャップ形成機構が理論的に提案され有力視されている。本研究では、世界最高の分解能を持つ台湾放射光施設において共鳴非弾性X線散乱法を用いて、擬ギャップ状態を詳細かつ精密に特定し電子の分数化を検証する。
著者
清水 穂高 冨森 淳
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会誌 (ISSN:18822770)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.733-734,a2, 2017 (Released:2021-01-14)

農業農村工学(農業土木)を専攻されている大学生,または大学進学を控えて学部学科を検討中の高校生の皆さんに,ゼネコンの仕事の概要と魅力を紹介するとともに,建設業を取り巻く環境の変化に対し求められるイノベーションについて述べる。一般的な製造業との決定的な違いは「単品受注生産」という特性であり,1つとして同じものはない構造物を,数々の創意工夫と技術力で造り上げるのがこの仕事の面白さである。建設マーケットの変化,人口減少社会の到来,働き方改革など,外部環境の変化に柔軟に対応しながら,10年,20年先を見据えた新たな一手を打つ必要がある。培った知識や経験に新しい発想や新技術を加えて価値を創造し,ものづくりの最前線で社会に貢献する建設業を知っていただきたい。