著者
樋口 浩朗
出版者
山形大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

○研究目的:本研究目的は、東北地方の大学が設置形態を超えて連携・協同を強化し、適切な機能分化・役割分担を実現するのに貢献できる大学職員の職能開発について研究することだった。○研究方法:勤務先大学及び複数の他大学職員に適切な機能分化とその実現に貢献できる大学職員の職能開発の必要性についてインタビューを行った。また、東北地方を中心とする国公私立大学の職員35名からなる勉強会(第1回大学職員能力開発工房"シリウス")を開催した。○研究成果:東北地方の大学職員が「機能分化・役割分担」について学習する場を設けることにより、自発的・具体的な職能開発の取組が可能となった。具体的な成果物としては、上記勉強会の立ち上げと勉強会がまとめた東北地方における大学機能分化案があり、本案は文科省の国立法人支援課の要請により報告している。
著者
樋口 浩朗
出版者
山形大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

○研究目的:本研究は、山形大学のような地方国立大学において、職員が地域密着型のマネジメントを行うためには、どのような課題があり、どのような手法により能力開発すべきかを明らかにし、提言することだった。○研究方法:まず、マネジメントとは何か?地域密着型大学とは何か?について文献(ドラッカー氏の著作等)及び実地(広島大学、国立大学協会、公立大学協会等)調査を行った。それを踏まえ、本学の40歳以下の中堅・若手職員による勉強会を立ち上げ、上記課題の洗い出しを行うと共に、学長・理事との意見交換を通じ、本学に相応しい職員のトップマネジメント能力の開発について調査した。○研究成果:大学のトップマネジメントを支える職員には、大学(理念、機能等)と地域に関する基礎知識と学内外とのコミュニケーション能力が不可欠であることが明らかになった。なお、平成22年度は本研究成果を活用し、東北地方の国立大学との連携を深める。
著者
近藤 友大 雨宮 俊 香西 直子 緒方 達志 米本 仁巳 樋口 浩和
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業研究 (ISSN:18828434)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.59-66, 2021 (Released:2022-06-03)
参考文献数
21

生食用パッションフルーツの消費量が増加している.生食用果実には,低い酸含量と長い棚持ち期間が求められる.果実は成熟すると結果枝から脱落し落下する.落下が果実品質に及ぼす影響は明らかになっていない.収穫直後の果実を30,60,90,180 cmの高さから落とし,追熟後の果汁品質,棚持ち期間を落下させてない果実(0 cm区)と比較した.さらに,追熟中の呼吸速度,エチレン生成速度を測定した.90,180 cm区では酸含量が高く糖酸比が低かった.官能試験でも落下距離が長いほど酸っぱく感じられた.180 cm区では異味異臭が感じられた.180 cm区の30果のうち6果の果皮に亀裂が生じた以外は,外観の損傷はなかった.亀裂のある果実は亀裂のない果実よりも酸含量が低かった.60,90,180 cm区の果実の内部組織は損傷し,90,180 cm区では果実内部で果汁が仮種皮から漏出した.落下させた果実はカビにより棚持ち期間が短くなった.落下直後に呼吸速度が増加した.落下距離が長いほど落下直後の呼吸速度の増加は大きかった.落下させた果実の呼吸速度は落下から1~4日後に急激に減少した.6日後以降は落下距離が長い果実ほど呼吸速度が小さかった.0 cm区では収穫1日後にエチレン生成速度が増加したが,90,180 cm区では増加しなかった.追熟期間を通じて,90,180 cm区のエチレン生成速度は小さかった.落下距離が長いほど衝撃荷重が大きく,衝撃荷重が大きいほど追熟後の酸含量が高かった.以上から,収穫時の90 cm以上の距離の落下により果実品質が低下し,30 cm以上の距離の落下で棚持ち期間が短くなることが明らかになった.
著者
松田 大志 北村 葵 樋口 浩和
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業研究 (ISSN:18828434)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-7, 2019 (Released:2020-03-07)
参考文献数
22

京都大学内の温室で栽培しているレイシ6品種(‘Bengal’・‘Chakrapat’・‘Kwai May Pink’・‘Pot Po Heung[八宝香]’・‘Souey Tung[水東]’・‘Tai So[大造]’)を供試して果実品質を調べた.2014年および2015年に人工受粉をおこない,収量性を評価した.また,収穫した果実を種子の形態で3種類(正常・しいな・痕跡)に分けて品質を品種比較した.‘Pot Po Heung’で種子がしいなの果実の発生率がもっとも高く50%だった一方,‘Kwai May Pink’でもっとも低く10–20%だった.‘Chakrapat’では,種子がほとんどなく痕跡しかない果実が35–50%みられた.‘Bengal’で果皮の赤い着色がもっともよかった.種子が正常な果実では,‘Chakrapat’がもっとも大きく重さが平均で34–36gあり,ついで‘Bengal’で31–33gだった.‘Pot Po Heung’がもっとも小さく20g程度だった.しいなの果実では,‘Bengal’がもっとも大きく25g程度だった一方,‘Souey Tung’がもっとも小さく15g程度だった.種子が痕跡しかない‘Chakrapat’の果実は平均で13–15gだった.可食部の割合が‘Kwai May Pink’の果実でもっとも多く74–82%だった一方,‘Bengal’では可食部はもっとも少なく65–76%だった.‘Chakrapat’および‘Tai So’で果汁の糖度が低かった.‘Kwai May Pink’および‘Pot Po Heung’で果汁の酸含量が低かった.‘Kwai May Pink’の食味がもっとも優れ,ついで‘Bengal’が優れた.‘Chakrapat’および‘Tai So’は食味が果実によって大きくばらつき,劣るものもあった.種子がしいなや痕跡の果実でも,種子が正常な果実と食味は変わらなかった.‘Chakrapat’および‘Kwai May Pink’で収量性が高かった.‘Kwai May Pink’は果実の品質が優れ,どちらの年度も収量性が安定して高かった一方,‘Pot Po Heung’・‘Souey Tung’・‘Tai So’は品質が劣り収量性も低かった.
著者
岩尾 憲明 須波 玲 大森 真紀子 樋口 浩二 伏見 美津恵 中嶋 ゆう子 深澤 宏子 小笠原 英理子 小室 真祐子 奥田 靖彦 平田 修司 星 和彦
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.486-491, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

分娩時大量出血が生じた際に希釈性凝固障害,あるいは播種性血管内凝固症候群の併発が止血を困難にしている場合が少なくない.また,分娩時出血は外科的縫合だけでは止血できない特殊性もある.このような状況では血液凝固因子を速やかに止血可能域の濃度に上昇させて止血を図ることが最も重要である.そのためには新鮮凍結血漿だけでは不充分であり,凝固因子の濃縮製剤であるクリオプレシピテートを使用して急速に凝固因子を補充することが必要である.当院産科において分娩時に大量出血を生じた14症例(平均出血量5,005.6ml)に対してクリオプレシピテートを投与したところ,全例でフィブリノゲン値の速やかな上昇を認め,止血を得ることができた.大量出血による希釈性凝固障害で高度の低フィブリノゲン血症を生じた産科危機的出血に対してはクリオプレシピテートを併用した輸血療法が極めて有用であると考えられる.
著者
大宜見 朝栄 久保 芳文 樋口 浩 瀧川 雄一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.17-22, 1990-01-01
被引用文献数
3

沖縄, 鹿児島, 宮崎および高知県内のヒメユズリハの幹, 枝にこぶ(癌腫)を形成する新しい細菌による病害が発見された。こぶの大きさは, 小豆大から拳大で, こぶの表層は淡褐色ないし黒褐色で, 不規則な割裂を伴い粗造である。こぶ形成後の病徴の進展は, 枝幹をほぼ水平方向に巻く傾向がうかがわれた。こぶ組織から分離された病原細菌の細菌学的性質は, 木本植物にこぶ形成能のあるPseudomonas syringae VAN HALL の既知病原型にきわめて類似していた。しかし, 本菌はヒメユズリハにのみ病原性を有し, 宿主範囲が他の病原型とは明瞭に異なった。これらの結果からヒメユズリハのこぶ病菌をPseudomonas syringae pv. daphniphylli pv. nov. と命名し, 病名を新たにヒメユズリハこぶ病Bacterialgalldiseaseofhimeyuzuriha(Daphniphyllum teijsmanni ZOLL.)と呼称することを提案した。本菌のpathotype strainとしてDAT 1 (ATCC49211,NCPPB3617,1CMP 9757)を指定した。
著者
坂本 旬 山田 泉 村上 郷子 新井 紀子 菅原 真悟 御園 生純 シヤピロウ ノーマン・P シエラ オフマン・ガーシュ 樋口 浩明 TEP Vuthy 高木 勝正 重松 栄子 中村 優太 佐々木 順子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果は、(1)「NetCommons」による文化探究学習の有効性を検証し、(2)文化探究学習理論を活用した「異文化理解」に国連やユネスコによる「メディア情報リテラシー教育」に関する最新理論を融合した教材の作成とその実践を行ないつつ、(3)日本及びアメリカ、カンボジア、中国の初等・中等・高等教育レベルの学校・大学とのICTを活用した協働的な文化交流学習の有効性を実証したことである。本研究の総括として、国際シンポジウム「文化葛藤時代のメディア・リテラシー教育-国連『文明の同盟』と日本の実践・課題」を開催した。
著者
縄田 栄治 樋口 浩和 坂本 正弘 中西 麻美 小坂 康之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

現在、熱帯地域で急速に進行する経済発展とグローバリゼーションにより脅かされている、伝統的な植物資源利用を明らかにし、いくつかの植物資源をとりあげ、近年の分布域の変化、遺伝的多様性を明らかにすることを目的として4年間の研究を実施した。臨地調査により、伝統的な焼畑地では、休閑林の生態系が急速に変化しつつあること、ホームガーデンでは、種の多様性はある程度維持されているものの、利用に関する知識が失われつつあることが明らかになった。また、野生のマンゴーの利用は、東南アジア大陸部全域に広がり、今なお、多様な利用が見られるものの、地域差が大きいことが明らかとなった。