著者
池田 喬
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.69, pp.9-20, 2018-04-01 (Released:2018-08-01)
参考文献数
12

Suppose a male philosophy teacher states in the classroom: philosophy is not suitable for women. This paper examines reasons this statement is a morally impermissible harassment speech. First, it examines some characteristics of this speech such as lack of vicious intention on the side of speaker, based on which one could claim that the speech is unproblematic. In opposition to this claim, this paper argues that speaker’s intention is not relevant to the moral nature of harassment speech. It further points out that speech act theory offers useful methods to analyze the moral wrong of harassment speech, particularly based on the reason that this theory is capable of directly addressing the right and wrong of the speech itself, without referring to speaker’s intentions nor consequences of the speech, neither of which are likely not to be observed in trustworthy methods in cases of harassment. Second, I analyze the above statement as subordinating speech that ranks female students as inferior to male students in terms of capabilities regarding philosophical research. The analysis particularly pays attention to the move of conversation within the specific context of the classroom, and clarifies the normative power involved in this move that forces hearers to accept the belief women are inferior to men regarding philosophical abilities. Third, the paper focuses on silence of male students as a reaction to the teacher’s statement, and argues that it licenses this statement and reinforces the authority of the speech. Moreover, it is pointed out that third person’s statements such as “you worry too much” cause secondary damage in which the moral personality of harasser is defended, while the personality of victims is blamed Overall, the paper shows that seemingly unproblematic statements could be impermissible harassment speech, because they subordinate a group to other groups and are also unacceptable due to harms they cause.
著者
木村 正人 野矢 茂樹 早川 正祐 竹内 聖一 吉川 孝 古田 徹也 池田 喬 河島 一郎 星川 道人 島村 修平 筒井 晴香 八重樫 徹 萬屋 博喜
出版者
高千穂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

分析哲学者を中心に昨今注目を集めている共同行為論の諸理論について紹介・検討し、さらに現象学、社会学理論等による知見を加えて、共同行為の構成要件、共同行為特有の意図性の諸原理、還元主義アプローチの当否、共同行為論における因果的解釈の射程などについて明らかにした。若手研究者を中心として組織された「行為論研究会」は学問分野を越える各学会等で注目を集め、一般公開の研究大会において報告されたその成果は、雑誌『行為論研究』にまとめられた。
著者
早川 正祐 竹内 聖一 古田 徹也 吉川 孝 八重樫 徹 木村 正人 川瀬 和也 池田 喬 筒井 晴香 萬屋 博喜 島村 修平 鈴木 雄大
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、従来の行為者理論において見落とされてきた、人間の「脆弱性」(vulnerability)に着目することにより、自発的な制御を基調とする主流の行為者 概念を、より相互依存的・状況依存的なものとして捉え直すことを目的としてきた。その際、行為論・倫理学・現象学・社会学の研究者が、各分野の特性を活か しつつ領域を横断した対話を行った。この学際的研究により、個別領域にとどまらない理論的な知見を深め、行為者概念について多層的かつ多角的な解明を進めることができた。
著者
和泉 ちえ 森 一郎 飯田 隆 小手川 正二郎 秋葉 剛史 河野 哲也 笠木 雅史 池田 喬 鈴木 伸国 村上 祐子 大河内 泰樹 佐藤 靜 加藤 泰史 吉原 雅子 小島 優子 菅原 裕輝
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1.男女共同参画推進および若手研究者支援に関して先駆的取り組みを展開している英国哲学会理事のJoe Morrison博士を日本に招聘し,第76回日本哲学会大会ワークショップ「どう変わる!日本哲学会」(2017年5月21日,於・一橋大学)において啓発的な講演と率直な議論を重ねる機会を企画実践した。またMorrison博士によるレクチャーは,千葉大学,東北大学,京都大学においても開催され,幅広い層の研究者たちと共に議論を深めることができた。特に男女共同参画を確実に実践するために英国哲学会が策定した「Good Practice Scheme」について哲学的視点に基づく論拠をMorrison博士を交えて再検討する機会を得たことは有意義であった。日本の哲学分野における男女共同参画および若手研究者支援に関して,今後も英国哲学会と緊密に連絡を取り合いながら積極的に推進する方針が確認された。2.哲学分野で活動する若手研究者を対象に実施した大規模アンケート結果を分析・公表すると共に,諸方策について提言をとりまとめた。3.日本学術会議総合ジェンダー分科会と協力しながら,日本哲学会大会の時機に合わせた人文・社会科学系学協会男女共同推進連絡会の正式発足会合に向けて実質的な貢献を積み重ねた。また日本学術会議公開シンポジウムにおいても哲学分野における男女共同参画推進・若手研究者支援の取り組みについて報告と提案を行った。4.国際会議「ジェンダー研究と哲学史」(於・一橋大学)を共催開催した。5.若手研究者を対象にした査読論文指導ワークショップを開催した(於・立教大学)。6.日本全国の諸大学における哲学分野の専任教員ポストに関して調査を行った。7.日本哲学会の機関誌『哲学』第69号特別企画「ハラスメントとは何か?ー哲学・倫理学からのアプローチ」を取りまとめ諸論点を提起した。
著者
池田 喬
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究「オントロジカルな環境内行為論-ハイデガーの<行為>概念に基づく展開と構築」の最終年度にあたる平成二一年度には、本研究の三つの主要課題である(1)初期ハイデガー研究、(2)フッサールをはじめとする現象学研究、(3)認知科学の動向調査のそれぞれについて以下のような成果を挙げた。(1)初期ハイデガー研究についてはまず、本研究計画の柱であった本国での新資料整備という目的達成に向けて、初期講義録の一冊を翻訳・出版することができた(ハイデッガー全集58巻『現象学の根本問題』虫明茂との共訳)。また、初期ハイデガー研究の成果を活かした二本の論文が公刊された。まず、『存在と時間』の発話作用や言語行為の分析がもつ哲学的含蓄をアリストテレスの「声(フォネー)」の概念との比較検討の上で明らかにした論文が「現象学年報」に掲載された。この論文は本研究の目指す環境内行為論を特に言語行為論の面から展開したものである。さらに、行為者にとっての環境世界の実在性をめぐって、『存在と時間』第一篇の道具的存在性の議論を「存在者的実在論」として提示、その妥当性をハイデガーによるアリストテレス『自然学』の解釈から跡づける論文が「哲学・科学史論叢」に掲載された。この論文は、ハイデガーの環境内行為論がもつ存在論的主張を、ドレイファスやカーマンらの先行するハイデガー実在論研究への批判的取組みの中から最大限に引き出したものである。(2)フッサールをはじめとする現象学研究については、まず、日本現象学会第三一回大会にて英語で行われたシンポジウム「今日の世界の哲学状況におけるフッサール現象学の射程(邦題)」において、Sodertorns大学(スウェーデン)教授ハンス・ルイン氏と東洋大学講師武内大氏の発表に対するコメンテーターという立場で、フッサール現象学の今日的意義について発表・討議した。この発表では、ハイデガーの環境世界との関連の深い後期フッサールの生活世界論がもちうる反自然主義としての哲学的射程を主に論じた(その内容は次号「現象学年報」に掲載される)。また、フッサールに関する国内唯一の専門的研究機関である「フッサール研究会」の年報に、初期ハイデガーが環境世界体験や事実的生経験と呼んだものと『イデーンII』におけるフッサールの環境世界論の関係を明らかにする論文が掲載される。(3)最後に、認知科学の動向調査については、S.ギャラガーとD.ザハヴィという現在最も注目されている、現象学派の「心の哲学」論者による共著(The Phenomenological Mind : an Introduction to Philosophy of Mind and Cognitive Science)の翻訳に従事した(石原孝二監訳で勁草書房から出版予定)。