著者
野矢 茂樹
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.47-58, 2004-12-25 (Released:2009-05-29)

Fatalism or logical determinism says that the future is determined on a very logical ground. In this paper, examining the fatalist argument critically, I am going to show how we can avoid the fatalist thesis. Aristotle discussed this problem and came to the conclusion that some statements about the future are neither true nor false. Following his suggestion, I farther claim that the future does not exist. That is the reason why any proper name included in a statement about the future has no referent. Therefore, as Aristotle said, statements about the future have no truth value. In the latter half of this paper, I will consider some problems with my claim what does a statement about the future mean and how is the past related to the present?
著者
高橋 哲哉 山脇 直司 黒住 眞 北川 東子 野矢 茂樹 山本 芳久 古荘 真敬 信原 幸弘 石原 孝二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

旧約聖書の「殉教」物語の検討から、ユダヤ教的「殉教」観念が靖国思想に酷似した犠牲の論理から成り立っていること、キルケゴールがアブラハムによるイサク犠牲の物語に読みこんだ「悲劇的英雄」と「信仰の騎士」の区別は厳密には成り立たないことを確認した。ニーチェがナザレのイエスに見た「根源的キリスト教」は、罪からの解放のためにいかなる贖いも求めない「犠牲の論理なき宗教」だという結論を得た。
著者
野矢 茂樹
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.28-37, 2016-03-10 (Released:2021-04-17)

前半では私の哲学的立場である相貌論の輪郭を述べる。世界は相貌をもち、相貌は物語に依存する。そして私たちは一人ひとり異なる物語を生きている。この物語の重層性は相貌の重層性となる。それを私は世界の「ポリフォニー的構造」と呼ぶ。後半ではその哲学的背景のもとで相貌に注目した小説の読み方として「相貌分析」を提唱する。具体的に宮沢賢治の「土神と狐」を例に取り、相貌分析によってどのように読めてくるかを示したい。
著者
野矢 茂樹
出版者
岩波書店
雑誌
科学 (ISSN:00227625)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.321-323, 2001-04
著者
木村 正人 野矢 茂樹 早川 正祐 竹内 聖一 吉川 孝 古田 徹也 池田 喬 河島 一郎 星川 道人 島村 修平 筒井 晴香 八重樫 徹 萬屋 博喜
出版者
高千穂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

分析哲学者を中心に昨今注目を集めている共同行為論の諸理論について紹介・検討し、さらに現象学、社会学理論等による知見を加えて、共同行為の構成要件、共同行為特有の意図性の諸原理、還元主義アプローチの当否、共同行為論における因果的解釈の射程などについて明らかにした。若手研究者を中心として組織された「行為論研究会」は学問分野を越える各学会等で注目を集め、一般公開の研究大会において報告されたその成果は、雑誌『行為論研究』にまとめられた。

1 0 0 0 OA 規則と事実

著者
野矢 茂樹
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.81-86, 1985-03-30 (Released:2009-07-23)
参考文献数
15
著者
野矢 茂樹
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.47-58, 2004

Fatalism or logical determinism says that the future is determined on a very logical ground. In this paper, examining the fatalist argument critically, I am going to show how we can avoid the fatalist thesis. Aristotle discussed this problem and came to the conclusion that some statements about the future are neither true nor false. Following his suggestion, I farther claim that the future does not exist. That is the reason why any proper name included in a statement about the future has no referent. Therefore, as Aristotle said, statements about the future have no truth value. In the latter half of this paper, I will consider some problems with my claim what does a statement about the future mean and how is the past related to the present?
著者
野矢 茂樹
出版者
東京大学教養学部哲学・科学史部会
雑誌
哲学・科学史論叢 (ISSN:13446185)
巻号頁・発行日
no.3, pp.21-45, 2001

「正誤表」あり
著者
古荘 真敬 野矢 茂樹 信原 幸弘 高橋 哲哉 梶谷 真司 石原 孝二 原 和之 山本 芳久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「感情」現象をあらためて哲学的に吟味することを通して、倫理的価値の発生する根源的な場所を明らかにし、ひいては新たな価値倫理学の基礎づけを試みること、それが本研究の目標であった。われわれは、現象学、中世哲学、心の哲学、分析哲学、現象学的精神病理学、精神分析という、各研究分担者の専門的視座から持ち寄られたたさまざまな「感情」研究の成果を相互に批判的に比較検討することを通じて、人間存在にとっての感情現象の根本的意義(謎にみちたこの世界において行為し受苦するわれわれにとっての感情現象の根本的意義)を明らかにする多様な成果を上げることができた。これにより上記目標の核心部分は達成されたと言いうるだろう。
著者
今井 知正 村田 純一 黒住 真 門脇 俊介 信原 幸弘 野矢 茂樹 宮本 久雄 山本 巍
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

自然主義をめぐる哲学的思考の歴史的遺産を再検討したうえで、現代の哲学的自然主義をめぐる論争状況を直接に主題化し、根本的な論点について、各研究者がそれぞれの立場から検証作業を行なった。その結果、現代的な自然主義と反自然主義の対立を一挙に解消することはできないとしても、いくつかの重要な成果が得られた。(1)認識論的自然主義はアプリオリな知識を説明し得ないとされてきたが、暗黙的概念了解と想像による概念連結を根拠として、自然主義的立場においてもそうした知識が説明可能であるという見解が得られた。(2)色彩概念は長らく物理的説明に委ねられ哲学的アプローチに乏しかったが、現象学やウィトゲンシュタインの知見を参照することで、色彩概念が自然主義的還元を許さない多次元性をもつことが示された。(3)自然主義批判の立場はまた、哲学の基礎付け主義や強い意味での正当化要求と、極端な自然主義や懐疑論が裏腹の関係にあり、それらのいずれもが、人間の実践的世界における自由や合理性、真理や正・不正の経験の「内在性」に基づくことを示すことによっても展開できる。(4)ウィトゲンシュタインの後期哲学にも、通常の自然主義とは異なる、人間の「自然誌的」過程における実践に意味や規範の前提を求める「超越論的自然主義」が見られる。(5)日本思想史における「倫理」の位置づけ、現代世界における「公共哲学」の可能性などを問う中で、自然主義の限界を明らかにする作業も行なった。