著者
筒井 晴香
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.59-66, 2010-03-25

David Lewis's theory of convention is one of the most influential studies on convention. In this article, I will investigate the role of higher-order expectations (HOEs) in this theory. Each agent's HOEs of other agents' expectations and behaviors are a distinctive feature of Lewis's theory. Using Margaret Gilbert's argument, however, it can be shown that HOEs are not necessary for the emergence or continuation of convention. I will show that HOEs are indispensable for characterizing conventional actions as rational ones, referring to the idea of interpretationism in the philosophy of mind.
著者
須川 亜紀子 清水 知子 田中 東子 岩下 朋世 川村 覚文 筒井 晴香
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究では「2.5次元文化」(マンガ、アニメ、ゲームなどの2次元の虚構世界を、人間の身体を通じて3次元の現実に顕在化する文化実践―2.5次元舞台、声優/キャラクターコンサート、コスプレ等)とファンの共同体構築に関する調査を行った。これまで①現実・虚構・情報世界を経験することによりファンは「生産消費者」としてコンテンツに参加し、大きな影響を与えていること、②ファンは、「推す、好き」という「嗜好」によって接続され、「親密な他者」として共同体間の自由移動をしながら「弱い紐帯」を生成していること、③キャラクターと演じ手の重なりやズレを楽しむ「ごっこ遊び」の快楽が生まれることが析出された。
著者
筒井 晴香
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.59-66, 2010-03-25 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17

David Lewis's theory of convention is one of the most influential studies on convention. In this article, I will investigate the role of higher-order expectations (HOEs) in this theory. Each agent's HOEs of other agents' expectations and behaviors are a distinctive feature of Lewis's theory. Using Margaret Gilbert's argument, however, it can be shown that HOEs are not necessary for the emergence or continuation of convention. I will show that HOEs are indispensable for characterizing conventional actions as rational ones, referring to the idea of interpretationism in the philosophy of mind.
著者
早川 正祐 竹内 聖一 古田 徹也 吉川 孝 八重樫 徹 木村 正人 川瀬 和也 池田 喬 筒井 晴香 萬屋 博喜 島村 修平 鈴木 雄大
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、従来の行為者理論において見落とされてきた、人間の「脆弱性」(vulnerability)に着目することにより、自発的な制御を基調とする主流の行為者 概念を、より相互依存的・状況依存的なものとして捉え直すことを目的としてきた。その際、行為論・倫理学・現象学・社会学の研究者が、各分野の特性を活か しつつ領域を横断した対話を行った。この学際的研究により、個別領域にとどまらない理論的な知見を深め、行為者概念について多層的かつ多角的な解明を進めることができた。
著者
木村 正人 野矢 茂樹 早川 正祐 竹内 聖一 吉川 孝 古田 徹也 池田 喬 河島 一郎 星川 道人 島村 修平 筒井 晴香 八重樫 徹 萬屋 博喜
出版者
高千穂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

分析哲学者を中心に昨今注目を集めている共同行為論の諸理論について紹介・検討し、さらに現象学、社会学理論等による知見を加えて、共同行為の構成要件、共同行為特有の意図性の諸原理、還元主義アプローチの当否、共同行為論における因果的解釈の射程などについて明らかにした。若手研究者を中心として組織された「行為論研究会」は学問分野を越える各学会等で注目を集め、一般公開の研究大会において報告されたその成果は、雑誌『行為論研究』にまとめられた。
著者
筒井 晴香
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.252-263, 2022-11-01 (Released:2022-11-14)
参考文献数
11

This paper provides an overview of the outline and current status of automated driving (AD) technology, and presents possible future issues for ELSI of that.First, an overview of AD, the background for social implementation, the aims, and the current status of social implementation is presented.Next, two reports on the ethics of AD published in Europe are introduced.Based on the above, several future issues are presented. First, I review the "E," "L," and "S" aspects of AD on responsibilities in an accident. Then, I hold that it is necessary not only to make adjustments for the acceptance of AD into society, but also to consider the necessity of its acceptance. Furthermore, I hold that the ELSI study of AD will lead to a reexamination of the automobile transportation system. Finally, I introduce a research project in Japan that are working on the ELSI of AD.
著者
筒井 晴香
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、R・G・ミリカンの哲学を手掛かりとして人間の自然的側面と文化的側面の関係を解明する統一的理論を構築することである。とりわけ、ミリカンの議論のうちでも未だ注目されることの少ない慣習(convention)についての分析に注目してきた。本年度は以下に挙げる二点の課題に取り組んだ。それぞれを基礎的・応用的課題として位置づけることができる。まず、基礎的課題として、慣習論における重要な基礎概念である共通知識(common knowledge)概念の精査を行った。共通知識は慣習論において基礎概念としての役割を果たしているが、この概念自体、必ずしも自明なものではなく、慣習論の文脈とは独立に議論の対象となっている。慣習概念の分析、ないし、共通知識概念を必要としない慣習概念であるミリカンの「自然的慣習(natural convention)」概念の評価に当たっては、共通知識に関する考察を深めることが不可欠である。この考察の成果は海外学会において発表した。また、現在執筆中の博士論文の一部を構成するものとなっている。次に応用的課題として、昨年度より取り組み始めたセックス/ジェンダーの脳神経倫理学に引き続き取り組んだ。セックス/ジェンダーに関連する脳の差異や特徴をめぐる科学研究と社会との関係において生じうる諸問題には、人間の自然的側面と文化的側面の双方が複雑な仕方で関わっている。本年度は性同一性障害という具体的な事例に焦点を当てた考察を行うとともに、脳科学リテラシーに関する話題の一環として国内学会でのワークショップにおける問題提起を行った。また、脳神経倫理学を専門とする国際学会においても発表・議論の場を得た。