著者
渡辺 博明
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-25, 2005 (Released:2018-10-01)

スウェーデンでは、1920年代以降、最大勢力の社会民主主義を中心に、共産主義、保守主義、自由主義、農民勢力のそれぞれの政党からなる5 党制の時代が長く続いた。 しかし、1980年代末から新党の参入が相次ぎ、長期安定を誇った同国の政党システムにも明確な変化が表れた。 その背景には、政党支持構造の流動化と政治的争点の多様化があった。他方、そうした変化が進む中でも、主要政党が左派と右派に分かれて対峙する「ブロック政治」の枠組みは、双方に新たな政党を加える形で存続し、それと結びついた社民党の優位も続いている。こうしたことから、スウェーデンの政党システムについては、時とともに不安定化要因を多く抱え込みながらも、今までのところ、包括的な対抗軸に基づいて作動する従来の形態が辛うじて維持されているといえる。

1 0 0 0 OA 書評

著者
渡辺 博他
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.117-124, 2001-11-10 (Released:2009-05-29)
著者
村越 友紀 望月 善子 渡辺 博 稲葉 憲之 Yuki Murakami Yoshiko Mochizuki Hiroshi Watanabe Noriyuki Inaba
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.87-94, 2011-03-25

10 代妊娠を「防ぐべきである」という視点ではなく,出産を目指す10 代妊婦に共感し,母性意識の発達を促し,セルフケアできるよう援助していくための方法を探索することを目的として,1998 年から10 年間に当センターで出産した10 代妊婦138 名を対象に承諾を得た85 名に対し,アンケート調査を実施した (回収率45.9%).妊娠時の心境としては妊娠を肯定的に受け止めていた者が76.9%であったが,出産時には92.3%と増加していた.現在の相談相手は母親,夫,友人であり,育児,金銭面の相談が主であったが,相談相手すらいない状況下,一人で育児を行っている者もいた.10 代での妊娠出産をよかったと71.8%が判断していたが,10 代出産のデメリットは経済的不安,知識の少なさが挙げられた.思春期には性行動,妊娠,出産そして育児など長いスタンスの知識提供と現況を把握理解した上での支援体制が必要と考える.
著者
寺野 寿郎 増井 重弘 寺田 達矢 渡辺 博明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.375-385, 1993-04-15
被引用文献数
5

画像処理の研究は非常に多いが, その大部分はパターン認識, 輪郭線検出, ノイズ除去, 二次元画像の三次元化など記号的な処理にとどまっており, 画像の持つ情報内容に立ち入った研究は少ない.マルチメディアの問題など考えると, 今後は画像情報の意味論的な処理が重要になると思われる.人間と画像のコミュニケーションのうち, 画像から人間へのインパクトは心理学などで多少研究されているが, 人間が心中に抱くイメージを画像に伝えて表現する研究はほとんど行われていない.本論文はその第一歩として無着色の風景画に人間の季節イメージに合った着色を施すことを試みた.イメージは抽象的なものなのでそのままではコマンドにならない.また, 色というものは物理量であるとともに心理的な量でもあるので数式的扱いは困難である.そこで, まず, 四季の色彩イメージを言語で表現することを試み, つぎにそれをRGBに変換するルールを作ってCRT上で実現させた.これらのルールに現れる変数はいずれも感覚的・定性的なものなので、ファジィ集合で表すことによって微妙な着色が可能になった.さらに, 基本着色ルールに加えて, 季節や時刻が標準状態から外れた場合の調整ルールを作成し, ファジィ推論によって季節の中間や夕暮れ時のイメージを実現させた.これらルールによって数種類の風景画を着色してみたが, いずれの場合もほぼイメージに合った彩色をさせることができた.
著者
渡辺 博明
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-25, 2005

スウェーデンでは、1920年代以降、最大勢力の社会民主主義を中心に、共産主義、保守主義、自由主義、農民勢力のそれぞれの政党からなる5 党制の時代が長く続いた。 しかし、1980年代末から新党の参入が相次ぎ、長期安定を誇った同国の政党システムにも明確な変化が表れた。 その背景には、政党支持構造の流動化と政治的争点の多様化があった。他方、そうした変化が進む中でも、主要政党が左派と右派に分かれて対峙する「ブロック政治」の枠組みは、双方に新たな政党を加える形で存続し、それと結びついた社民党の優位も続いている。こうしたことから、スウェーデンの政党システムについては、時とともに不安定化要因を多く抱え込みながらも、今までのところ、包括的な対抗軸に基づいて作動する従来の形態が辛うじて維持されているといえる。
著者
渡辺 博明
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-74, 2007

スウェーデンの環境党は支持率5 %前後の小政党であるが、1998年から2002年までの2期8年にわたって閣外協力の形で社民党政権を支え、その影響力は無視できないものとなっている。環境党は88年に議会進出を果たした当初、他党との協力の可能性を否定していたが、やがて社民党との交渉を通じた政策決定への関与を模索するようになり、98 年選挙で「要政党」 となると閣外協力に踏み切った。かつて圧倒的な優位を誇った社民党の勢力に翳りが見え始め、同党と環境党および左翼党との協力が進むと、他方で保守・中道4党も、従来には見られなかった周到な協力体制の構築によって政権奪取を目指し始めた。左右二大陣営間のバランスの変化が環境党の議会政治戦略の変化につながった一方、同党が「左派ブロック」入りしたことで、今日のスウェーデンの政党政治において、多党化と政党支持構造の流動化にもかかわらず、「ブロック政治」の作用が強まることとなった。
著者
田中 良樹 河野 広隆 渡辺 博志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.739-756, 2006 (Released:2006-11-20)
参考文献数
53

実構造物におけるエポキシ樹脂塗装鉄筋(ECR)の防食性能を把握するため,発錆限界塩化物イオン量の視点から,北米の各州で実施された実態調査の結果を収集,再分析した.凍結防止剤散布による床版中のECRの腐食は,コンクリートのひび割れ,ECRの塗膜剥離の有無にかかわらず,ECR周囲の塩化物イオン量にある程度依存すること,ECRの発錆限界塩化物イオン量は普通鉄筋よりも大きいことがわかった.また,フロリダ沿岸部で早期劣化が見られた橋脚群におけるECRの腐食事例でも,かぶりコンクリートの低い塩分浸透抵抗性などの理由によりECRの周囲に多量の塩化物イオンが存在していた.ECR周囲のコンクリート中の塩化物イオン量をECRの発錆限界値以下に抑制することによって,沿岸部橋脚にもECRを効果的に適用できることがわかった.
著者
佐藤 好範 関根 邦夫 渡辺 博子 大橋 裕美子 青柳 正彦 三之宮 愛雄 西牟田 敏之
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.276-281, 1997-12-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11

テオフィリン (TP) は, 気管支喘息治療薬として主要な薬剤の一つである. しかし, TPの代謝, クリアランスは種々の条件により影響を受け中毒症状を来しやすいことが知られている.今回我々は, 診断が明らかなインフルエンザウィルス (Inf) 感染時の, TPクリアランスの変化を経時的に検討した. その結果, 発熱に伴いTP血中濃度は約2倍に上昇し, クリアランスは2分の1に低下した. この変化は解熱後3日目に平常に戻った. またTP代謝産物の検討から発熱時にTPの代謝が抑制されている可能性が示唆された. Inf感染時には, 発熱と同時にTPの投与量を1/2に減量し, 解熱後3日目より, もとの投与量に戻すことによって, TP中毒を予防できうるものと考えられた.
著者
渡辺 博巳 宮崎 聖 藤井 知生
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.1193-1200, 1990-11-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
7
被引用文献数
5 14

A inverter-fed permanent magnet synchronous motor with a rotor position sensor and a speed sensor is used in many industrial applications as a DC-brushless motor. In this paper, a strategy which determines the rotor position and the speed of the permanent magnet synchronous motor by using the instantaneous values of phase voltage and phase current sensing is explained.In a permanent magnet synchronous motor, the permeance of the stater magnetic circuit is altered by rotating the rotor position; the inductance of a phase winding changes according to rotor positions. Hence, the phase voltages and currents of the motor have close relations with the rotor positions. Measured values of phase voltages and currents and the values of the equivalent circuit parameters are substituted to the voltage equation of the synchronous motor. Then, we can calculate the value of the rotor position angle by that voltage equation. The rotating speed of the rotor can be calculated from the voltage equation by substituting the rotor position angle. In these calculations, we used a 16-bit micro-computer and a DSP, and for sensing phase voltages and currents, 12-bit high quality A/D converters are used.Experimental results obtained by using the prototype system were congruous values of the rotor position angles and the rotating speed.
著者
渡辺 博
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.59-76, 1997-11-10 (Released:2009-05-29)

I attempt in this paper to survey the classical features which lie in the concept and methodology of the Newtonian science. To this end I summarize the concept of science in the Aristotelian philosophy, and utilize several recent results in the Newtonian scholarship.
著者
渡辺 博
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-15, 1995-11-15 (Released:2009-05-29)

The science of chaos, as a new breed of science, has many features which are not common among modern studies in science. Its subject, chaos, has no clear definition, but its mathematical 'paradigms', i.e. some nonlinear equations, whose solutions share unique intricate patterns, seem to be in many ways revealing hitherto unexpected aspects both of the world and of many researches into it. It is examined in this paper what constitutes the ontological status of mathematical models which would be necessary for the unconditional acceptance of these aspects as genuine ones. The likely physical meaning of nonlinearity, and what it might enable one to explain are also envisaged.
著者
渡辺 博明
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.2_80-2_99, 2015 (Released:2018-12-15)
参考文献数
26

本稿は, スウェーデンの民主政治における代表と統合の変容を, 政党政治の変化から論じるものである。従来の同国政治の特徴は, 議院内閣制の中でも特に 「委任―責任」 関係が単純化された制度設計になっていることと, 多党制でありながら 「ブロック政治」 や 「消極的議院内閣制」 の慣行により少数派政権でも意思決定を進めやすいことにあった。そして, それらを結びつけて機能させていたのが, 職能的ないし思想的に社会集団を代表しつつ, 議会内では合意形成を目指して合理的に行動しうる諸政党であった。しかし, 高度経済成長を経て有権者の政党支持が流動化するとともに, 予算編成方式の変更を機に政党側の多数派形成志向が強まり, ついには左右の選挙連合が対決するに至った。そこでは各党の政策距離が縮小する中, 有権者が政権選択のみを迫られる傾向が強まった。その一方で, 移民政策をめぐる既成政党の対応を批判する右翼ポピュリスト政党が台頭し, 議会政治に大きな影響を与えるまでになっている。今日のスウェーデンは, 選挙制度を含む諸制度への支持の安定という点で直ちに統合の危機に陥る恐れはないものの, 政党による代表と調整の機能が問い直される局面を迎えている。