著者
江玉 睦明 大西 秀明 久保 雅義 熊木 克治 影山 幾男 渡辺 博史 梨本 智史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】長母趾屈筋の停止部位に関しては多くの報告がなされており,長母趾屈筋が第II趾,第III趾に分岐するものが最も多く,今村ら(1948)は64%,川島ら(1960)は49%,Chelmer et al.(1930)は62%であったと報告している。また,今村ら(1948)は長母趾屈筋が母趾末節骨のみに停止する例は0%,Chelmer et al.(1930)は0.5%であったと報告している。このように停止部位に関しての報告は多数認められるが,長母趾屈筋が足趾の屈曲にどの程度関与しているかは検討されていない。Fukunaga et al.(2001)は,筋力や筋パワーは筋の解剖学的断面積より生理学的断面積と比例し,筋の体積は生理学的断面積と高い相関関係にあると報告している。また,佐々木ら(2012)は,下腿三頭筋の体積とアキレス腱横断面積には有意な相関関係があることを報告している。従って,足趾へ分岐する長母趾屈筋腱の横断面積を計測することで長母趾屈筋の足趾屈曲作用を定量的に検討することができると考えられる。そこで本研究では,長母趾屈筋腱を母趾と足趾に分岐する腱に分け,それぞれの横断面積の割合から長母趾屈筋がどの程度足趾の屈曲に関与しているかを検討することを目的とした。【方法】日本人遺体13体21側(平均年齢:75±11歳,男性:17側,女性4側)を用いた。足底部より皮膚,皮下組織を除去し,長母趾屈筋,長趾屈筋の停止腱を丁寧に剖出した。次に,長母趾屈筋が母趾へ向かう腱と足趾へ向かう腱に分岐した部分で各腱を横断した。また,足趾の屈筋腱(長趾屈筋,足底方形筋,長母趾屈筋が合わさった腱)をII趾~V趾の基節骨部で横断した。そうして各腱の断面をデジタルカメラ(Finepix F600EXR,Fujifilm)にて撮影し,画像解析ソフト(Image J, NIH, USA)を使用して横断面積を計測した。長母指屈筋腱において,母趾・第II~第V趾に分岐する腱の横断面積の総和を長母指屈筋腱の総横断面積として各腱の割合を算出し,更に第II~第V趾の屈筋腱に対する長母趾屈筋腱の割合を算出した。【倫理的配慮,説明と同意】死体解剖保存法と献体法に基づき本学に教育と研究のために献体された遺体を使用した。また,本研究は所属大学倫理委員会にて承認を受けて行われた。【結果】長母指屈筋が母指末節骨のみに停止する例は存在せず,長母指屈筋からの分束(外側枝)が腱交叉部(足底交叉)から分かれて長趾屈筋の腱構成に加わった。その内,外側枝が第II指へ分岐するものが6例(29%),第II・III指へ分岐するものが11例(52%),第II・III・IV指へ分岐するものが4例(19%)であった。長母趾屈筋腱は,母趾へ向かう腱が65±14%,第II趾が23±6%,第III趾が9±9%,第IV趾が3±5%の割合で構成されていた。足趾の屈筋腱における長母趾屈筋腱の割合は,母趾・第II趾へ分岐するものでは,第II趾では36±3%であった。母趾・第II・III趾に分岐するものでは,第II趾では55±5%,第III趾では46±3%であった。母趾・第II・III・IV趾に分岐するものでは,第II趾では67±28%,第III趾では34±12%,第IV趾では30±2%であった。【考察】長母趾屈筋の停止部位に関しては,第II・III趾へ分岐するものが52%で最も多く,長母趾屈筋が母趾のみに停止するものは存在せず,先行研究とほぼ同様の結果であった。長母趾屈筋腱は,分岐状態にかかわらず約60%が母趾に停止する腱で構成され,第II・III・IV趾に分岐する割合は,それぞれ23%,16%,10%と減少していく傾向であった。しかし,第II・III趾の屈筋腱における長母指屈筋腱の割合は,概ね30%~60%を占めていた。従って,停止部位と横断面積の割合から考えると,長母趾屈筋の主作用は母趾の屈曲であり,第II・III趾の屈曲が補助作用であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果は,長母趾屈筋の足趾屈曲作用を考える上で貴重な情報となり,臨床的応用も期待できる。
著者
渡辺 博巳
出版者
パワーエレクトロニクス学会
雑誌
パワー・エレクトロニクス研究会論文誌 (ISSN:09167269)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.136-143, 1994-10-13 (Released:2010-03-16)
参考文献数
20

An inverter-fed squirrel cage rotor three phase induction motor with a speed sensor is used in many industrial applications as actuating motors of variable speed servo-systems. However, speed sensors cause problems in the system, reduce the reliability of the system, and increase the cost of the system. In this paper, many methods which determine the rotating speed of these induction motors by using the motor parameters, the instantaneous values of phase voltages and phase currents sensing are explained. And the point at issue of the each sensorless systems are summarized put in order.
著者
石井延久 渡辺 博幸 入沢 千晶 菊地 悦啓 川村 俊三 鈴木 騏一 千葉 隆一 常盤 峻士 白井 将文
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.954-962, 1986
被引用文献数
5

従来より,我々は器質的インポテンスの治療に陰茎プロステーシスの挿入手術を行っていた.しかし,我国では陰茎プロステーシスの挿入手術を希望する患者は実際には余り多くないことから,非観血的な方法が望まれていた.そこで我々は強力な血管平滑筋の弛緩作用を有するProstaglandin E_1(PGE_1)の陰茎海綿体注射が器質的インポテンスの治療に応用できるか否かを検討した.方法は22〜27Gの細い翼状針を用いて,2〜20mlの生理的食塩水に溶解したPGE_1 20μgを注入し,その前後の変化を陰茎温度とErectiometerで観察した.動注は血管カテーテルを用いて生理的食塩水20mlに溶解したPGE_1 20μgを注入した.結果はPGE_1を陰茎海綿体に注射した71例のうち,51例(72%)に完全勃起がみられた.のこる9例(13%)は不完全な勃起,6例(8%)は陰茎の増大のみ,5例(7%)は全く変化がみられなかった.完全勃起はPGE_1注射後2〜3分で陰茎の増大がおこり,約2〜3時間持続した.PGE_1により殆ど勃起のおこらない症例は高齢者や陰茎海綿体の萎縮,血管障害の疑われた症例に多くみられた.しかし,骨盤内手術など末梢神経障害や脳・脊髄など中枢神経に器質的障害のある症例でも,PGE_1の陰茎海綿体注射により,性交可能な勃起がみられたことから,今後はPGE_1の器質的インポテンスヘの治療に応用できることがわかった.一方,PGE_1の陰茎海綿体注射により完全勃起のおこらない骨盤骨折1例と糖尿症の2例の内陰部動脈造影を行ったところ,骨盤骨折症例では内陰部動脈の損傷があり,陰茎動脈は造影されなかった.この症例は血管性のインポテンスの合併があり,PGE_1の内陰部動脈へ注入によっても陰茎の温度は余り上昇せず,勃起も回復しなかった.しかし,糖尿病の2例はいずれも陰茎動脈まで造影され,PGE_1の動注により陰茎の温度の上昇がみられ,一過性ではあるが勃起の回復がみられた.このことから,PGE_1の動注が静注など投与方法を工夫することにより,将来血管性インポテンスの治療に応用できるようになるのではないかと期待される.
著者
志賀 栄文 渡辺 博芳
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-133, no.15, pp.1-8, 2016-02-06

高等学校において自主学習の習慣を持たない生徒が増えてきている.そこで,生徒が学習目標を達成するとともに,学習の自己管理を身に付けることができるような授業を行うことが重要となる.本研究では,プロジェクトマネジメントの手法を参照して,生徒が自主学習の管理を行う授業方法を提案する.具体的には,生徒へ自主学習計画案を提示し,それに沿った形での計画的学習を実施しながら,実際の学習計画に対する実績の振り返りを行い,計画の見直しや再学習計画の有無を確認し対処した上で,次の計画的学習へ取り組みを進めることを目指す.この学習サイクルの管理をガントチャートや進捗会議を通して,目標達成までの自主学習の取り組みの把握ができるよう授業の設計を行った.この授業設計に基づいて,2014 年度から 2015 年度に改善をしながら,授業実践を行い,その効果を検証した.
著者
渡辺 博明
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.32-43, 2010

2006年のスウェーデン選挙は,3期12年ぶりの政権交代によって注目された。その際,中道右派4党の勝利を可能にしたのは,前例のない周到な選挙協力であった。本稿では,(1)それに先立つ社民党政権期に,連立政権ではなく文書化した政策合意に基づいて多数派を確保しようとする「契約主義的議会政治」が現れたこと,(2)それが右派の結集を促し「選挙連合の政治」を生んだこと,(3)2006年での右派の勝利が今度は左派3党を次期選挙に向けた事前協力に踏み切らせたこと,を見ていく。その上で,選挙を前に左右両陣営が政権構想を固めて有権者の支持を奪い合う現在の状況は,同国の伝統的な「ブロック政治」の枠組みを越え出るものであることを指摘し,政党自身の変化や有権者の投票行動の変化にも言及しながら,この10年余りの間に同国の政党政治と選挙をめぐって構造変動が起きていると結論づける。
著者
渡辺 博芳 高井 久美子
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.64-74, 2015-12-09

情報基礎科目において,簡単なWebサイト構築の学習を対象として,反転授業を実践した.この反転授業は,(a)事前学習は講義ビデオを用い,授業時間内に講義はいっさいしない,(b)授業はコンピュータ教室で行い,授業の最初に提示された課題に各自が取り組む,(c)事前学習に取り組んでこなかった学生は,授業中に講義ビデオを視聴するところから学習活動を開始するという形で実践した.従来の授業時間中に講義を行う方法での授業実践と比較して,課題の平均得点と修得試験の平均得点が有意に高く,我々の実践した反転授業が効果的であることを示した.
著者
渡辺博義
雑誌
整スポ会誌
巻号頁・発行日
vol.11, pp.293-295, 1992
被引用文献数
5
著者
渡辺 博芳
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.555-555, 2016-05-15

能動的学習への転換と情報教育の充実は若い世代のため,将来の我が国のために重要な「教育改革」である.これらを進めることは「大人の責任」と言えよう.
著者
丁 海文 河野 広隆 渡辺 博志 鈴木 雅博
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1117-1122, 1999-06-21
被引用文献数
1 4

自己収縮の温度依存性を調べるために高温の一定温度養生の供試体と水和熱による温度履歴を受けるコンクリートブロック供試体で検討を行った。自己収縮ひずみは各温度履歴に対し依存する傾向を示した。始発から一定温度で養生した条件では養生温度が高くなるほど初期の膨張が大きく,自己収縮の終局値は小さくなる傾向を示した。また,水セメント比が小さくなるほど高温の影響が大きかった。ブロック供試体は水和熱による高温の温度履歴にもかかわらず初期の膨張がなく,自己収縮も大きくなった。自己収縮ひずみのマチュリティによる表現は難しいと考えられた。
著者
渡辺 博芳 東野 長生 渡辺 保之 枝野 龍之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.245-246, 1991-02-25

金型の設計は熟練を必要とする作業であり、若年設計者が複雑な金型の設計に対応することは困難である。一方、熟練設計者の高年齢化に伴い、ノウハウを何等かの方法で企業内に蓄積しなければならないというニーズもある。そこで、経験の浅い設計者でも容易に金型の設計が行えるようなプレス金型設計支援用のエキスパートシステムを開発している。本稿では、金型設計における後半部である工程別の金型仕様の設計について、構築方法を中心にその概要を述べる。