著者
小野塚 知二 藤原 辰史 新原 道信 山井 敏章 北村 陽子 高橋 一彦 芳賀 猛 宮崎 理枝 渡邉 健太 鈴木 鉄忠 梅垣 千尋 長谷川 貴彦 石井 香江 西村 亮平 井上 直子 永原 陽子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

野良猫の有無とその消滅過程に注目して、人間・社会の諸特質(家族形態、高齢化態様と介護形態、高齢者の孤独、猫餌の相対価格、帝国主義・植民地主義の経験とその変容、動物愛護思想、住環境、衛生意識、動物観など、従来はそれぞれ個別に認識されてきたことがら)を総合的に理解する。猫という農耕定着以降に家畜化した動物(犬と比べるなら家畜化の程度が低く、他の家畜よりも相対的に人間による介入・改変が及んでいない動物)と人との関係を、「自由猫」という概念を用いて、総合的に認識し直すことによって、新たに見えてくるであろう人間・社会の秘密を解明し、家畜人文・社会科学という新しい研究方法・領域の可能性を開拓する。
著者
渡邉 健太郎 遠藤 涼平 岩田 伸一郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.87, no.800, pp.1900-1909, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
9

This study clarified the train user’s tendency of smartphone use while walking from the station’s ticket gate. The walkers who had a smartphone in hand at the ticket gate and had waited over 40 seconds at the stoplight tend to do the act. The presence of other walkers in personal space is the continuation factor of the act, but not the starting factor. The act occurs easily at the places which are within 200m from stay place, because smartphone users can’t stop promptly the operation which was started at the stay place and they can find guides easily.
著者
渡邉 健太郎 滝田 順子
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.370-375, 2019 (Released:2020-02-07)
参考文献数
22

高リスク神経芽腫の予後は現在の集学的治療をもってなお不良であり,また濃厚な治療による合併症も多く見られることから,基礎研究による新規治療の創出に対する要望は大きい.しかし,従来のドライバーとなる遺伝子異常を発見する戦略では,特に神経芽腫に対しては発展に限界がある.一方で,近年がん細胞には特有の細胞内代謝のパターン,すなわち「がん代謝」とよばれる特徴があることが注目されている.がん代謝はがん細胞の性質を規定するのみならず,その過剰な最適化がロバストネスの消失をもたらすことを利用した治療応用が期待されている.このような背景から,我々は神経芽腫に対してエピゲノム解析および代謝解析などを組み合わせた多層性解析を試みている.検体解析および既存のデータを併用し,PHGDH遺伝子により制御されるセリン合成経路の重要性に着目した.この経路の抑制はin vitroにおいて神経芽腫細胞の増殖抑制をもたらし,有望な治療標的候補になりうると考えられた.また,メタボローム解析による投薬時の代謝解析およびRNAシークエンスによる遺伝子発現状況の解析を複合して行うことで,アルギニン代謝・シスチン代謝への干渉を複合することがさらなる治療効果をもたらす可能性があることを示した.
著者
渡邉 健太 寳川 拓生 福澤 康典 上野 正実 川満 芳信
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.324-333, 2021
被引用文献数
1

<p>南大東島では大規模かつ効率的なサトウキビ生産が行われている一方で,サトウキビの単収は低く,年次変動が大きい.この理由として,夏場の降水量が少なくしばしば干ばつに見舞われることが挙げられる.島では積極的に灌漑設備の導入に取り組んでいるが,依然としてサトウキビ生産は降雨に大きく左右されている.その影響を解明し合理的な灌漑方法を提案するため,本研究では南大東島の過去の気象データに基づき株出しサトウキビ畑における水収支を算出し,特に夏季の水収支とサトウキビの生育および収量との関係について明らかにした.梅雨明け後の降水量は少なくサトウキビの消費水量が有効雨量を大きく上回ったため,7~9月における不足水量は多く,この3か月間の不足水量は年全体の46%にも相当した.そこで,7~9月に着目し解析を行ったところ,各月の不足水量と茎伸長量および単収との間には負の相関関係が確認され,特にこの時期の不足水量が増加するとサトウキビの成長が著しく制限され,収量を低下させると考えられた.また,この傾向は最大風速が25 m s<sup>–1</sup>以上となる台風年度を除くとより顕著であった.非台風年度において7~9月の合計不足水量から合計伸長量および単収を推定する回帰式を用いると,この時期の不足水量が100 mm増加するごとに伸長量が25.1 cm,単収が14.1 t ha<sup>–1</sup>低下することが明らかになった.以上より,7~9月の水収支がサトウキビの生育および収量に強く影響を与え,この時期における灌漑が高単収の実現に必要不可欠であることが本研究から改めて示された.</p>
著者
寳川 拓生 薮田 伸 冨永 淳 渡邉 健太 荒木 秀雄 川満 芳信 たからがわ ひろお やぶた しん とみなが じゅん わたなべ けんた あらき ひでお かわみつ よしのぶ Takaragawa Hiroo Yabuta shin Tominaga Jun Watanabe Kenta Araki Hideo Kawamitsu Yoshinobu 琉球大学農学部 不二製油
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.27-34, 2015-02-12

沖縄県においてヒマワリは景観の良さから観光資源として,さらには,地力回復用の緑肥として注目されている.そのヒマワリ栽培を油糧生産と遊休農地の解消の一助となると考え,播種期の違いが収量に与える影響について比較検討した.春播き栽培では,栽培期間中の気温,日射量,降水量,台風接近数および開花に要する積算温度が高く,発芽日から開花日までの日数が短かった.また,花芽形成期から開花期の間のCGRおよびLAIが低く,乾物収量,子実収量はそれぞれ705,177 kg 10a_-1と秋播き栽培に比べて低くなった.これは夏季の高温・高日射により栄養成長が不十分なまま開花し,子実肥大が遅れたことが原因と考えられた.一方,秋播き栽培では,花芽形成期から開花期までのCGRおよびLAIが高く,乾物収量,子実収量はそれぞれ1274,246 kg 10a-1と高かった.太陽エネルギー利用効率が植物体全体および子実に関してそれぞれ2.11,0.64%といずれも春播き栽培に比べて2倍以上高くなった.これは開花期までの成長期間と低温・低日射でも高い葉面積を確保できたことが原因と考えられた.以上より,沖縄においては,秋冬に降雪・降霜がなく,夏季の高温・高日射・台風を避けられるため,秋播き栽培も有用であると考えられた.