著者
照本 清峰 鈴木 進吾 須原 寛 田畑 博史 中嶋 宏行 紅谷 昇平 吉川 忠寛 稲垣 景子 牧 紀男 林 能成 木村 玲欧 大野 淳 林 春男 河田 惠昭
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 = Journal of social safety science (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.137-146, 2007-11-01
被引用文献数
4

This paper discusses problem structures related to the time lag in the case that there is the interval between the Tokai-Tonankai earthquake and Nankai earthquake. First, the image of potential time lag problems in terms of the time flow after Tokai-Tonankai earthquake is shown. Second, the relationships between predicted earthquake intensities and population distribution are represented. Then the problems are arranged and examined for each separated area. Based on these discussions, problem structures due to the time lag are identified. Finally, through the individual specific problem examples associated with the time lag and hypothetical responses of local government officials, it is indicated that the time lag leads to various alternative problems.
著者
照本 清峰
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.30-40, 2020-04-25 (Released:2020-04-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

観光地の地震・津波の対応体制を検討するためには、観光客の認識を踏まえておく必要がある。そこで本研究では、観光客の地震・津波の危険性と津波避難行動の認識を示すとともに、それらの関係性を明らかにすることを目的とする。調査対象地域は、和歌山県白浜町における白良浜周辺地域であり、来訪している観光客グループを対象としている。分析結果より、観光客の属性別において認識の差異がみられる項目があること、自動車避難の選択の規定要因として、来訪手段が自動車であることとともに、想定する避難場所やまちなかにいることが規定要因になっていること、観光客の地震・津波の危険性の認識と津波避難行動の認識の関連性は低いこと、等が明らかになった。分析結果をもとにして、観光地の津波避難時の課題と対策のあり方について、情報提供と避難誘導体制に着目して検討した。
著者
石原 凌河 坪井 塑太郎 照本 清峰
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_69-I_77, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
10

本研究では,南海トラフ巨大地震において甚大な被害を受けることが想定される四国4県をケーススタディとして,孤立集落における重傷者数の空間分布を把握するとともに,ヘリコプターによる重傷者の搬送戦略を検討した.その結果,南海トラフ巨大地震が発生すれば,四国における孤立集落での重傷者は広く点在するとともに,孤立集落の重傷者を集落単位で搬送すれば膨大な日数を要することが明らかとなった.小学校区もしくは中学校区で搬送拠点を設定し,そこから大型ヘリと小型ヘリを組み合わせて重傷者を搬送することにより,迅速かつ効率的に搬送できることが示唆された.
著者
照本 清峰
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.706, pp.2809-2817, 2014
被引用文献数
4

This study examines constructs and their relationships associated with the reconstruction process in local communities. Methods of assistance toward recovery and reconstruction are also discussed. The research area is in Wanazu district in Niigata Prefecture, Japan. A questionnaire survey for residents of Wanazu district was conducted to inquire residents perceptions. The constructs are confirmed by quantitative data on the perceptions of residents. Results indicated that not only restoration of structures and communication activities in the area, but also re-establishment of communitys self-reliance and identity through various activities in the local community are extremely important for post-disaster reconstruction process.
著者
金井 純子 照本 清峰 中野 晋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_7-I_14, 2014 (Released:2015-02-10)
参考文献数
13

東日本大震災では,障害者や要介護者の避難生活は困難を極めた.本論文は,地方自治体がBCPを策定する上で,保健福祉に関する災害対応業務をどのように位置づけて計画すべきかを検証することを目的とする.調査は,鳴門市の自治体職員468名を対象に,南海トラフ巨大地震を想定した場合の被災者生活支援業務について,業務を開始すべき時期と業務への関わり認識度を問う意識調査を実施した.その結果,保健福祉業務の開始時期に対する意識が3日以内に集中する傾向や,部署毎で業務への関わり意識に相違があることがわかった.これらの傾向を踏まえ,BCPの中に保健福祉業務をしっかり位置づける必要がある.
著者
照本 清峰
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.871-876, 2012-10-25
参考文献数
13
被引用文献数
3

本研究では、防災教育と防災まちづくりの連携による実践的津波避難訓練の実施体制を示すとともに、実施結果に基づく効果と課題を検討することを目的とする。従来、個別になされていた活動について、相互の取り組みを連携させるモデルを構築するとともに、それらを実践することによって検討することに本研究の特徴がある。調査対象地域は、和歌山県海南市黒江船尾地区である。同地区は、南海地震による地震動とともに、その後の津波の来襲によって被害が生じることが予測される地域である。訓練時には、道路の一部は損壊によって通行できない、避難場所の一部は土砂崩れなどによって使用できない、負傷している(役割の)住民がいる、高齢者等の避難に対して支援を必要とする(役割の)住民がいる、という状況を想定して実施された。実践的な訓練の取り組みの結果より、避難に関する仕組みと空間整備上の課題を導出できること、避難に関する様々な課題があるという認識がより高まることを示した。また、実践的訓練を媒介として連携することによる意義と相互の活動の効果を高められる可能性について言及した。
著者
中林 一樹 饗庭 伸 市古 太郎 池田 浩敬 澤田 雅浩 米野 史健 福留 邦洋 照本 清峰
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

近年、アジアでは多くの地震災害が発生した。そのうち、日本では阪神・淡路大震災(1995)、新潟県中越地震(2004)、トルコ北西地震(マルマラ地震:1999)、台湾集集地震(1999)を取り上げて、地震災害からの都市と住宅の復興過程の実態及び関連する法制度の比較研究を行ってきた。震災復興は、被災した現地での再建復興「現地復興」と、被災した地区を離れ住宅・生活を再建復興する「移転復興」がある。いずれの国でも、災害復興に当たって、現地復興と移転復興が行われているが、そこには対照的な復興過程が存在することが明らかになった。日本では自力復興を原則とし、持家層は現地復興を基本としているが、被災現地が危険な状況にあるなど移転が望ましい場合にのみ移転復興(防災集団移転事業)が行われる。他方、借家層は多くが被災した現地を離れて近傍あるいは遠隔地の借家や災害復興公営住宅に個別に移転復興を行う。また、都市部の震災復興の特徴的な課題は、土地区画整理事業・都市再開発などの都市基盤整備を伴う復興の推進と区分所有集合住宅の再建に見られたが、中山間地域の復興では、現地復興を原則としながらも、高齢化は地域復興の大きな阻害要因となり、孤立した集落などの集団移転による移転復興が選択されている実態が明らかとなった。他方トルコでは、被災現地は地盤条件が悪いために被害が大きくなったという基本認識のもと、被災現地に対して建築制限を指定するとともに、建物自己所有層に対して住戸及び事業所1戸分を郊外に新設し、特別分譲するという移転復興を基本対策として震災復興を進めてきた。その結果、自己住宅が被災したわけではない借家層に対する住宅再建に関する公的支援対策は基本的にないにも拘わらず、都市計画制限もため被災現場での集合住宅の再建は遅れ、現地復興は大幅に遅れる現状が明らかとなった。台湾では、変位した断層近傍地帯と震源域直上の中山間地域が被災地域で、その震災復興は原則として現地復興である。しかし、斜面崩壊した集落や地震に引き続き多発した台風災害による複合災害化のため、土石流などによって現地復興が不可能となった集落などは移転復興を余儀なくされている。台湾の震災復興の最大の特徴は、民営型の重建基金会(復興基金)が地域社会の生活再建や区分所有の集合住宅の再建などの取り組みをまちづくり(社区営造)として支援し、新たな復興手法を創設して、柔軟に震災復興を進めていったことである。また、このような3地域の震災復興過程における特徴を比較研究するとともに、トルコ及び台湾では、事例的に市街地の復興現状をGISに基づく写真等のデータベースを試作した。