著者
塩瀬 隆之 岡田 美智男 椹木 哲夫 片井 修
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.66-76, 1999-03-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
9
被引用文献数
1

According to a study of Situated Cognition, learning for individuals is not valid until they join into practice and acquire their own roles under the social environment. We call such a capability “sociality”, a capability of finding its own role or niche in the social environment through interactions with their restricted neighbors. Our main purpose in this paper is to clarify an emergent mechanism of such “sociality” from the viewpoint of a multiagent study. In this paper, we emphasize that the emergence of “sociality” seems to depend on the dual capabilities of an individual's referencing; self-referential and social-referential abilities. In addition, we present a learning model of an agent having such dual capabilities as a Bi-Referential Model, in which each referencing capability is implemented by an evolutionary computation method of classifier system. Finally we present simulation results obtained by the proposed Bi-Referential Model and discuss the relation between the emergent process of “sociality” and the changes of resources that are commonly available to the agents.
著者
嶋本 正範 谷口 忠大 大矢 智子 塩瀬 隆之 川上 浩司 片井 修
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.661-661, 2007

社会的生活の本質が他者との相互作用であると考えに基づき,ゲーム理論は社会的構造や社会的変化の研究に微視的な基盤を与えるものとして盛んに研究が行われた.しかし,実際に人間がゲームにおいてどのように振舞うかという研究分野である実験ゲームでは,ゲーム理論で仮定されているような合理的な行動を人間はとらないことが知られている.近年,このような人間の非合理的な行動などが行動経済学などの分野によって注目されるようになってきた. 本研究では,意思決定という行動のインタラクションだけでなく,ゲーム理論では取り扱われなかったコミュニケーションに着目し,ネットワークの構造によっておこる,局所的なコミュニケーションが人間の意思決定にどのような影響を与えるかを,ネットワーク構造の形態によって分析する.
著者
片井 修
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.958-975, 2009-12-15 (Released:2010-03-01)
参考文献数
36
被引用文献数
1

本論文は,制約指向の立場からファジィ集合を捉え,そこから導かれた問題解決の枠組みを起点として,自然なシステムの成り立ちを分析することにより,新しいシステムの在り方やコミュニケーションの捉え方さらに情報概念の拡張などについて究明するものである.まず,制約指向の立場から厳密な二値論理と接合可能なファジィネスの捉え方を追求し,その結果,逆に,自己組織型問題解決に行き着くことを示す.さらに,この立場の根底にある「区切れない」という対象の捉え方に注目し,その延長線上にある自然農法やパーマカルチャーに見られる新しい農のシステム観を通して,「重層性」という構造の成り立ちの重要性を明らかにする.その端的な形としてセミラティス構造のあることを示す.さらに,「べてるの家」という集団の場の在り方に注目し,グループダイナミックスの基礎づけとしての「かやの理論」を参照することによって,自然な人間集団の重層的な成り立ちを明らかにする.さらに,コミュニケーションにおける重層性をライプニッツの空間と時間の概念を通し,さらに存在グラフやペトリネットのような数学的表現を導入して論じる.その上で演劇戯曲を題材に重層的コミュニケーションの構造を明らかにする.この重層的なライプニッツ時空間は,コミュニケーションの生成を通して形成されつつ,逆に,コミュニケーションの生成を支えるという「コミュニケーションの土壌」としての役割を有している.その働きを究明する「情報土壌学」という新しい学域の可能性を展望するとともに,従来からのシャノンの情報概念に加えて「包摂的情報」という新たな情報概念の在り方があることを示す.この「区切れない」という重層性が結果として生じたシステム構造であるのに対して,その生成的な特性を特徴づけるものとして「毛羽立った」システムという概念の可能性を示す.それは,リスク回避など近年の人工システム構築で強調される偶然性や想定外事象を排除するのではなく,むしろ偶然的出来事や出会いを活かし,区切りを越境してゆくという新しいシステムの在り方を示すものである.
著者
塩瀬 隆之 川上 浩司 片井 修
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
脳科学とリハビリテーション (ISSN:13490044)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.7-13, 2008 (Released:2018-11-13)

製造業, 伝統産業, 医療現場を問わず, あらゆる局面の最後にその成否を左右するのは, 円熟したベテランがもつ卓越した技である. この熟練の技が, いま失われようとしている. 2007年問題として知られる団塊世代の大量退職や, 構造的な後継者不足, 慢性的な人手不足を背景に, それら熟練の技を次世代に伝える方法の模索が急務である. しかし, 熟練の技は言葉にすることが難しく, また安易な形式化によりその価値が失われることも危惧される. 翻って徒弟制度やOJT(On the Job Training)に対する期待が高まるものの, 無責任に見習いを現場に放り込むこととの明確な差異を見いだせずにいる. 本稿では, 技能を形式化することの功罪, 徒弟制度の功罪を整理し, 技能継承を成功裏に進めるために, 技能を伝える側/受け取る側のそれぞれが意識すべき点を考察する.
著者
半田 久志 片井 修 馬場 則夫 椹木 哲夫 小西 忠孝 馬場 充
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1438-1446, 1999-11-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

In this paper, we propose a new Genetic Algorithm involving a mechanism of Co-evolution. Our Coevolutionary Genetic Algorithm consists of two Genetic Algorithms (GAs): a traditional GA which searches for the optimal solutions for given problems, and another GA to search for effective schemata in the former GA. Also, we adopt binary coding, partial spaces in genetic space, and rotated partial spaces as the coding method for the individuals in the latter GA, namely, schemata for the former GA. Moreover, we discuss on the effectiveness of coding and fitness evaluation for our Coevolutionary Genetic Algorithm. Several computational results on function optimization problems confirm the effectiveness of our approach.
著者
川上 浩司 須藤 秀紹 半田 久志 塩瀬 隆之 小北 麻記子 谷口 忠大 片井 修 平岡 敏洋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究課題は、便利の追求で見過ごされて来たが実は人を含む系においては重要であった事項を整理し、効率化や自動化に代わるシステムデザインの指針を探るものである。国内外の動向を整理すると共に、各種のデザイン領域における事例を収集・整理した結果は、学術雑誌や学会で報告するだけにとどまらず、平成23年に一般啓蒙書(不便から生まれるデザイン:DOJIN選書42)にまとめ、web でも逐次発信をしている。また、場のメカニズムデザインへの応用事例は、2013年に閣議決定された計画に盛り込まれた。日用品デザインへの応用事例は、各種メディアで採り上げられた。
著者
川上 浩司 片井 修 塩瀬 隆之 須藤 秀紹 半田 久志 谷口 忠大
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

手間いらずで効率的に要求が満たせる「便利な道具や方式」よりも、むしろ不便な道具や方式に、能動的工夫の余地・対象系の物理的理解促進・自己肯定感の醸成、などの効果がある。我々はこれらを積極的に評価する「不便益」という考え方を提唱し、この視点からの新たなシステム設計方法論の構築を試みた。最終年度にあたる2008年度に得られた成果を以下にまとめる。[不便益の総論:]初年度から継続する各種講演やOSを年に数回開催し、そこで得られた多くの知見の整理を通して不便益の輪郭を明らかにして、HI学会論文誌に総説論文としてまとめた。[不便益の各論:]システムデザインにおける「便利」を基礎づけるものとして、因果に基づく明瞭な説明・分類/分割による高いモジュラリティ・あいまいさの無い推論・中央集権的システム構成に注目し、それらが援用できない「不便」、すなわち均衡(バランス)に基づく説明・明瞭な分割ができないこと・解釈(推察)の多様性・分権的制御などから得られる益を積極的に活用する考え方を提出するとともに、それらのいくつかには具体的な活用方法や数理的基盤を与えた。[不便益の応用:]不便益に関する知見をシステムデザインに応用することによって、その有効性を検証した。適用対象としては、情報伝達に関して「見るのではなく触れることしかできない絵画」や音と画像による情報伝達におけるテロップの効用分析、解釈の多様性に関して比喩表現やピクトグラムによる非言語コミュニケーションの有効性検証と、エージェントシミュレーション、デザインの実践として月に一度のインクルーシブデザインワークショップ(塩瀬)、などを実施した。
著者
中山 功一 松井 博和 下原 勝憲 片井 修
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.40-55, 2006-02-15
被引用文献数
1

本論文では,ネットワークに接続された多数のパーソナル・コンピュータ(PC)が,互いの余剰計算機資源を相互利用する分散処理システムの設計モデルの1 つとして,分割されたタスクを自律的なエージェントとするエージェント指向グリッドコンピューティング(MAO-Grid)を提案する.また,MAO-Grid においてタスク処理量を最大化するロードバランシングを獲得するエージェント学習手法として,マルチエージェントシステムにおいて有効な動的離隔型GA(DS-GA)を用いる.MAO-Grid にDS-GA を適用した実験から,計算機資源やネットワーク資源が動的に変化する環境において,システム全体のタスク処理量を最大化にするロードバランシングを獲得した.In this paper, we propose the Multi-agent Oriented Grid Computing (MAO-Grid) approach to efficiently use the surplus resources of personal computers (PCs) connected to a network. Dynamically Separating GA (DS-GA), one of the effective learning algorithms for multi-agent systems, is used as the optimization algorithm for MAO-Grid. We conducted experiments applying the DS-GA to MAO-Grid. The results showed that load balancing was optimized according to the characteristics of computational resources in dynamic environments.