著者
北島 信哉 原 隆浩 寺田 努 義久 智樹 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.88, pp.103-108, 2008-09-14

近年,サーバが PDA やスマートフォンなどのモバイル端末にデータベースの内容を周期的に放送する放送型データベースシステムが注目されている.放送型データベースシステムにおける問合せ処理手法としては,オンデマンド型方式,クライアント型方式,協調型方式の 3 方式が考えられる.これらの方式は電力消費に差があり,また,モバイル端末では利用できる電力に限りがある.そこで本稿では,モバイル端末を用いた実機評価により消費電力の特性を明らかにする.さらに,モバイル端末の電力残量を考慮し, 3 方式の中から動的に処理方式を選択する手法を提案する.In recent years, there has been an increasing interest in a broadcast database system where the server periodically broadcasts contents of a database to mobile clients such as PDAs and smartphones. There are three query processing methods in the broadcast database system. Generally, mobile clients have limits in power consumption, i.e., battery, and each of the three methods consumes different amount of power for query processing. In this paper, we reveal the characteristics of power consumption by conducting a preliminary experiment on the implemented prototype, then propose a new query processing method which dynamically chooses a query processing method among the three query processing methods considering energy consumption.
著者
伊藤 雅弘 中山 浩太郎 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

近年,Wikipediaが知識抽出のためのコーパスとして注目を集めている.一方で,記事によっては誤った記述や虚偽の記述がなされており,記事の信頼性が問題となっている.そこでWikipediaのコンテンツの信頼性向上が必要とされている.本研究では,Wikipediaの記述の言語解析とWeb検索エンジンによってWeb上の情報を用いることで,Wikipediaの記述の信頼性を評価する手法を検討する.
著者
Loh YinHuei 原 隆浩 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.203, pp.61-66, 1999-07-23

近年, 無線通信技術の急速な発展により, 移動体計算環境が普及しつつある。移動体計算環境では, 無線の通信範囲の制限や移動体の省電力などのために, サイト間の断線が頻繁に発生する。断線した複数のサイトにおいて, 同一データの複製を更新するトランザクションが同時に実行されると, そのデータの一貫性が損なわれてしまう。そこで本稿では, サイトの断線時に, トランザクションの発生確率とホスト間の断線時間により, データベースの更新制御法をトークン手法と楽観手法のいずれかから動的に選択する手法を提案する。トークン手法では, 断線時に, トランザクションの実行権利を唯一のサイトに与えることで複製間の一貫性を保証する。一方, 楽観手法では, 複数の断線したサイトで同時にトランザクションを実行でき, 再接続時に更新操作の衝突を検出すれば, 一部のトランザクションをロールバックする。
著者
村尾 和哉 クリストフファンラールホーフェン 寺田 努 西尾 章治郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1068-1077, 2010-03-15

ウェアラブルコンピューティング環境では小型の装着型センサを用いて取得した行動や状況(コンテキスト)を利用するさまざまなアプリケーションが提案されている.装着者のコンテキストを取得する際に,センサの値に対して特徴量抽出と呼ばれる前処理が行われる.この特徴量抽出ではこれまで,判別性能の高さから平均や分散,FFT係数などが多くの研究で採用されてきたが,これらはデータサイズが元のデータよりも大きくなるため,センサは生データの状態でコンピュータに送信し,その後特徴量抽出と認識が行われる.しかし,生データの通信やセンサ内のメモリへの書き込みによって消費する電力は大きく,低消費電力ハードウェアにとって負担となるものであった.本論文では,従来の特徴量と同等の性能を示しつつデータサイズは小さい新たな特徴量として,加速度波形のピークの高さと幅を提案する.提案する特徴量を用いることでセンサ内で特徴量変換を行いデータサイズを削減したうえでメインコンピュータに送信するため,消費電力の削減につながる.
著者
金子 雄 春本 要 福村 真哉 下條 真司 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.18, pp.1-15, 2005-12-15
被引用文献数
17

近年,携帯端末の普及やセンサ技術の発展にともない,場所や時間に依存せずに遍在する情報を利用できるユビキタス環境が整いつつある.ユビキタス環境では,場所や時間などの状況を自動的に考慮して人々の意思決定を支援するコンテキストアウェアサービスが実現できる.多くの場合,人々は行動を起こす際に自分や各種施設の位置を考慮するため,コンテキストアウェアサービスでは任意の位置に存在する情報資源を効率良く検索できる機構が重要となる.そこで本研究では端末の位置情報に基づくP2P ネットワークであるLL-Net(Location-based Logical Network)を提案する.LL-Net では緯度,経度によって物理領域を格子状のエリアに分割する.各端末はエリア内でネットワークを構築し,またエリアを階層的にとらえてエリア間にリンクを構築する.これにより,LL-Netはクエリをフラッディングする範囲を任意の領域のみに制限できる.また本研究ではシミュレーションによって,LL-Net が任意の領域へ効率良くクエリを転送できることを示す.With the popularization of mobile devices and the development of advanced sensor devices, it is becoming feasible to realize a ubiquitous environment that enables us to publish and utilize information independent of location and time. In a ubiquitous environment, a number of context-aware services will be developed which provide services depending on various contexts such as location and time. It is indispensable for such services to retrieve locationdependent information efficiently. In this paper, we propose a location-based P2P network called the LL-Net (Location-based Logical Network). The LL-Net divides the world into areas by latitude and longitude. Terminals in each area construct an intra-area network, and each terminal establishes inter-area links hierarchically. By constructing such a network, the LL-Net can limit the message flooding range only to a specified region. The simulation results show that the LL-Net can efficiently propagate a query to a specified region compared to the existing P2P networks.
著者
高橋 悟史 黄耀華 宮前 雅一 寺田 努 野間 春生 鳥山 朋二 小暮 潔 西尾章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.118, pp.99-104, 2007-11-30
被引用文献数
4

我々は様々な現場で働く人々を支援するために,人の通過を検出するセンサネットワークを開発した.センサネットワークを構成する各センサノードを既存の建物など電源環境が整っていない場所に設置する場合,AC 電源を供給することが難しいことがあり,電池で長時間駆動することが求められる.そこで無線通信に ZigBee を採用し電池駆動でも長時間稼動する低消費電力なセンサノードの開発を行った.このセンサノードでは,独自のスリープ制御プロトコルを実装することで頻繁にスリープを行い消費電力を低減しながらも高い時刻同期精度を実現した.実際の病院環境で取得した通過データと開発した試作機の消費電力による評価結果より,2400[mAh] の二次電池 4 本を用いることで,一般的な病室であればセンサノードは 30 日間以上連続稼動することがわかった.We have developed a sensor network system for tracking people in order to support their daily activities. If a sensor node that makes up the sensor network should be located an environment with poor electrical infrastructure, it becomes necessary for it to work under extended time periods using batteries. To solve this problem, we designed a new battery-operated sensor network based on ZigBee. Among the improvements are a flexible sleep control protocol and a high-accuracy time synchronization mechanism between sensor nodes. From the simulation based on the actual data collected at a hospital, we have confirmed that the system can last usually over 30 days using four AA size Ni-H batteries at a hospital room in the hospital.
著者
中山 浩太郎 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.59, pp.23-28, 2004-05-28
被引用文献数
1

近年,電子カルテに代表される医療分野での情報化・電子化が急速に進んでいる.特に,患者情報をPDAで閲覧する病院内モバイル技術や3D-CG の医用イメージ技術を用いた新しいカルテ等の研究が盛んである.そのため,医療の現場ではモバイル端末上で3D 医用イメージを閲覧できるシステムが要求されている.しかし,PDA や携帯電話をはじめとするモバイル端末では,搭載できるCPU の性能やメモリ量,バッテリー等が問題となり,多くの計算が必要となる3D-CG のレンダリング処理エンジンの実装が未だ不十分である.そこで,本研究では,筆者らが開発したモバイル端末用3D フレームワーク「3D-Raven」を電子カルテに導入することにより,モバイル端末上でも利用可能な3D 電子カルテシステムを実現した.Medical information technologies, such as EMR(Electronic Medical Record), have dramatically advanced in the past few years. Especially, "mobile" and "medical imaging (3D)" are important keywords in the stream. However, high-quality 3D graphics still remain beyond the computational capability of mobile device because of the limitation of CPU, memory, battery, and so on. In this paper, we propose a 3D framework for mobile device, which we call "3D-Raven". This enables mobile device to render high-quality 3D graphics.
著者
中宮 正樹 岸野 泰恵 寺田 努 西尾 章治郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1374-1386, 2008-03-15
被引用文献数
1

本研究では,コストマップと呼ぶ移動コストを表す地図を用いた移動型センサノードの経路探索手法を提案する.提案手法を用いることにより,従来の研究では扱われていなかったセンサのセンシング範囲やノード移動時の障害物,ノードの移動特性といった実用上の問題を考慮した経路探索が可能となる.提案手法では,センシング領域を4 つのパラメータを用いて定義し,コストマップを用いた最小コスト経路探索アルゴリズムを提案する.さらに,経路探索に広く用いられているA*アルゴリズムと提案手法をシミュレーションにより比較し,提案手法の有効性を確認した.また,提案手法を実機のセンサノードに実装し,実環境で正しく動作することを確認した.In this research, we propose a route planning method for mobile sensor nodes using cost map. The proposed method achieves a novel path planning that can solve several practical problems in previous works: the limitations of sensing area, barricades on nodes' path and restrictions on nodes' movements. We propose a method to define the sensing area as four parameters to deal with many kinds of sensors and a route planning method using cost map. The method can find the path that has the lowest energy consumption. Furthermore, we compared the proposed method to A*algorithm which is one well-known route planning algorithm. We also implemented prototypes of sensor nodes to verify our algorithm in the real environment.
著者
澤井 陽平 篠原 昌子 神崎 映光 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.77, pp.41-48, 2006-07-12

アドホックネットワークでは,データの複製を作成することでデータの利用性が向上するが,データ更新の発生により,複製間の一貫性が損なわれる可能性がある.そのため,クオーラムシステムを用いた複製間の一貫性管理が有効となる.これまでに筆者らは,少数の移動体でクオーラムを構成し,複製問の一貫性を管理する方式を提案した.本稿では,シミュレーション実験により,提案方式の性能を詳細に評価し,その有効性を検証する.Data replication is effective for improving data availability in ad hoc networks. In an environment where data updates occuur,replicas of a data item may be inconsistent. To solve this problem,quorum based consistency management is a promissing approach. In our previous work,we have proposed a consistency management method that constructs quorums with a small number of mobile hosts. In this paper,we present simulataion results to evaluate the performance of our proposed methods by simulation experiment.
著者
中山 浩太郎 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.128, pp.115-122, 2006-11-30

Wikipediaは,WWW上に構築された百科事典であり,誰もが簡単にWebブラウザを通じて編集可能であるために,膨大な数の記事が投稿,公開されている.しかし,2005年末から2006年初頭にかけて,虚偽の記事が投稿されるような事件が発端となり,コンテンツの信頼性が大きな問題となってきた.筆者らは,これまでの研究でWikipediaにおける記事同士の関係性を抽出する手法について提案し,その有効性を証明してきたが,このように不特定多数のユーザがコンテンツを管理するような環境においては,信頼性を考慮した解析手法が重要となる.本研究では,Wikipediaのダイナミクスと信頼性の問題を分析するとともに,リンク構造解析アルゴリズムについて検討し,記事関連性抽出における信頼性の高い情報抽出方法を模索する.Wikipedia is a Web-based dictionary that can easily be edited through Web browsers by any Internet user. Thus huge amounts of articles are published and managed on it. However, after a number of article reliability issues, the trust problem on Wikipedia is still in controversy. In previous works, we proved the effectiveness and potential of the article association extraction based on Wikipedia mining. In this paper, we first analyze the link structure of Wikipedia and dynamics of Wikipedia. Then, we present an effective method for link structure mining for Wikipedia and describe how link structure mining for Wikipedia is helpful for extracting trusted information.