著者
金井 政宏 西成 活裕 時弘 哲治
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.211-220, 2006-09-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
10

In the present paper, we investigate the asymmetric simple exclusion process with parallel dynamics on a ring of finite sites. We focus on the correspondence between the asymmetric exclusion process and the zero-range process, and exploit the recursion formula for the partition function of the zero-range process. Then, we find that the explicit formulas for the partition function and the average velocity (or the flux) in the steady state are expressed by the Gauss hypergeometric functions.
著者
峯松 信明 西村 多寿子 西成 活裕 櫻庭 京子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.98, pp.1-8, 2005-05-20
被引用文献数
14

『音声知覚の容易性と音声物理の多様性』音声研究者を長年悩ませ続けてきた古典的問題である[1]。音声科学は, 音素に対する音響的不変量の不在から, 調音運動にその答えを求めている(運動理論)[2]。その一方で音声工学は, 膨大なる音声データの収集とその統計的モデリングにその答えを求めている(隠れマルコフモデル)[3]。問題は解かれたのか?否である。本研究は, これらとは全く異なる方法で一つの解答を与える。その際, 「構造不変の定理」と呼ぶ数学定理を導入する。この数学定理の上で, 「何故言語(記号とその操作体系)は空気振動に宿ったのか?」「言語が宿るということは, 空気振動に如何なる物理特性を要求するのか?」という問題を意識して音声モデリングを再考し, 上記問題に対する解答, 音声ゲシュタルト, を導出する。本稿では, この導出が, 認知心理学, 生態心理学, 認知言語学, 障害学, 及び, 複雑系研究を通して音声言語コミュニケーションを捉え直すことと等価であることを示す。更に, 音声研究史に対する一つの提言を行なうと同時に, 言語の獲得, 及び, 言語の起源についても考察する。
著者
柳澤 大地 西成 活裕
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.2-14, 2012-03-27

Jamology is a new scientific and engineering research, which deals with flow and jam of every self-driven particle in the world. One of the most famous models used in Jamology is Cellular Automaton (CA), where time, space, and state are discrete. In this paper, we introduce the essence and the contribution of CA models in Jamology. Traffic CA models succeed to reproduce meta-stable state, which is an essential phenomenon in real traffic, and show some results which can be applied to ease congestion at junctions and weaving sections. Besides, collaboration of CA and Queueing theory creates a new queueing model which gives us mathematically-exact solution useful for application. Furthermore, two dimensional CA models for pedestrians are extended in many ways to study how the specific characteristics of pedestrians affect on their flow. In the last section of the paper, we also discuss the scope of application of CA models.
著者
西成 活裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.10, no.10, pp.20-22, 2011-06-21

どうしてビジネスパーソンに数学が必要なのか。『渋滞学』『無駄学』の著者で、社会問題を数学で解決する実践派として活躍する数学者、西成活裕さんが語る。 皆さんに1つ質問です。血液が流れる血管の写真を前にコメントを求められたら、何て答えますか。「血管の写真です」? 見れば分かることですよね(笑)。「川の流れに似ています」と答える人が、数学的な頭の持ち主なんです。
著者
藤井 健介 飯田 晋司 西成 活裕
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.65-85, 2008-03-25

現在の鉄道では,事故や故障によるダイヤの乱れの復旧はほとんど人手で行われている.コンピュータによる復旧は複雑な上にリアルタイム性や正確性が求められるため現状では難しいが,将来的には必須であると思われる.本研究ではセルオートマトン(CA)を用い,ダイヤの乱れとその復旧について調べた.一時的な信号故障によるタイヤの乱れを想定し,その後ダイヤの復旧ルールを適用し,乱れたダイヤの自動復旧に成功した.
著者
西成 活裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.690, pp.77-81, 2012-03

西成活裕(にしなり・かつひろ):東京大学先端科学技術研究センター教授。1967年東京都生まれ。1995年に東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程を修了後、山形大学工学部機械システム工学科、龍谷大学理工学部数理情報学科、独University of Cologneの理論物理学研究所を経て、2005年に東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻に移り、2009年から現職。
著者
柳澤 大地 西成 活裕
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.570-573, 2017-06-15

本解説では,セルオートマトンを応用した群集運動モデルの一つであるフロアフィールドモデルについて解説する.セルオートマトンは時間・空間・状態量が離散で,ローカルルールによってアップデートが行われる数理モデルである.フロアフィールドモデルは,セルオートマトンの状態として人がいる・いないの2通りを考え,目的地までの距離と視野の効果を2つのフロアフィールドとして導入したもので,退出におけるクラスター形成や双方向流におけるレーン形成といった実際に観測される現象のシミュレーションを簡単に行うことができる.フロアフィールドモデルはシンプルであるがゆえの長所と短所があるが,本解説ではその議論も行う.
著者
西成 活裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.670, pp.93-96, 2010-07

にしなり・かつひろ:東京大学先端科学技術研究センター教授。1967年東京都生まれ。1995年に東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程を修了後、山形大学工学部機械システム工学科、龍谷大学理工学部数理情報学科、ドイツのUniversity of Cologneの理論物理学研究所を経て、2005年に東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻に移り、2009年から現職。
著者
大塚 一路 西成 活裕
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.218-221, 2010 (Released:2011-06-27)
参考文献数
7

本研究はファイナンス理論の枠組みを用いて「人混みに値段をつける」ことを目標としている.そこで我々は混雑における人の満足度が顧客一人あたりに与えられるパーソナルスペースと同等であると仮定してサービス価値の変化を正味現在価値(NPV)法と呼ばれる資産価値評価理論によって評価した.また,新たな試みとしてサービスの価値(顧客の効用)が待ち時間の増加に伴って割引かれるという概念を導入し,空港の入国管理場で測定したデータに対する実証分析も行った.実証分析の結果から,今回導入した指標は待ち時間の増加やスペースの減少と連動して効用が小さくなる指標であることが確認された.
著者
西成 活裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.687, pp.90-94, 2011-12

西成活裕(にしなり・かつひろ):東京大学先端科学技術研究センター教授。1967年東京都生まれ。1995年に東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程を修了後、山形大学工学部機械システム工学科、龍谷大学理工学部数理情報学科、独University of Cologneの理論物理学研究所を経て、2005年に東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻に移り、2009年から現職。
著者
西成 活裕
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:08272997)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.257-263, 2004-05-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
西成 活裕 岡田 雅之 Bandini S. Schadschneider A.
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、車、および人の流れ等に発生する渋滞の緩和方法について、理論とシミュレーション、および実測データを用いて考察した。高速道路における車の渋滞緩和のため、渋滞吸収走行を提案し、渋滞が緩和される条件を数学的に示した。そして理論をもとに実際の高速道路での実験を行い、その効果を確認することができた。そして人の流れの研究では、実際の駅の狭い通路での対向流を分析し、デッドロックが起こる条件を明らかにした。さらに現実への応用として空港における入国審査場における待ち時間短縮システムを構築し、社会実験によりその有用性が確かめられた。
著者
西成 活裕
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.12-19, 2009-01-05

渋滞するのは車だけではない.人も蟻も渋滞するし,インターネットでは通信の渋滞がある.そして我々の体内ではタンパク質の輸送の渋滞が重大な疾患を引き起こす.こうした様々な分野での渋滞を横断的に研究しようというのが渋滞学で,数理科学を基盤とした新しい社会科学ともいえる.そこでは人間や生物など,意思やルールで自律的に動く粒子の非平衡多体系を考え,その集団現象として渋滞を取り扱う.また理学的な研究だけでなく,工学的な応用から実用化までも視野に入れている.しかしこのような理工学融合研究を遂行していくためには様々な課題もある.
著者
西成 活裕
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

車や人の渋滞について、理論解析および実験をおこない、その解消方法を提案した。まず、車の渋滞について、織り込み合流部の理論解析を行い、流量低下を避けるために、車線変更禁止線を引くことで合流ポイントを遅らせるアイディアを提案した。さらに高速道路でのサグ部の渋滞緩和について、渋滞吸収走行の社会実験をした。人の渋滞についても、成田国際空港などの大規模施設における渋滞緩和を想定し、入国審査場での待ち行列の最適化の研究をした。