著者
林 真愉美 遠藤 陽子 市川 和子 河原 和枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成18年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.88, 2006 (Released:2006-09-07)

【目的】凍結全卵の調理特性については、我々のこれまでの研究で卵豆腐や茶碗蒸しなどの蒸し料理において普通卵と同様の結果が得られ、コスト面では普通卵に劣るものの、ごみや保管スペース、作業効率、衛生管理の面で利用価値が高いと考えられた。しかし、かきたま汁や中華スープなどの汁物では卵が散ってしまい外見が悪いという点から実用化には至っておらず、凍結全卵の汁物への適応が課題として残されていた。今回は液卵の粘度に着目し、汁物における凍結全卵の利用について検討を行った。【方法】凍結全卵はキューピータマゴ(株)の凍結全卵No.3およびNo.12、ツインパックを使用した。常温(15℃)に解凍した各種凍結全卵および普通卵を用いてかきたま汁を作成し官能評価を行った。さらにツインパックを47℃に加温し同様の官能評価を行った。官能評価は普通卵を基準とし、評価項目は散在状態、色、味・食感、総合の4項目とした。さらに凍結全卵No.3、ツインパック、普通卵の各温度帯における粘度についてB形粘度計(東京計器)を用いて測定した。【結果】官能評価の結果、常温で使用した凍結全卵のかきたま汁はいずれも普通卵に劣っており実用化できるものではなかった。しかし、47℃に加温したツインパックは散在状態以外の全ての項目で普通卵よりも良好な結果が得られ、従来汁物以外で使用している凍結全卵No.3でも40℃以上に加温することで普通卵に近い状態が確認され、加温することで汁物にも利用できる可能性が示唆された。液卵の粘度については、ツインパックは普通卵と同様に温度による変化が小さく安定していたが、凍結全卵No.3は温度による影響を受けやすく、不安定であることが明らかとなった。
著者
勝岡 由一 月山 秀一 天野 江里子 小島 茂樹 黄 世捷 遠藤 陽 松村 かおり 薄場 渉 坂本 三樹 菊地 栄次
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.281-285, 2021 (Released:2022-02-22)
参考文献数
16

50歳代の男性。腎硬化症のため16年前から血液透析がなされていた。胸部異常陰影精査目的の胸腹部CT検査にて5cm大の左副腎腫瘍が指摘された。血液透析患者に発症した左副腎褐色細胞腫と診断され,泌尿器科・循環器内科・腎臓内科・内分泌内科・麻酔科が合同で厳格な水分管理のもとに手術を行う方針となった。術前3週間前よりα/β遮断薬を投与し,dry weightを徐々に増加させた。腹腔鏡下副腎腫瘍摘除術に加えて左腎摘出も行った。腎動脈の遮断まではα遮断薬を用いて降圧し,中心静脈切離後からカテコールアミンで昇圧した。術後合併症を認めず手術9日目で退院となった。血液透析患者の心肺予備能を考慮し,慎重な術前体液管理・術中血圧管理を必要とした点,長期血液透析患者ゆえに組織の脆弱性が予想され手術操作に細心の注意を払った点など,示唆に富んだ貴重な症例を経験したので報告する。
著者
遠藤 陽子 清水 章 遠田 悦子 中村 元信
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

糖尿病による腎障害では線維化・尿細管萎縮(IFTA)が起こり、腎不全に至ります。IFTAが進行する原因の一つとして、血液中のマクロファージが腎臓へ浸潤し、腎臓線維化の促進に働くことが挙げられています。そこで、私たちはマクロファージの活性に関連するFROUNTと、FROUNTを抑制する処方薬のDSFに着目しました。DSFがマクロファージを抑制することで、糖尿病でのIFTAを抑制、腎不全への進行を止められると考えています。糖尿病モデル動物をDSF投与群と非投与群とに分け、その腎臓や血液・尿を検査し、マクロファージ抑制、IFTA抑制、腎機能保持が出来るのかを明らかとします。
著者
豊島 裕子 遠藤 陽一 木村 直史 小幡 徹 衛藤 謙
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

(1) ヒトは、大きく分けてストレスが身体反応を起こしやすいタイプと、そうでないタイプに分けられる。前者では、ストレス負荷に対して脳血流が急激に増加する、脳波の伝達が速くなる、心電図所見で交感神経優位になっているなど、過剰な反応が確認された。(2) また、ヒトにストレスが加わると、血小板が活性化され、血栓を作りやすくなることがわかった。つまり、ストレス耐性の低いヒトでは、ストレス負荷で、血栓性疾患を起こしやすいことがわかった。
著者
唐沢 栄 矢沢 篤子 遠藤 陽子
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.37-45, 1977-08

1974年1月7日から2月4日まで,東オングル島で採取した16地点の土壌の理化学性に関する分析を試みた.それによれば東オングル島の土壌は,粒径の大きい粗砂あるいは細砂に属し,土壌が置換できる塩基の最大容量を示す塩基置換容量は,1.15〜5.87 me/100 g soil と日本国内の畑地の5分の1程度の値であり,養分保持力が小さく,養分欠乏を起しやすい土質といえた.また全置換性塩基は0.67〜12.7 me/100 g soil, 塩基飽和度は43〜217%であった.島の東部から西南部にかけては,海塩粒子等の影響と思われる水溶性ナトリウムが高濃度で検出された.東オングル島内で作物生育に適する地点は,島の東中央部のごく狭い地域に限られ,コケ類等の生育地点とはかならずしも一致していなかった.