著者
岡野 八代 野口 久美子 合場 敬子 影山 葉子 内藤 葉子 石井 香江 牟田 和恵
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の成果は、歴史的に、ほとんどの社会で女性たちが担ってきたケア実践、すなわち、育児や家事、介護や看護の経験から、女性の身体性がいかに社会的に構築されてきたかを分析し、身体をめぐる脆弱性の社会的意味や女性たちの意思決定のあり方に新しい光を当てた。本研究を通じて発表された論文・著書は、これまで社会的に過小評価されるか、社会的弱者へと押しつけられがちなケア実践を再評価するために、思想的、歴史的、そして実践現場のなかで、ケア実践の意味を新たに問い返した。
著者
合場 敬子
出版者
日本スポーツとジェンダー学会
雑誌
スポーツとジェンダー研究 (ISSN:13482157)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.82-92, 2014 (Released:2017-04-28)
参考文献数
49

Through research on women professional wrestlers, I found that several wrestlers reinforce their confidence to counter male violence and/or attain physical and/or mental strength by participating sports in schools and engaging professional wrestling. Once they attain physical strength, they do experience “physical empowerment.” On the other hand, many women in contemporary Japan are not physically empowered because girls and women in Japan are not encouraged to develop physical strength and athletic abilities. In addition, they fear male violence. Some wrestlers I interviewed actually rescued some women who were frozen by groping inside trains. Therefore, physical empowerment means a process that women in current Japan, who do not exercise their physical strengths thoroughly, take it back. To realize physical empowerment for women in contemporary Japan, I argue that theories and practices of “physical feminism” should be widely disseminated. What is physical feminism? I define it as practices and movements underpinned by thoughts of feminism that facilitate women to attain physical strength. Physical feminism has two goals at this time. One is encouraging girls and women to participate in physical activities from which girls and women attain various benefits. The other is encouraging girls and women to participate in self-defense programs, which let girls and women acknowledge their power to defend themselves from male violence and feel their own physical strength.
著者
合場 敬子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

プロテストに合格すると、一応一人前のレスラーとなる。その時の自分の体について、自覚的にその変化を捉えているレスラーは少なかった。これは、デビューして数年までは、先輩との厳しい上下関係の中で、日々の雑用や練習に追われてしまい、自分の身体やプロレスのことをあまり考える余裕がない状況にあったからと推測できる。自分の身体のあり方に自覚的になっていたのは、デビューの後、キャリアを積む過程においてであった。多くのレスラーは、女らしい身体とレスラーとして目指す身体を対立するものとして捉えていた。レスラーであることを優先して、そのための身体をまず第一に考え、女らしい身体の獲得をあきらめている。しかし、そのあきらめに悲壮感はない。なぜなら、レスラーとしての身体を持ち、プロレスができることの方が彼女たちにとって重要だからである。プロレスでは、相手も自分の技を受けてくれる、自分も相手の技をうけるという信頼関係が必要である。したがって、プロレスの闘いは相手をとにかく打ち倒すことではないので、レスラーは自分を「強い」と意識することが希薄になっている。レスラーのジェンダー・アイデンティティの核はレスラーになる以前から形成されたように思われる。自分の体をレスラーの体に変容させることは、彼女たちのジェンダー・アイデンティティにはそれほど影響を与えていないと思われる。一方、ファンのジェンダー・アイデンティティへのプロレスの影響も、確認できなかった。多くの男性ファンは、女性として魅力ある身体とレスラーの身体を区別して把握している。多くの女性ファンは自分がなりたい身体のイメージを、自分の好きなレスラーの体型とは別に持っている。多くのファンは、リングを降りた選手に、「女らしさ」を見ている。対称的に、プロレスをしている女子レスラーは、ファンの視点の中では、ジェンダーを越えた存在として捉えられている傾向があった。
著者
大沢 真理 小笠原 祐子 ロバーツ グレンダ 田中 和子 合場 敬子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、経済グローバル化のもとで、「ニュー・エコノミー」として生じているとされる産業構造や労働組織など変化について、英、独、米および日本について、ジェンダー関係との関連を比較分析するもの。たとえば、産業や労働の組織の「フラット化」や「柔軟化」が語られながら、じつは社会的格差の拡大が懸念されること、また、近年の規制改革や福祉国家改革のベクトルでも、規制緩和や民営化ばかりではなく、再規制化やセーフティネット強化の要素が見逃せないこと、これらの事象のいずれもジェンダー関係と交差していること、が指摘される。対象4国は、今日の世界経済で大きな比重をもち、かつ相互に意味ある好対照をなしている。なにより4つの国は、異なる性格のジェンダー・レジームを持っている。アメリカは女性の就業を促進する方向に最も進んでおり、日本は女性の世帯内役割を最優先するジェンダー・レジームであるように見える。福祉と産業労働、家庭を横断するジェンダー・レジームは、収斂しているのか、あるいは強い経路依存性のもとで分岐しているのかなどの論点が、本研究で解明され発表されてきた。すなわち、2002年9月3日には東京大学において、公開シンポジウム「グローバル時代の「ニュー・エコノミー」-日米欧の比較ジェンダー分析」を開催し、本研究のコンセプトについて研究グループの外部から意見等を得た。その内容は、雑誌『現代思想』31巻1号(2003年1月号)の特集「トランスナショナル・フェミニズム」として発表された。2003年9月末にはブレーメン大学、2004年3月初めには日本国内で、海外共同研究者との研究会を集中的に開催した。研究の成果を広く社会に還元するべく、2004年3月4日に東京大学において、公開シンポジウム「グローバル時代の「ニュー・エコノミー」-日米欧の比較ジェンダー分析II」を開催(第18回東大社研シンポジウム)。
著者
竹中 千春 網谷 龍介 磯崎 典世 戸田 真紀子 田村 慶子 小川 有美 中田 瑞穂 津田 由美子 合場 敬子 森本 泉 小嶋 華津子 柄谷 利恵子 勝間 靖 浪岡 新太郎 中村 文子 河本 和子 木村 真希子 中村 唯 小倉 清子 サンギータ ラマ アニー ダンダヴァティ ウルバシ ブタリア パメラ フィリポーズ
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ジェンダー研究の提起した概念や理論を導入し、国際政治学・国際関係論の再構築をめざすプロジェクトである。グローバリゼーションの波を被る国家や社会、および「国際体制(International Regime)」の変動について、成熟社会・成長社会・危機社会における政治過程と政治現象の事例分析をもとに、現代世界における「ジェンダー・ダイナミクス(gender dynamics)」を分析した。
著者
竹中 千春 白石 さや 村田 雄二郎 西崎 文子 吉村 真子 合場 敬子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

5つのキーワード(「ジェンダー」「政治」「戦争」「民主主義」「国際比較」)に基づき、国際政治学・政治学・国際関係論を中心に、アジア・太平洋地域の現代的・歴史的な事例を取り上げ、地域研究を比較・統合する努力をしつつ、学際的に研究を進めた。この共同研究の目的は、(1)国際政治学・政治学・国際関係論におけるジェンダー研究を進めること、(2)「戦争」と「民主主義」のジェンダー化を分析すること、(3)ジェンダー研究の中に国際政治学・政治学・国際関係論の視点から新しい視角や概念を提起していくこと、であった。平成17・18年度の2年間で、地域と問題別に立てたサブ・グループを基盤に、資料収集・現地調査を行い、事例分析と理論構築を試みた。平成18・19年度は、中間的な研究成果をまとめ、公表する作業に精力を注いだ。平成18年度7月には、イギリス・インド・韓国から専門家を招き、国際学術交流として世界政治学会(IPSA)研究集会で「War and Democracy from Gender Pespective(戦争と民主主義のジェンダー分析)」というセッションを開催した。同年10月の日本国際政治学会では、「グローバリゼーションの中の市民・女性・移民」をテーマに第1回ジェンダー分科会を開催し、同時に「グローバル・ガヴァナンスへの胎動:人権・環境・地雷」という部会も開催した。平成19年度も同学会にて人権侵害をテーマに第2回ジェンダー分科会を開催した。現在、総括的な単行書の準備を進めているが、学際的に編成した本科研の研究分担者は各専門領域で個別に成果を公表し、それぞれ高い評価を得ている。総括すれば、本共同研究は、共同研究と研究成果発表の過程を通して、国際政治学・政治学・国際関係論の分野でジェンダー研究の裾野を広げるという点で初期の目的を十分な程度達成したと考えている。