著者
多田 直樹 南 豊彦 中川 のぶ子 浜野 巨志 小野 あゆみ 井野 千代徳 金子 明弘 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.18-23, 2004-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22
被引用文献数
1

顎関節症にはさまざまな全身症状の合併が認められ、中でも耳閉塞感をはじめとする耳症状の合併は古くから報告されているが、その成因に関してはいまだに明確ではない。今回われわれは顎関節症患者76名を対象として、まず耳閉塞感を訴えた患者の割合を算出し耳閉塞感の有無それぞれの中で顎関節症のI型からIV型まで分類した。次に耳閉塞感を伴う顎関節症患者に対して耳管機能検査を施行した。その結果耳閉塞感を訴えた症例が44名 (57.9%) で、耳閉塞感を訴えなかった症例は32名 (42.1%) であった。また耳閉塞感のあった症例での顎関節症の分類はIII型が最も多く、I型、IV型はわずかであった。一方耳閉塞感のなかった症例は耳閉塞感のあった症例と比較してIII型がわずかで1型が大きな割合を占めていた。耳管機能検査は耳閉塞感を伴う顎関節症患者44名中37名に施行した。その結果37名中23名 (65%) が開放パターン、1名 (3%) が狭窄パターン、13名 (32%) が正常パタ-ンであった。今回の検討結果から顎関節症に伴う耳閉塞感の原因は耳管開放症によるものと思われた。
著者
森鼻 健史 金子 明寛 富田 文貞 諏訪 俊男 河野 喜郎 小林 寅哲
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.973-982, 1989-04-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
15

新規マクロライド系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) はラット顎下腺におけるミクロオートラジオゲラフィーによる分布状態の検討では腺房, 導管部共に良好な14C-TE-031の集積がみられた。健康成人男子ボランティア3名によるTE-031 300mg単回投与の血清中, 及び唾液中移行濃度は平均値でそれぞれCmax1.49μg/ml, 1.93μg/ml. Tmax2.91時間, 2.66時間, T1/2 6.31時間, 4.15時間, AUC18.58μg・hr/ml.17.70μg・hr/mlである。又, 同症例から得られた唾液中細菌叢は本剤の唾液中濃度の上昇に伴い, 総細菌数は減少したが12時問後には回復した。又, 経過中菌の耐性化はみられなかつた。以上本剤は個体差はあるものの, 血清中を上回る唾液中移行濃度を示し, 唾液によるTherapeutic drug monitoring (TDM) も可能な薬剤と考える。又, 本剤によると思われる一過性の唾液細菌叢の減少はみられるものの早期に回復し, 単回投与では耐性菌の出現もなく短期投与では口腔正常細菌叢への影響の少ない薬剤と考える。Clarithromycin (TE-031, A-56268) は大正製薬株式会社総合研究所でErythromycin (以下, EM) から合成された新規マクロライド系抗生物質であり, 良好な血中及び組織移行性を示すことが知られている。臨床的にも急性歯性感染症に対し, EMの1/4~1/3量である1日300~400mg投与で約80%の有効率が得られている1)。我々は, 本剤が唾液中への移行性が良いとされていることから1), 顎下腺組織への移行性について, ラットに14C-TE-031を投与後の移行分布をミクロオートラジオグラフィーにて検討し, 又, 3名の健康男子ボランティアに対し本剤300mgを食前投与し, 経時的に血清中及び唾液中濃度を測定すると共に, 唾液中細菌叢への影響を調べた。
著者
金本 郁男 井上 裕 金澤 ひかる 内田 万裕 中塚 康雄 山本 幸利 中西 由季子 佐々木 一 金子 明里咲 村田 勇
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.133-140, 2020

<p>2種類の低糖質パンを摂取した時の食後血糖推移を食パンおよび全粒粉パンと比較するとともに, セカンドミール効果および糖質の消化性を評価するために試験を行った。健常成人11名 (男性2名, 女性9名) を対象者とした。摂取する熱量を統一した食パン (糖質38.6 g) , 全粒粉パン (糖質36 g) , マイルド低糖質パン (糖質8.5 g, 高たんぱく) , スーパー低糖質パン (糖質3.4 g, 高たんぱく高脂質) のいずれかを朝食に摂取し, 昼食にカレーライスを摂取する4通りの試験を行い, 食後血糖を経時的に測定した。糖質の消化性はGlucose Releasing Rate法で測定した。その結果, マイルド低糖質パン, およびスーパー低糖質パン摂取後の血糖値は低値を示したが, セカンドミール効果は認められなかった。本研究で用いた2種類の低糖質パンのうち, 消化性, 食後血糖, 満腹度の観点からマイルド低糖質パンの方が優れていると考えられた。</p>
著者
金子 明 五十棲 理恵 脇村 孝平 皆川 昇 平山 謙二 金子 修 平塚 真弘
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は研究期間を通じた横断的マラリア調査により、ケニア・ビクトリア湖周辺地域でのマラリア感染の非均一性を明らかにした。さらに感染の多くは無症候性でかつ顕微鏡検出限界以下であることを示した。これは、集団投薬とともに地域特性に基づいた対策の必要性を裏付けるものである。さらにNgodhe島における集団投薬の介入試験から、中~高度流行地に囲まれた低度流行地における持続的なマラリア撲滅のためには、外からの原虫移入および媒介蚊への対策強化による伝播抑制が必要であることを明らかにした。本研究により、不均一に高度マラリア流行地が残存するサハラ以南アフリカでのマラリア対策を進めるうえで鍵となる知見が提示された。
著者
金本 郁男 金澤 ひかる 内田 万裕 中塚 康雄 山本 幸利 中西 由季子 佐々木 一 金子 明里咲 村田 勇 井上 裕
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.133-140, 2020 (Released:2020-08-19)
参考文献数
24

2種類の低糖質パンを摂取した時の食後血糖推移を食パンおよび全粒粉パンと比較するとともに, セカンドミール効果および糖質の消化性を評価するために試験を行った。健常成人11名 (男性2名, 女性9名) を対象者とした。摂取する熱量を統一した食パン (糖質38.6 g) , 全粒粉パン (糖質36 g) , マイルド低糖質パン (糖質8.5 g, 高たんぱく) , スーパー低糖質パン (糖質3.4 g, 高たんぱく高脂質) のいずれかを朝食に摂取し, 昼食にカレーライスを摂取する4通りの試験を行い, 食後血糖を経時的に測定した。糖質の消化性はGlucose Releasing Rate法で測定した。その結果, マイルド低糖質パン, およびスーパー低糖質パン摂取後の血糖値は低値を示したが, セカンドミール効果は認められなかった。本研究で用いた2種類の低糖質パンのうち, 消化性, 食後血糖, 満腹度の観点からマイルド低糖質パンの方が優れていると考えられた。
著者
金子 明成
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.61, no.585, pp.1880-1887, 1995-05-25

A two-dimensional finite-element model for dye diffusion thermal transfer printing has been developed, in which partition coefficients are included. Experimental data of the partition coefficients and the dye diffusion coefficients are used in the model. Dye concentration after printing is not always continuous at the interface between the dye-coated layer and receiver-coated layer in the model. The stability of the computer calculation has been checked from various points of view. The optical density prediction shows good agreement with the experiments. The model has been applied to the calculation of the amount of transferred dye when the physical parameters of the medium are varied. It is concluded that the most important factors for increasing the amount are the dye diffusion coefficients and the partition coefficients.
著者
関谷 亮 唐木田 一成 新井 俊弘 佐藤 佑介 坂本 由紀 金井 直樹 丸山 亮 金子 明寛
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.69-76, 2010-08-01 (Released:2010-09-11)
参考文献数
13

口腔感染症患者より分離した各種細菌およびCandida属菌株のbiofilm形成能をクリスタルバイオレット染色法で評価した結果,Prevotella intermedia,Porphyromonas gingivalis,Actinomyces odontolyticus,Streptococcus mitis,Candida albicansおよびCandida glabrataにおいてbiofilm形成能の高い菌株が見出された.これらの菌株を対象に各種抗菌薬または抗真菌薬のsub-MICにおけるbiofilm形成抑制作用を検討した.P. intermediaおよびP. gingivalisに対してlinezolid,azithromycinおよびclarithromycinのsub-MICでの作用によりbiofilm形成抑制効果が認められたが,検討した他の菌種のbiofilm形成に対する抑制効果は認められなかった.一方,C. albicansおよびC. glabrataに対しては,測定した抗真菌薬のうちmicafunginのみがsub-MICにおけるbiofilm形成抑制作用を示した.
著者
長谷川 政美 加藤 真 湯浅 浩史 池谷 和信 安高 雄治 原 慶明 金子 明 宝来 聰 飯田 卓
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

マダガスカル固有のいくつかの生物群について、その起源とこの島における多様化の様相を明らかにする分子系統学的研究を行った。(1)マダガスカル原猿類(レムール類)とアフリカ、アジアの原猿類との進化的な関係を、ミトコンドリアのゲノム解析から明らかにし、レムール類の起源に関して新しい仮説を提唱した。(2)テンレック類についても分子系統解析によって、その起源とマダガスカルでの多様化進化を明らかにする研究を行った。テンレックについては、前肢運動器官の比較解剖学的解析を行い、この島における適応戦略を探った。(3)マダガスカル固有のマダガスカルガエル科から、アデガエル、マントガエル、イロメガエル3属のミトコンドリア・ゲノムを解析し、この科がアオガエル科に近縁であることを示した。(4)マダガスカル固有のバオバブAdansonia属6種とアフリカ、オーストラリアのものとの進化的な関係を、葉緑体ゲノムの解析から明らかにした。マダガスカルの6つの植生において、植物の開花を探索し、それぞれの植物での訪花昆虫を調査した。いずれの場所でも、訪花昆虫としてマダガスカルミツバチが優占していたが、自然林ではPachymelus属などのマダガスカル固有のハナバチが観察された.このほか,鳥媒,蛾媒,甲虫媒なども観察された。マダガスカル特有の現象として、長舌のガガンボ類Elephantomyiaの送粉への関与が、さまざまな植物で観察された。Phyllanthus属4種で、ホソガによる絶対送粉共生が示唆された。マダガスカルの自然と人間の共生に関する基礎的知見の蓄積のため、同国の海藻のフロラとその利用に関する研究、及びマングローブ域に特異的に生育する藻類の生育分布と交雑実験による生殖的隔離に基づく系統地理学的解析を行った。マダガスカル南西部漁村の継続調査から、生態システムと文化システムの相互交渉を浮かび上がらせた。