- 著者
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金子 武
一戸 稔
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.3, pp.165-174, 1963-09-30 (Released:2009-02-12)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
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1. 茶樹に寄生する線虫の種類を,全国各地の茶園土壤について調査した。その結果つぎの7種がかぞえられ,各種類に対し形態的記載を与えた。Helicotylenchus dihystera Helicotylenchus erythrinae Hemicriconemoides kanayaensis Meloidogyne incognita var. acrita Paratylenchus curvitatus Pratylenchus loosi Tylenchorhynchus nudus2. 線虫の土壤中垂直分布は,Hemicriconemoides, Paratylenchusは比較的深部(30cm内外)に,Pratylenchus, Helicotylenchusは比較的上層(10cm内外)に多い。また,全般的に畦の西側では東側よりも生息数が多い。3. Hemicriconemoidesの寄生状況を観察した。Pratylenchusは根および根辺土壤の両者より検出される。4. Hemicriconemoidesの発生消長について調査した。土壤から検出されるHemicriconemoidesの大部分は雌成虫で,雄は年間を通じきわめて少ない。幼虫の占める割合は7月に最高となる。雌の蔵卵数は通常14∼15粒である。6∼7月の室内観察では,Hemicriconemoidesの卵期間は15∼20日である。またHemicriconemoidesの産卵状況を観察した。5. 窒素肥料を多用した園では,Hemicriconemoidesの密度が減少し,Paratylenchusの密度が増大する傾向がみられる。6. Hemicriconemoidesの天敵としての藻菌類の寄生状況について観察した。