著者
鈴木 宏昭 福田 玄明 鈴木 聡 田中 克明 山田 歩
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

人間の行う様々な知的活動は感情,動機によって支えられている.近年,これらは意識できないレベルの周辺情報によって大きく影響を受けることが明らかになってきた.本報告では,これらについての認知科学,実験社会心理学の知見を紹介し,AI研究の方法論と組み合わせて,オフィスワーカのモチベーションを向上させるための方策を探究する.
著者
鈴木 聡 鈴木 宏昭
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3150-3158, 2011-12-15

レポートライティングにおいて,レポートに関連する文献を深く読解し,その内容に対する書き手である学習者の意見を構築することは不可欠である.文献を深く読解するためには,文献に下線・コメント(マーキング)を付与しながら文献の各部分を吟味しつつ読み込むことが重要である.そして,学習者の意見を構築するためには,論理的に考えて文献の問題点を探るよりも,できるだけ直感的・感情的に反応して学習者の意見をコメントの形で外化する方が有効であることが示されている.しかし,そうしたコメントには学習者の独善的な意見や,それでもなお論理的な欠陥を含む意見が含まれている可能性がある.そこで,そのようなコメントの問題点を修正する方法として,学習者同士がマーキングを共有し,相互にコメントし合うことが有効と考えられる.本研究では,以上のプロセスをWeb上で行えるシステムEMU(Emotional and Motivational Underliner)を開発・運用し,学習者がどのように以上のプロセスを進めるのかについて分析した.その結果,良いレポートが書ける学習者は,そうでない学習者と比べ,文献内容に否定的・懐疑的なマーキングを中心に着目し,そのマーキングに対して肯定的なコメントを多く産出する傾向がみられた.この結果をふまえ,今後の分析,およびシステムの機能の追加・修正の方針についても論じる.In writing an academic essay, it is indispensable for learners to deeply understand related documents and to build arguments to claim their opinions. To understand the documents, adding underlines and annotations on them is crucial. Besides, to build arguments, previous studies suggest that it is more effective to externalize learners' opinions based on their intuitive and affective response than to logically deliberate. Nevertheless, there should be inappropriate and illogical thought in such learners' opinions. To improve the opinions, sharing the opinions among learners and adding comments on the opinions can be effective. In this study, we are developing the EMU (Emotional and Motivational Underliner) system which enables learners to add annotations, share the annotations among them, and add comments on others' annotations on the Web. We analyzed usage of the EMU system in a class for undergraduate students. The analysis implied that learners who wrote good essays tend to focus on the others' annotations which represents negative and skeptical attitude to the document, and add affirmative comments on such annotations. Discussion on further analysis, and addition and modification of the EMU system follows.

1 0 0 0 OA 佐伯 胖

著者
鈴木 宏昭 高木 光太郎
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.403-406, 2012-12-01 (Released:2014-10-31)
参考文献数
20
著者
鈴木 宏昭
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.212-224, 2001-09-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
58
被引用文献数
1

This paper reviews the history of cognitive studies on thinking from the dynamical point of view. In the early 1970s, researchers employed the formal approach to thinking where its processes were modeled as applications of domain-independent formal rules. However, in the 1980s, various studies revealed that human thinking is best characterized as a knowledge dependent process. Although knowledge plays critical roles, this approach had difficulties in dealing with flexible use of knowledge, its origin, and interaction with the external environment. In the 1990s, dynamics of thinking is more and more a topic within the scope of cognitive science, by virtue of biological approaches such as cognitive neuroscience, evolutionary psychology, and extended connectionism, as well as the research on analogy, creative thinking and scientific reasoning. Finally, methodological issues to further develop the dynamical approach are discussed.
著者
鈴木 宏昭
出版者
東京大学教育学部
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.287-296, 1985-02-28

Three experiments were conducted to investigate the processes of the mathematical problem-solving using juice-mixing problem. The results indicate that the error patterns are not consistent among the problems that have the same mathematical structure, the conceptual bugs in the mixing schemata determine the availability of the values of variables in the problem and the informal knowledge of "thickness" obtained through everyday experiences interacts the subjects' strategy choice. Detailed protocol analysis revealed that the informal knowledge of "thickness" has critical roles to monitor the results and to generate the elaborated internal representations during the course of solving the problem.
著者
安井 湘三 鈴木 宏昭 下薗 真一
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々が開発したCSDF構造刈り込みの手法は、脳機能の本質に迫るとされる冗長削減原理の一形態と考える。本基盤研究では、この手法を洗練・改良した上で以下のような応用を行い、当初の目標は概ね達成されたものと考える。(A)アナロジー類推プロセッサアナロジーは認知科学、心理学、科学史、AIなどで研究されてきた。アナロジー類推を行う我々のニューロプロセッサは比較的シンプルで、そこでは抽象化内部モデルおよび具体⇔抽象の結合がCSDFの働きで自律生成されるという独自のものである。内部モデルへの引き込み等が起こることで、複合アナロジーや追加アナロジーの学習パラダイムにおいても有効であることが確認された。(B)独立成分分析(ICA)ICAもしくはBSSとは、混合された複数未知信号を分離抽出するという新IT技術である。我々の方法は、情報理論に基づいた従来法とは根本的に異なる。センサー信号を入力するオートエンコーダに恒等写像学習を行わせ、同時に、デコーダ部にCSDFを施す。すると、CSDFに抗して生き残った隠れ素子が源信号を再生する。また、デコーダ行列は混合行列を再生するので、デコーダ部は外部世界(源信号-センサ)の内部モデルとなる。従来法と比べて適応性・ロバスト性に富むことが特長で、音声や画像の実データを使った実験においてもある程度の成功を収めた。
著者
鈴木 宏昭 薬師神 玲子
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

人は意識的に把握できる情報以外の情報を積極的に活用して認知活動を行っている。しかしながらこの知見は主に知覚レベルの実験から得られたものであり、問題解決における潜在的情報の利用についての知見は少ない。本研究では、問題解決などの高次認知における無意識的な情報の利用についての検討を行った。2006年度は問題解決中にサブリミナル画像を提示し、それによる行為の変化を分析したが、実験群、統制群の間に有意な差が見られなかった。そこで2007年度はサブリミナル画像を視野のどの部分提示するかをコントロールした実験を行った。中心視野に収まる範囲、それを越える範囲、の2条件でサブリミナル画像を提示した。しかしながら双方の群ともに問題解決の促進は見られなかった。またサブリミナル画像の提示が被験者の意識しない眼球運動に現れる可能性を検討するため研究を行った。しかしながら実験群、統制群間に有意な差を検出することはできなかった。洞察問題とは異なる認知活動における潜在的な情報の利用を検討するために、ジェスチャーを用いた問題解決の分析も行った。その結果、問題解決者は問題解決の初期と後期に半ば無意識的にジェスチャーのタイプを変化させ、有用な情報を生み出していることがわかった。さらにスキル学習に無意識的な行為の変化を分析した。その結果、半ば自動的に生じる行為の熟達において、環境のセッティングの変化が重要な役割を果たすことが明らかにされた。
著者
鈴木 聡 鈴木 宏昭
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

アカデミックライティングの学習において,参照したテキストの中から学習者自ら議論する問題を発見し,協調学習を通じて内容を洗練させる問題構築的読解のプロセスは重要な役割を果たす.著者らは,問題構築的読解のためのマーキング・相互コメントが可能なWebベースの学習環境を開発し,大学授業にて運用した.本発表では,その際の相互コメントの内容を分析し,相互コメントの質とライティングの質との関係について検討する.
著者
鈴木 聡 白石 藍子 鈴木 宏昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.15, pp.97-104, 2009-02-20
被引用文献数
2

文章構成能力の需要は増加しており,この能力を高めるための学習方略の発見は重要である。本研究では,学習者がこの能力を高めるためのアプローチとしてライティング活動におけるテキストの批判的読解に注目した。ライティングの学習や認知に関する各分野の知見から,感情的思考がライティングにおける問題発見に寄与すると考えられる。そこでWeb上のテキストの下線・コメントの付与 (マーキング) と感情タグの付与を可能にする EMU (Emotional and Motivational Underliner) を開発した。そして, EMU の感情タグが批判的読解に与える影響を実験により検討し,感情タグが学習者による批判的読解を促すことが示唆された。Demand of ability of essay writing is increasing, and finding learning strategies of improving such ability is important. We focused on critical reading to discovering problems for essay writing. Taking into account the studies related to writing activity in various research fields, emotional thought should contribute to problem discovery in essay writing. We developed a Web application called EMU (Emotional and Motivational Underliner) , which enables learners to add comments on arbitrary strings with emotional tagging. We examined the influence of the emotional tagging on the EMU on learners' critical reading. The results suggested that the emotional tagging elicited learners' critical attitude toward the text.