著者
鈴木 宏昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.145-153, 2004 (Released:2004-01-27)
参考文献数
30
被引用文献数
5 1

The dynamic constraint relaxation theory predicts crucial roles of the initial diversity and evaluation in creative problem-solving. We reported the experimental evidence supporting these predictions, using an insight problem. The experiments showed that the degrees of making different types of trials and the appropriate evaluation were closely related to individual differences in insight problem-solving, and that evaluation became more appropriate by making the problem-solving goal explicit. The review of the research in related fields showed that these experimental findings were in congruent with the evidence obtained from different types of creative activities.
著者
鈴木 宏昭 横山 拓
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.4-15, 2016

<p> 本稿では,組織の中に蓄積された暗黙知の明示化,公共化に関わる困難を認知科学的に分析する.その困難は,意識化すら不可能な知識が存在すること,言語が断片的であるがゆえに状況の復元に十分なパワーを持っていないことに由来する.こうした困難を克服するためには,知識を,場の中でマルチモーダルシミュレーションによって生み出され,改変され続けるものとして捉えることが必要とされる.また状況や身体の情報を豊かに伝える象徴的言語の利用も知識の伝達には有効である.</p>
著者
横山 拓 鈴木 宏昭
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.2, pp.294-305, 2018-02-01

本論文は,不確実性が高く,事前のプランが立てにくい環境に置かれたマネジャーが,断片的で無計画に見える日常活動を送りながらも,周囲の職場環境が提供する様々な認知資源をたよりに組織運営にあたっていることを示す.具体的には,非定型的な業務に従事する2人のマネジャーに対して各3日間の観察調査を行い,時間配分,計画やコミュニケーションの特徴を分析した.その結果,マネジャーの日常活動が断片化していること,マネジャー自身と周囲の環境とに計画が分散されていること,周囲との偶発的かつ頻繁なコミュニケーションによって仕事が調整されていることが確認された.この結果を分散認知,拡張された心の観点から検討した.
著者
鈴木 聡 鈴木 宏昭
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.331-341, 2011

主張型レポートの作成能力の必要性は増加しており,この能力を高めるための学習環境の構築は重要といえる.本研究では,学習者がこの能力を高めるためのアプローチとしてライティング活動におけるテキストの問題構築的読解に注目した.直感的・感情的思考が問題発見に寄与するという心理学・認知科学・神経科学の知見を踏まえ,こうした思考をライティング学習に応用するための学習環境の構築は有用といえる.そこでWeb上のテキストの下線・コメント(マーキング)と感情タグの付与を可能にするEMU(Emotional and Motivational Underliner)を開発した.そして,EMUの感情タグが問題構築的読解に与える影響を実験により検討し,それらの機能が学習者による問題構築的読解を促し,結果として気づいた問題点に基づく主張型レポートの作成につながることが示唆された.
著者
植田 一博 遠藤 正樹 鈴木 宏昭 堤 江美子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.260-273, 2002-06-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
22
被引用文献数
1

When they use daily electronic appliances to achieve their goals, users need to decompose their goals to a set of subtasks in a specific way. A previous study revealed that users who have extreme difficulties in using such appliances fail to decompose the task, or that their decompositions are different from the one that designers assume. Based on this view, we propose a new method to help users understand “task decomposition” by providing all operating functions in a tree structure. We conducted three experiments. In the first and second experiments, we built support panels corresponding to the operating panels of two different copiers, which visualize all operating functions of respective copiers to facilitate users' understanding task decomposition. We compared the copying performance of subjects who used the support panels with that of those who did not. Both the support panels were found to be useful for technologically inept users. We then built an interface by integrating the operating panel into the support panel, both of which were provided in the first experiment: We conducted an experiment similar to both of the previous ones and evaluated its effectiveness. The result showed that this interface facilitated users' task decomposition. We conclude that the supporting method we proposed is effective for technophobic users' understanding task decomposition.
著者
大高 泉 鶴岡 義彦 江口 勇治 藤田 剛志 井田 仁康 服部 環 郡司 賀透 山本 容子 板橋 夏樹 鈴木 宏昭 布施 達治 大嶌 竜午 柳本 高秀 宮本 直樹 泉 直志 芹澤 翔太 石崎 友規 遠藤 優介 花吉 直子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究プロジェクトは、日本、ドイツ、イギリス、アメリカ等のESD(持続可能性のための教育)としての環境教育の展開を探り、実践、効果の一端を探った。具体的には、ドイツの環境教育の40年間の展開を探り、持続可能性を標榜するドイツの環境教育の動向を解明した。また、ESDとしての環境教育政策やその一般的特質、意義と課題を解明した。さらに、12の事例に基づきイギリスや日本の環境教育の広範な取り組みの特質を解明した。
著者
清河 幸子 三澤 美翔 鈴木 宏昭
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
巻号頁・発行日
pp.44, 2015 (Released:2015-10-21)

本研究では,学習時に,刺激を視覚呈示することに加えて,親近性の高いメロディに合わせて聴覚呈示することが記憶に及ぼす影響を検討した。同様の検討を行った清河・三澤・鈴木 (2014) では,刺激の視覚呈示に加えて童謡「ふるさと」に合わせて聴覚呈示を行った条件(替え歌条件)において,読み上げ音声の聴覚呈示を追加した条件(読み上げ条件)や視覚呈示のみを行った統制条件に比較して自由再生課題の成績が高いことが示された。この結果は,メロディにより記憶が促進されたものと解釈されたものの,原曲の歌詞が手がかりとなった可能性が考えられた。そこで,本研究では歌詞のない原曲を使用することで歌詞と刺激の類似性が手がかりとして作用する可能性を排除した。その結果,歌詞のない原曲を用いてもメロディに合わせて聴覚呈示を加えることの促進効果が確認された。この結果は,メロディ自体が記憶を促進することを示唆している。
著者
鈴木 宏昭 福田 玄明 鈴木 聡 田中 克明 山田 歩
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回全国大会(2013)
巻号頁・発行日
pp.1J3OS22a6, 2013 (Released:2018-07-30)

人間の行う様々な知的活動は感情,動機によって支えられている.近年,これらは意識できないレベルの周辺情報によって大きく影響を受けることが明らかになってきた.本報告では,これらについての認知科学,実験社会心理学の知見を紹介し,AI研究の方法論と組み合わせて,オフィスワーカのモチベーションを向上させるための方策を探究する.
著者
鈴木 宏昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1I5OS09b1, 2014

<p>人間は系統発生,個体発生の過程で言語に代表される記号を生み出してきた.これによって高度に抽象的な思考や,経験の効率的な伝達が可能になった.この一方で写実的な表象システムを失うことになった.本講演では記号が人の認知システムにもたらすもの,そこから奪うものを精査した上で,これらの2つをつなぐ可能性を身体の観点から検討する.</p>
著者
鈴木 宏昭
出版者
日本教材学会
雑誌
教材学研究 (ISSN:0915857X)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.41-48, 2015 (Released:2016-07-20)
参考文献数
19

The purpose of this paper is to find out the characteristics of social approach to teaching in science education from the viewpoint of teaching “Nature of Science”. In this study, the subject for study was SATIS16-19 in England, including textbooks, teacher's guides, in an analysis. As the result of the analysis, the following three points were found out; 1) The contents of “What is Science” centered on the function of scientific knowledge. 2) The contents of “What is technology” centered on the definition of technology and the sociocultural background of technology. 3) The instructional materials consisted of four elements. For elements were “Activity”,“Discussion”,“Further study”,“Summary”.
著者
開 一夫 鈴木 宏昭
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.2_69-2_79, 1998-06-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
23

Research on insight has accumulated empirical evidence on its cognitive processes. However, there is little agreement on what problem-solvers learn from their initial failures and at what point an insight actually takes place. To explore these issues, we first propose a general framework that involves three constraints, object-level, relational, and goal. The object-level and relational constraints represent people's natural preferences of how objects and relations in a given problem are represented. The goal constraint evaluates a degree of match of the current state to the goal, and leads problem-solvers to select specific combinations of the representations of objects and relations. In the processes of insight, these constraints operate simultaneously and are gradually relaxed by repeated impasses. Using a geometric puzzle problem, we empirically tested hypotheses derived from the framework. Experimental results revealed that the initial persistence in a wrong approach could be explained by the object-level and goal constraints, and that subjects could reach an insight by relaxing the object-level constraints as well as allowing easy operation of goal constraints.
著者
長田 尚子 鈴木 宏昭 三宅 なほみ
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.525-535, 2005-10-15 (Released:2017-05-02)
被引用文献数
1

本研究では, 教育学科の専門教育への橋渡しとしての位置づけを持つ導入教育において, 学生の協調的な学習を支援するために, 情報技術を活用した授業の設計を検討している.対象とする授業は, 「レポートの書き方」を目的とする基礎的な演習であり, 学力低下という問題領域において論証に基づくレポートを書くことが最終課題である.そこで学生は, 領域が包含するあいまいさに遭遇するとともに, 自律的な学習者として専門領域において研究を始めていくにあたっての困難に直面する.このような状況において, 領域の理解と論ずるべき問題の発見につなげていくために, 学生相互のインタラクションを促進する協調学習の枠組みをジグソー法で構成した.また, 協調過程における気づきに基づいて, 各自の考えを吟味するための支援環境としてのblogの導入を行った.結果として, 多様な論点によって構成された領域の議論への参加と, blog上に考えをまとめて公開する活動を通じて, 学生自身による吟味が起こり, 問題発見が促進されることを確認した.今回の結果は, ジグソー法とblogの活用によって, 導入教育時期の学生の新しい学習スタイルへの適応を支援できる可能性を示唆するものである.
著者
鈴木 宏昭 福田 玄明
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.353-367, 2013-09-01 (Released:2014-12-05)
参考文献数
65
被引用文献数
4

Growing evidence has suggested interesting dissociations between conscious and sub-conscious processing in insight problem solving. It indicates a possibility that the process of insight problem solving is largely governed by an implicit learning mecha-nism that detects the differences between current and goal states, and regulates the strengths of the responsible operators. If the implicit learning mechanism takes part in the insight problem solving process, the process might be affected by a hint stimu-lus subliminally presented, because such a stimulus could not be used by the explicit learning system. We examined this possibility using the continuos flash suppression technique. The results of two experiments showed that subjects subliminally presented with the goal state of a difficult insight puzzle solved it much faster than those in the control group. These results were discussed in terms of unconscious nature of insight problem solving, gradual tuning of operator strengths during the impasse, and roles of subliminal hint information in the problem solving processes.
著者
宇都 雅輝 鈴木 宏昭 植野 真臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.998-1011, 2013-04-01
参考文献数
35

本論文では,アカデミックライティングにおける論証の推敲を支援するシステムを開発する.従来の論証推敲支援システムでは,論証の規範モデルとして知られるToulminモデルにユーザの論証を当てはめ可視化する支援を行っていることが多い.しかし,論証の主目的である「主張」の正当化のためには,Toulminモデルへの当てはまりの良さよりも,文章間の因果の強さ,すなわち「論証の強さ」を重視した論証の推敲が重要である.論証の推敲では,論証構成が複雑になったとき,以下の問題が生じると考えられる.1.「論証の強さ」を全ての文章間について評価することが困難である.2.論証中の各文章がどの程度正当化できているかの推定が難しい.3.「主張」の正当化に対して各文章がどのように影響しているかを把握することが困難である.これらの問題を解決するために,本論文では,Toulminモデルのベイジアンネットワーク表現を用いて,1.論証の強さ,2.文章の正当性,3.主張への影響度,という三つの指標を算出し,その値に応じて論証改訂のためのアドバイスをフィードバックする論証推敲支援システムを開発する.