著者
手良村 知功 小枝 圭太 鈴木 尚光 平瀬 祥太朗 瀬能 宏
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.19-032, (Released:2020-02-28)
参考文献数
18

A single specimen (124 mm in standard length) of the genus Bathophilus, trawled from 300 m in Suruga Bay, Japan on 30 January 2019, was identified as Bathophilus longipinnis (Pappenheim, 1914), being characterized by the following combination of characters: bases of pelvic fins equidistant between dorsal and ventral profiles; pectoral-fin rays 8; pelvic-fin rays 10; ventral row of photophores from tip of isthmus to anal-fin origin 32; large lateral series photophores 25; vertebrae 45 (previously recorded range 40–44); head length 17.3% in standard length (18.0–25.0%); body depth at origin of dorsal fin base 14.3% in standard length. The circumglobal (Atlantic Ocean; Indian Ocean; southern Pacific Ocean: Australia; Central Pacific: Hawaiian Islands; western Pacific Ocean: South China Sea) species has been previously recorded from the Kuroshio Current basin (20– 38˚S, 138–152˚E), although the detailed collection locality was not stated. There being no other records from Japanese waters, the specimen from Suruga Bay represents the first unequivocal record of B. longipinnis from Japan. The new standard Japanese name “Amanogawa-gingaeso” is proposed for the species.
著者
鈴木 尚
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.1-32, 1985 (Released:2008-02-26)
参考文献数
26
被引用文献数
3 4

本編は徳川将軍5体と夫人9体,および大名30体と夫人14体,計58体の頭骨形質についての研究結果である。徳川将軍の顔は彼らの個人差を超越して,江戸時代の庶民と次の点で区別される。それは超狭顔型で,狭くて隆起の強い鼻,高くて大形の眼窩,退化した上•下顎骨などである。これらの形質は世代を重ねるとともに強化されるので,14代将軍,徳川家茂(1846~66)では,この点に関して最も高度である。上の形質はまた仁孝天皇の皇女,和宮(静寛院宮)でも全く同じである。また江戸時代の大名では,将軍ほど高度ではないにしても,同じ形質をもっていたので,上の形質は江戸時代の貴族形質と見なされる。これら江戸時代貴族は,天皇家は別として,中世日本の庶民または,それに近い階層から由来したと信じられているので,これら貴族形質もまた当時の庶民形質の中から,たぶん下に述べる遺伝と環境の2因子の相乗作用にもとずいて顕現したものに相違ない。1.遺伝 将軍夫人と大名夫人の間に認められる顔型の類似性は,250年以上にもわたって,江戸時代貴族と同類の顔面形質をもった女性が夫人に選ばれていたことを物語っている。もし幾世代にもわたって上記の形質をもつ女性が夫人として選ばれるならば,当然,これらの形質は将軍や大名となるべき子孫に高度に伝えられるはずである。2.環境 各将軍に見られた発育不全の上•下顎骨と老年者ですら咬耗のない歯をもっているという非庶民的な特殊性は,彼らの食生活を含む総ての生活様式が,伝統的に特殊なものであることを示す。これと同じ環境的因子は大名やその夫人にもそのまま適用されるであろう。結局,将軍と大名とは形質人類学的にみて,江戸時代において特殊に文化された人たちと見なすことができる。
著者
栗原 由佳 小原 明香 増田 陸雄 笠井 早貴 坂崎 麗奈 飯島 毅彦 鈴木 尚志
出版者
一般社団法人 日本歯科麻酔学会
雑誌
日本歯科麻酔学会雑誌 (ISSN:24334480)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.51-53, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
10

We report a case of extensive cardiogenic cerebral infarction resulting in permanent disability arising from an interruption in oral anticoagulants before dental surgery. A 71-year-old woman with a history of atrial fibrillation and hypertension was scheduled to undergo an implant placement in the maxillary molar area. She had been taking warfarin (2 mg/day) to prevent thromboembolic events, and the dosage had been titrated to maintain an international normalized ratio of prothrombin time (PT-INR) of 1.7-2.1 for the last nine months. The patient was instructed not to take warfarin for four days before or on the day of surgery by her cardiologist, and warfarin was resumed on the day after surgery. On postoperative day three, she suffered a stroke and was admitted emergently. She presented with right hemiplegia and aphasia, and her Glasgow Coma Scale (GCS) score was 8 (E3V1M4). The PT-INR was 1.17 on admission, and brain magnetic resonance imaging showed an extensive hemorrhagic infarction in the territory of the left anterior and middle cerebral artery. Despite conservative treatment, the brain edema progressed and resulted in impending brain herniation requiring an emergent decompressive craniotomy, which was performed on the sixth day after admission. She was discharged to a nursing home with an improved GCS score of 11 (E4V2M6) but with residual dysphasia 50 days after admission. Recent professional guidelines recommend that anticoagulants not be discontinued in the most patients requiring dental extraction. Following such recommendations is crucial to prevent fatal thromboembolic events in patients receiving anticoagulants who require dental implants.
著者
鈴木 尚
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.23-37, 1989 (Released:2008-02-26)
参考文献数
24
被引用文献数
3 4

本首塚人骨を,群馬県八幡平首塚をはじめ,他の中世人骨と骨学的に比較し,本首塚が伝説の通り,戦国時代に由来することを認めた。また中世の合戦には,男性のほか,常に女性が1/3ほど参加したらしい。頭骨の損傷の中には,貫通銃創を疑わせるものがあり,頭皮を剥ぎ,鼻をそぎ,鋸引きさかれたものもある。中世日本人の頭骨は,長頭型,広顔型など一連の現代人とはちがった形質を具え,鎌倉材木座人はその典型とみなされる。
著者
内藤 明美 森田 達也 神谷 浩平 鈴木 尚樹 田上 恵太 本成 登貴和 高橋 秀徳 中西 絵里香 中島 信久
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.255-260, 2021 (Released:2021-08-24)
参考文献数
20

【背景】医療において文化的側面への配慮は重要である.本研究は沖縄・東北を例に首都圏と対比させ国内のがん医療・緩和ケアにおける地域差を調査した.【対象・方法】沖縄,東北,首都圏でがん医療に携わる医師を対象とした質問紙調査を行った.【結果】553名(沖縄187名,東北219名,首都圏147名)から回答を得た.地域差を比較したところ,沖縄では「最期の瞬間に家族全員が立ち会うことが大切」「治療方針について家族の年長者に相談する」「病院で亡くなると魂が戻らないため自宅で亡くなることを望む」などが有意に多く,東北では「特定の時期に入院を希望する」が有意に多かった.東北・沖縄では「がんを近所の人や親せきから隠す」「高齢患者が治療費を子・孫の生活費・教育費にあてるために治療を希望しない」が多かった.【結論】がん医療・緩和ケアのあり方には地域差があり地域での文化や風習を踏まえた医療やケアに気を配る必要がある.
著者
鈴木 尚 馬場 悠男 神谷 敏郎
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.403-440, 1986 (Released:2008-02-26)
参考文献数
52
被引用文献数
1 1

脳下垂体の腫瘍にもとつく巨人症の形質を,力士•出羽ケ嶽の骨格について,人類学的に研究した。脳頭蓋の外形は巨大であるが,実は,骨の病的肥厚による矢状径と横径の著しい増大にもとつくもので,脳容積に異常はない。顔面は高径•幅径とも過成長をとげ,とくに前者が甚だしく,上顔より下顔部に進むほど加速される。さらに上•下顎骨の不平等な成長による咬合の左右差は,咀蠕筋の不相称を招き,結局,全頭蓋の左右不相称を生じた。四肢は身長に比しても長く,逆に体幹は太く短かったらしい。上肢骨は相対的にも極めて頑丈であるが,下肢骨はあまり頑丈ではない。上肢骨の大きさには特有の相補的な左右差あるいは不均衡が見られる。
著者
人見 泰正 鈴木 尚紀 辻 義弘 松井 博志 小西 昂博 高田 博弥 延命寺 俊哉 佐藤 暢
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.393-399, 2020 (Released:2020-08-01)
参考文献数
22
被引用文献数
2

【目的】上腕動脈から狭窄病変へ至るまでの血管ルートに逃げ道となる分枝血管がある場合とない場合で, FV, RIの病変検出能力にどの程度の数値的差異があるのかを調べた. 【対象・方法】対象は, 399名の維持血液透析患者とした. 対象をNormal群, 狭窄病変を有するStenosis群, 狭窄病変を有し病変手前に分枝血管を有するStenosis+分枝群に分類し, 各群間の背景因子とFV, RIの平均値を比較するとともに, 病変検出をアウトカムにROC曲線を描いた. 【結果・考察】Stenosis+分枝群の割合は, 病変を有する症例の39.0%を占めた. Stenosis群は狭窄病変検出に対するFVの信頼度がhigh accuracyであったが, Stenosis+分枝群ではlow accuracyであった. RIはともにmoderate accuracyであった. 本検討結果はエコーを用いた内シャント評価時に加味すべきである.
著者
鈴木 尚
出版者
日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.7-11, 1948-07-01 (Released:2008-02-26)
参考文献数
17
被引用文献数
49 62
著者
鈴木 尚登 花岡 茂樹 森瀧 亮介 柳浦 良行
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.97-100,a1, 2007-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

可知氏が国営第1号の巨椋池干拓の初代所長に就任してから4年間, 毎日, 書き綴った「作業日誌」をベースにして, 氏が著した「農業水利学」および地元新聞に掲載した「平易解説」等も参考に, 巨椋池干拓とはどの様な事業で作業日誌は何のために書かれたのか等を考察する。
著者
鈴木 尚 馬場 悠男 神谷 敏郎
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.441-468, 1986 (Released:2008-02-26)
参考文献数
2

元関脇出羽ヶ嶽の全身骨格に関する形態学的資料を報告する.計測はマルチンの教科書に準拠して行ない,結果を Table1~11にまとめた.写真はマイクロニッコール55mm で撮影し, Plate1~6にまとめた. X線写真は距離1.2mで撮影し,直焼像を Plate7~14にまとめた.X 線写真のスケールは骨自体の人きさではなく,フィルム面上の像の大きさを表わしている.骨格の形態学的記載および現代日本人との比較は,この資料報告に先行する本報告(巨人関脇出羽ヶ嶽骨格の形態学的研究,鈴木他1986)に載せた.
著者
鈴木 尚
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.238-267, 1957-03-30 (Released:2008-02-26)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3
著者
鈴木 尚紀 竹田 優希 小西 昂弘 人見 泰正 佐藤 暢 西村 眞人
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.327-333, 2022 (Released:2022-06-04)
参考文献数
20

脳血流の指標とされる前頭葉混合血酸素飽和度(FL‒rSO2)を,透析中に測定した血圧低下症例を3例報告する.症例1は76歳男性,オンライン血液透析濾過を施行した患者であり,開始2時間後より2度の急激な血圧低下とともにFL‒rSO2の低下が認められた.症例2は65歳女性,15分毎に50 mLの補液を行う間歇補充型血液透析濾過(少量頻回補液IHDF)を施行した患者であった.透析開始時より血圧とブラッドボリューム(BV)は低値で推移したが,FL‒rSO2は安定して推移した.症例3は68歳女性,少量頻回補液IHDFを施行した患者であり,BV低下はわずかであったが,開始3時間後より血圧低下を認め,FL‒rSO2はIHDFの補液に反応して変化した.脳血流の調節メカニズムは複雑であり,血圧やBVで管理することは難しいが,透析中のFL‒rSO2モニタリングは脳循環管理の指標として有用である可能性がある.
著者
人見 泰正 鈴木 尚紀 辻 義弘 高田 博弥 山田 将寛 北村 悠樹 佐藤 暢
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.167-173, 2022 (Released:2022-03-28)
参考文献数
15

【目的】シャント狭窄部に駆血を行うことで血管拡張が得られる症例とそうでない症例で,治療成績や検査基準に違いがあるかどうかを検討した.【対象】対象は,非駆血時での狭窄部血管断面積が3.14 mm2(径で2.0×2.0 mm)以下で,エコー下VAIVTを実施した96例である.【方法】対象を,駆血で狭窄部血管径が拡張する血管拡張良好群と拡張しない血管拡張不良群に分類し,両群のVAIVT前での非駆血時狭窄部断面積,FV,RI,および治療での最高拡張圧,過去3年間のVAIVT回数などを統計学的に比較した.【結果・考察】血管拡張良好群の治療効果は血管拡張不良群よりも低い可能性が高く,血管拡張良好群の非駆血時の狭窄径は見かけ上の有意狭窄である可能性が示唆された.非駆血状態で狭窄部の径計測を行い,それのみをVAIVT介入の基準とした場合,過剰な治療介入が存在する可能性がある.治療適応を考査する際には,駆血したうえで狭窄部の径計測を行う必要がある.