著者
鈴木 航介 合田 隆
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.320-374, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
118
被引用文献数
1

概要. 本稿は高次元数値積分法の一つである準モンテカルロ法のサーベイ論文である.一様分布論に基づく古典的理論や準モンテカルロ点集合の構成法から始め,近年発展を遂げてきた再生核ヒルベルト空間に対する最悪誤差の評価やそれに基づく格子やデジタルネットと呼ばれるクラスの準モンテカルロ点集合の構成および乱択化について概観し,数値実験を通してその実用性を示す.
著者
原田 悦子 鈴木 航輔 須藤 智
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

視覚的探索は日常的にもしばしば発生する活動であるが,同一のダミー項目が複数ある中からターゲットを見出す実験室課題とは異なり,日常では,個々別々のダミー項目の中から一つのターゲットを探し出す課題である.そこで本研究では,「本棚から特定タイトルの本を選び出す」課題を作成し,その視覚探索過程において,経験的手がかり(ターゲット発生確率の偏り)もしくは意味的手がかり(カテゴリーによる位置情報の付加)を加えた場合の効果を,手がかりに合致する優先条件/合致しない非優先条件の比較から検討することを目的として,時間圧の付加ならびに加齢効果を分析した.その結果,若年成人では両手がかりとも通常条件,時間圧下条件のいずれでも有効な促進効果を示したが,高齢者の時間圧下では,意味的手がかりにおいて「非優先領域への探索」を抑制することが示された.問題解決場面における手がかり利用と目標維持の関係性について考察する.
著者
鈴木 航 江草 知通 寺沢 良則 増山 政次 澤本 嘉正
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.251, 2020 (Released:2020-11-30)

近年,ごみ焼却施設の運営形態を地方自治体によるものから,民間を活用したDBO(Design Build Operate:公設民営)へと移行するケースが増えている。その一方でベテラン運転員の不足が深刻化しており,安定稼働とコスト削減を両立していく上で,これまで以上に遠隔からの運転支援が必要不可欠なものとなりつつある。こうした中,当社では複数の焼却施設の運転状況を一元管理すべく,遠隔監視・運転支援システム 及び AI(Artificial Intelligence) やクラウドを活用した運転支援システムを構築して運転データを集約し,得られたノウハウを水平展開することによって,DBO施設における運営の高度化・効率化を図っている。本報では,当社システムの現状とその高度化に関する取組み状況,そして,それらも活用した横浜市との共同研究の概要について述べる。
著者
小竹 諭 井野 拓実 大角 侑平 上原 桐乃 吉田 俊教 前田 龍智 鈴木 航 川上 健作 鈴木 昭二 森口 智也 大越 康充
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1393, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】扁平足や回内足に伴う下肢アライメント異常は膝関節のストレスを増加させる一因とされており,その治療として内側アーチサポート(medial arch support:以下MAS)の着用が有効であるとの報告が散見される。演者らはMASが有効であった下肢アライメント異常を伴う膝痛症例の運動学的解析を行い,MAS着用により歩行立脚期における脛骨の内旋変化量が減少し,これが膝痛改善の一因であると報告した。しかしMASが奏功する運動力学的メカニズムについては十分に解明されていない。本研究の目的は,下肢アライメント異常に起因する膝痛症例においてMAS着用による歩行の運動力学的変化を解明することである。【方法】平成20年8月から平成21年3月までの期間,運動後の膝痛を訴えて当院を受診した症例でMRIを施行したものは40例であった。そのうち理学所見とMRI所見から半月板損傷と靭帯損傷が否定された症例は35例であり,さらにknee-inと回内扁平足の下肢アライメント異常が両側に認められた症例が31例であった。それらの症例でMASが処方されたものが25例であった。そのうち経過観察が不可能であった7例を除外しかつ症状の改善が得られた18例中,動作解析を実施し得た11例22膝(男性5例,女性6例,年齢15.4±1.7歳)を対象とした。疼痛改善の指標としてVisual Analog Scale(以下VAS)を用いた。MAS着用により運動後のVASが平均6.9±1.2から3.3±2.6へと有意に改善していた。下肢アライメント異常は熟練した医師および理学療法士により視認されたknee-inや回内扁平足とした。Knee-inの定義は片脚スクワット時に前額面上において膝関節が足部の前後軸に対して内方に偏位するものとした。また,回内扁平足は荷重時に距骨下関節が過度に回内し,内側縦アーチが著しく低下するものとした。内側縦アーチ低下はWilliamsらの舟状骨高を用いて評価した。全症例において舟状骨高は正常値より低値を示した。研究で用いたMASは8mm高の内側縦アーチを原則としたが,第3中足骨頭部の中足骨パッドおよびヒールカップも追加された。計測は三次元動作解析システム(赤外線カメラ4台,床反力計2枚,各々120Hz)を用い定常歩行を計測した。ポイントクラスター法および逆動力学計算により外部モーメントを算出した。さらに床反力計により足圧中心位置を確認した。算出されたデータは一歩行周期を100%として規格化し,足関節と膝関節におけるモーメントのピーク値および平均値,そして足圧中心位置について,各々MAS着用とMAS着用なしで比較検討した(paired t-test,p<0.05)。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に則り,倫理委員会の承認,また計測前に十分なインフォームド・コンセントを得て実施された。【結果】外部足関節外反モーメントはMAS着用により立脚中期において有意に減少した。また,そのピーク値も有意に減少した。外部膝関節内反モーメントはMAS着用により立脚中期において有意に増加し,またそのピーク値も有意に増加した。外部脛骨内旋モーメントはMAS着用により立脚中期において減少傾向であった。足圧中心位置は立脚期全体を通してMAS着用により11.9±2.8mm有意に内側へ移動した。【考察】本研究結果から,歩行立脚期においてMAS着用により外部足関節外反モーメントは減少し,外部膝関節内反モーメントは増加した。さらに,外部脛骨内旋モーメントは減少する傾向であった。また,MAS着用により足圧中心位置はより内側へ移動した。以上より床反力ベクトルの作用線は足関節中心へ近接し,かつ膝関節のより内側を通過したと推察され,この変化が関節モーメントの変化の主要因と考えられた。MAS着用による外部足関節外反モーメントの減少は足部の過回内を抑制し,また外部膝内反モーメント増加や外部膝内旋モーメント減少は,よりhigh demandingな動作においてknee-inのような下肢アライメント異常を抑制する可能性が考えられた。扁平足やknee-inなどの下肢アライメント異常によって膝蓋腱や膝周囲筋付着部は過度な張力を受ける。オーバーユースによるこれらの張力の蓄積は腱炎や腱周囲炎を惹起することが考えられる。MAS着用による運動力学的変化はこれらの張力の蓄積を軽減し,運動により生じる膝痛軽減に有効であることが考えられた。【理学療法学研究としての意義】下肢アライメント異常に起因する膝痛症例においてMAS着用が膝痛の軽減に有効であるメカニズムは十分に解明されてこなかった。本研究はMAS着用により足関節のみならず膝関節においても運動力学的変化が生じることを示した。これはMASの有効性におけるメカニズムの一端を明らかにしたと考えられる。
著者
髙松 俊介 宮川 誠一郎 佐藤 久弥 鈴木 航 西澤 剛 中村 雅美 梅田 宏孝 崔 昌五 加藤 京一 中澤 靖夫 池田 純
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.549-555, 2014 (Released:2014-06-20)
参考文献数
13

The hamate bone, one of the carpal (wrist) bones, has a large uncinate process protruding from the palm side. In sports such as golf and tennis, the hamate bone can break if is subjected to a high external force, such as from the handle of a racquet or club. At our hospital we take X-ray images of the hamate bone from two directions: an axial image through the carpal tunnel and an image at the base of the hamate hook (conventional method). While the conventional method makes it easy to create images of the base of the hamate hook, the patient may suffer pain during image-taking because the hamate bone is pulled to cause radial flexion. We therefore investigated a method of imaging that would create three-dimensional computed tomography (3DCT) images of the base of the hamate hook in which the patient would only have to only rotate the wrist externally and elevate the fore-arm without any radial flexion. Our results suggest that it is possible to obtain images of the base of the hamate hook as clear as those acquired using the conventional method with the patient in a comfortable and painless position taking images at an external rotation angle of 50.3° and a forearm elevation angle of 20.3°.
著者
鈴木 航太 鈴木 達也 小野 弓絵
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.137, 2017

<p>中側頭回は視聴覚情報の統合を担っていると考えられており、音楽に合わせて指示されたステップを行う視聴覚統合運動タスク(ダンスゲーム)遂行時におけるステップの時間的正確性(スコア)と中側頭回活動の持続性には正の相関がみられる。本研究は中側頭回の易活動性がダンスゲームの上達過程に与える影響を調べるために、左中側頭回の活動を経頭蓋直流刺激(tDCS)により亢進、抑制したときの運動の時間的正確性の変化を計測した。18人の若年成人に対し、anode、cathode、shamの電気刺激をランダムな順番で異なる3実験日において適用し、tDCS刺激前1回と刺激後3回の繰り返し施行におけるスコアを比較した。被験者全体では、測定回数による主効果のみ有意であり、電気刺激の種類との交互作用はみられなかった。楽器あるいはタスクと同様のリズムゲームの経験により分類すると、経験者はanode刺激、未経験者はcathode刺激において繰り返し施行後のスコアが刺激前に比べて有意に増加した。電気刺激の効果が視聴覚と運動の統合を必要とする訓練の経験量の違いによって異なって現れたことから、ダンスゲーム課題遂行における中側頭回の役割は訓練によって可塑的に変化していることが示唆された。</p>
著者
山本 利一 鈴木 航平 北畠 謙太郎 本郷 健
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.35-42, 2018 (Released:2018-05-21)
参考文献数
17

本研究は,「思考支援ツール」を活用し,「学習の振り返り」や「学習の整理」の効果を,教員研修を通して検証した..対象の教員は,学習の振り返りなどは重要であることを認識しているが,時間的制約などから,それらの活動を実施している割合が少ない実態が示された.思考支援ツールを活用することで,学習の振り返りが容易にでき,その結果を簡単に分類・整理ができるため,これらの活用は有用であるという意見が示された.また,教員は,これらを活用した具体的な授業案を想定・提案することができた.
著者
山本 利一 鈴木 航平 岳野 公人 鹿野 利春
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.41-48, 2017 (Released:2017-09-10)
参考文献数
13

小学生を対象にした「プログラミング教育」は,日本国内では必修化に向け様々な取り組みが行われている.これまでの先行研究から,プログラミングを学習することで,ものごとを順序立てて考える訓練がなされ,論理的な思考力が身につくことが示されている.そこで本研究においては,小学校中学年を対象に,タブレットを用いたプログラミングを学習する指導過程について検討した.指導過程は4時間を設定し,ものごとを順序立てて考えることの大切さを学習するために行った授業実践を報告する.
著者
村川 弘城 白水 始 鈴木 航平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.109-112, 2013

本研究では,ゲームにおける学習と動機付けの関係を検討するため,カードゲーム型学習教材「マスピード」を用いて,方略を振り返る活動が,生徒の動機付けや継続的な学習意欲を高めることを示す.中学1年生102名を,「計算力向上」という価値を強調して同一化的動機付けを引き起こす「勉強条件」,ゲームとして楽しませて内発的動機付けを引き出す「遊び条件」,プレイごとに簡単な振り返りをさせる「方略発見条件」という3条件に割り振り,比較した.結果,方略発見条件が動機付けの程度でも数学的な方略の質でも上回り,方略の振り返りが,統合的動機付けと学習意欲の向上に寄与することが示唆された.
著者
石渡 貴之 長谷川 博 柳田 信也 鈴木 航太 松村 健 中川 晃
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

体温調節機構においては視床下部の視索前野/前視床下部(PO/AH)が特に重要な部位であり,セロトニン(5-HT)が熱放散機構,そしてドーパミン(DA),ノルエピネフリン(NE)が熱産生機構に関与していることが示されている.本研究では,自発運動によるPO/AHの脳内神経伝達物質の変動及び体温調節に及ぼす影響を解明することを目的とした.自発運動群は非運動群に比べて,安静時の心拍数が低いという結果が得られた.また,深部体温に関しても,昼夜の高低の変動がハッキリしており,メリハリがあることが明らかであった.更に自発運動群のPO/AHのDAとNEが非運動群と比べて有意に高い結果であった.