著者
長田 年弘
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.13-24, 2000-03-31

Im Fachgebiet der Altegeschichte wurde bis heute heftig diskutiert, wie die Griechen archaischer und klassischer Zeit die Barbaren erkannt und geschatzt haben. Zu dieser Frage scheinen die Analyse der erhaltenen athenischen Vasenmalerei auch einen wichtigen Beitrag leisten zu konnen. Die Skythendarstellungen scheinen uns die Barbaren-Anschauung der zeitgenossischen athenischen Burger wissen zu lassen. In dieser Arbeit wird das Flucht-Motiv der Skythen erwahnt. Die Darstellung der Skythenbogenschutze, der vom Kampf der Hopliten zuruckzieht und die Flucht ergreift, ist bei den zwolf Beispiele zu finden. Ausser diesen Skythendarstellungen wurde das Flucht-Motiv in der athenischen Vasenmalerei nur fur die folgenden funf Themen benutzt : die feigen trojanischen Heroen, wie Paris, die Giganten, die Amazonen, die Agypter und die Neger. Aus diesem Sachverhalt ist klar zu entnehmen, dass die damaligen Athener die Antithese, die tapferen Griechen und die furchtsamen Barbaren, in sich beibehalten haben. Es ergibt sich, dass sich die Verachtung der Barbaren bereits vor dem Perserkrieg bei der athenischen Gesellschaft entwickelt hat.
著者
齊藤 稔 青木 孝夫 欒 竹民 幣原 映智 長田 年弘 安西 信一 原 正幸 金田 晋
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は東西の伝統的学芸の価値概念である西洋の自由学芸、日本の芸道、中国の六芸を対象とし、解釈学的に比較することを意図した比較芸術学的共同研究であり、広島市立大学をはじめ広島大学その他の大学の専門家の協力をえて推進した。ヨーロッパにおいては古代から中世を経て近世・近代に至るまで7自由学芸(septem artes liberales)、文法、修辞学、弁証術、数学、幾何学、天文学、音楽はアルス(ars)として、技術・芸術と学問の不可分の領域と見なされ、哲学とともに人間性を探究するための、また教育と教養を培うための学芸であった。古代ローマ時代のキケロはそのような教育と教養が人間存在にとって必要不可欠な徳としての気品(dignitas)を生み出すことを強調し、ルネッサンスにおいてペトラルカは人間社会のためにそのような倫理の必要を説いた。これはまた造形芸術の美質であり目的でもあった。他方レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画を自由学芸と同列に置き、絵画は学問であるとして「絵画学」(scienza della pittura)を主張した。というのは絵画は遠近法や解剖学や光学などを本質的に必要とするからである。日本の芸道は民族的な美的意識であり、芸術の思念と実践を統合する価値概念であった。これはあらゆる美的な生活芸術を貫く芸と術の道としての芸術的営為であり、教化されるべき様式として把握された。また高い徳と美的に教育された人間存在の教養を形成するために求められた。そこでは制作や表現においても、享受や理解においても、つねに帰一すべき根源的自然、あるいは神的超越者を自覚して精進する。芸道は真・善・美を求める人にとって高徳の人間形成のための、また美的形成、美的教養として望まれる必須のアルス(学芸)であった。中国ではさらに古くから六芸として、礼、楽、射、御、書、数の教養思想があり、基本的には人間として修得すべき教養や道徳であり、技芸や学芸であった。その修得は文学や哲学から詩や書・絵画の技術的習練にも結びついた。それは絵画では書画同体、十八画法などの奥義の技法をも含んでいる。本共同研究はこれら3つの概念を比較学的に研究し、それらの類似と相違を明確にするように試みた。それによって3つの美的システムが学芸の領域に属するだけではなく、真・善・美の価値意識の普遍的理念を伴う人間生活全般に深く関わることを理解することができた。そしてこの総合研究の成果は学際的研究への貢献として、それら伝統的学芸とその解釈が美的真実への感性的理性的認識に到達するものであることを示しえたと考えている。
著者
周藤 芳幸 金山 弥平 長田 年弘 師尾 晶子 高橋 亮介 田澤 恵子 佐藤 昇 大林 京子 田中 創 藤井 崇 安川 晴基 芳賀 京子 中野 智章
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

当該年度は、前プロジェクト「古代地中海世界における知の伝達の諸形態」の最終年度に当たっており、そこで既に策定されていた研究計画を着実に進めるとともに、現プロジェクト「古代地中海世界における知の動態と文化的記憶」の本格的な展開に向けて新たな模索を行った。具体的には、図像による知の伝達の諸相を明らかにするために、図像班を中心に研究会「死者を記念する―古代ギリシアの葬礼制度と美術に関する研究」を開催し、陶器画による情報の伝達について多方面からの共同研究を行った。また、9月3日から7日にかけて、国外の大学や研究機関から古代地中海文化研究の最先端で活躍している13名の研究者を招聘し、そこに本共同研究のメンバーのほぼ全員が参加する形で、第4回日欧古代地中海世界コロキアム「古代地中海世界における知の伝達と組織化」を名古屋大学で開催した。このコロキアムでは、古代ギリシアの歴史家の情報源、情報を記録する数字の表記法、文字の使用と記憶との関係、会計記録の宗教上の意義、法知識や公会議記録の伝承のメカニズム、異文化間の知識の伝達を通じた集団アイデンティティの形成、神殿などのモニュメントを通じた植民市と母市との間の伝達など、古代地中海世界で観察される知の動態をめぐる様々な問題が議論されたが、そこからは、新プロジェクトの課題に関して豊富なアイディアと示唆を得ることができた。これについては、その成果の出版計画の中でさらに検討を重ね、今後の研究の展開にあたって参考にする予定である。これに加えて、当該年度には、知の伝承に関する基礎データを獲得するためにエジプトでフィールドワークを行ったほか、9月にはダラム大学名誉教授のピーター・ローズ博士、年度末にはオックスフォード大学のニコラス・パーセル教授の講演会を企画・開催するなど、国際的なネットワークの強化にも努めた。
著者
長田 年弘 篠塚 千恵子 中村 るい 河瀬 侑 小堀 馨子 坂田 道生 高橋 翔 田中 咲子 中村 友代 福本 薫 山本 悠貴
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

古代ギリシア・ローマ美術史における、広義の「祈り」(「嘆願」、「崇拝」、「オランス」)図像について、作例を検証した。特にギリシア時代の「嘆願」と、ローマ時代の「オランス」に、女性を「祈り」の主体とする作例数が多いことに着目し、社会的弱者の「祈り」と、道徳等の社会規範との関わりに目を向けた。小堀馨子(古代宗教史)は専門的見地から参加し、「命乞い」などのネガティブな価値判断を与えられた「嘆願」図像が、「敬虔さ」を表すポジティブな「崇拝」および「オランス」図像に転用された現象について検討を行った。期間中に5回の研究例会を開催し、最終的な研究成果に関して報告書を編集、刊行、専門研究者に配布した。
著者
長田 年弘 木村 浩 篠塚 千恵子 田中 咲子 水田 徹 金子 亨 櫻井 万里子 中村 るい 布施 英利 師尾 晶子 渡辺 千香子 大原 央聡 中村 義孝 仏山 輝美 加藤 公太 加藤 佑一 河瀬 侑 木本 諒 小石 絵美 坂田 道生 下野 雅史 高橋 翔 塚本 理恵子 佐藤 みちる 中村 友代 福本 薫 森園 敦 山本 悠貴
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究課題は、研究代表による平成19-21年度基盤研究(A)「パルテノン神殿の造営目的に関する美術史的研究―アジアの視座から見たギリシア美術」の目的を継承しつつ再構築し、東方美術がパルテノン彫刻に与えた影響について再検証した。古代東方とギリシアの、民族戦争に関する美術について合同のセミナーを英国において開催し、パルテノン彫刻をめぐる閉塞的な研究状況に対して、新しい問題提起を行った。平成21年開館の、新アクロポリス美術館の彫刻群を重点的な対象とし撮影と調査を行ったほか、イランおよびフランス、ギリシャにおいて調査を実施した。研究成果を、ロンドンの大英博物館等、国内外において陳列発表した。
著者
長田 年弘 篠塚 千恵子 水田 徹 金子 亨 師尾 晶子 櫻井 万里子 櫻井 万里子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題は、水田徹(当時の研究代表)によって平成6年に開始されたパルテノン彫刻共同研究を発展的に継承するものである。ギリシア、アテネにおいて築いた各美術館との協力関係を土台としてパルテノン彫刻に関する総合的研究を進めた。アジアを視座とするギリシア美術史研究を推進した。