著者
高瀬 幸恵
出版者
教育史学会
雑誌
日本の教育史学 (ISSN:03868982)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.58-70, 2007-10-01 (Released:2017-06-01)

The purpose of this paper is to clarify how government enlightenment policy was implemented in elementary education in 1930's Japan through an examination of the introduction of Shinto shrine worship to elementary school discipline. In order to analyze this issue, this paper investigates the 1930's Mino Mission Affair that took place in Ogaki city, a city in southwestern Gifu Prefecture. The affair centered on the refusal of elementary school students who belonged to Mino Mission to participate in Shinto shrine worship as a school activity. Mino Mission was established by Sadie Lea Weidner (1875〜1939) as an independent mission without a particular power base. There are already several studies of this affair that clarify the progress of the affair itself. However, these studies fail to analyze the affair as it relates to government enlightenment policy. This paper focuses on the encouragement of shrine worship by the Ministry of Education as well as local government that provided the backdrop for the affair. This paper makes the following conclusions: First, the encouragement of shrine worship was facilitated in Gifu by the close ties of the Gifu-ken Kyoiku-kai (the association of education in Gifu) and the Gifu-ken Shintoku-kai (the association of Shinto in Gifu). The manager of the school affairs section of the Gifu prefectural administration concurrently held the post of president of the Gifu-ken Kyoiku-kai and the Gifu-ken Shintoku-kai. Second, at this time, there was common understanding in the Gifu-ken Kyoiku-kai that the Imperial Rescript on Education was ineffective in addressing elementary school discipline. Shrine worship was seen as one method of instilling discipline into elementary education.
著者
高瀬 幸子
出版者
日本ソーシャルワーク学会
雑誌
ソーシャルワーク学会誌 (ISSN:18843654)
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-13, 2012-06-30

本研究の目的は,事例分析によって,ストレッサーに対して積極的に対処しようとしないタイプの高齢者の特徴を描き出し,その援助についての示唆を得ることである.事例分析の理論的枠組みにはエコロジカル視点を用い,ストレッサーとコーピングの交互作用から事例を分析した.地域包括支援センターの社会福祉士が援助している22事例のうち,コーピング特性簡易尺度において,いずれのコーピングもあまりとることがないと回答した3事例に焦点をあてて分析した.その結果,実際には回避型コーピングが多用されていることが明らかになった.一方で,能動的な行動を伴うコーピングは少なく,援助においてはソーシャルワーカーの積極的なアウトリーチの必要性が示された.このタイプの高齢者への援助は,ソーシャルワーカーに対して問題解決のための相談というコーピングがとれるように働きかけていくことが有効であることが示唆された.
著者
高瀬 幸子 合田 敏尚
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.133-138, 1990
被引用文献数
1

十二指腸粘膜膜酵素活性の誘導機構の解明を目的とし, ふ化前のふ卵14日目のニワトリ胚にヒドロコーチゾンならびにビタミンD<SUB>3</SUB>を投与して (ヒドロコーチゾンは17日目に2回目の投与) 十二指腸粘膜刷子縁の膜脂質の脂肪酸組成に及ぼす影響を観察し, 同時に膜酵素としてスクラーゼとアルカリホスファターゼ活性を測定した。これら膜酵素活性の誘導と刷子縁膜脂肪酸組成の変動との関連について比較検討した。<BR>1) ヒドロコーチゾン投与によりふ卵20日胚の十二指腸粘膜重量, 粘膜DNAおよび粘膜刷子縁の膜タンパク質量が増大したが, DNA当りのタンパク質量は増加せず対照群と同じであった。ビタミンD<SUB>3</SUB>投与ではそのような効果はみられなかった。<BR>2) 十二指腸刷子縁膜脂質の脂肪酸組成は, ヒドロコーチゾンならびにビタミンD<SUB>3</SUB>投与のいずれの場合にも18: 2 (ω6) と20: 4 (ω6) のω6系の長鎖多価不飽和脂肪酸が著明に増加した。<BR>3) ヒドロコーチゾンの投与により, スクラーゼ活性とアルカリホスファターゼ活性が増大した。ビタミンD3投与によりアルカリホスファターゼ活性が増大したが, スクラーゼ活性の誘導は起こらなかった。
著者
谷口 景一朗 前 真之 季 思雨 高瀬 幸造 児島 輝樹 岸本 尚子
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.26, no.64, pp.1001-1006, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
10

Understanding the thermal performance of windows with shading devices is important for energy saving. Using a full-scale experimental building, the thermal insulation performance (U-value) and the solar heat gain performance of windows with shading devices was measured, and the validity of the measurement method was confirmed. In addition, the indoor thermal environment and the comfort with and without shading devices were measured, and it was confirmed that the shading devices contributed to the improvement of comfort especially by realizing a uniform radiation environment.
著者
廣田 新平 柴 喜崇 荻野 裕 高瀬 幸 畠山 莉絵
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.EcOF2106, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 近年,要介護者数は増加し,家族が介護を行う割合も高くなっている(荒井,2002).特にパーキンソン病(以下,PD)は60歳代での発症率が高く(Adams,2009),直接,死因となる疾患でないため,長期介護が必要となり,在宅介護での家族の介護負担が大きな問題になっている. 介護負担に関連する要素の一つである睡眠障害はうつ(兼坂,2007),蓄積疲労感(山田,1999)とも関連しており,主介護者の睡眠障害は長期間の介護を行う上で重要視すべき問題である.実際に,睡眠障害はPD患者だけでなく,主介護者でもみられ,主介護者とPD患者の睡眠障害には関連があることが報告されている(Pal,2004).本研究の目的は3年間のPD患者の症状変化が主介護者の睡眠障害に与える影響を明らかにすることとした.【方法】 特発性PD患者14名(Modified Hoehn & Yahr StageIII~V)と同居中の主介護者を対象に調査した.調査項目は睡眠障害の指標としてPittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)(/21点),PDの重症度はUnified Parkinson`s Disease Rating Scale(UPDRS)(/202点),うつ病の評価はGeriatric Depression Scale15(GDS15)(/15点)を用い,その他,年齢,性別,介護サービス(訪問リハ,通所介護事業,通所リハ)の合計利用時間などの基本情報の調査も行った.なお,PSQIは6点以上で睡眠障害ありと判断される(Doi,2000).PSQI,GDS15は主介護者,患者を対象とし,調査を行った.1年目をベースラインとし,3年後に同項目の追跡調査を実施し,ベースライン調査時の値と追跡調査時の値の3年間の差を変化量とし算出した.また,PSQI,UPDRSに関しては下位項目の変化量を算出し検討した.それぞれの変化量の相関はSpearmanの順位相関係数,変化の相違はWillcoxon検定にて検討した.なお,有意水準は5%とした.【説明と同意】 参加者には本研究内容を口頭及び書面にて十分説明を行い,自署により同意を得た.【結果】 睡眠障害ありであったものは,全体対象者14名中,ベースライン調査時の主介護者6名(42.9%),PD患者9名(64.3%),追跡調査時の主介護者11名(78.6%),PD患者10名(71.4%)であった.ベースライン調査時,追跡調査時で主介護者のPSQI合計点,下位項目に有意な悪化はみられなかった.一方,PD患者でもベースライン調査時,追跡調査時でPSQI合計点,下位項目に有意な悪化はみられなかったが,下位項目[睡眠剤の使用]のみに悪化傾向がみられた(P=0.07). 主介護者のPSQI合計点の変化量とPD患者PSQI合計点の変化量の間に中等度の有意な相関がみられ(r=0.56,P=0.04),PD患者のUPDRSの変化量とPD患者のPSQIの変化量,PD患者のUPDRSの変化量と主介護者のPSQIの変化量の間には相関はみられなかった.一方で主介護者のPSQIとPD患者のGDS15の変化量の間に中等度の有意な相関がみられた(r=0.61,P=0.02). 3年間の変化量でみるとUPDRS合計点は15.4±20.8(点)と有意に悪化したが,GDS15は主介護者&#8331;0.07±2.6(点),PD患者&#8331;0.5±3.7(点)と,悪化はみられなかった.一週間の介護サービス時間は変化量3.1±5.6(時間)であり,有意に増加していた.【考察】 PD患者だけでなく,主介護者にも睡眠障害は多くみられた.主介護者とPD患者のPSQIの変化量に相関がみられ,PD患者自身の睡眠障害の変化が主介護者の睡眠障害に影響を及ぼすことが示唆された.また,主介護者の睡眠障害はPD患者のうつ症状の悪化に影響をうけることが示されたが,PDの総合的な症状の悪化による影響は見られなかった.PD患者のUPDRSとPSQIの変化量に相関はなく,睡眠剤の使用・介護サービス時間の増加から,PD患者は症状に伴う,睡眠障害の悪化を睡眠剤,介護サービスの利用で対処していると考えられる.また,主介護者は睡眠障害があるにも関わらず,睡眠導入剤などの医学的介入を行っていないことが推測された.【理学療法学研究としての意義】 本研究により,主介護者はPD患者と同様に睡眠障害があるが,PD患者に比べ睡眠障害への対処が十分でないことが示唆された.しかし,主介護者の睡眠障害はPD患者の睡眠障害,うつ症状の悪化に影響を受けるため,PD患者の睡眠障害やうつ病の症状の軽減を図ることで,主介護者の睡眠障害は軽減すると考えられ,主介護者の睡眠に対してもPD患者の睡眠障害,うつ症状を軽減することが重要であることが明らかになった.
著者
季 思雨 藤原 亮 谷口 景一朗 芹川 真緒 佐藤 誠 高瀬 幸造 前 真之 井上 隆
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.26, no.64, pp.1025-1030, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1

The potential of using Phase Change Material in wooden house has been proved. Since the cost of the PCM is high, searching for a laying position with high heat absorption and dissipation efficiency has been shown as a problem. In this study, we examine the laid position that maximizes the heat absorption and dissipation of the PCM when the PCM is set under the floor finishing material by utilizing the direct gain in winter.
著者
鈴木 琢幹 井上 隆 前 真之 高瀬 幸造 崔 榮晋 盧 炫佑
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.157-160, 2018 (Released:2019-10-30)

本研究では、我が国の住宅のエネルギー消費量の過半数を占める暖房・給湯用途の負荷削減を目的とし屋根面の太陽エネルギーを発電だけでなく集熱にも利用するPhotovoltaic and thermal(以下,PVT)パネルを用いたPVT活用型屋根空気集熱式ソーラーシステム(以下、本システム)を対象とした。戸建住宅に本システムを導入する場合の快適性および暖房・給湯負荷削減効果について把握するため、省エネルギー基準における地域区分6地域を対象に街区密度・太陽エネルギー利用形態に着目した検討をおこなった。
著者
高瀬 幸子 森本 絢美 志村 二三夫 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.309-317, 1975-10-15 (Released:2009-11-16)
参考文献数
10

比較的生活環境の類似している女子大生343名の対象について, 不定愁訴と食生活との関連ならびにそれらをとりまく諸要因との関連を観察した。1) よく眠れない者, あるいは睡眠時間の短い者, 長い者, 夢を多くみる者に愁訴数が多かった。また, 現在の生活に満足していない者, 生きることに対し退屈感をもつ者に愁訴数が多かった。 喫煙者や鎮静剤などを常用する者にも愁訴数は多かった。2) 欠食回数の多い者, 夕食時刻の一定でない者, さらに, 食事の不規則な者に愁訴数が多かった。 しかしながら, 目的があって欠食している者には, そのような傾向は比較的みられなかった。3) 食事摂取の規則性とこれに関連する睡眠, 生活状態, 居住条件などとの相互関連について考察した。 これらの諸要因は, 食事の不規則性との関連を示しながら不定愁訴の発現とも関連していた。以上の結果から, 目的意識をもって規則的な日常生活ならびに食生活をおくるものには愁訴は少なかった。
著者
合田 敏尚 高瀬 幸子 大石 邦枝 蒔田 和子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.235-241, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
6

静岡県内の都市及び都市近郊に住む幼児から高齢者 (3~69歳) の1,395人を対象に, 牛乳飲用の習慣と牛乳に対する嗜好の加齢変化を調査し, 以下の結果を得た。1) 各年齢階層別にみた牛乳飲用量の度数分布をみると, 各年齢階層での牛乳飲用量が1日当たり“1杯以上2杯未満”の者の分布が大であった。“2杯”以上の者は中高年齢層で減少し, 逆に“0杯”の者が増加した。2) 各年齢階層別にみた牛乳嗜好度 (5段階評価) の分布に特色がみられ, 牛乳の“好き”な者は若い年齢層に多く, 中高年齢層で減少した。牛乳の“嫌い”な者は中高年齢層で増加し, 50歳代では20歳代の約2倍に増加した。3) 牛乳不耐症の経験者と思われる者は, 20歳未満の年齢では少ない (5~6%) が, 20歳代から増加し始め, 30歳代以上では約1/4の者がその経験者と思われた。4) 総体的に, 加齢に伴う1日当たりの牛乳摂取量の減少と牛乳に対する嗜好度 (5段階評価) の低下が, 男女ともに観察された。成人層では年齢と牛乳摂取量との間に負の相関がみられ, 女性の場合にはその傾向が顕著であった (p<0.001)。それらの減少傾向の過程では女性の場合に特色がみられ, 20歳代後半と50歳代に牛乳摂取量及び嗜好度の上昇ピークが観察され, 前者は妊娠・授乳のための, 後者は閉経後の骨粗鬆症予防のためのそれらピークの出現と思われた。