著者
河手 久弥 髙栁 涼一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.878-885, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3

副腎皮質機能低下症(副腎不全)は,副腎から分泌されるコルチゾール,アルドステロン,副腎アンドロゲンが欠乏した状態で,副腎自体の病変による原発性と,視床下部-下垂体の病変による続発性に分けられる.副腎皮質機能低下症は,特徴的な症候を欠くため,しばしば診断・治療が遅れることがある.グルココルチコイドの適切な補充が行われない場合は致死的となることがあるため,的確な早期診断・治療が求められる.
著者
髙栁 ふくえ 福内 友子 山岡 法子 安田 誠 馬渡 健一 奥 直人 金子 希代子
出版者
一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会
雑誌
痛風と尿酸・核酸 (ISSN:24350095)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.177-185, 2020-12-20 (Released:2020-12-20)

本邦における「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」では,患者が食事から摂取するプリン体摂取目標値が400mg/日以下とされている.著者らは,これまで,発酵食品に着目し,酒粕に魚を浸漬すると,魚のプリン体が減少することを報告した.本研究では異なる発酵食品で,和食の定番である西京味噌漬けを検討した.めかじきを同量の西京味噌に1日間と3日間浸漬した.食品中のプリン体は,当研究室で開発された高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた2つの方法で測定した.方法1では,試料を酸加水分解し,プリン塩基にまで分解したものを測定し,総プリン体量を求めた.方法2では,酸加水分解は行わず,遊離プリン体を分子種別に一斉分析する方法を用いて測定した.方法1で測定した総プリン体の結果は,めかじき(1日)は149.7mg/100gで,プリン塩基別ではヒポキサンチン(HX)類の割合が最も多かった.めかじき(漬け3日)では,めかじき(3日)と比較してHXが有意に減少した.一方,西京味噌(1日)では,総プリン体量は40.9mg/100gで,西京味噌(漬け1日)のHXが有意に増加していた.方法2で測定した,めかじき(1日)および(3日)には,遊離プリン体として存在するイノシン酸(IMP),イノシン(Ino),HXが多く見られた.めかじき(漬け3日)のInoが減少し,西京味噌(漬け3日)のInoが増加した.さらに,西京味噌(1日)および(3日)と,西京味噌(漬け1日)および(漬け3日)を固液分離した結果,西京味噌(漬け1日)および西京味噌(漬け3日)の液体側にInoが存在していた.これらの結果より,西京漬けは,めかじきに多く含まれるHX類であるInoを減少させたこと,その多くが西京味噌の液体側に移行したことが示された.西京漬けは魚の調理法として,高尿酸血症・痛風患者の食事療法に提案したい献立の一つと考えた.
著者
伊藤 香織 德永 景子 前橋 宏美 結城 和佳奈 髙栁 誠也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1570-1577, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
9

本研究では,「唐桑町屋号電話帳」から作成した旧唐桑町全体の屋号語彙地理空間データに含まれる4600余語の屋号語の分布を地理的観点,社会的観点から定量的に分析し,屋号が人の認識を通して地域のどのような性質を表しているのかを探る.分析で得られた主な知見は,以下の通りである.(1)職業や家,分家,位置関係などを表す屋号語は出現頻度が高く,満遍なく分布しており,旧唐桑町全体に共通する共同体や位置関係の認識を表していると考えられる,(2)山,海,川,田,船,店,道など立地の地理的条件や人の活動を反映していると考えられる屋号語彙が多い,(3)特定の地区に集中する屋号語や特定の屋号語に偏った屋号語彙構成をもつ地区などが共同体の社会的条件を反映していると考えられる.
著者
渡辺 洋子 井手 誠 坂根 靖子 岩橋 叔恵 岩橋 徳英 中嶋 久美子 髙栁 宏樹 園田 紀之 小川 佳宏
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.528-533, 2020-08-30 (Released:2020-08-30)
参考文献数
10

思春期は精神心理的問題を抱えやすく,慢性疾患である1型糖尿病を発症し受け入れることは容易ではない.今回我々は,心理社会的課題を抱えた1型糖尿病の女児がインスリンポンプ導入を通じ,自身の課題に向き合い解決へと進むことができた1例を経験したので報告する.患児は13歳時に1型糖尿病を発症.いじめが原因で小学校時から不登校であり,親からのマネジメントを十分に受けていないなど心理社会的問題を抱えていた.幼い兄弟が多く,針による怪我を心配してインスリンポンプを自ら希望した.ポンプ導入の際に,エンパワーメントアプローチや認知行動療法などの心理社会的・行動医学的介入を行った.その結果,患児は糖尿病治療中に遭遇した様々な困難を解決する過程で自己効力感を高め,自立性を得ることができた.治療を通じて自身の心理社会的問題にも取り組み,他者との良好な関係を築けるようになり,学校生活復帰を果たすことができた.
著者
髙栁 宏史
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.254-259, 2019
被引用文献数
1

<p>高齢者は多疾患罹患の傾向があるため複数の医療機関を受診していることは少なくない.それに伴い高齢者医療の現場では適切な連携を行いながら個別性を担保したケアの実践が求められている.今後,AIの開発と利活用を進めるためには倫理的・法的・社会的課題の解決と,AIの利活用による健康への影響の慎重な議論が必要である.その前提の上で,現在の医療現場の複雑な課題解決につながるAI開発と利活用に期待する.</p>
著者
髙栁 明子 三品 美夏 堀江 和香 渡邊 俊文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.657-664, 2020-11-20 (Released:2020-12-20)
参考文献数
26

麻布大学附属動物病院腎泌尿器科において,尿管結石による尿管閉塞と診断された猫117例(143尿管)に対して行われた外科手術における合併症について検討を行った.術後再手術を要する合併症が最も少なかったのは尿管切開術の4.0%であり,その他尿管膀胱吻術27.1%,尿管ステント設置術34.6%,SUB設置術37.5%であった.いずれの手技においても術後クレアチニン値は有意に低下した.周術期死亡率は1.8%であり,過去の報告と比較して低かった.術前に実施した腎瘻設置術は,高窒素血症が重度で長時間の麻酔リスクの高い症例の安定化や閉塞解除後の腎機能を推測するうえで有用であった.猫の尿管結石は個々の病態がさまざまであり,外科療法における明確な治療方針は確立していないことから,治療にはすべての手技を選択できる熟練した外科医による対応が望ましいと考えられた.
著者
大髙 智博 市川 剛 安藤 裕輔 髙栁 文貴 大坪 勇人 福島 啓太郎 今高 城治 吉原 重美 Tomohiro Otaka Go Ichikawa Yusuke Ando Fumitaka Takayanagi Yuto Otubo Keitaro Fukushima George Imataka Shigemi Yoshihara
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.49-54, 2020-07-25

2019年12月以降,中国湖北省武漢より広まった新型コロナウイルス(severe acute respiratorysyndrome coronavirus 2;SARS-CoV-2)による感染症(coronavirus disease 2019;COVID-19)の流行により,2020年5月末時点で全世界で33万人を超える死者が報告された.致死率は高齢者や基礎疾患を有する患者に高く,現時点で有効な治療法は確立していない.また急務とされるワクチンの開発も実現していない.人々は集団感染を予防するため世界の各都市で都市封鎖や自粛生活を余儀なくされた.更なる感染拡大の防止に向けて,成人のCOVID-19においては既存の治療薬を応用した対症療法の確立が試みられている.しかし小児の治療法に関する報告は少ない.本稿では小児のCOVID-19の治療になりえる薬剤や投与方法について国内外の知見を参考に,当院小児科における治療方針(案)を定めた.
著者
髙栁
出版者
法政大学国際文化学部
雑誌
異文化 (ISSN:13462164)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.64-65, 2012-04-01