著者
黒岩 康博
出版者
史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.125-153, 2011-01

奈良の言語研究者宮武正道は、従来マレー語の専門家と考えられていたが、残された旧蔵資料を見ると、彼がマレー語に至るまでに辿った「語学道楽」の跡が明らかになった。中学校時代、切手蒐集の延長として始めたエスペラントに対する熱意は、奈良エスペラント会を発足させ、機関誌『EL NARA』を生み出す。該語を飽くまで社交の道具と見倣す宮武主宰の同会には、パラオよりの留学生エラケツも参加していたが、宮武は彼からパラオ語で多くの民話を聞き取り、『南洋パラオ島の伝説と民謡』を上梓する。この一時期は土俗の研究へと傾いたが、昭和七年七月のインドネシア旅行以降、マレー語を本格的に研究し始める。当初はマレー語の新聞・雑誌を読むことを念頭に置いていたが、日本の南進政策がマレー語圏にも及ぶと、カナの普及やローマ字綴りの日本風改革を提唱するようになる。こうして書斎から出た好事家は、最後タガログ語辞書の完成を待たずに夭逝した。
著者
吉川 聡 渡辺 晃宏 綾村 宏 永村 眞 遠藤 基郎 山本 崇 馬場 基 光谷 拓実 島田 敏男 坂東 俊彦 浅野 啓介 石田 俊 宇佐美 倫太郎 海原 靖子 大田 壮一郎 葛本 隆将 黒岩 康博 桑田 訓也 古藤 真平 小原 嘉記 坂本 亮太 島津 良子 高田 祐一 高橋 大樹 竹貫 友佳子 谷本 啓 徳永 誓子 富田 正弘 中町 美香子 長村 祥知 根ヶ 山 泰史 林 晃弘 藤本 仁文 水谷 友紀 山田 淳平 山田 徹 山本 倫弘 横内 裕人 栗山 雅夫 佃 幹雄
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

東大寺図書館が所蔵する未整理文書のうち、中村純一寄贈文書と、新修東大寺文書聖教第46函~第77函を調査検討し、それぞれについて報告書を公刊した。中村文書は内容的には興福寺の承仕のもとに集積された資料群であり、その中には明治維新期の詳細な日記があったので、その一部を翻刻・公表した。また中村文書以外の新修東大寺文書からは、年預所など複数の寺内組織の近世資料群が、元来の整理形態を保って保存されている様相がうかがえた。また、新出の中世東大寺文書を把握することができた。
著者
黒岩 康博
出版者
史学研究会
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.125-153, 2011-01
著者
高木 博志 伊従 勉 岩城 卓二 藤原 学 中嶋 節子 谷川 穣 小林 丈広 黒岩 康博 高久 嶺之介 原田 敬一 丸山 宏 田中 智子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本における近代「古都」を、歴史学・建築史・造園史などから学際的に研究した。奈良・京都・首里といった古都と、岡山・名古屋・大阪・仙台・江田島・呉・熊本など旧城下町や軍都とを研究対象とした。研究会の他に、各地でフィールドワークも実施しつつ、「歴史」や「伝統」と政治的社会的現実との、近代におけるズレや関係性を考察した。また学都や軍都などの都市類型も論じた。個別業績以外に、論文集『近代歴史都市論』を発刊予定である。