著者
田幸 年邦 永浜 伴紀 野村 男次
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.513-518, 1977
被引用文献数
6 20

キサンタンガムの非ニュートン流動性および動的粘弾性について吟味を加えた.<br> キサンタンガムは,塑性流動を示し,配向性が著しく,アンドレード式に適合せずシグモイド曲線を示したことから,会合性多糖と結論された.<br> キサンタンガムの流動指数,構造粘性は濃度に関係なくほぼ一定値を示した.<br> キサンタンガムはη'に比較してG'が著しく大きく,tanδは0.4~0.5で,弾性に富む多糖であることがわかった.<br> キサンタンガムの水溶液に塩添加すれば,粘性の温度依存性がアンドレード式に適合するようになることを認めた.このことから,キサンタンガムの分子鎖間会合は塩添加により,ほぐれると結論できる.<br> このことから,キサンタンガムの分子鎖間会合には側鎖が著しく関与していることが示唆された.
著者
加藤 丈雄 蟹江 和茂 志賀 一三 佐藤 泰
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.11-17, 1985 (Released:2008-11-21)
参考文献数
18
被引用文献数
5 3

(1) スターター乳酸菌としてLactobacillus plantarum-4 (ST)(LP-4)とPediococcus cerevisiae-1 (Pc-1)を使用して,試験ソーセージを調製し,発酵中の乳酸菌数,ブドウ球菌数と保水性の変化を追跡した. (2) 試験ソーセージ中で増殖できるLp-4およびPc-1の最大数は2×108~5×108 cells/gであった. (3) Lp-4, Pc-1はブドウ球菌の生育阻害効果を示し,とくにLp-4は107cells/g接種, 37°C, 20時間培養で99.99%以上の生育照害効果を示した. Pc-1の阻害効果はLp-4に比べ小さかったが, 0.4%ソルビン酸カリウムの添加で強化することができた. (4) 試験ソーセージのpHは乳酸菌接種量の増加に伴って低下し,また保水性はpHの低下に伴って減少した107cells/g接種では,培養6時間後にpH 5.3,保水性は約73%となった. (5) ブドウ球菌の抑制と保水性の維持の点から,基本的発酵条件としては,乳酸菌107cells/g接種, 37°C培養が適当であった.また,ソルビン酸カリウムの添加も一つの有効な手段と考えられた.
著者
丸山 芳治
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.R121-R132, 1976 (Released:2008-11-21)
参考文献数
70
被引用文献数
1 1
著者
田村 真八郎 劔持 久仁子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.753-756, 1963 (Released:2008-11-21)
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

米粒各部分すなわち白米,ヌカ層,胚芽の総アミノ酸分布をみると(第3表),だいたい各アミノ醗の60~80%が白米部分に含まれており(チロシン,シスチン,プロリンは回収率が100%近くにならないので考察から除いた),ヌカ層には15~22%,胚芽には3~15%の各アミノ酸が分布している. 第5表に玄米,白米,ヌカ層,胚芽の総アミノ酸含量を16g窒素中の各アミノ酸g数に換算し,文献値とともに示した. 玄米の場合は著者らの結果は,平(6)の文献値よりも,リジン,スレオニン,プロリン,アラニン,バリン,イソロイシンでは低く,セリン,シスチン,フェニルアラニンでは高い測定値を示した.この原因は試料として用いた玄米の違いによるものか,アミノ酸定量法(カラムクロマト法と微生物定量法)の違いによるものかは明らかでない. 白米については著者らの測定値は木村(7),属(8)の報告よりも全般的に低い測定値を示した.これは著者らが白米よりタンパク質を抽出することなく塩酸加水分解したのに対し,文献値はタンパク質を分離してから加水分解しているための差であると考えられる.このことは著者らが第2報で報告したように,デンプン混合試料を加水分解してアミノ酸測定をする場合,測定値の低下のいちじるしいチロシン,アルギニンが文献値との差が大きいことからもうかがわれる.白米粉末をそのまま加水分解する方法と,白米粉末からタンパク質を分離して加水分解する方法のいずれがよいかは充分検討されていないが,前の方法ではアミノ酸がかなり破壊され回収率が悪くなることは明らかであり,また後の方法では白米のタンパク質を全部とりきることは困難なので,分離したタンパク質が白米の全タンパク質を代表できるかどうかに問題が残り,この両法で得られた測定値を慎重に検討して白米中の総アミノ酸含量を推定するのが妥当と思われる. ヌカ層,胚芽のアミノ酸含量に関しては,今後さらに測定値が発表されるのを待って検討するのがよいと考えられる. 米の遊離アミノ酸に関しては松下(10)が,またヌカについては西原ら(9)が報告しているが,著者らの測定はまだ予備的なものなので,今後さらに研究を続けた上で検討したいと考える. 玄米を90%にとう精し,白米,ヌカ層,胚芽に分け,おのおののアミノ酸含量を測定し各アミノ酸の分布率および回収率を計算した.
著者
国中 明
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.489-492, 1960
被引用文献数
2 58

核酸関連化合物のうち,プリン・ピリミジン塩基類,ヌクレオシド類, 2'-及び3'-モノヌクレオチド類ポリヌクレオチド類には単独ではほとんどうま味がないが, 6-ヒドロキシプリン誘導体の5'-モノヌクレオチド類には独特の呈味作用があり,これら呈味ヌクレオチド類とL-グルタミン酸ナトリウムの間に味に関し顕著な特異的相乗作用がみとめられた.
著者
神立 誠 斎藤 洋子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.479-484, 1968 (Released:2008-11-21)
参考文献数
17

筋肉の核酸定量において,Schneider法とSchmidt- Thannhauser法とを比較検討した.筋肉の核酸定量にはSchneider法も使用できるが,適当な抽出条件の範囲が狭いので,Schmidt-Thannhauser法を使用する方が望しい.その操作は次のとおりである.均質化した筋肉を冷0.2 NHC1O4で3回抽出して酸溶性物質を除去し,脱脂せずに0.5 N KOH,3~4時間または 1.0 NKOH,1~2時間37°CでRNAを酸溶牲化し,氷冷してからHC104な加えて0.2 N濃度としてDNA区分を沈澱させる.その上澄液についてRNAをオルシン法で定量する.RNA抽出残漬は0.75~1.0 NHC1O4に懸濁し,70°Cで20分間DNAを抽出し,DNAをインドール法で定量する.
著者
前梶 健治
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.251-257, 1978 (Released:2008-11-21)
参考文献数
14
被引用文献数
12 16

コンニャクマンナン(KM)のゲル化機構を明らかにするため,ゲル化過程におけるレオロジカルな変化の速度論的な解析を試みた. 1. KM溶液(約1%)のゲル化過程をアミログラフで追跡し,再現性あるアミログラムを得た.このアミログラムの形状は,ゲル化過程で観察される現象とよく対応した. 2. ゲル化過程で,凝固剤添加時からゲル化の開始時までの時間を誘導期(tC)とし,これを脱アセチル化反応と仮定すれば,ゲル化の現象を合理的に説明することができた.しかし,他の測定値からはそのようなパラメーターは得られなかった.そして,1/tCを誘導反応の速度に比例する値と仮定して反応の活性化エネルギーを求めると11.6kcal/molとなった. 3. KMを鹸化し,そのときの活性化エネルギーを求めると11.8kcal/molとなり,アミログラフを使用して求めた誘導反応のそれとよく一致した. 4. 以上の結果から,アミログラフで測定されるtCの値は,脱アセチル化に要する時間で,1/tCはその反応速度定数に比例する値と考えられる.したがって, KMのゲル化における誘導反応については1/tCを用いて速度論的に解析することが可能と思われる。
著者
高橋 悌蔵 小菅 貞良 松原 弘道 永田 幸雄 駒形 和男
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.887-891, 1986

高農めぐりをして気の付いたことだが,高農での教育・研究に一生を捧げ,現在もなおカクシャクとして当時のお弟子さん方の尊敬を受けておられる,いわばその高農の歴史を一身で示しておられる先生方が多い.今日座談会の中心となって下さった高橋悌蔵先生もまさに岐阜高農そのものと申し上げてもおかしくない.90歳を越えられても記憶力も抜群で,よどみな答えられるのにはただ恐れ入るばかり,すでに岐阜大を退官されておられる,高農卒業生としては大先輩格の小菅・松原の両先生も,恩師の高橋先生から「あんたたちも皆ったんでしょ」などといわては,ひたすら「ハイ,ハイ」.誌面では伝えにくい,師弟のなこやかな交歓のなかに話題がはずみました.座談会の準備・進行に蔭の主役としてご助力をいただいた永田幸雄先生,農場や実習工場をご案内くださった上野良光先生にも心から御礼申し上げます.
著者
西野 貴司 名雲 照一
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.361-363, 1987-03-15 (Released:2009-02-18)
参考文献数
15
被引用文献数
17 17

Fucose-containing sulfated polysaccharide (SPS) fractions were prepared from 85% methanol-treated materials of nine different species of brown seaweeds. They were extracted with diluted hydrochloric acid (pH 2) at room temperature and the extracts fractionated with aqueous 3% cetylpyridinum chloride and 2% CaCl2 solutions. Electrophoresis indicated that each of the obtained fractions consisted of more than two polymeric components. Chemical analysis and g. l. c. showed that each SPS fraction contained fucose, galactose, mannose, xylose, glucuronic acid and half ester sulfate as constituents. The proportions of the constituents varied widely from one fraction to another. Blood-anticoagulant activity tests were conducted on each SPS fraction with human or sheep plasma. The tests included thrombin time (TT), activated partial thromboplastin time (APTT), and anti-(factor Xa) activity in comparison with values of heparin (167 units/mg). When assayed for human plasma, all SPS fractions showed some TT(0-35 units/mg) and APTT (12-38 units/mg) activities, whereas anti-(factor Xa) activity was not remakable in any SPS fraction. Among the SPS fractions tested, that of Ecklonia kurome exhibited the highest activity with respect to TT (35 units/mg) and APTT (38 units/mg). When assayed for sheep plasma, the fraction of E. kurome showed higher activity than that determined for human plasma (activity with respect to TT and APTT was 120 and 95 units/mg).