1 0 0 0 OA 海洋筏に就て

著者
渡邊 正富
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.91-101, 1943-02-10 (Released:2008-12-19)
参考文献数
1
著者
池田 浩一 野田 亮 大長光 純
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.255-261, 2002-11-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
36
被引用文献数
2

シカ糞の消失と糞の分解消失に及ぼす糞虫の影響を明らかにするため, 1996年3月から1999年1月までのほぼ毎月, 福岡県犬ヶ岳の森林に冷凍保存した排泄直後の糞を設置し, 月ごとの糞の消失率を調べた。同時にシカ糞を入れたピットホールトラップを設置し, 糞虫の発生消長を調べた。冷凍した糞と現地で採取した未冷凍糞の消失率の推移に有意差はなく, 冷凍糞を用いた本研究の結果は自然状態での糞の消失実態を再現していると考えられた。消失率の推移は糞を設置した季節によって大きく異なり, 春から秋は最初の1カ月間で急速に消失したが, 冬に設置した糞は緩やかに消失した。糞が急速に消失した季節はオオセンチコガネの, 緩やかに消失した季節はチャグロマグソコガネの出現期間とほぼ一致していた。ほとんどの月では糞の消失率の推移に年間の違いはなかったが, 3月, 9~11月に設置した糞では有意差がみられた。この違いは, 糞虫の出現時期や活動性が気温の影響を受けるためと考えられた。糞虫が入れないようにした糞の消失率は自然状態の糞よりも極端に低かった。以上のことから, 糞の分解消失には糞虫の活動が大きく関与していることが明らかになった。
著者
山田 浩雄 小林 玲爾 中田 了五 宮浦 富保
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.201-204, 1998-08-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

林木花粉の長期貯蔵試験をスギ花粉を用いて行った。花粉の含水率を調節した後,室温,5°C,-20°Cおよび液体窒素(-196°C)の四つの温度条件下で貯蔵した。また5年間液体窒素内で貯蔵した花粉(貯蔵花粉)と貯蔵していない花粉(新鮮花粉)を用いて人工交配を行った。花粉を液体窒素で貯蔵した場合,花粉の発芽率は5年間低下しなかった。人工交配によって得られた種子の100粒重,球果1個当りの種子重,種子の有胚率に関しては,花粉を液体窒素で貯蔵したことによる影響は認められなかった。
著者
沼田 真 三寺 光雄
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.311-319, 1961 (Released:2008-12-18)
参考文献数
21
被引用文献数
1

今まで生態学で行われてきた環境解析には不十分な点が多い。たとえば,土壌学的に土壌条件を解析することはできても,それが植物の生活にいかなる意義をもち,どんな役割をはたすかにについて適確に判定できなければ,生態学的に土壌環境を解析したことにはならない。われわれは,竹を材工料として,生態学的環境解析の方法を確立するための実験を行なつている。さきに(三寺・沼田1960),分散分析と因子分析の方法を用いて,きいている環境要因を探索する方法を述べたが,そこで推定された第1因子としての発筍期の雨量という水条件の意義を確認するために行なつた実験について報告したものが,本稿である。実験は現在も続行中であるし,総括にも述べたような問題点が多く残されているのであるが,今までにえられた結果を報告する。
著者
杉浦 孝蔵
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.356-359, 1959
被引用文献数
1

1)樹種によつて,さし木の発根と萠芽の状態に著しい差異はあるが,概して広葉樹のさし木には春さしが適当な季節である5)6)。<br> 樹種別では,各季節を通して発根率の高いものは,コリヤナギ,ヤマブキ,ヤエヤマブキで萠芽が早く,萠芽数,発根数も比較的多く,発根の伸びも大きい。アヂサイ,レンギヨウは各季節を通してカルスを形成する。ツゲ,キソケイの春ざしはすべてカルスカラ発根している。<br> 3)トウカエデ,カリン,ギンモクセイ,ヤマモミジ,エソジユ,シラカンバ,イタヤカエデ,イイギリ,ユリノキ,マテバシイ,オオシマザクラ,モミヂバフウ,シイノキは各季節を通して発根,萠芽共に見られなかった。このうちカリン,ギンモクセイ,ヤマモミヂ,エソジユ,イタヤカエデ,イイギリ,ユリノキ,シイノキは地中さしつけ部が腐敗して枯死するものが多い。さし穂の腐敗は夏さしに最も多い。
著者
苫名 孝太郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.296-306, 1939-06-10 (Released:2008-12-19)
参考文献数
3

(1) 本實驗は,最近試みられた電氣抵抗による土壤凍結測定法を改良して土壤水分の動態測定法を確立せんがために行はんとする試驗の豫備的實驗であつて野外觀測と室内實驗とに分れる。 (2) 野外觀測では,各對の極板(1.2寸×40寸の銅板)を厚1mの土壤を挾んで對立する如く地下0 0, 0.1, 0.2, 0.3, 0.5, 0.7, 1.0及1.5mの深さに埋め,昭和13年夏50日間に亘り各極板間の電氣抵抗を測定した。此結果の概要は第2~第5圖に示されでゐる。 (3) 室内實驗では, A極板(1cm×2cm)及B極板(2cm×4cm)を使用,其間隔を0.5, 1, 2, 3, 4及5cmとし,之を直徑10cmの蒸發皿に充てた土壤a (粒徑<0.5分)又はb (粒徑1~2分)内に對立せしめ,土壤に一定の水を加へて電氣抵抗を測定した。注加水量の各土壤容水量に對する比は1, 1/2, 1/3, …1/10の10種であつた。第1表は其實測の結果である。 (4) 野外觀測から得た結論を述ぶれば i) 本實驗に現はれた電氣抵抗の變化は土壤含水量の變化によるものと斷定せざるを得ない。而して其變化の範圍精密度等は土壤含水量測定に適するものである。 ii) 土壤水分の消長は複雑であつて,一時的測定に基く推定は至難である。 (5) 室内實驗によつて得た結論は, i) 計器に現はれた電氣抵抗中には,極板間隔に正比例する抵抗と之に無關係な抵抗とがあり,(假に前者を土壤抵抗,後者を接地抵抗と呼ぶ。)隨つて下式が成立する。 R=α+βl 〓に R=總電氣抵抗(100Ω), l=極板間隔(cm) α=接地抵抗(100Ω),β=土壤抵抗係數(100Ω) 第2表は,本式に基き實驗結果より算出せるα及βの値を示す。 ii) βが含水量と共に變化する状態は極めて滑かであるが(第6圖及第7圖參照), αは必ずしも然らず,其原因は惟うに實驗上の誤差によるものか。隨つて,成る可くβのみについて比較を行ふことが望ましい。 iii) 第7圖はB極板使用の場合の含水量(容水量に對する)とβとの關係を示したものであるが,此場合a, b各土壤の曲線は一致しないから,斯種含水量とβとの關係は一定のものではない。他の種の含水量(即ち容積・重量・其他に對する)について見ても同樣である。 iv) 尚此第7圖によれば,粒徑の大なる場合は小なる場合よりもβが大きい。此傾向が常に然りや否やは別とし,粒徑によつてβが異ることだけは斷言し得ると思ふ。 v) 上記iii), iv)の事實及土壤の化學的成分から考へて,本法を或土壤に應用せんとする場合には,豫め其土壤毎に含水量とβとの關係を實驗的に求めて置く必要がある。 vi) 極板面積とβとの間には逆比例的關係が豫想せられるも,事實は第6圖又は第3表の示す如くA極板の時のβとB極板の時のβとの比は含水量と共に變化し,此關係を圖示すれば双曲線類似の曲線が得られる。故に更めて極板面積とβとの關係を研究しなければ,室内實驗の結果を極板の異つた野外觀測に適用することは出來ない。
著者
飯塚 寛
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.66-77, 1994-01-01

日本とドイツについて、社会における森林・林業の位置づけを三つの側面から検討した。まず森林法における法の目的と森林の定義等の対比では、両国の間に本質的な相違があるとは考えられない。次に、林業関係の法律に関して最高裁判所あるいは憲法裁判所が下した違憲判決への対応を見た。その影響の及ぶ範囲の特定は比較的容易であり、日本が法律の改正、ドイツが新しい法律の制定によって違憲状態の解消にいたるまでの期間は、共通的に短かった。最後に、台風による全国規模の風倒木被害の復旧状況を見た。この措置がドイツで2年後にほぼ完了しているのとは対照的に、日本では約2年後の現在なお終了時期の見通しは難しい。報道は、2次災害の発生には警鐘を鳴らしても、その目はもう1歩その奥の森林・林業までは届かない。復旧措置の否応ない持続時間は、それぞれの国における社会が森林・林業との間にどの程度の間隔を設けているかを象徴的に反映するものと考える。ドイツの州森林法の中の、目的が保健休養のためである限り、森林への立入りが誰にも許されるとする規定の存在は、社会と森林・林業を相互に遠ざける方向には作用しないことも確かであろう。
著者
杉本 壽
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.11, pp.637-644, 1938-11-10 (Released:2008-12-19)
著者
杉本 壽
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.13-26, 1939-01-10 (Released:2008-12-19)
著者
星 直弥 龍原 哲 阿部 信行
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.315-321, 2001-11-16
被引用文献数
3

本研究ではLandsat-5 TMデータを用いて落葉広葉樹天然林における葉面積指数(LAI)の推定を試みた。新潟県滝首湿原流域, 日尊の倉山流域で落葉広葉樹天然林のLAIをリタートラップ法により測定した。LAIの実測値とLandsat-5 TMデータから得られる各バンドの輝度値, タッセルドキャップの概念のBrightness, Wetness, Greenness, 正規化植生指数(NDVI), 比植生指数(RVI)との関係を調べた結果, NDVIと最も高い相関を示した。指数式でLAIとNDVIとの関係を示した結果, 標準誤差率は6.6%であった。さらに, LAIと葉乾重量の一次回帰式を求めた。二つの式を用いてNDVIから推定した葉乾重量と実測値との相関係数は0.576,有意水準1%で有意であった。LAI-NDVI関係式を適用して, 研究対象地におけるLAI分布図を作成した。LAIの平均値は滝首湿原流域で4.15,日尊の倉山流域で5.00であった。
著者
松崎 清一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.89-93, 1977-03-25

中標津営林署管内に発生したストローブマツ発疹さび病罹病木に形成された銹子のうの形態について解剖観察するとともに, 病患部の組織学的な反応をハイマツ罹病木のそれらと比較検討した。既知の欧米における発疹さび病の場合, 銹子のうの形成には通常3〜4年あるいはそれ以上かかるとされているが, 中標津のストローブマツの場合は1,2年生の幹・枝に明らかに銹子のうの形成が観察された。しかし, その形態は欧米のそれと一致した。発疹さび病の場合, 抵抗性の寄主では樹皮組織に顕著な反応が生ずることが知られている。中標津のストローブマツの場合, 本病の感染による樹皮組織における組織学的な反応はほとんど観察されなかった。一方, ハイマツでは顕著な癒傷周皮の形成, 樹脂道内への柔細胞の発達などが観察され, ハイマツがストローブマツと比較して本病に抵抗性であることを示唆した。
著者
宇田川 竜男
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.41-42, 1955-01-25

The damage to the young pine and ceder plantations by the hare reached about 70000 ha. in 1953 only. We are planning to control the hare, so the writer explaine here some effective traps which are used in the different parts of Japan.1. The wire loop trap It is made of a wire, 0.75mm in diameter with its brightness taken away by burning slightly. It is a loop about 12cm in diameter, a little broader on the sides (Fig. 1). The trap is very effective, if set on the runway, hung in such a way as its lower end is 8 cm high from the surface of earth or snow.2. The hanging trap As shown in Fig. 2,two wires are fasten at the top of a standing tree 2〜3 cm in diameter, and bent on the runway, they are again fastened by a wire to a bifurcated twig stuck in the ground. The other wire is a loop trap, a wire, 0.7 mm in diameter is used and the loop is 14 cm in diameter.3. The rat trap The trap is set on the runway, covered with paper, and over it with soil, and the bait is placed around the trap.4. The tempting trap A bundle is to be made of slender trunks of 4 feet in length. Two or three parts of it are opened for the passage of the hare (Fig. 3), where a few loop traps shown in Fig. 1 are set, with the greens, foliases such as cabbage, or mistltoe in the middle of the stockade.5. The crushing trap A board of 4 square feet is formed with sticks tired up. This board (A) is hung on a stick (C) by a vine (B) as shown in Fig. 4 and the other end of the stick is fastened to a stake (E) driven in the ground, by a vine (D) thin enough to be bitten off by the hare. The bait (cabbage, wheat, etc.) is put between the board and the vine, surrounded around with twigs (F) which are unable to be bitten off. Then, the hare must cut off the vine with his teeth, whenever he wishes to eat the bait. It is necessary to lay some stones on the board as heavy as possible.The wire loop trap (Fig. 1) is the most common method, but the crushing trap (Fig. 4) is the most effective and harmless to useful birds and mammals.
著者
芝本 武夫 中沢 春治
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.383-390, 1958

アカマツ播種苗について6月下旬から10月中旬にかけて, 4時期にわけて苗木採取を行い,成長量・全灰分・K<sub>2</sub>O・CaO・MgO・P<sub>2</sub>O<sub>5</sub>・Nについて測定しつぎの結果を得た。<br> 1. 乾物重量の増加は, 8月初旬まではたいしたことがなく,そた以降において急増した。<br> 2. 全灰分の乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに8月初旬に最高であり, 9月初旬10月中旬に減少した。また,いずれの時期においても,肥料区は無肥料区に比して高い値を示した。<br> 3. K<sub>2</sub>Oの乾物百分率は,肥料区では時期による変化はほとんどみられなかつたが,無肥料区では, 6月下旬にひじように低く, 8月初旬以降増加し, 10月中旬に再び減少した。<br> 各時期とも,肥料区は無肥料区より高かつた。<br> 4. CaO・MgOの乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに時期による変化は少なく,各時期を通じて肥料区の方が高かつた。<br> 5. P<sub>2</sub>O<sub>5</sub>の乾物百分率は,肥料区・無肥料区とも6月下旬に最高であり, 8月初旬以降は低く時期による変化は少なかつた。 6月下旬を除くど,各時期とも肥精区の方が高かつた。<br> 6. Nの乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに9月初旬に最高であつた。各時期を通じて肥料区は無肥料区より高かつた。<br> 7. 各時期の成長最と各成分の分折値から苗木1,000本当りの各成分含有堂を計算すると,各成分とも8月初旬における含有量は種子のそれとたいした差はなかつたが, 9月初旬から10月中旬へと急増した。<br> とくに, K<sub>2</sub>O・Nにおいて著しく増加する。
著者
芝本 武夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.338-345, 1943

(1) 春日井博士水稻用水耕液の反應とヒノキ及びアカマツ苗木の生長との關係に就て實驗した。即ちPH 3.1~4.0區, PH 4.1~5.0區, PH 5.1~6.0區, PH 6.1~7.0區, PH 7.1~8 .0區の5 PH區を設定し,之に2年生苗木を138日間培養し,其の間に於ける苗木の生重量・根元直徑・全長・幹長・根長各増加量を測定した。<br> (2) ヒノキ苗木の生重増加量はPH 5.1~6.0區に最大にして,之に次いではPH 6.1~7.0區, PH 4.1~5.0區, PH 3.1~4.0區の順位になり, PH 7.1~8.0區に於て最小である。PH 4.1~5.0區はPH 5.1~6.0區に比し其の値可成り小にして兩區の間に相當の差が認められろ。<br> (3) ヒノキ苗木の各PH區に於ける根元直徑・全長・幹長・根長増加量は生重増加量程其の差異が顯著でない。根元直徑及び幹長増加量の各PH區間に於ける大小順位關係は生重増加量の場合と全く同様である。根の伸張は各PH區の間に大差なく,從つて全長増加の關係に於ても亦差が少い。<br> (4) アカマツ苗木の生重増加量はPH 5.1~6.0區に最大にして,之に次いではPH 4.1~5.0區, PH 6.1~7.0區, PH 3.1~4.0區の順位になり, PH 7.1~8.0區に於て最小である。其の最大及び最小の値を示すPH區はヒノキ苗木の場合と同様であるが,アカマツ苗木ではPH 5.1~6.0區,及びPH 4.1~5.0區並にPH 6.1~7.0區の3區の間の差は極めて小にして殆んど差異はないと言ふべきであり,又PH 3.1~4.0區及びPH 7.1~8.0區に於ては他PH區に比し極めて小となり,其の程度がヒノキ苗木の場合の比でない點に於て顯著に異る様である。<br> (5) アカマツ苗木の各PH區間に於ける根元直徑・全長・幹長増加量の關係はヒノキ苗木の場合に比し著しく不明瞭である。然し綜合的に考察すれば矢張りPH 5.1~6.0區に於て生長最も良好で,之に次いではPH 4.1~5.0區の様である。<br> (6) ヒノキ苗木に關する本實驗結果は實際にヒノキ人工林について得られた結果とよく一致する。<br> (7) アカマツ苗木に關する本實驗結果も亦アカマツ林について實際に得られる結果とよく一致する様に思はれる。
著者
芝本 武夫 田島 俊雄 大塚 健二
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.87-90, 1961

樹木の精油成分が木材腐朽菌の生育におよぼす影響をみるために,構造既知の数種の精油成分,今回はとくに七員環を有する物質を中心にして抗菌性試験を行なつた。<br> 抗試菌: <i>Coriolus versicolor, Coriolus consors, Tyromyces balsameus, Poria vaporaria, Fomitopsis•pinicola, Trametes sangineus</i><br> 培地:グルコース・ペプトソ寒天培地<br> 各種供試剤の木材腐朽菌に対する発育阻止濃度を要約すれば大体以下のようになる。<br> 0.001~0.01% β-thujaplicin, β-thujaplicin Na salt, β-thujaplicin Ca salt, β-thujaplicin Mg salt, β-thujaplicin Cu salt, β-thujaplicin Zn salt, β-thujaplicin acetate, α-thujaplicin, nootkatin Cu salt, thymol<br> 0.01~0.1% β-thujaplicin Fe salt, β-thujaplicin nitrate, α-thujaplicin Cu salt, thujic acid, nootkatin, p-methoxythymol, carvacrol<br> >0.1%, s-guaiazulene, s-guaiazulene-3-sulfonic acid Na salt, colchicine, cedrol, occidentalol
著者
芝本 武夫 中沢 春治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.392-394, 1960

スギ苗を使つて,尿素の経時的な葉面吸収を追求し,つぎの結果を得た。<br> 1. スギ苗木に0.5%の尿素液を散布した場合, 24時間では十分に吸収が終つたとはいえないが, 48時間経過すれば最高の吸収率に達する。<br> 2. 散布液にK<sup>+</sup>, H<sub>2</sub>PO<sub>4</sub>が共存していても,尿素の吸収を阻害することはない。