著者
竹原 秀雄 久保 哲茂 細川 一信
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.99-106, 1958

筆者らは,前に木曾地方における石英斑岩に由来する森林土壌がいちじるしくpodzol化を受けていることを報告した。御岳は,この地方の広い石英斑岩地域に接して噴出したやや基性の安山岩質岩石からなる火山であるが,気候的に石英斑岩地域とほぼ同一条件にあると思われる山体下部の土壌が,種々の点で石英斑岩質土壌といちじるしく相違する事実を認めた。<br> 安山岩質土壌はその形態的・性質的特徴からBrown. Forest Soilに属すると思われるが, Podzolic Brown Forest Soilとして区別すべき性質のものである。火山灰質土壌は草生地ではほぼ標式的なB1型土壌が多く,森林下ではかなりPodzolicである。安山岩質,火山灰質土壌いずれも地形と関連した一連のCatenaで結ぶことができる。土壌の諸特徴と現在の植生景観から,これらの土壌は石英斑岩質土壌よりも若かく,生産力は高いものと推定される。
著者
堀 高夫
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.75-79, 1988
被引用文献数
3
著者
森川 靖 佐藤 明
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.11-14, 1976
被引用文献数
3

ヒノキ孤立木(樹高16m・胸高直径50cm) について樹液流速度と樹冠部の木部圧ポテンシャルの日経過をしらべた。木部圧ポテンシャルはヒノキ幼齢木のばあいと異なり,日の出後ゆるやかに低下した。木部圧ポテンシャルの最高値は日の出前後に,最低値は日中にえられた。樹冠部下層の木部圧ポテンシャルは上層のそれにくらべ1日をつうじて高かった。樹液流速度は木部圧ポテンシャルの日経過と対応した経過をたどった。幹上部の樹液流速度の変化に対して幹下部のそれはおくれを示し,こうしたおくれはくもりの日のばあい1日をつうじて,はれの日のばあい午前中にだけあらわれた。木部圧ポテンシャルと樹液流速度の日経過を整理してくらべてみると,本部圧ポテンシャルが低いほど樹液流速度ははやくなるが,上昇する割合は徐々にさがる傾向を示した。これらの結果から,大ぎな木では,樹体内のいろいろな通水抵抗によって水分不足を生じた部位への水補給がおくれ,さらに木部圧ポテンシャルが低下する可能性がたかいとかんがえた。
著者
伊藤 進一郎 山田 利博
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.229-232, 1998-08-16
参考文献数
9
被引用文献数
14
著者
柴田 勝
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.178-185, 1970

マツ類における交雑育種の研究のため,クロマツ×アカマツと,クロマツ×天然アイグロマツの組合せ交配 (13×20) を行なった。その結果,交配稔性(種子生産力)に関して次のことが明らかになった。<br> (1) 母本,父本間に顕著な稔性の違いがあり,いわゆる,一般組合せ能力に差異のあることが認められた。<br> (2) 父本の稔性値と雑種性との間には高い相関が認められたので交配稔性の差異は遺伝子構成の異なる2つの組織,すなわち,胚組織と雌性配偶体組織との親和性,または交互作用によると,推定された。<br> (3) 雑種性の指数としては,解剖学上針葉における2層以上の下表皮厚膜細胞数のほうが,樹脂道指数 (R.D.I.) よりはるかに相関が高かった。<br> (4) 交雑親和性遺伝子を有すると推定された特殊個体DEN S<sub>1</sub>が, 20の父本の一つに認められた。これは解割学上アカマッと分類される個体であるが,その高い稔性から,交雑親和性遺伝子を有する"潜在的雑種アイグロマツ"と定義できると思われた。
著者
鹽谷 勉
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.393-403, 1940-07-10 (Released:2008-12-19)
参考文献数
35
著者
南雲 秀次郎
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.346-351, 1982
被引用文献数
2

東京大学千葉演習林の人工林の施業計画を策定した結果に基づいて,森林の法正状態をいかに規定すべぎかという問題について考察した。これまでの諸条件は,法正状態に対して厳しすぎるものであり,これらが満たされない場合でも法正状態にあると考えてよい森林が存在しうることがわかった。そこで,齢級配置からつくられる累積分布を定義し,これに基づいて法正状態か否かを判定する方法を考えた。この方法は森林施業計画を策定するのに有効であることがわかった。
著者
小見山 章 大根 瑞江 加藤 正吾
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.152-155, 2003-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
11

比較的若齢の造林地が豪雨等で崩壊すると, 広葉樹に較べてヒノキやスギが浅根を示すことがその原因であるといわれることが多い。このことを再検討するために, 48年生のヒノキ造林地で, ヒノキ主林木とそこに侵入したミズナラの根重の垂直分布を比較した。2本の試料木を選んで, 地上部に関する調査を行った後に, 深さ60cmまでに存在する根をトレンチ法により採取した。深さあたりの根重密度の垂直分布パターンを求めたところ, 指数関数にしたがう減少パターンを示した。2本の試料木問で, 深さ方向の根重密度の減少率に有意差は認められなかった。回帰式を積分して個体根重の垂直分布を計算した。地表から30cmまでの深さに含まれる根重の割合は, ミズナラ試料木で89%, ヒノキ試料木で94%となり, 試料木間で根の垂直分布に極端な違いは認められなかった。また, 傾斜地で, ヒノキ試料木は根を谷側に多く配置していたのに対して, ミズナラ試料木は山側に多く配置するという, 根の水平分布上の違いが認められた。
著者
櫻木 まゆみ 丸谷 知己 土肥 昭夫
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.147-152, 1999-05-16
被引用文献数
3

九州山地の大藪川流域(520ha)において, シカの生息密度や分布域の変化を樹木年代学的手法により再現した。幼齢造林地における枝葉被食木率と糞粒密度との関係やこれまでの研究例から, 樹皮被食木率が過去のシカ生息密度の指標として有効であることを示した。林齢と糞粒密度の関係から, 4〜10年生の幼齢造林地がシカの環境収容力が高いことを明らかにした。流域における1982〜1991年の幼齢造林地の増加は, 樹皮被食木率の増加と一致していた。1992年以降の幼齢造林地の減少により樹皮被食木率はさらに高くなった。この結果から, 幼齢造林地の拡大は環境収容力の増大とそれにともなうシカの集中を引き起こしたこと, さらに生息密度の増加とその後の幼齢造林地の減少によって, 採食圧が高まりシカが流域全体に分散したプロセスが明らかにされた。造林の規模や配置がシカの生息密度や分布域の変化に大きく影響していることから, 被害地におけるシカの増加プロセスを明らかにし, その各時期に対応した被害防止対策の必要性が示唆された。
著者
大庭 喜八郎 岡田 幸郎 塩田 勇 武藤 惇 岡本 敬三
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.438-443, 1965-12-25

約180本/0.1haからなる17年生のスギ人工林において、大、中および小直径級別に、それぞれ、5本ずつの母樹をえらび、1963年秋に採種した。この種子を施肥量のちがう播種床に直播し、幼苗の生長を調査した。肥料は化成肥料([○!林]スーパー1号)を使用し、1m^2あたり、それぞれ、600、300、150および0grの4段階とした。播種床には120×120×18(cm^3)の木型木伜を用い、底にビニールシートをしいた。この木枠に閃火ロームのやせた土をつめた。播極は線密度とし、長さ50cm、列間、6cm、幅1cm、深さ約0.5cmの播極溝に、それぞれ、200粒、100壮一汀よび50粒の3段階とし、4回の繰返区をもうけた。播種約6ヵ月後、幼苗を地際から切りとり、苗高と地上部乾物重とを測定した。各処理別に発芽率のちがい、または、その他の原因により生存数にちがいがあったので、各繰返し区ごとに密度補正をした。すなわち、母樹別、施肥量別に、乾物重は各繰返し区の生存本数とその平均乾物垂の対数とで、また、苗高は各繰返し区の生存本数とその平均苗高とにより回帰直線を計算し、それぞれの回帰直線を用いて50cmの播種溝あたり100、50および25本の生存数について、平均乾物垂、平均苗高の補正値を算出した。施肥量、生存密度の組合せで12の処理区があり、その各処理区に15母樹の実生集団がはいっている。平均乾物重および平均苗高について、施肥量、生存密度の組合せの12処理区のそれぞれの総平均値に対する各処理区内の母樹別平均値を対応させた回帰直線を}5母樹について計算した。この回帰係数は母樹別幼苗集団の肥料反応をしめすものと考えられ、回帰係数が大きいほど施肥効率が良いと推定される。直経級別により施肥効率をしめす回帰係数には朋らかな関係はないようである。しかし、母樹別には、乾物重、苗高の回帰係数には95%の信頼度でその信頼限界が重複しないものがあった。直播幼苗での生長調査であるため、種子重との関係を、母樹別1,000粒重と母樹別の平均乾物重、平均苗高それぞれの肥料反応をしめす回帰係数との相関を計算し、その回帰係数の有意性を検定したところ、いずれの場合も有意でなかった。
著者
山崎 一 吉村 哲彦 神崎 康一
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.143-149, 1996-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
15

長伐期優良材生産を指向した間伐木選定に関して,ファジィ推論を用いた簡単な規則による選木モデルを構築し,一熟練者の経験的判断の再現を試みた。モデルの入力値は,幹,樹勢および配置に関する計測情報であり,林木の残伐判定が出力である。面積0.05haのプロット内の林木に対して推論を適用した結果,判別率で全木86%,間伐木63%の精度が得られた。これは同一要因を説明変数とする判別分析の精度をやや上回った。また,システム調整の点においてもファジィ推論の利便性が認められた。本研究により,林業における経験的判断に対するファジィ推論の有効性が明らかになった。さらに,優良材生産を指向した選木では,林木配置および隣接木との相対的な形質比較が重要であることが確認された。
著者
大類 清和 生原 喜久雄 相場 芳憲
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.389-397, 1993
被引用文献数
10

スギ・ヒノキからなる五つの小集水域において,土壌水や渓流の水質調査を行い,土壌から渓流への水質変化過程について検討した。調査地は群馬県の渡良瀬川上流に位置する東京農工大学演習林内の小集水域である。土壌水から渓流水へとイオン組成が大きく変化し,とくにNa<sup>+</sup>とHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>の著しい濃度上昇がみられた。pHは土壌水では場所により4~7程度の値であったが,渓流水はどの小集水域でも7前後であった。Al<sup>3+</sup>の溶出はpH4.8付近以下で顕著にみられた。 pH4.8以上では,土壌水,渓流水ともCa<sup>2+</sup>濃度は主要陰イオン合計(Cl<sup>-</sup>+NO<sub>3</sub><sup>-</sup>+SO<sub>4</sub><sup>2-</sup>+HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>) の濃度と強い正の相関関係がみられたが,主要陰イオン合計の濃度が同じでも土壌水に比べ渓流水でCa<sup>2+</sup>濃度は低かった。 pH4.8以上ではSiO<sub>2</sub>濃度はHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度およびpHと正の相関関係がみられ,とくに渓流水はこれらの値が高く,母材風化による影響を強く受けていることが示唆された。 pH4.8未満では,逆にSiO<sub>2</sub>濃度はpHと負の相関関係がみられ,またH<sup>+</sup>濃度はNO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度と正の相関関係があり,硝化作用などによるH<sup>+</sup>の著しい増加で粘土鉱物の破壊の促進が示唆された。
著者
生方 正俊 板鼻 直栄 河野 耕蔵
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.286-290, 1999-11-16
参考文献数
20
被引用文献数
3

ミズナラとカシワの交雑和合性を明らかにするために,カシワ×ミズナラの人工交配を行った。また,すでに作られている約10年生のミズナラ×カシワの人工雑種個体について,繁殖能力,開花時期および両親種との交雑和合性を調査した。カシワ×ミズナラの人工交配で,堅果が得られた。ミズナラ×カシワの種問雑種個体は,樹齢10年生程度でも,花粉や堅果を生産する能力があり,花粉,堅果の発芽率は,ミズナラの種内交配個体と差がなく,当年生苗木の成長は,ミズナラの種内交配個体より良かった。また,この種間雑種は,両親種との戻し交雑によって堅果が得られた。ミズナラとカシワの種間雑種は両親種と開花期が大きく重なることから,自然条件で比較的容易に両親種と交雑できることが示唆された。
著者
植村 恒三郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.701-705, 1935-09-10
著者
植村 恒三郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.10, pp.773-779, 1935-10-10